BLUERISING   作:影後

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アビドス廃校対策委員会_3

『ふっ…身体にも慣れたか』

 

「あり得ない…弾丸が……砲弾も!」

 

「リーダー!リーダー!!リーダー!!!!」

 

「笑ってないで撃つ!」

 

「私の騎士道!ここで見よ!」

 

「雷電はそのまま戦車を!リナは撃って!リンは遠距離の敵を狙撃!タエルいつの間に銃剣?!」

 

雷電は正直、戦いやすさを感じていた。

もともと、指揮官だった筈だが今の肉体になってからか、それ以前からか作戦指揮よりも裏での活動がメインになっていた。

サボタージュ等の単独作戦行動、今現在も仲間と共にいるよりも単身で何かしていることの方が多い。

 

『悪くない』

 

「先生?!」

 

『…無事か?』

 

「え…ありがと、雷電」

 

 

 

 

 

 

 

シャーレのオフィスへの向かう時、彼女の中ではキヴォトスでの初戦闘の記憶が蘇っていた。いや、あの時よりも酷い。

仲間はより少なく、弾薬も心持たない。でも、今目の前の生徒達はたった一人を救う為には此処に来た。

 

「先生は私達の後ろに!」

 

「雷電先輩達なら大丈夫です!」

 

「銃座つきました!」

 

アビドスの生徒(モブ)達が先生を守る位置についている。ティーガーの後ろ、更にハンヴィーを盾にし機銃もだ。

 

「きゃあ!」

 

それでも、破片等は飛んでくる。戦車の破片が落ちてくるかと思った瞬間、女性の前に白い髪をはためかせる鬼が居た。

鬼、でも不思議と怖くはない。この鬼は、きっと仲間の為、誰かのために戦っているからだ。

 

「雷電!死ねぇぇぇぇ!!!!」

 

「俺は死なん!俺にはやるべきことがある」

 

機械音声ではない、何処かで聞いたのことのある様な声だった。

 

「待って!雷電」

 

「アバババババ」

 

『安心しろ、俺の刀が斬るのは悪人のみ。生徒は斬らんさ』

 

雷電は女性の前でそう言いながら刀を鞘に収めた。

その姿はまさに〘SAMURAI〙だった。

 

『ゲボッゲボッゲボ…ゲボゲボ』

 

「雷電!」

 

女性いや、先生は雷電にかけよる。だが、白い液体をずっと雷電は撒き散らすだけだ。

 

「ハンヴィーに乗せろ!雷電先輩を死なせるな!」

 

ハンヴィーは先生と一部生徒を置いたまま、アビドスへと先に戻る。置いていかれたと言う事はない、5分もせずにアビドスの装甲車が迎えに来たからだ。恩人は救えた。

ここからは自分の仕事だと、改めて気を引き締めた。

 

「それで、貴女は?」

 

アビドス高等学校の廃校対策委員会。その部室に通されると怖い視線を向けられる。

 

「私は、そのシャーレの先生をしているの。アビドスの支援要請を受けて」

 

「…やっと……やっと……来てくれた…来て」

 

「セリカちゃん、落ち着いて。おじさんは、アビドス廃校対策委員会委員長兼アビドス生徒会副会長小鳥遊ホシノ」

 

「対策委員会十六夜ノノミです」「ん、砂狼シロコ」

 

「同じく、対策委員会の奥空アヤネです」

 

「…黒見セリカです」

 

「本当ならもう一人、大切なメンバーが居るんだけど今。山場にいるから」

 

「……アイツのせいです。アイツが壊さなければ、雷電先輩は今頃完璧に治ってて、ヘルメット団も」

 

先生は改めて雷電について聞いた。

 

「雷電、私を保健室に連れて行って看病してくれたサイボーグだよね。さっきも、最前線で」

 

「うん、雷電先輩は私達のヒーローなんですよ!前は10億円も借金があったんですけど、今は5億円です!」

 

「一時期、4億まで減らせたんだけど生徒が増えて」

 

ホシノは申し訳なさそうに言う。先生自身、それが謎だった。

アビドスの生徒は5名の筈、しかし来てみれば130名の生徒がいる。

 

「全部ね、雷電が連れてきたの。不良でも、真摯に向き合い、居場所を与えれば仲間になれる。さっきの不良達もそう。捕まえて、生徒にして社会復帰。それが、アビドスでやること」

 

「凄く頑張ってるんだね」

 

