BLUERISING   作:影後

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勇者と殺戮者6

何を血迷ったか、

G-Bible等という眉唾な噂。

それを信じているモモイが再び廃墟都市へ向かっていた頃、

雷電は陸八魔セイの肉体でセミナーを訪れていた。

ユウカ、ノア、リオ、全員が銃口を向けている。

 

「おい、手錠も受けた。

首には爆弾もつけている、付き添いはコールサイン00。

お前達、何を恐れてる」

 

「はっきり言いましょうか、

ヘイローも無いのにキヴォトスに戦乱を起こさせる事もでき、

真偽不明の噂だと、生徒殺し、子供殺し、トリニティではテロ。

ミレニアムでもレールガンを奪い」

 

「返したろ、会長と作ったヤツのほうが強くて結局」

 

「結果論です、当座のセミナーの機密情報も」

 

「俺は元ゲヘナ最強の工作員だぞ?ハッキングも簡単にできる」

 

「…貴方、自分の状態が」

 

「俺を呼んだのはソチラだろ?

仕事があるのか、それとも邪魔な人間を消したいのか?

遺体を残さず消す方法もある、生徒も…少しばかり大変だが」

 

セイの言葉にセミナーの面々は恐怖する。

稀代のテロリストに飲まれれば終わりだ、

それを理解したネルがセイを小突く。

 

「おい、無駄話は」

 

「確か、ノア。お前には完全記憶能力があるな?」

 

「は?お前マジで」

 

「人間の頭がひき肉になる瞬間なんて、

そう見れたもんじゃないぜ?」

 

理解したネルが拘束しようとした瞬間、

手錠が外れ首の爆弾に手が伸びる。

事、人を苦しめるのに関して、

陸八魔セイの右に出る者はカイザーしかいない。

 

「俺の命とノアの心を人質に。

真面目に話せ、俺を呼んだのはなぜだ」

 

「……私の妹がゲーム開発部に入り浸っているようなの」

 

「…自分で対処しろ」

 

「今更、どう会えばいいの?

私があの研究を禁止した、なのに」

 

「……まさか、仲直りしたいから?こんな理由で俺か!

もっとマシな奴に頼め!ゲーム開発部と言えばいい!

どうせ子供の集まりだろ!

俺はもう子供は襲わん!絶対にだ!

ユウカ、会計のお前なら簡単に行ける。

可哀想な会長様の手伝いぐらい」

 

「私が行くとリナ先輩がいないんです!

いた証拠もないんです!だから、キヴォトスきっての工作員を…」

 

「……かぁ……俺も焼が回ったか?!

姉妹仲の回復、その任務。承った。

俺も兄だ、妹がいる気持ちは良くわかる。

特に、妹はアウトローという道を選んだ。

…兄、姉つながりだ。良いな?今回、報酬はいらん。

ただし、条件を一つ。俺は自衛する。

自衛によってできた被害には目を瞑れ」

 

「それは」

 

「テロをするつもりはない。

せいぜいここの生徒の心か身体をボロボロに砕くだけだ。

まぁ、襲われなければしない。

だから頑張れメイド部、」

 

冗談とも思えないほどに切羽詰まっている顔。

別にトリニティの鳥カスでも無ければ、

ゲヘナの底辺不良でもない。

 

素直に受け入れて、ゲーム開発部の部室にセイとして歩く。

途中、コンビニでジュースとおやつ。

アイスを差し入れとして買う。

セイは小さい子の世話が好きなのだ。

その先でミレニアム生徒と顔を合わせたりすると、

見事に逃げられるか武器を向けられるのだが、

接近し、口を無理やり開き銃口をねじ込めば大抵黙る。

そして、時には撃ってくる。そんな生徒は地獄を見る。

 

「このまま死にたくないなら、頷け」

 

コクリと顔が動いた瞬間に両肩の関節を外す。

悲鳴が上がるが知ったことでは無い。

 

「俺に銃口を向けたんだ、どうなるかは察しろ」

 

