BLUERISING 作:影後
雷電、もとい陸八魔セイ風紀委員会時代。
「……もうヤダ………会長………」
尊敬する会長は消え、次代の万魔殿に全てを奪われ、
風紀委員会にぶち込まれ、不良達と戦闘を繰り広げる日々。
そんな時、陸八魔セイはとある存在に出会った。
「あっ!風紀委員会の!!!」
そう呟いたのは当時から傍迷惑なテロリストである
温泉開発部所属の下倉メグだ。
「温泉開発部?俺、もう勤務時間外だし。
……うお、温泉湧いてる」
ゲヘナも何も都市部という訳ではなく、
山岳地帯や自然公園の様な場所もある。
その中で奇跡的に作られたのが、
陸八魔セイが目にしている温泉だった。
「ふひぃ……へ!風紀委員会!!!」
「……なぁ、ここのpHいくつよ」
「調べたら8.6あったけど」
「(美肌の湯)……男湯。作ってくれたりする?」
「え?良いの?」
「この環境、最高のパフォーマンスだろう。
それに、その……広い風呂とか嫌いじゃないし」
「おっ?!まさか…まさかまさか!」
そして、数分もかからず男湯が出来上がり温泉開発部と
セイは同じ湯に浸かることになった。
念の為だが、混浴はしていない。
森林地帯というゲヘナ市街地とは違い、大人しい空間。
今までの自由を失った虚無感。
それがその温泉に入ると全て忘れる事ができた。
「……ねぇ!私は下倉メグ!君の名前は!!」
柵をまたいで声が聞こえた。
「陸八魔セイ!」
「温泉開発部に入らない!?」
「……駄目。
会長の片腕だったから、万魔殿に目をつけられてて、
風紀委員会から抜けれない。
俺からしたら、こう言う温泉作れるんなら
市街地で暴れないで欲しいんだけど?」
「無理!私達の温泉がそこにある限り!
私達温泉開発部は掘り続ける!」
「の割りに、環境汚染とかしてないね」
「温泉を引き立たせる環境も温泉の醍醐味!
実際!セイ君も気持ちいいでしょ!露天風呂!!」
その通りであり、何も言えない。
それだけでなく、建設技術も高い温泉開発部は凄い。
温泉を掘り当ててから施設の建築。
中には脱衣所と休憩所もある。
「待って、片腕?」
「そう、クーデターされた旧万魔殿我等が雷帝会長の片腕。
政治で負けて、武力でも負けて、もう…どうでも良いね。
あ~~、温泉気持ちぃ……なぁ、温泉同好会って、
キヴォトス中で指名手配されてるだろ?
何処かに良い温泉ない?」
「そんな旅行してるだろ、感覚で言われても。
てか、指名手配じゃん!私達より質悪いタイプの!
風紀委員会から見つけたら即通報とか言われてるし!
良いの?!」
「え~~……だって、不良を捕まえても、
妹を虐める屑を再起不能にして絶望させても、
ぽっかり開いた穴は埋まらない。
俺さぁ、会長の片腕で色んな事してたんだ。
皆、会長は悪だって言うけどよ。あの人なりに、
ゲヘナを変えようとしてたんだ、それが…軍事クーデター。
無理やり卒業、大半が野に放たれたのに俺はしりすぎてる。
だから、風紀委員会の首輪付き。今こうしてるのも、
多分不味いんだよね〜〜、俺のこと捕まえに……
いや、しったこっちゃないな」
「…風紀委員会がそれで良いのか?」
「俺達は別に考えて温泉掘ってくれるんなら、
喜んで手も貸すんだぞ。こんないい湯を作れるのに。
しかも……一日だ。壊した環境も最低限で、
景観を壊してない。
……もう、何もかも捨ててゲヘナ殲滅しようかなぁ。
会長の遺産もあるし……いや、どうせなら
トリニティに核落して、皆殺しとか」
「……冗談だよな」
「冗談だと、思える?俺、雷帝会長の片腕よ。
ゲヘナに敵対する者なら、皆殺しにする力も、
権利も一時期はあったのに………」
「でも、しないんだろ」
「温泉に入ってると、悪い事を忘れられる」
大きな欠伸をしながら、平凡な世界を見る。
もう、何もかも捨てて世捨て人になるのも良いかもしれない。
そう思えてしまう。
「おーい、聞こえるか?おーーい」
「……Zzzzzz」
「は?!」
それは寝息だった。
下倉メグは即座に男湯の方を確認する。
恥ずかしいとか、そんな問題じゃない。
風呂場で寝るのは死を意味する。
いくらヘイローがあっても、溺死、窒息死、衰弱死なんか
防げる訳が無い。
「集合!私達の温泉で死人を出すなぁぁ!!!」
「「はい!」」
セイは温泉開発部に救われ、
水と塩分のある料理等を無理矢理食べさせられ
事なきを得たのだ。冗談抜きで、ここで死んでいれば
未来は正史の様になっていただろう。
「気持ち悪い」
「食べろ!死ぬな!!」
「……ありがとう、あとごめんなさい。
見苦しい物を」
「言ってる場合じゃないからな!寝れる空間もある!
良いな?私達はもうすぐ出るけど、必ず休んでいけよ!」
こうして、雷電と温泉開発部の友情が生まれたのだ。
「見た?」「見ちゃった」「大きいね」
「いちいちはなすな!」
こうして、キヴォトス最悪のテロリストと温泉開発部は
有効を結んだのだった。