我、呪いの王なり(なんちって)   作:リーグロード

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ここ呪術廻戦じゃなくて、ダンダダンの世界だった……

 あの逃げた怪獣の後を追って泳ぐこと1分くらいか。流石に単純な泳ぎでは泳ぐのに適していそうな怪獣に負けるな。このまま逃げ続けられると見失ってしまうだろう。

 

 だが、仲間と合流したのか、怪獣の動きがこの下の階で止まった。

 意識して探って見れば気配が2つに別れている。

 

 呪術師らしき気配のする2人と一般人らしき気配の奴、そして人間とは思えない気配の連中4人に別れているな。

 ふむ、あの怪獣は人間ではない気配の方に移動したな。

 

 ん……!呪術師らしき気配の連中に怪獣が光線攻撃を撃ったみたいだな。どうやら、本格的に敵対関係のようだが?

 さて、どうするべきか?ここで呪術師連中に恩を売るのも悪くはないが、俺の存在を知られるデメリットがある以上は皆殺しが俺の中で最善なのだが、流石にそうすると新条が肉体の主導権を2度と渡そうとしなくなるだろう。

 

 そもそも、呪術師連中の戦っている謎の連中は何者だ?呪霊でもなければ呪骸でもなさそうだが。

 ふむ、やはりここは虎穴に入らずんば虎子を得ずか……。

 ならば現状、襲われてる方と見られる呪術師連中に手を貸すとするか。

 

 そう結論付けて直接その姿を見てやろうと意気込んで天井から落ちるように登場したのだが、眼下に広がる光景に既視感を覚える。

 

 ん?何か見覚えある顔とシルエットが見えるんだが。

 

「ふむ、これはまた……。珍妙な事態になっているな」

 

 男子1人と女子2人、その3人が着ているのは呪術高専の制服じゃない。あれは、この学校の制服だな。しかし、あのメガネの陰キャにギャルの2人の組み合わせ。

 そして、決定的なのがあの怪獣の近くにいる連中、あれセルポ星人とバルタン星人モドキだよな?

 つまり、この世界は呪術廻戦の世界じゃなくて、ダンダダンの世界だった?

 

 となると、本物の宿儺は存在せず、天敵になり得る最強の五条悟もまた存在しない。

 ……ふむ、つまりこれは。

 

「けひっ!なるほど。そういうことか!!!ならば鏖殺とでもいこうかぁぁぁ!!!」

 

 そう叫び声を上げながら、俺は着水ではなく水の上に着地する。

 ナルトのチャクラによる水上歩行を呪力で真似出来ないかと思って試してみた結果、案外すんなりと出来てしまった。

 

 さて、ここからどうするか。俺の中の不安の種が消えて、つい鏖殺などと原作宿儺になりきって口にしてしまったが、別にそんなつもりはない。

 とはいえ、宇宙人共をこのまま見逃してやるつもりはないし、半殺し程度にボコすか。

 そう思案していると、俺の後ろにいるオカルンとアイラが興味深げに俺に視線を向けている。

 

「ねえ、アレ水の上に浮いてるんじゃなくて立ってるわよね?」

 

「え、ええ、けど人のようですし、セルポ星人の仲間じゃないように、……綾瀬さん?」

 

 2人は水の上に立つ宿儺に興味を示しているが、綾瀬桃だけは宿儺を一目見た瞬間から顔を青褪めて静かに距離を取っている。

 

「オカルンにバカ女。そいつに近づいちゃダメぇ!」

 

 警戒しながら超能力で腕を出現させ、いつでも相手できるように構える桃の様子に、2人も警戒を覚える。

 

「えっ、でも、見る限り人のようですし、セルポ星人の仲間じゃなさそうですが?」

 

「ち、違う!そういう話じゃないの!そいつのオーラ、ターボババアやアクさらなんかよりももっとヤバい!?ドス黒くて絶対に近づいちゃダメの類いの存在だから!!!」

 

「「っ!!?」」

 

 それを聞いて先程までほぼ無警戒に宿儺に近寄りかけていたのを止めて、ゆっくりと宿儺から距離を取る。

 

「ククク!そう警戒するな。貴様らの相手は後でしてやる。今はアレの始末が先だ」

 

 視線に先には水から頭だけ出しているセルポ星人とシャコ星人、そしてその背後に警戒している怪獣がいる。

 

「この虚空に入れているということは、あなたも能力者ですね」

 

「その水の上に立てるのもあなたの能力と見ました」

 

「サンプルが増えて嬉しいです」

 

「「「あなたの精器(バナナ)もください!!!」」」

 

「ケヒヒ!下ネタか?くだらんギャグには少々過激に対応するぞ」

 

 股関からキモくてメカメカしいチ○ポを出すセルポ星人に歪んだ笑みを向けながら、呪力を両手に篭める。

 そんな俺の行動に対し、後ろで悲鳴のような声が上がるが、大方俺の呪力に恐怖でもしたのだろう。明らかに禍々しい俺の呪力は、元一般人の奴らには目の毒だしな。

 

 逆に、セルポ星人らは警戒はしているが、俺の呪力に何の反応もしてこない。まさか、見えていないのか?

