我、呪いの王なり(なんちって)   作:リーグロード

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色んな両面宿儺の作品見て書きたくなった。他の作品の更新を待っている人、若干後悔はしているから許して。




我、呪いの王なり(なんちって)

 オッス!俺は元日本人、現在異世界にて転生者やってます。

 

 っと、簡単な自己紹介はしたものの、現在困ったことになっている。

 

 いや、自己紹介が簡単過ぎて分らんだろうから、まずはそこから説明していくとしようか。

 さっきも言った通り、俺は元は日本に生まれた日本人なのだが、夜道に通り魔に襲われてしまったのだ。

 これでも、漫画の影響で空手をかじっていたので、ナイフを持って脅してきた奴を返り討ちにして拘束したのだが、背後にもう1人の通り魔がいたことに気が付かず、油断して刺されてしまった。

 

 そして気がつくと、この何もない暗闇の空間に漂っていたというわけだ。

 最初は、自分が殺されたのに意識があることに生き残ったのかと思ったが、この現状で俺は異世界転生したのだとテンションが上がった。

 たがそれは一瞬のことで、いくら転生したとはいえ、こんな何もない暗闇の空間に放り出されては、不安も覚えるという物だ。

 

 これが今の俺の現状だな。これからどうしようか分からず、とりあえず脳内イマジナリーフレンドである君らに相談風の現状確認をしていた。

 しかし、俺はこの空間で目も見えぬ状況だというのに、何かモヤモヤしたものを感じ取った。

 それが何のなのかは分からなかったが、俺の持つ漫画知識から、これは魔力とかの部類に該当する不思議エネルギーだと当たりをつけた。

 

 それからは、そのモヤモヤを操作、放出、増大、回転、凝縮と漫画知識での訓練に明け暮れた。

 この暗闇の空間内ではそれぐらいしかやることがなく、そうしておかなければ自我が崩壊しそうなくらい何もなかったのだ。

 

 もう1日が過ぎたのか、1年が過ぎたのか、時間の感覚が曖昧過ぎて、そう考えるのも煩わしくなった頃だ。

 ふいに、この空間が破られる。そんな予感めいた確信が急に湧いた。

 それは正しく、突然目の前の空間に亀裂が走り、徐々にゆっくりとだが、この暗闇の空間に光が差し込み始めた。

 そして、完全に暗闇が晴れて外の景色が見えると、そこにはカオスが広がっていた。

 

「ちっくしょぉぉぉ!!!なんだよこれ!?」

 

「繝槭ユ蠕?※」

 

 高校生ぐらいの男を謎の化け物が殺そうと追い掛けまわしていた。

 まさかの戦闘シーンにいきなり放り込まれるとは思っておらず、さっさと逃げ出そうとしたが、体が全く動かない。

 いや、訂正しよう。体が動かない以前に、体という感覚がなかった。

 どういうことかと視線だけでも動かそうとしたら、なんか俺の体?と思われる物体が映ったのだが、それが紫色の薄気味悪い指だった。

 

 ってかこれ、両面宿儺の指じゃね?ちょっと横を見ると、封印の布らしきものが転がっていた。

 ここで現状把握、俺氏両面宿儺の指に転生。しかし、封印されている為に意識は暗闇の空間に隔離されていた。っで、あの呪霊に追われている男が俺の封印を面白半分で解いたお陰で解放された。

 その結果、俺の呪力に引き寄せられた呪霊に追い回されていると……。

 うん、馬鹿だがよくやった!!あの空間にいつまでも囚われ続けられたらと考えると、あの男の行為はナイスファインプレーと褒めてやりたい。

 

 しかし、俺が両面宿儺の指に転生したという事は、ここは呪術廻戦の世界の筈だが、一話の時点で封印を解いたのはオカルト研の先輩ら2人の筈だ。だが、今ここにはあの見知らぬ男しかいない。

 

 黒髪短髪のいかにもスポーツ系男子ですと言わんばかりの風貌は虎杖っぽいが、そもそも虎杖の髪色は薄茶色だし、目も三白眼なのにアイツは普通の黒目だから違うな。

 

