7 knights to die   作:道造

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第90話  after that/それから

 

 最後に、決闘裁判に登場した全ての騎士。

 別れの日から現代までの顛末を、わかる範囲で短く記す。

 まずは、黒騎士ヨルダンについて。

 当然だが誰もが知る通りに、イザベラの筆頭家臣となった。

 決闘裁判の一年後にはディートリヒの異母妹であるパウラ嬢を嫁に迎え、子を為している。

 イザベラとヨルダンの理想的な主従関係だが、その子孫にも延々と引き継がれ、なんと三百年もの長きにわたって続いた。

 知っての通り、現代のザクセン王国、いや、その後継国においては貴族制度が廃止されている。

 そこに至る移り変わりの中でも関係は保たれ、貴族制度自体が消え果ててしまう直前、要するに騎士というものが世の中から消えてなくなるまで続いたのだ。

 最終的にだが、もはや我々の恋路を止める垣根などないとイザベラの子孫とヨルダンの子孫が熱烈な恋愛結婚をして、現代でも血を繋いでいる。

 このことをヨルダンが聞けば本懐であると喜ぶのか、それとも我が主君と血を交わすなど恐れ多いことだと怒るのかはわからないが。

 まあ、客観的には喜ぶべきことであろう。

 

 第二試合、剣闘士ヴォルフガングについて。

 決闘相手であったトラクスに誘われて、国盗りを行った。

 トラクスの国盗りは当然のように上手くいき、一年も経たずに終わった。

 最終的にはその功績に対する褒美として、トラクスから良い婿入り先を紹介されて、その地を治めることとなる。

 妻の力を借りながらであるが、良政を敷いていたとの記録が残っている。

 もちろん子孫はその地に残っており、貴族制度が消えた今でも地場産業の社長として名声を為している。

 さて、当然ながら彼を語るならば、王となったトラクスにも触れることになるが。

 これについては最後に回すことにする。

 一番語るべき騎士を語る際に、一纏めにして話す事になるからだ。

 

 第三決闘、処刑人サムソンについて。

 騎士を引退し、貴族であることさえ捨て、市井の青空教室の教師となった。

 貧窮院の子や、どうにも教育機会に恵まれなかった者。

 そういった人々に教育を施し、境遇を改善するために手を差し伸べ、時に自らの財産を切り崩すことも厭わなかった。

 死後は教育の守護聖人に列せられ、現代でも尊ばれている。

 残念ながら、子孫は残っていない。

 よほどに亡き妻と、産まれ落ちることができなかった子を愛していたのだろうと言われている。

 

 その決闘相手の「鉄の手」ベルリヒンゲン卿について。

 サムソンとは対照的に、老いてからの結婚式をした。

 自分よりずいぶんと若い妻を娶り、沢山の子をなした。

 末子の一人だけは農地を継いだが、それ以外の子は誰もが騎士に憧れて王都に上がった。

 誰もが気が荒く、喧嘩っ早く、よく憲兵のお世話になったとか。

 同時に誰もが立派な騎士精神の持ち主であったことが記録に残っている。

 その際に手間をかけて、世話になった下宿先がサムソンの家であり、随分と迷惑をかけてしまったことにベルリヒンゲンは本当に長いお詫びの手紙を書いた。

 その手紙は現在でも、国の重要文化財として保存されている。

 末子の子孫は、元公爵家領の大農家として財を築き、現在でも地元の名士である。

 

 第四試合、陪臣騎士レオンハルトについて。

 辺境伯領に帰り、アッカーマン辺境伯の息子である新領主に忠誠を誓った。

 黒騎士ヨルダン同様、貴族制度が消え果てる寸前まで代々の忠誠は続いた。

 その後の子孫は軍人となり、家系より名高き将官も輩出している。

 レオンハルトについて当時に描かれた絵画は現代でも残っており、あのディートリヒ卿をアトラスのように担ぎ上げているシーンである。

 これもベルリヒンゲン卿の手紙と同じく、重要文化財として保存されている。

 

 その決闘相手の「王国最強騎士」ディートリヒについて。

 これもトラクスと同じく、ある騎士について語る際に纏めて話すことになるだろう。

 ゆえに、今はさておく。

 

 第五試合、開拓騎士エーレンフリートについて。

 自分の開拓地に戻り、その生涯を開拓に費やした。

 その領地は現代でも残っている。

 大変風光明媚で、観光地として有名だ。

 この戯曲を見ている貴方が興味あれば、一度観光に訪れるのもありだろう。

 なお子孫については今でも名士で、現在ではその元領地の市長を務めている。

 

 その決闘相手、「血みどろ」ヴィリーについて。

 彼が死に物狂いで守った家族のその後については誰もが気になるところであろうが。

 やはり、これもとある騎士の人生に大きく関わってくる。

 最後にまとめて語ろう。

 

 第六試合、紋章官ヴェンデルについて。

 その残りの生涯をアルバンという騎士の同行に捧げた。

 残念ながら流行病にかかり、七年後にアルバンの旅が終わるのを見届けると同時に、その腕の中で息絶えてしまった。

 妻子はおらず、子孫もいない。

 しかし、その生涯に後悔などなかったのではないかと思う。

 アルバンは彼について、良き師であり、良き友であり、彼がいなければ自分の大成などなかったと。

 老境での自省録にて触れている。

 

 その決闘相手、「若獅子」アルバンについて。

 言うまでもなく、この騎士については最後に触れる。

 

 第七試合、一代騎士ドミニクについて。

 決闘裁判後、アルミン王太子の最後のお節介により、イザベラの領地にて統治を手伝うが。

 三年後、イザベラと結婚式を行うことになる。

 イザベラの残した日記を読む限りでは、こちらの好意にさっぱり気づかないから、かなり強引に迫ったとのことである。

 最後の最後まで身分の違いを気にしていたが、長年の戦場功績によりザクセン王国から陞爵されることとなったと同時に、婿入りを観念する。

 なかなかの愛妻家であったそうな。

 より詳しいところになると非常に気の強い妻に引っ張られながら、死ぬまで尻に敷かれる生涯を送ったらしいが。

 それも愛の形であり、幸福といえるのではなかろうか。

 先にも述べたが、子孫は貴族制度が消えた際にヨルダンの子孫と恋愛結婚し、今も血を繋いでいる。

 

 さて、短く語るべきところは語り終えた。

 いよいよもって最後に。

 現代では誰もが知るところの、アルバンという男の奇妙で数奇な騎士人生について。

 これを語ることで、この戯曲を終わりとしよう。

 

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