BLUERISING 作:影後
「それで、マコト様にも お前が頼むんだ。
幼馴染だし、話ぐらいは聞いてやる」
「物分りが良いい奴は好きだぞ」
「ゲヘナに核を落すといった奴が何を」
「謝罪もするし、ヴァンプの行った事に対する補填もするさ。
今、万魔殿の口座あるか?」
「ん?まぁ…生徒会長だ。それぐらいスマホで確認」
その時だ。万魔殿全員のスマホにピロンという着信音が響く。
「は?」
¥100.000.000
¥100.000.000………
「計10億!?何だコレ」
「足りないか?待ったくなら」
「待て!貴様!コレほどの大金を何処で」
「ノーコメントだ。安心しろ、ホワイトマネーだ。
さて、まだ欲しいのか?別に良いが」
「セイ、貴方何を」
その時だ。万魔殿の扉が勢いよく開かれた。
「ヒナ委員長!風紀委員会に陸八魔セイの名義で10億円が振り込まれて!!って…なんでお前がいる!」
「前回のマスタードてお前達にも迷惑をかけたしな。
温泉開発部と美食研究会含めたやばい奴等以外にも最低1 億の補償金だ」
「……セイ、お前なにする気だ」
「そうだな、まず俺がバイオテロしたというのは消せ。
やってもない罪で罪が増えるのはナンセンスだ。
次に、俺がアビドスにいる事を連邦生徒会に流さないこと。
もし流してみろ、マコト、お前の女性の尊厳を破壊する」
「待て!名指しか!」
「幼馴染だしな、お前も女らしさはあるだろ。
小さい頃の写真なんかは………」
「お前……悪魔か!」
「悪魔族にそれ言うか?兎に角だ。良いな?お前の恥ずかしい写真ばら撒くぞ」
「セイ、それ私にも頂戴」
ヒナにそう言われた雷電はスマートフォンにデータを送る。
「……可愛いのね」
「セイ!お前なんの写真を」
「花畑、冠、お姫様、フッ…」
「え?それ見せてください」
「みたい!」
「イロハ!イブキ?!」
「稀に焦るぐらいしろ。
さて……じゃあ、お前らの幼馴染だったり学友たる陸八魔セイの時間は終わりだ。じゃあな、俺は帰る」
「待ちなさい!陸八魔セイ!!万魔殿から出ればお前を」
「アコ、お前のせいでゲヘナに核弾頭が落ちても良いのか?」
「アコ、止めて」
「よしよし、じゃあな」
そのままガンケースと共に立ち去ろうとした瞬間、マコトが
雷電を呼び止めた。
「……お前は変わった。昔は優しい奴だった」
「優しさで人は救えない。力だ。救う為に殺す力が必要なんだよ。そして、それは圧倒的な暴力だ。俺はソレを会長から学んだ。俺は俺の為にアビドスを救う。その為に、この手を染めてきたんだ。良いな、邪魔するなよ」
「待て……幼馴染としてだ。精神鑑定とかその……
受けたことあるか?」
「俺は、俺は!まともだ!」
今度こそ、雷電は消えた。
だが、ヒナはマコトの言葉に何処か共感を覚えていた。
「……カウンセリングぐらいやるべきだろ」
「一応、アビドスにその手の話をしてみるわ。
彼等にとってセイは小鳥遊ホシノと同じはず。
……でも、驚きね。マコトがセイをそう言うなんて」
「黙れ、小学生まで仲が良かった幼馴染は中学生で、雷帝の右腕。しかも、今は戦闘用サイボーグだぞ?本当なら風紀委員会になぞ入れる予定じゃなかった。万魔殿の事務員で………」
幼馴染のセイは優しいが怖い男の子だった。
喧嘩は負け無し、どんな手を使ってでも勝利をもぎ取る。
被害は最低限に抑え、何かあれば助けてくれる人という印象だ。
それが中学生、発明に目覚めゲヘナ最悪の片棒を担ぎ、
その後風紀委員会に引き抜かれたと思ったら2年次にゲヘナから
失踪。その後、テロリストとしてゲヘナどころか連邦生徒会からも『モスト・ウォンテッド』
場合によっては『七囚人』よりもヤバイ奴認定されただけでなく、殺人も行うようになり、今は戦闘用サイボーグになった挙げ句、核でゲヘナを脅している。