 ここで考えられるのは2つ。原作では登場しなかった敵側が集めた指の回収にこの男が関わっていた。そしてここで殺されて敵の手に指が回収される。

 もう1つは、ここが二次創作の世界で、虎杖ではなくこの男がオリ主である可能性。

 どちらも確証はないが、今そんな事は重要ではない。

 

『おい、小僧。このままでは貴様はその呪霊に喰い殺されるぞ』

 

「え!?誰かいんの!!?」

 

 声を飛ばそうとしたらテレパシーみたいな事が出来た。

 後ついでに、折角両面宿儺に転生したからなりきりで演じてみたいと思って、宿儺エミュでいこうと考えたので、宿儺っぽい話し方で語りかける。

 

『ここだここ!貴様が解いたであろう指が我だ』

 

「指!?ふざけてんのか!?って、言いたいけど、今の現状がふざけ過ぎてんからな!?」

 

 呪霊の攻撃を避けながらこの余裕。もしかしたら、こいつが虎杖かとも思ったが、なんか別人っぽいし違うだろう。

 

『さて、もしお前が生き残りたいのなら、我の言う通りにしろ』

 

「なんで急に出てきた奴の言う通りにしなきゃなんねえんだよ!!」

 

『簡単な話だ。このままだとお前は無惨に死ぬからだ』

 

「っ!!?」

 

 死ぬと言われて一瞬強張ったせいで、今まで躱わせていた呪霊の攻撃が頰に命中した。

 薄らと出来た傷に危機感が強まったのだろう。先程までの反抗的な態度が鳴りを潜め、俺の言葉に耳を傾ける。

 

「それで、どうすればいいんだ!?」

 

『なに、簡単な事だ。我を取り込め、そうすればお前は力を得ることが出来る』

 

「はぁ!?取り込めって、そんなのどうすんだよ!?」

 

『だから簡単な事だと言っただろう。食えばよいのだ、この我を貴様がな』

 

「胡散臭え〜!」

 

『くっくっくっ、そうだろうな。だが、現状はそれ以外に手段はないぞ。力はあっても肉体が無い我と、肉体はあっても力がない貴様。さて、どうする?』

 

「っだあ〜!ちっくしょう!!やってやるよ!!お前を食えばいいんだな!?」

 

 覚悟が決まった小僧は、呪霊の攻撃を捌きながら俺を掴むと、一瞬躊躇したが、そのまま俺を丸呑みにした。

 

「っごく!」

 

 丸呑みにされた俺は再びの暗闇の空間に落とされるが、なんとなしに俺の中のモヤモヤ、いやこれは呪力か。それを広げて空間を覆うように展開する。

 すると──、

 

「こうして肉体の支配権は俺に譲渡される訳か……。くひっ!!」

 

 広がる視界に、久方ぶりに感じる肉体の感覚に高揚感さえ覚えた。

 口で息をする感覚、肌を撫でる風の感触、鼓動する心臓の動き、全てが懐かしくある。

 

 だが、それを喜ぶのは後回しにしていいだろう。

 

「繧ュ繧オ繝槭r谿コ縺」

 

「まあ、そう慌てるな。ちゃんと貴様の相手はしてやる。ほれ、かかってくるがいい。我は避けるなんて無粋な真似はせんからな」

 

 そう軽く挑発してやると、叫び散らかしながら俺に向かって呪霊が襲い掛かってくる。

 生前ならば、こんな化け物が俺を殺しに襲い掛かってこようものなら、恐怖心の1つでも湧くものなのだが、何故か今はそういうものは1つ足りとて湧いてこなかった。

 あるのは封印から解き放たれた解放感と、あの暗闇の空間での修行の成果を試せるという、ワクワク感だけが俺の胸中を占めている。

 

「まずは呪力で肉体を強化できるか試してみようか」

 

 目前に迫る呪霊の攻撃を避けることなく、全身を呪力にて覆い、自分の解釈なりに呪力強化で呪霊の攻撃を受け止める。

 

「ふむ、これはこれは……」

 