 だとするならば、宇宙人は呪力に対して全くの対抗策を持っていないのではないか?だとすれば、今後の話の展開で登場する侵略宇宙人との戦いで大きなアドバンテージになる。

 ならば、ここは術式を使用せず、単純な呪力のみで叩き潰す。

 

「さて、先手はくれてやる。存分に()を楽しませてみよ」

 

「「「いいでしょう!!!」」」

 

 挑発するように人差し指をクイクイと曲げて、かかってこいと誘う。

 そんな俺の挑発にキレたのか、それとも素直に応じたのかは相手のリアクションから判断が難しいが、それでもウルトラマンの光線ポーズによる謎の宇宙技術の技を放ってきた。

 

「っ!!ほぉ、これはなかなか……」

 

 まるで自身の周りの重力が何倍にも増加したような感覚が襲ってきたが、このセルポ星人が3人の時に出してくる技を知っていたので、念の為に()()()()を挑発前にしれっと発動していたから潰されずに済んだ。

 正直、これで宇宙人の謎技術に対抗できるか賭けだったが、結果は成功のようだ。若干、体に重みを感じるがそれでも呪力が充分に宇宙人との戦いに運用出来ると知れたのは僥倖だ。

 もし無理だった場合は水の中に沈んで範囲から逃げれた瞬間に術式ぶっぱで瞬殺決めようと考えていたが、その必要はなかったようだ。

 

「なっ!?我々の3人いればすごいゾーンが通用していない!?」

 

「あの女のヒトの能力で対抗された訳でもないのに!?」

 

「これは少々マズイかもで~す!!」

 

 焦る口調で3人が言葉を交わしているが、其の実、焦りの感情が全然伝わってこない。

 まあ、それも恐らくは水中に沈んだシャコ星人と奴らの背後に構える怪獣の存在を頼りにしているからだろう。

 さてどうするか。このままセルポ星人共々、呪力で吹っ飛ばしてもいいのだが、呪力による防御面も確認しておきたい。

 こういったチュートリアルは序盤でしか行えないからな。試してみたいことが山のようにある。

 

「チキチータ~♪ ユメナイカ~♪」

 

ドゴォン!!!

 

 軽快なリズムの口ずさみが聞こえた途端、足元が爆発したような衝撃が走る。原因は水中でパンチを放ったシャコ星人の一撃だ。

 その威力は凄まじく、爆弾が足元で爆発したのかと錯覚する程だった。

 

「やりました!!敵を1人倒しました!!これでお給料アップで~す!!」

 

 水中から浮上し、バンザイのポーズで喜ぶシャコ星人だが、その後ろではセルポ星人が憤慨している様子だった。

 

「バカ!何をやっているんですか!!せっかくのモルモットが消し炭じゃないですか!!」

 

 セルポ星人の言う通り、シャコ星人が放った一撃で発生した水しぶきが消えると、そこには宿儺の姿が跡形もなくなっていた。

 

「噓!あのシャコ野郎、一撃であのヤバイ野郎を殺したっての!?」

 

「というか、あんなパンチ!僕らも喰らったらタダじゃ済みませんよ!!」

 

「どうすんのよ!綾瀬桃!!あれもあんたの魔力でどうにかできないの!?」

 

 急に現れたヤバイ奴が一撃で木っ端微塵になった事に驚愕する一同だが、1人……否、1匹だけ様子がおかしい奴がいる。

 

「────」

 

 皆が宿儺が消えた事に歓喜あるいは動揺するなか、ネッシーならぬカミッシーだけが宿儺の立っていた場所の天井に視線を送っていた。

 まるでそこに何かがいるかのような仕草に、セルポ星人がカミッシーに声をかける。

 

「どうしましたか?っというかあなた、女のヒトの足止めを依頼したのに、全然出来てないじゃないですか!?」

 

「そうです!給料6割カットしますよ!!」

 

「というか、さっきからどこ見てるんですか?」

 

 セルポ星人の1人がカミッシーの見ている場所を目で追うと、そこは何の変哲もないただの水の天井だった。

 いや違う。カミッシーが見つめるのは更にその先だった。

 

「くくく!随分と吠えてくれるな。一体誰が誰を殺したと……?」

 

 ドパァン!!