「……ごめんなさい」
「普通に友人として心配はするだろ。何故、ヒナ。お前はそこを理解しない。正直、情緒不安定過ぎるぞ。
脅迫したと思ったら優しい口調になったり、戻ったり」
「……そうね」
だが、脅されている事に変わりはない。
マコトも友人であるが、万魔殿の主でもある。
次回があれば、陸八魔セイを矯正局送りにしてやろうとは思っている。それがゲヘナにとっても、キヴォトスにとっても、セイ本人にとっても良い選択のはずだと。
万魔殿を出た雷電はまるで待っていたかのように姿を見せる不良達に怒りを覚えてしまう。
「聞かせろ、お前等は好きで不良してるのか?」
「当たり前だろ、でなきゃゲヘナで」
「そうか……なら、ヒナへの謝罪を含めて」
雷電は来ていた服をバサリと脱ぎ捨てる。
現れるのは強化素材で作られた外骨格と人間とは思えない顔。
人工筋肉が今か今かとエンジンがかかるのを待っている。
地面に落ちたガンケースが開く。
すると一本の刀がゆっくりと宙に浮き始める。
「お前……なんなんだ!」
「俺の名は雷電」
刀いや、高周波ブレードを手に取ると雷電は不良達の前に向かって走り出す。撃たれる弾丸は全て雷電によって弾かれ、斬り裂かれる。
「ひっ…」
「ふっ!」
狙うのは銃器のみ、雷電は生徒を手に掛ける事はしない。
「眠っていろ!」
そのまま流れるように峰打ちにより気絶させる。
高周波ブレードの峰は超高電圧が一瞬流れる様にすることができる。そのまま気絶し、ヘイローは輝きを失う。
銃撃戦がより激しくなるにつれ、不良達の顔は恐怖に歪んでいく。撃っている、撃っているのだ。何回マガジンを交換したかもわからない。仲間は倒れ、白髪の『剣鬼』が弾丸すら切り裂きながら自分達を倒す為に来ている。
「ひっ……止め……がぁぁぁ」
身が焼ける様な痛みに包まれながら不良は意識を手放す。
「安心しろ、激しく痛いだけだ」
雷電は高周波ブレードをガンケースにしまい、上着を羽織る。
ソレだけでゲヘナを練り歩くことができる。
「…りっ…陸八魔セイだ!」
「なんで……なんで……あのテロリストが!」
耳障りな声を上げる物にはM16A4の連続射撃が襲う。
雷電は銃のブレは決しておきない。肉体が完璧に反動を制御し、狙った位置に確実に命中させる。隠れても無意味だ。
どこに当てれば跳弾し、命中するかも表示される。
「……ふん」
硝煙の臭いと血の匂い、雷電に襲い掛かる者達は皆等しく絶望を見せられる。怪我をしても止まらない射撃、一刀で斬り伏せられる仲間。雷電は倒してきた不良達を見ながら、自分でも気付かない程に嗤っていた。
「おっ……お前……」
ヘイローの消えていない生徒が雷電に銃口を向ける。
そこでふと、雷電は思い立った。周りには気絶した仲間と思われる生徒がいる。自分はスタングレネードを持っている。
「テストだ。お前は勇気があるか?仲間を救えるか?」
「はっ?」
雷電はピンを抜いたスタングレネードを少し経ってから不良の足元に放る。
「この……クソ野郎!」
不良は仲間の為に犠牲になれる少女だったようだ。
腹で抱えて爆発し、気絶する。
「……英雄的だな」
何処か落胆したように感じる。むしろ、何故こんな事をしたのかも分からなくなっている。
「いや…俺はまともだ。ゲヘナの不良は元からこんなのばかり。許せよな。お前等が何時もやる事だ」
数分後、風紀委員会のメンバーが到着する。
不良達は完全に気絶しソレを起こした犯人は見えない。
「たった一人で………こんなに」
「ワンマンアーミー、陸八魔セイ。彼奴は自分が強いとでも言いたいかよ」
目を覚ました不良の中には怪我をしている生徒も居た。
「……戦争でもしたいんですか。貴方は」
もう学園にはいないだろう犯人にチナツは問いかけた。