 元々の肉体の耐久性が高いのか、それとも俺の呪力による強化が強すぎたのか、呪霊の攻撃は俺に蚊ほどの痛痒も与えずに終わった。

 そして俺は、反撃とばかしに呪力を纏わせた拳を呪霊の顔面に叩き込んだ。

 すると、まるでゴム風船を殴ったような感触と共に、呪霊は大きく吹き飛び、その醜い体のほとんどが崩壊していく。

 

「くははは!試しとはいえ、少し呪力を込め過ぎたか。すまん、許せ」

 

 嗤いながら、俺は崩壊していく呪霊に形ばかりの謝罪をする。

 勿論、悪いなどとはこれっぽっちも思っていないが、こうした挑発の方が宿儺らしいと考えての言葉だ。

 

「さて、これからどうするか。見たところここは廃墟の一室か……。なら、街にでも行くとするか」

 

 そうとなれば、行動は素早く行うに限る。俺は廃墟の窓から外にようと足を動かそうとすると、金縛りにあったかのように体が動かなくなった。

 何が起こったのかと驚愕していると、俺の意思とは関係なしに右腕が動き始めた。

 

「っぐはぁ!!?」

 

 まさかの顔面目掛けての右ストレートとは、虚を突かれたお陰で体の支配権が戻ってしまった。

 

「くぅ~っ、イッテぇ~~~っ!!?」

 

 肉体が元に戻ったから痛覚も本人が受けたのだろう。顔の痛みに涙目になりながら、戻ってきた自分の体にグーパーしながら異常がないかを確かめていた。

 まさか、ただの脇役にもなれないモブAかと思いきや、体質が虎杖悠仁と同じだとは思いもしなかった。

 

「クッソォ~!やっぱりお前、俺を騙してやがったな!?」

 

「くっくっく、騙す?人聞きの悪い言い方をするな。お前は呪力という力を得て、結果として生き残ったではないか。その対価として少々肉体を借り受けようとしただけだ」

 

「何が借り受けるだよ!?俺はそんなこと了承した覚えはねえ!!」

 

 原作のように体の一部分に口を生やし、会話することも出来た。これは少し安堵する。また封印されたままの状態は流石にしんどいからな。

 

 にしても、やはりもう一度肉体の主導権を握ろうとしても、呪力が押し返されるような感覚ばかりで、主導権を取り戻すことは出来ない。

 だが、一点突破のような形でならば一部に俺の口を生やす事ができるので、原作でもこのようにして宿儺は外に出て会話していたのだろう。

 

「しかし、貴様何者だ。我は確かに貴様の体を支配した筈だというのに、右腕だけとはいえ、その支配権を取り戻したうえに、今は支配することが出来ん」

 

「んなの俺に言われたって知るかよ。そもそも、この体は俺のだし、お前が勝手に支配しようとしてんじゃねえよ!」

 

「くははは!!生意気な口を利く小僧だ」

 

 そこらへんはまんま虎杖悠仁とそっくりだな。もしかして、本当に虎杖悠仁か?

 にしては、髪形や色も違うし、声もアニメと全然違うよな?

 

「んで、お前いつまで俺の中にいるわけ?さっさと出て行ってほしいんだけど……」

 

「なんだ貴様、気付いていなかったのか?今の我と貴様は完全に一心同体の身だ。別れるのは不可能に近いぞ?」

 

「はぁ!?噓だろぉ!!!」

 

「くははは!我は欺くことはあっても噓はつかんぞ。我の指を飲み込んだ時点で完全に貴様の肉体に同化したのだ。時に聞くが、貴様は一度食べて消化しきった食い物を元の形で吐き出すことが出来るか?これはそれと一緒だ」

 

「クッソォ~!こんな事になるなら、肝試しなんかするんじゃなかった!!!!」

 

 心のからの後悔の叫び声。しかし、いい悲鳴だな。これを確かなんと言った?ああ、そうだ、愉悦というものか。

 

「くひっ、随分と喧しい小僧だ」

 

「つか、さっきから小僧とか貴様とか、俺には新条真って名前があるんだけど?」

 