そう先生は言ったが、ホシノの顔だけでない。

アビドス対策委員会のメンバーの顔が曇る。

 

「皆、雷電のおかげ。私たちも対応してるけど、一番は雷電ともう一人いる生活部がやってくれてる。ここに来るまで家、見たでしょ?」

 

「うん、シロコに拾われたときに」

 

「ん!拾った」

 

「シロコちゃん、そんなペットじゃないんだから」

 

雷電と同じ様な感想を言うノノミ。

 

「住宅地だけど、今はほとんど無人なの。そこを、雷電が不良達に与えてる。全部、雷電のお金。雷電のお金なら、正直、この返済もできる。でも、それじゃあ駄目」

 

「なんで?雷電はアビドスを」

 

「アビドスを大切にしてる、此処にいる…此処しかない皆のために。でも、見たでしょ。雷電の傷」

 

「うん、激戦できっと」

 

「激戦だけじゃない、雷電を傷つけたのは私達アビドスの仲」

 

「仲間じゃない!」

 

そう叫んだのはセリカだ。犯人と共に居た。

止められたかもしれない、止められなかったから今雷電は。

 

「……仲間だよ。雷電もそう言うよ、兎に角。雷電にだけこれ以上負債を背負わせる事はできない。お願い先生、手を貸して。アビドスのため、雷電のために」

 

 

 

 

 

 

 

「ヴァルキューレの警察署を再利用しています。頭は冷えましたか?ニノさん」

 

アビドス高等学校別館の前にある小規模なヴァルキューレの警察署。その最奥で、ニノは拘束されていた。

 

「ルナさん!コイツは雷電さんを殺しかけた」

 

「部長は望んでませんよ、兎に角。頭を冷やしなさい。私はこれからシャーレの先生との会談があります。あっそうだ、ニノさん。雷電先輩を殺したいなら成功しまたよ。今、あの人は生死の境を彷徨いあろうことか自己中毒中。アビドスの生徒では救えませんから」

 

ルナはそう言いながらテトテトとアビドスの別館に入る。

警備している生徒達から敬礼され、自身もそれに返しつつ静かに対策委員会の扉をノックする。

 

「ホシノ副会長、入室の許可をお願いします」

 

「ルナちゃん、大丈夫だよ~」

 

「では、失礼します」

 

ルナが入ると見慣れない大人が居た。恐らく彼女がシャーレの先生だろうと仮定し、会話を続ける。

 

「ホシノ副会長、先生。はじめまして、雷電部長の忠実な部下にして、生活部副部長を務めています菊池ルナです。単刀直入に言います。傭兵を雇う許可を。雷電先輩を生かす為、ミレニアムサイエンススクールに向かいたいのです」

 

「ミレニアム?」

 

「はい、早瀬ユウカさんの所属する学園です。とある阿呆のおお陰で雷電先輩が現在…そうですね。時間て言えば1週間以内には死亡するので許可下さい」

 

「うそ……ニナのやつ」

 

「えと、許可って」

 

「貴女が来たせいで表だって不良達が動けなく成りました。また、雷電先輩の護衛を依頼しようと考えている傭兵は現在。ゲヘナにより指名手配犯とされています。シャーレの、免罪符をいただきたい。ゲヘナに筋は通します。そして、ホシノ副会長」

 

「仲間のためだから背に腹は代えられない。良いよ、予算は」

 

「ご安心を、ブラックマネーから腐る程出てきます。貴女がイエスと言えばこの借金も消えると言うに」

 

「今は良いでしょ、先生」

 

「雷電は助かるの?」

 

「貴女が変に悩めば終わりです。この書面にサインを」

 

ルナは即座に先生の前に書類を出す。内容は

 

雷電がアビドスに帰還するまでーーーーの身分をシャーレが保証することを誓うーーーー

 

必要なところをご丁寧に記してある。

先生は即座に名前を記入するとルナはそのまま消える。

目的地は生活部の部室だ。雷電から事前に知らされていた電話番号にかける。彼いわく、もっとも信用できる何でも屋とのこと。

 

「はい、此方便利屋68社長陸八魔アルです!」

 

「アビドス高等学校所属生活部副部長菊池ルナです。そうですか、貴女でしたか。お久しぶりです、アル先輩」

 

「ルナちゃん?!なんでアビドスに」

 

「依頼です。前金は3千、成功でもう7千。無論、×万です」

 

「私達は前金は」

 