 

 天井の水が弾け飛び、そこからかすり傷1つ負っていない宿儺が再び姿を現した。

 

「クヒヒ!あの時の呪霊よりも随分と威力はあるな」

 

 ダメージこそ負ってはいないが、衝撃の威力に押し負けて1つ上の階へ吹き飛ばされるとは。現実では起こりえない事態に少々対応できなかったな。

 だが、これもまた経験だな。お陰で今後はダメージだけでなく、衝撃の威力での吹き飛ばしも考慮するという学びを1つ得れた。

 まったく、次回からはHUNTER×HUNTERの攻防力移動の技術も参考にして戦闘に取り入れねばな。

 

「さて、先手は譲ってやったのだ。今度はこちらの番だな」

 

 ちょうどシャコ星人も水中から顔を出しているのだ。ここは纏めて一網打尽といくか。

 

「くっ!ギグワーカーはもう一度攻撃を!!あなたもそろそろ動き──」

 

「殺しはせんが、精々苦痛に喚け!」

 

ドゴォン!!!

 

 セルポ星人の1人が指示を出す最中、宿儺がおもむろにその場から動くことなく腕を一振りした。それは単純な呪力の放出だが、何も見えていない宇宙人達にとっては不意打ちもいいところ。

 ただそれだけで、宿儺の目の前にいた宇宙人達が全員揃って吹き飛び、向かいの廊下の壁に愉快なオブジェとして貼り付けとなった。

 

「い、一撃……!?」

 

「ヤバイ!ヤバイ!!早くここから逃げなきゃ!!!」

 

 宿儺の実力の一端を垣間見たオカルン達は即座にその場から離れるように泳ぎだす。

 

「どうした?そんなに慌てて逃げ出しよって。まさか、俺から逃げ出せると思っていたのか?」

 

 そんな3人が逃げ出そうとした先に腕を組んでこちらを見下すような姿勢を取った宿儺が待ち構えていた。

 

 これは別に瞬間移動したとかではなく、ただ単純に超スピードによる先回りによるものだ。

 だが、それのスピードを捉えられない3人からしたら、何か能力で瞬間移動したとしか思えないだろう。

 

「くっ!こうなったら自分が……っ!?ごぼごぼ!!!?」

 

 真っ先に殿(しんがり)を果たそうとしたオカルンだったが、ターボババアの力で変身した瞬間、勢いよく沈んでいく。

 

「ぶはっ!ごめんなさい!!ターボババアは泳げません!!!」

 

「はぁ!?何それ、こんな時にオカルン抜きで戦うわけ!?」

 

「問題ありませんわ!高倉様の分まで私がアレのお相手をして差し上げれば良いだけの話ですわ!!」

 

 あ〜、完全に敵認定されてるな。別に争う気は全然無いんだけれど、あんな悪役ムーブかませば、そりゃ味方とは思わんよな。さてどうしたものか?

 もうこうなったら、全力で両面宿儺を演じてみるか。

 

「ほお、俺とやる気か?」

 

「「「っっっ!!!」」」

 

 はい、呪力全力解放での戦意喪失作戦!これで諦めて交渉に挑んでもらえばこちらも穏便に済ますのだが、……無理そうだな。

 

 だって変身出来ないオカルン君が桃ちゃん守るような位置に移動して両手広げてるんだもん。

 しかもなんか「綾瀬さんはこの身に代えても守る!」みたいな発言で赤面させてやがるし。まったく、青春だね。

 あっ、アイラちゃんがラブコメの波動を振りまくオカルンと桃ちゃんに嫉妬して突撃した。

 こんな時に修羅場とか、流石はダンダダンの世界だな。妙に関心しちまうわ……。

 

 っというか、今気が付いたんだが、オカルンの奴服を着ているな?確か原作だとセルポ星人に服を脱がされていたけど、俺があの怪獣と戦っていたから原作改変されたのか?

 なんにしても、このままいつまでも見続けるのもな……。

 

「それで俺はいつまで貴様らの茶番劇を見せられるんだ?」

 

 個人的にはダンダダンも愛読してたし、生でオカルン達のわちゃわちゃを見れたのは大変満足なのだが、今の俺は両面宿儺になりきってるからな。

 流石にこれには一言くらい物申さなければ本物っぽくないだろう。

 

 しかし、この後どうするべきか?マジで俺にとっては戦う理由もないのだが、さりとて見逃す理由もまた無いのも事実。

 いや、主人公達の力を試すという意味では戦う理由としては充分か?

