BLUERISING   作:影後

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勇者と殺戮者1

「んっ……あぁ……」

 

それは黒服からのプレゼント。

カイザー理事所有の基地からデータを奪い、

雷電いや陸八魔セイ、ドクターAED、調月リナ、

菊池ルナの4名により完成したクローニングマシーン。

目的は一つ、雷電の肉体の再生だ。

雷電のクローニングはされていたが、

悪魔族特有の角等は無く人族タイプであった。

だが、人族でヘイロー無しは色々と問題がある。

それならば、かつての悪魔族のヘイロー無しの方が良い。

まぁ、サイボーグ状態よりも遥かに防御力も劣るし

ヘッドショット一発で壊れる身体である。

血も身体を巡っており、臓器も再生し完全に肉体だ。

まぁ、成長は無い。あくまでも、排泄機能のみだが。

 

「んで、クローニングしたその身体で何するつもりだ」

 

「クライアントから自由にして良い指示もらったからな。

連邦捜査部シャーレに用があってね」

 

「……ワシはしらん」

 

 

 

翌日、万魔殿のモブの姿をしたセイは堂々と連邦生徒会の

お膝元を歩いている。

 

「…練度も低いし、テロリスト1人でここまで来れる。

腑抜けてるねぇ…まぁ、やることはやったし」

 

DUではそこら中で小規模火災と不良の襲撃。

全て雷電が引き起こしたものだが、それの対応に追われる

ヴァルキューレ。考えれば判ることだと感じながら、

歩道を歩く。向かうのはシャーレだ。

当番制度という物があり、何時でも挨拶に赴ける。

 

「あれ?万魔殿の人?」

 

コクリ。

初回から目的の人物に出会えた。

 

「?これってシャーレの入部届………」

 

拝啓 シャーレの先生様

私のクライアントから暇な時間は自由にして良い

と言われましたので、面白そうな貴女の下で稀に

動こうと思います。まぁ、もっと言えばシャーレの権限

で動いているという免罪符と、ヴァルキューレの

データ抜こうとしてますし、カイザーを滅ぼして

キヴォトスの経済破綻でもさせようかなと思いましたが、

貴女がアビドスで行った功績と、

一定の信頼を築けたと思いましたので、この手紙を贈ります。

必要ならそこに書かれた電話番号を。

 

追伸 

ヴァルキューレに連絡しても良いですよ。

どうせ無駄ですから

 

「……ねぇ、もしかして女装もしてこれを」

 

「?」

 

「え?!ごめん、人違いだった」

 

いえいえ

 

言葉は話さず身振り手振りで返す。

先生は俺がサイボーグになる前を知らない筈、

だから使えると思っていたのだか

 

「……そこの万魔殿の生徒、動くな」

 

「あれ?イオリ」

 

……なんでいるのかなぁ

 

銀鏡イオリ、

雷電の後輩にして多分次の風紀委員長になるだろう、

思い込みの激しい生徒。

 

「……貴様、巫山戯るなよ。

私が知らないと思ったか!!」

 

「はん、そんな……実用性のないライフルを

使うお前に言われたくないな。なんだそのトゲトゲ、

頬当に使うのか?教えてくれよ。

なんのための装備だ?戦術的優位性は存在するのか?」

 

「うそ……雷電なの?」

 

「あぁ、アビドス振りだな。

んでイオリ、お前。判ってるのか」

 

「く………」

 

「そうだ、その巫山戯た銃を撃つだけで先生が死ぬ」

 

「……やれるもんならやってみろ」

 

「は?」

 

イオリはニヤニヤと笑いながらKar98kを下げる。

 

「お前、」

 

「貴方様ぁぁぁぁぁご無事ですかぁぁぁぁ!!」

 

「は?!」 

 

上から降ってきた女は良く知っている。

 

「ふざけ……」

 

ここで関わるには装備が貧弱過ぎる。

 

「…あっけな」

 

「………イオリ、お前後で覚えてろ。

ゲヘナ中で大規模テロ起こして、万魔殿にお前せいで

っていう手紙と一緒に街も破壊してやる。

それともなんだ、会長の秘密兵器でもばら撒いて」

 

「やめろ、先輩!嘘か本当か理解できない!」

 

「駄目だよ、雷電。そんな事しちゃ」

 

「貴女様、危険です!