 やはり、虎杖悠仁じゃなかったか。にしても、このまま高専へ行くと宿儺(偽物)を宿した新条と、宿儺(本物)を宿した虎杖と鉢合わせする。

 そうなると、宿儺のなりきりプレイしていた俺の精神が死ぬ。ならば、立ち位置は原作を俯瞰する立場が好ましい。

 なら、ここは呪術廻戦らしく騙しあいといくか。

 

「そうか。なら小僧」

 

「いや、お前それしか言えねえの!?」

 

「いいから聞け。貴様は我の封印を解いたその意味を真に理解しているか?」

 

 俺のその言葉に、小僧は急に押し黙る。そして少しの沈黙の後、口を開いた。

 

「あの化け物みたいなのが襲い掛かってくるのか?」

 

「半分正解で、半分不正解だな。確かに、あの化け物、正確には呪霊と呼ばれるものだな。そいつらが我の呪力に惹かれてくるのもあるが、それ以外にも我を封印していた存在。まあ、その子孫だろうが、封印の解けた我、つまり同化した貴様を殺しにやって来るだろうな」

 

「はぁ!?なにそれ!?つまりお前のとばっちりで俺殺されちゃうの?」

 

「くひっ、そうだな。弱い貴様なら囲まれて呆気なくお陀仏だろう」

 

 俺の言葉に、小僧は心底絶望した顔をして頭を抱えて蹲りだした。

 どうやら、俺は愉悦部に入部する才がありそうだ。しかし、今はそれよりもしなければならないことがある。

 

「そこで提案だ」

 

「提案?なんか俺、お前の言うこと聞くの嫌なんだけど……」

 

「くひひひ!まあそう邪険にするな。我としても折角の現世だ。早々に死ぬのは惜しい。そこで、だ。我が貴様を鍛えてやろう」

 

「その代わりに肉体を寄越せとかなら断るからな」

 

「無論だ。なら、契約──縛りといくか」

 

「縛り?」

 

「簡単に説明するなら、呪力を用いた契約だな。これに誓いを立てたのなら、いかなる存在や事情があろうとも、破った際にそれ相応の罰が発生する。故に、双方の約束事をする際は縛りを結ぶのが一般的だ」

 

「ふ~ん、要は指切りげんまんの本格版みたいな感じか?」

 

「くかかかか!些か子供っぽい表現だが、その認識で相違ない」

 

 俺の返答に新条は、う~ん、と唸りながら考え込んでいる。

 安易に信用することが危険だと学習したのだろうが、裏の事情を一切知らないからこそ、断る選択をすることも出来ない。

 さて、どういう回答をするのか見物だが、俺としては高専行きだけは恥ずかしいので縛りを結んで回避して欲しいところだ。

 

「なあ、本当にお前を封印した存在の子孫か?それって俺を殺しにくるの?」

 

「ほぼ確実にな。お前の知識で分かりやすく説明するなら、自然災害級の被害を出す存在を小僧1人の命で消すことが出来るのだ。国を運営する者ならば、国とたった1人の命、どちらを取るか明白であろう」

 

 俺のその説明に、新条は再度頭を抱えて悩み続ける。そして数分後、ようやく決心したのか頭を勢いよく上げた。

 

「よし分かった!その縛りってのを結ぶ!ただし、俺の体を寄越せってのはなしで、俺の周りを傷つけるのもなしだからな!!」

 

「いいだろう。我は貴様を鍛えあげる。その代価としてそうだな……、折角の封印が解けたのだ。この時代の娯楽を対価としよう」

 

 こうして双方の合意の元に縛りは結ばれた。

 ただし、縛りのやり方とかあまり覚えていないし、どうすれば結ばれるかもよく分かっていないので、現状は縛りが発生したのか、ただの口約束なのかは不明だが。

 

「ところでさ、お前の名前ってなんて言うの?」

 

「なんだ貴様、それすら知らなかったのか?まあ、いい。我の封印を解いた礼として教えてやろう」

 

 

 

我が名は両面宿儺。かつての時代にて生きた天災と恐れらし災厄にして、我、呪いの王なり

 

 

 

 ──今この瞬間、本来ならば存在しないこの世界に、呪いの王(なんちゃって)が降臨した。

 

 

 




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