 

「まあよい、退屈凌ぎがてら少し遊んで……ん?」

 

(ストップ!スト〜ップ!!)

 

 頭の中で新条の声が響く。あ〜、どうやら俺が3人を殺そうと勘違いしてるみたいだな。

 まあ、客観的に見てそう思えるような宿儺ムーブしてたから当たり前なのだが。

 まあ、ちょうど良いタイミングか。ここらで新条と入れ替わるとしよう。

 

「あ〜、頭の中で喧しいぞ小僧。交代すればよいのだな、まったく……」

 

「「「???」」」

 

 俺の突然の独り言に警戒する3人を前に目を閉じて静かに佇む。そして中にいる新条と入れ替わることを意識すると、顔に刻まれた入れ墨が消えていく。

 

「よし!もどっぶぼぉ!!?」

 

「「「はぁ?」」」

 

 いきなり雰囲気が変わって入れ墨が無くなったかと思えば、今度は先程まで水の上に立っていたのに、何故か一気に沈んでもがいていた。

 目の前で溺れているので助けた方がいいのか迷っていると、ぶはっ!と浮き上がった。

 

「ゲホッ!ゴホッ!あ~、ちょっと待って!!」

 

 いきなり沈んだことで水を思いっきり口や鼻に入ったのだろう。新条が鼻に入った水を吐き出しているのを待っている間、オカルン達は少しだけ距離を取って様子見をしている。

 

「ねえ、どう思うよ?」

 

「別人になったように思えますが、さっきの感じも合わせてもしかしたらですけど……」

 

「あ~、話し合い中にごめんだけどさ、まずは先に謝らせてもらえる。本当に宿儺がごべぶばばい!!」

 

「「「ええぇ~~!!?」」」

 

 オカルンが正解を口にしようとしたタイミングで、ようやく落ち着いたのか新条がいきなり近づいてきて、頭を下げるような形で水に顔を突っ込んで謝罪する。

 ただし、水の中に顔を突っ込んでしまっているせいで、大半が何言ってんのか理解出来なかったが、一応謝っていることだけはなんとなく理解はした。

 

「ぶはっ!え~、今の謝罪なんだけど、大丈夫そう?」

 

「なにが大丈夫なのかちょっと分かんないですけれども、1つ質問いいですか?」

 

「ん?何でも聞いていいよ。え~っと、メガネ君?」

 

「メガネ君って、僕の名前は高倉健です。まあ、オカルンってあだ名があるんでそっちで呼んでもらって構いませんが」

 

「OK!オカルンね。俺の名前は新条真ってんだ。つか、アイラちゃんは俺のこと知ってるだろ?」

 

「えっと、最初顔に入れ墨入ってたし、雰囲気も全然違ってたから、普通に別人だと……」

 

「え、なにバカ女はこいつのこと知ってんの?」

 

「同じクラスだから当たり前でしょ」

 

 綾瀬の言葉にアイラは馬鹿にしたように答える。そこでまた喧嘩が始まるのだが、すかさずオカルンが綾瀬を、新条がアイラを止めに入る。

 

「え~っと、新条君でしたっけ?」

 

「真でいいぜ、オカルン!」

 

「いえそんな、新条君はその……妖怪とか怪異の類に呪われてたりしますか」

 

「えっと、それは……」

 

「ケヒヒッ!それは貴様もだろ、メガネの小僧」

 

 オカルンの質問に言葉を詰まらせていると、代わりに宿儺が新条の頬に口を出現させて答える。

 それに驚くのはオカルン達だけでなく、新条もまた宿儺の唐突の登場に驚いていた。

 

「ちょっ!?なんで出てきたんだよ!?ってか、一人称変えた?」

 

「喧しいぞ、小僧。既に俺が表に出ている時に会っているのだ、今更な話であろうに。あと一人称の件は放っておけ、少しばかり憂いが無くなっただけだ」

 

 もし原作の宿儺に出会った際に相違点でも作っておこうと一人称を我にしていただけだったしな。ここが原作呪術廻戦でなくダンダダンなら、普段の一人称を俺に変更していても構わないだろう。

 

 にしても、今のタイミングで一人称を変更したこと聞いてくるか普通?