この男はヘイローが無くともこのキヴォトス程度なら

内部から破壊することも可能な男!私よりも危険です!」

 

「でなければ、モスト・ウォンテッド。

最重要指名手配にはならないさ。

まぁ、お前ほど街を破壊しては居ないがな」

 

「言いますね」

 

「そう言えば、雷電の罪状って」

 

「……反逆罪、テロ罪、外患誘致罪、窃盗罪、暴行罪、

放火、強盗罪、殺人未遂罪、殺人罪、誘拐罪」

 

「機械を壊すのに理由がいるか?

それに、俺はカイザーの銀行とカイザーと癒着してた

ヴァルキューレの一部をぶちのめし、今の公安を嘲笑い、

貶し、愚かと笑っただけだ。それに誘拐は違う。

俺が救ったんだ。」

 

「ふざけるなよ。

ミレニアムではセミナーから重要情報を回収。

脅したな、そして身代金代わりのレールガン。

トリニティではゲヘナシンパの扇動と戦闘訓練。

それに、正義実現委員会とやり合い撤退。

その際、嫌がらせの様にシュールストレミングばら撒いた

らしいな、先輩。流石にバイロテロは無しだろ」

 

「シュールストレミングは違う、本当に誤解だ。

アレがトリニティに有るなんて誰が思う!しかもだ!

ロケット弾の流れ弾が当たり、火災の発生。

保管されていた50個が爆発だと?俺のせいじゃない」

 

「……確かにそれはそうだな。

でも、どうやって生身に戻ったか知らないが、好都合だ。

お前を精神病棟に入れてやる」

 

「は?」

 

「これはヒナ委員長とマコト議長の連名だ。

生徒は殺してないし、殺すのはカイザーのドロイドだけ。

一度、精神鑑定を」

 

「俺はまともだ!俺は」

 

「……一応、私もゲヘナに行くよ。ワカモ、一緒にお願いね」

 

「わかりましたわ」

 

雷電は厳重に拘束され、

秘密裏にシャーレのヘリでゲヘナに輸送された。

 

「キキキキッ!良く来たな、先生!

風紀委員会に……ワカッ?!………いや良い。何だ」

 

「えっと、お届け人です」

 

「お届け…人?」

 

「不意打ちで捕まえました。

シャーレに侵入して何かしようとしていたもので」

 

「………へ」

 

数分後、ヒナとアコが会議室を訪れた。

 

「くっ……くくっ……良いザマですね!!」

 

猿轡を嵌められ、手錠をつけられチェーンで縛られている。

ロープでは自力で脱出されるというイオリの提案だ。

 

「猿轡を外す、暴れるなよ」

 

「………ああっ……くそ、せっかくの生体ユニットだ。

ぶっ壊す奴があるかよ」

 

「……え、セイ。この角、この肌」

 

「…ヒナ、私がおかしくなった訳では無いよな」

 

そう、マコトとヒナは角がある姿が只管に懐かしい。

だからこそ、気味が悪いのだ。

 

「お前……セイのクローンか!」

 

「きひひ……君を食べるっていったもんねぇ?!

今は、守ってくれるオリジナルは居ないよー!

焼かれただけで死んだと思ったの?…おねーちゃん」

 

「!」

 

ヒナは即座にデストロイヤーに引き金を

 

「待て!巫山戯るな、遊びだ!遊び!俺はヴァンプじゃない!

俺は陸八魔セイいや、戦闘用サイボーグ雷電。

そして、この体は生体ユニットだ。

改造前の肉体に限りなく近くしてある、でもな、

デストロイヤーで撃たれたら粉微塵だ。別に良いぞ、

俺の数億が吹き飛び、この会議室に死体ができるだけだ」

 

「……」

 

「なんだ、怖くなったか?撃てよ、ヒナ。

だってそうだろ、俺が止めた時だ。

あの時もそれを理解して撃ってた。

お前の目の前で死体ができるのを理解して、

撃って来たんだろ。想像しなよ、お前の前で当時の俺。

つまり、お前の相棒として活躍していた友人が血塗れで

倒れていく瞬間を」

 