「雷電いえ…貴女の兄である陸八魔セイ先輩が今生命の危機です。1週間以内にミレニアムサイエンススクールに向かわなければ死にます。いまから向かいますので、相談していて下さい」

 

それだけ告げるとブチンと電話を着る。そして、ボロいバギーに乗りブラックマーケットへと向かった。

 

 

 

 

 

「なっ…なんなのよーーーー!!」

 

「アルちゃんどうしたの?」

 

便利屋68社長の陸八魔アルは涙を流しながら慌てていた。

 

「ムツキ室長!お兄ちゃんが!お兄ちゃんがぁぁぁぁぁぁ」

 

「ちょっと苦しい!苦しいからぉあ?!」

 

「セイがどうかした?」

 

「カヨコ先輩!!!」

 

「誰ですか!アル様を苦しめたのは…私が…私がアル様の」

 

普段の課長呼びではなく、先輩呼びとなり涙を隠していない。

というよりそれにより、カヨコも頭が痛い。ハルカも暴走し始めている。まずい状況だ。

 

「アルちゃん。話してみて」

 

「えぐ……お兄ちゃんが……お兄ちゃんが後1週間で死んじゃうってルナちゃんがぁぁぁぁぁぁ」

 

「え………あの、アル様。セイ先輩がその、死ぬのが想像できないです」

 

ハルカはサイボーグとなった敬愛するアルの兄たるセイにそう言う感想を覚える。アルを探していた挙句、莫大な金額の金銭的支援までしたのだ。

 

「カイザーとやりあったのかな。セイ君なら、あり得る」

 

「そういえば、カヨコ先輩。クラス同じだよね、セイ先輩と」

 

「セイの方が早く退学処分受けたけどね。しかも、ヘイロー無いのに弾幕の中に消えて」

 

「そう…格好良いの!格好良いお兄ちゃん…お兄ちゃんが」

 

「アル様?!」

 

「セイ先輩、生きてるかな?」

 

「生きてますよ」

 

ギョッとしたメンツが見たのは瓶底メガネをかけてアビドスの制服を着ている元後輩。

 

「ルナちゃん!お兄ちゃんが…その」

 

「事実です、カイザーから機密文書を確保する作戦に成功したものの、重傷を負った先輩は修理する間もなく、カタカタヘルメット団と交戦。機甲部隊相手にティーガー1、1台で殿を務め、戦車が破壊されると今度は生身で戦いました」

 

「……アル様のお兄様、聞くたびに恐ろしいです」

 

「ハルカちゃん、アル様ですか……そうですね。私もセイ様いえ、雷電様と呼んだほうが」

 

「そんな事は良いの!お兄ちゃんは」

 

「話した通りです、1週間以内にミレニアムにいる先輩の友人に修復を頼まなければ先輩は死にます」

 

「そんな、なら呼べば」

 

「陸八魔セイですよ?モスト・ウォンテッドですよ?そんな人が相手に選ぶんです!ミレニアムでもブラックリスト入ってるマッドです!」

 

「でも、ゲヘナから」

 

「無論、此方の契約書にサインを」

 

そうしてみせたのは便利屋68を守るための書面。

無論、ルナはサインされた瞬間ばら撒く。そして、便利屋を攻撃した場合、シャーレに攻撃したとなる。

 

「……私は先輩を助けたいんです。お願いです、アル先輩。どうか、見捨てないで下さい」

 

「見捨てるわけ…ないじゃない!私の……私の大切なお兄ちゃんなの!」

 

「ムツキ室長!カヨコ課長!ハルカ社員!アビドスへ行くわよ!」

 

「……ありがとう」

 

ルナは涙を流しながら、便利屋と共にアビドスへと帰還した。

 

「雷電部長、ハンヴィーに乗って下さい!頑張って!」

 

ホワイトブラッド歩く度にホワイトブラッドが垂れながらも、雷電はハンヴィーに向かって歩いていく。

発声器官は既に破損しており、言葉は話せない。

 

「……運転は私がやる。セイは助手席に」

 

カヨコにぎこちない動きで頷き、助手席に入る。

アルはその姿に泣きそうになっている。

 

「私はこのトラックでハンヴィーと共に行きます」

 

「えぇ、わかったわ」

 

「準備完了です!発進してください!」

 

「お兄ちゃん……必ず助けるからね」

 

アビドスの生徒に見送られ、雷電はミレニアムサイエンススクールへと旅立った。

 

 

 

 

 

 

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