 いやまあ、俺の指食ったり、俺を封印出来る器な時点で普通とはまったくかけ離れているんだが。

 

「えっと、もしかしてそれが新条君に取り憑いてる妖怪ですか?」

 

「おい、メガネの小僧。口には気を付けて発言しろ。俺を妖怪なんぞと同一に見ているのならば、その身に多少は覚悟してもらうぞ?」

 

 宿儺のドスを利かせた脅し文句に3人はゴクリと息を飲む。

 

「だ~か~ら~!そういうのやめろって!!」

 

 新条が黙らせるように頬の口を蚊でも叩き潰すかのように叩くと、今度はその叩いた手の甲に口が出現する。

 

「無駄だ無駄だ。貴様の体を乗っ取れはしなくともこれくらいならば造作もない」

 

「あ~もう!皆ごめんな宿儺の奴が脅かしたみたいでよ……」

 

「あっ、いえ、それにしても新条君って凄いんですね。僕なんかターボババアに呪われた際は全然抵抗出来ずに体を乗っ取られたのに」

 

「いや、そんなことねえよ。つか、俺なんか宿儺が戦ってくれなきゃメッチャ弱いし、全然大したことないって」

 

 尊敬したような眼差しで見つめてくるオカルンの視線にくすぐったそうに照れる新条。

 そんな新条に、今度はアイラが疑問をぶつける。

 

「じゃあ、さっきの怖い状態の新条君って、その宿儺って妖怪?が表に出ていた状態だってことなの?」

 

「小娘、いい加減にしろよ。俺は妖怪なんぞと一緒にするな。俺はかつての古き時代に恐れられし呪いの王、両面宿儺だ」

 

「呪いの王ですか……」

 

 ここで、新条が反応するよりも早く宿儺が答える。それにより、オカルン達3人の視線は先程よりも強く、より畏怖と困惑に満ちたものへと変わる。

 

「なるほど、理解したわ!つまり、いずれ成長した私が呪いによって暴走する新条君を打ち倒し、世界の脅威である呪いの王を退治せよというのが世界が私に課した使命なのね!」

 

「あ~、バカ女の戯言は放っておいていいから」

 

「ああ、うん。最近のアイラちゃんってこんな感じなんだ。ちょっと意外かも……」

 

 アイラの意外な一面にちょっと驚きながらも、普通に受け入れて話を進める。

 

「つかさ、さっきその宿儺って奴が体を乗っ取るなんて言ってたけど、やばそうならウチの婆ちゃんに頼んでお祓いしてもらおうか?」

 

「え?マジで!?俺殺されたりしない?」

 

「しねえって!物騒な事言うなよ!」

 

「いやだって、宿儺がそういう関係者に出会ったら殺されるみたいなこと言ってたし」

 

「そうだな。そこの小娘の婆とやらが俺を封印した者の子孫、あるいは俺の名を知る者ならば充分にその選択肢があるというだけだ」

 

「うっせえな!ウチの婆ちゃんはどんな事情だろうと人は殺さねえよ!!」

 

「クククッ!随分と威勢よく吠えるではないか。先程まで震えて怖がっていたというのに。俺が自由に動けんと知って調子に乗ったか?」

 

「あ~!メッチャムカつくんだけど!!コイツ呪いの王というより悪霊の類だよ!!」

 

 目をキッ!と鋭くして睨み付ける綾瀬の姿に、宿儺はケヒケヒッと愉快そうに笑いを溢す。

 その笑い声に余計に腹を立てているのか、ムキー!っと声を上げて今にも殴りかかりそうになっていた。

 

「ほれ、こっちに気を取られていていいのか?向こうは随分と前から目覚めて準備を終えてるぞ」

 

「「「「えっ!?」」」」

 

 振り返って見れば壁にめり込んでオブジェ状態になっていた宇宙人達がいつの間にか復活しており、股関節部分から生え出た機械で驚異の合体をしてみせていた。

 

「うわ!なにあれ?つか、そもそもの話なんだけど、皆ってアレに襲われてたんだよね?なんで……?」

 

「話せばちょっと長いことになるんですけれども……」

 

「要するに、アイツらは私らの体が目当てで、あんたもそのターゲットにされたわけ!」

 

「噓!?それマジで言ってるわけ!!?」

 

「ええそうです!我々の種族は生殖機能を失いました。ですので、あなた方のように特別な力を持つ人達の精器(バナナ)が欲しいのです」

 

 綾瀬のぶった切ったような説明に驚愕する新条だったが、その直後にこちらの会話を聞いていた合体セルポ星人が新条に目を向けて肯定の答えを口にした。

 それを聞いた新条は思わず自分の股関を手で押さえて身震いする。

 

「別に怖がる必要もないでしょ!さっきあんたが一撃でブッ倒したんだし、今度もまた同じようにやっちゃえばいいじゃん!!」

 

「あ~、それが実は無理っぽいんだよね」

 

「はぁ?」

 

 本気で困ったように頭をかいて答える新条に、綾瀬は意味が分からないと首を傾げる。

 

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