そのまま脚を砕き、地面に捨てる。

昔からそうだ、雷電にとって心の癒しだった友人。

幼馴染は2人だけ、空崎ヒナと羽沼マコト。

だが、2人は敵に周り今やっと和解…和解?したのだ。

その幼馴染を守る為、何人も痛め付けた。

2人の前では優しい男の子を演じ、裏では苦しめ、

泣き叫ぶ姿を見ていた。

 

「……」

 

だからもう何も感じない。

相手を、敵を甚振ること。苦しめること。

唯一、敵との殺し合い。

ドロイドを真っ二つにし、意志のない生徒の紛い物を斬り裂く。

そこには、確かな雷電の意思がある。

 

「時間をくったか……」

 

幼馴染や妹、そしてゲーム開発部の子供達には見せられない。

子供の前では、良き大人?先輩で居たいものだからだ。

 

「今戻ったぞ」

 

「あ、今日は義体で来たんだ」

 

「あぁ、依頼があった。

調月リオがリナ、お前に会いたいと。

謝罪したいと言っていた」

 

「うわー…何か嫌な予感がするのよね。

雷電、何かあった時は頼むねよー」

 

「了解だ」

 

「冷蔵庫に新しい飲み物とアイスを入れておく。

毒なんかないから、好きに飲み食いして」

 

セイはそのまま冷蔵庫を開けると、

グチャッとした中身に言葉を喪う。

 

「…まずは掃除だ。ユズ、冷蔵庫かたすぞ」

 

「ユズちゃん?」

 

「あの……リナ先輩、セイ先輩、ありがとうございます」

 

「か……可愛い……」

 

「気にするな、俺は世話焼きだからな」

 

そんな雑談をしながら、

冷蔵庫だけでなく部室の片付けも終わらせる。

 

「よし、綺麗になった。リナ、行くぞ」

 

「は~い、ヤバそうになったら雷電呼ぶから」

 

「多分、大丈夫だ」

 

リナをセミナーへと連れて行くと、

ユウカとノアは驚いた顔をする。

 

「あれ、なにほうけてるの?」

 

「いえ、その…リナ先輩を本当に連れてこれるとは」

 

「はい、かくれんぼは誰にも」

 

「いや、別に。私の研究成果を盗んだあげく、

マッドサイエンティストと決めつけて、

資産凍結してくれたセミナーの皆様に意趣返ししたいなんて、

一切思ってないよ」

 

「お前、そんな事なってたの?」

 

「いや、キヴォトスのモスト・ウォンテッドに言われても。

私はミレニアムだけの指名手配だけどさ、セイの方は、

キヴォトス全土だし、生死不問じゃん」

 

「…確かに」

 

「まぁ、私よりも〜あんな小娘を始末しないアンタら、

甘ちゃん達の事を考えれば」

 

「あの子の事は今、関係ありません!」

 

「……ユウカ、アレは居ちゃ駄目な存在だよ。

セイとは別方面、セイが戦乱を巻き起こすなら、

アレは戦乱じゃなく全てを破綻させて破壊し、

数多の人間が本当に死ぬことになる。

慈悲なんて存在しない、飢え、暴動が起き、

何処からともなく殺し合いだ。

まだ戦乱をコントロールするセイの方が最恐最悪だよ」

 

「…褒めてるのか?」

 

「実際、セイが起こすテロ。被害は最小限になってるでしょ。

カイザー関連以外は、だけど。

アレは存在しちゃいけないんだよ」

 

何か激しい確執があるのは理解したが、

セイとしてはさっさと話し合えと言いたい。

 

「おい、調月リオはどこだ」

 

「此処に居るわ、陸八魔セイ。

そして……久しぶりね、リナ」

 

「ええ、そうね。リオ。

私を最初にマッドサイエンティストと呼んだ貴女が……

まさか、謝りたいだけで呼んだわけ?」

 

「あの事は謝罪するわ、人間のクローニング。

私はそれを」

 

「そう、まるまるコピーすると思ったんでしょ?