「耳を貸すな、セイの常套手段だ。

生体ユニットと言ったな、つまりだ。何かしらをしないと、

あの機械の体は、動けないんだろ。セイ」

 

「なんでこういう所でマコト、お前はそんなに……」

 

「伊達に幼馴染じゃない。

お前が再起不能にした家族のことも色々と調べた」

 

「え……あの、マコト会長。この男が再起不能にしたとは」

 

「妹を虐めた生徒を溺れさせる、火炙りにする、

ヘイローが消えるまで殴る蹴るの暴行を加える。

ヘイローが消えたら盾にして、仲間に殺しかけさせる」

 

「……おいおい、俺の過去のデータは処分した筈だ。

何処で見つけた?証拠は残さなかったし、風紀委員会の

データや書類も全て焼いて…いや、一人だけ居るか」

 

「そうだ、お前の敬愛してやまない会長様だ。

雷帝はお前を色々と調べていたようだな。

片腕として使うだけではなく、経歴も。

お前に襲撃された後片付けの時だ。

隠されていた地下室が見つかった。

お前のデータのコピーとお前に対する雷電の信頼が

伺える日記や文章が」

 

「よこせ、俺には受け取る権利が」

 

「誰が渡すか。暗号文が無いとも限らん。

それに生徒に関しては殺してないだけだろ、

お前が病院送りにした生徒全員が失踪しているぞ」

 

「俺の妹に手を出したんだ。アルが止めた生徒はやってない。

それに、ヘイローがないからと俺を虐めてきた奴もいた。

お前を虐めようとした奴もいた。幼馴染だ、守ろうと思った」

 

「ありがたいが、読んでて吐いたぞ。」 

 

シャーレの先生も陸八魔セイに対する調査書を読む。

赤羅様に顔色が悪くなっている。

失踪の意味を理解したのだろうか。

 

「昔の過ちだ、今はしてないしもっとスマートに殺る」

 

「……生徒殺人罪も追加だ。お前を一度精神鑑定にかける」

 

「俺は善悪の判断はあるさ、いらない」

 

「駄目だ、心配なんだ!

お前は私の数少ない対等な友人だったろ!

だから……」

 

「………まぁ良い、先生。やばい仕事や何か暴れる時、

俺に電話しろ。判るだろ?俺はキヴォトス最強最悪の個人だ。

アウトローいや、バッドガイか」

 

「…なんでそうなって」

 

「ゲヘナは自由だ、でもな自由を履き違えてる。

一つだけ聞かせろ、俺はマコトも、ヒナも助けてきた。

だが、助けられた事はない。ヘイローが無い、

見慣れない男だからと蔑まれ、貶された。

なんで俺の救いを奪った。何故、俺から会長を奪った。

何故だ……答えろ」

 

「答えろ!!!」

 

ガシャンと鎖がぶつかり合い、激しい音がする。

そこに居るのは人間じゃない、捕獲された猛獣だ。

 

「ゲヘナの為だ」

 

「笑わせる、会長ならトリニティも滅ぼせた。

俺もだ、忘れるな。俺は忘れない。

お前達は己の為に、ゲヘナで反乱を起こした。

俺は居場所を奪われた。数週間前にはアビドスも攻め入ったな。

それは別に良いさ、結果的にカイザー理事を滅ぼせた。

俺の憎しみは消えない、怒りは消えない。

世界に捨てられた存在には受け皿が必要だった。

だが、俺の受け皿はもう無い」

 

「そんな…アビドスは」

 

「アビドスは受け皿じゃない、俺にとっては間借りだ。

初恋の相手が護ろうとしたから、護ったにすぎない。

少なくとも、俺の受け皿ではなかったんだ」

 

仲間も、後輩もアビドスには居る。

だが、雷電はアビドスの制服に腕を通した事は

数える程しか無い。基本は風紀委員会の改造制服だ。

 

「……久し振りですね、死体…の筈だったのに」

 

「どうした、運べよ。俺は暴れない。」

 

「………わかりました、診察は病室で行われます。だから」

 

「流石に病院でテロはしない」

 

同級生に運ばれながら、雷電はケタケタと笑った。

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