でもね、私のは違った。足を失ったなら新しい足を。

義足じゃない、本当の足を作る研究だった。

でもそれを奪われ、

私は本当のマッドサイエンティストになった。

そして、リオ。貴方の懸念は本当になったの。

此処に居る陸八魔セイは義体。クローンよ」

 

「……生命倫理、それを忘れたの?」

 

「黙りなさい、私の願いはただ平和利用だった。

それを行う前に奪い去り、ましてや悪と決めつけた。

私はもうセミナーじゃない、私のパートナーはセイよ。

だから、セイ。自爆なさい」

 

「は?お前何言ってんの」

 

「どうせ、1回ノアの心壊すつもりでしょ?

丁度いいじゃない、此処でセミナーの面子も潰して」

 

セイもこの感覚をよく知っているため、

リナの肩をつかみ、目を見て話す。

 

「止めろ、落ち着け。此処で自爆したらお前も巻き込む。

姉妹仲の仲介はとっくに終わってると言うか修復不可能だろ?。

良くわかる、俺も幼馴染に親愛なる上司を追放させられ、

ついには左遷させられ最後にはテロリストになったんだ。

1年以上経ってやっと仲直りした。

お前も仲直りしろとは言わないが、

ミレニアムから去るのはよせ。

ゲーム開発部の面子はお前の大切な後輩だろ?

お前とゲームしたり、お菓子食べたり、ジュースのんだり、

それらができなくなるんだ、申し訳ないと思わないのか?」

 

「……それは思うけどどうせ不法侵入でもすればいいし。

だって、メイド部だろうと私とセイの繋がりが見える時点で

手を出す馬鹿は……いるなぁ…一人。あのチビスケ」

 

「普段より態度も口も悪いな?

本当にどうした?俺が抑えに回るとかおかしいぞ。

俺は敵を嬲る、斬る、殺すが仕事だ。

仲間のメンタルケアは本当に専門外なんだぞ?」

 

セイの嘆きに返事することはない。

ただじっとセミナーのメンバーを見ている。

 

「私がお前達に協力することは無い」

 

「そう、なら確保させて貰うわ」

 

「させるかよ」

 

セイは懐から小さい缶を取り出すと正面に投げる。

殺傷能力の無いフラッシュバン。

数百万カンデラの強烈な閃光と170〜200デシベルの爆音が

セミナーの3人の前に響き渡る。

 

「あぁ………私……くそ……」

 

「まったく」

 

平衡感覚を失ったリナをファイアーマンズキャリーし、

下へ下へと降りていく。

 

「待ちな!テロリスト野郎」

 

「……うるせぇチビスケ」

 

「てめぇ!!」

 

面倒な相手が立ち塞がれが壁に向け、グレネードを投げる。

ガラス張りの壁面が一瞬にして崩れ、

辺り一面にガラス片と爆煙を広げる。

 

「……は…?え……待って!待って待って!!」

 

「じゃあなチビスケ」

 

「は?」

 

「いぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁ」

 

開いた穴から飛び出すが、軽く地上から200mはある。

 

「暴れるな!脱出手段はある!」

 

「本当だな!うそじゃないよね!」

 

用意周到なところがセイがモスト・ウォンテッドの所以だ。

パラシュートを開き、ミレニアム郊外まで飛んでいく。

 

「撃たれなくて良かった。

……もし撃たれてたら」

 

「言わないで、てか武器は持ってなかったでしょ?

いったい何処に」

 

セイはそのまま腹に手を突っ込む。

 

「は?」

 

「義体だが、内臓などは一切ない。

この身体は食事もできないタイプの機械端末だ。

人工筋肉だけを張り付け、内部に武器を格納している」 

 

「……マジ?金属探知機は?」

 

「生身で撃たれて何発か残ってると言ったら信じたぞ。

ほら、腰のあたりに弾丸あるだろ?」

 

「…マジかよ、凄っ。流石相棒だな!」

 

「それはよせ、ルナに迎えを頼んだ。ほら、ドクターの所だ。

俺も本来の身体を回収する必要語あるからな」

 

数分もせずにジープが現れる。

運転手は変わらずゲヘナの制服を着ているルナだ。

 

「部長、リナ様、ドクターがお待ちです」

 

「ルナ、最高速度だ」

 

「はい」

 

「ヒュー……凄ッ」

 

雷電達はミレニアムの暗部へと車を走らせた。

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