我、呪いの王なり(なんちって)   作:リーグロード

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この小説を久しぶりに更新!また期間空くかもだけど、読んでいってね!!


より実戦的に

 

 宇宙人達による驚異の5体合体による変身に、俺は魅せられていた。

 

 原作にはなかった宇宙人達による5体での合体はロマンがあり、ある種のIFルートへの分岐が宿儺の少年心に火をつけたのだ。

 

(にしても、原作では死んだセルポ星人の2人も加わって3つ首竜みたいになってキモいな……)

 

 現在の合体したセルポ星人は原作の姿にセルポ顔の首が2つ加わった状態だ。

 

 しかし、IFルートへの分岐が可能であるとするのならば、今後原作にはない展開があるということに他ならない。

 しかも、そうなる可能性で一番高いのが、自身の呪物である指の存在。これが今後登場する妖怪や宇宙人の手に落ちた際、オカルン達の難易度が爆上がりし原作崩壊を起こす可能性が十分にある。

 

(なあ、宿儺。なんか相手合体してるし、さっさと代わって倒してくんね?)

 

  心の中で催促してくる新条に、俺は少し考えを巡らせた。

 このまま交代して、俺が代わりにあの合体宇宙人を倒すのはおそらく容易いことだ。

 しかし、それは言うなれば原作主人公たちの戦闘を横取りして経験値を奪うようなもの。今後の展開でも綾瀬桃が機転を利かせて戦うシーンが多く描かれるが、それはオカルンがこれまでの戦いで綾瀬桃の機転の良さを認識しているからこそのチームプレイだった。

 もし俺がそれを邪魔すれば、そのチームプレイに支障をきたしてしまうだろう。

 だったら──、

 

(断る)

 

(はぁ!?何言ってんのお前!?)

 

(ケヒッ!さっき交代したのはお前があのままだと殺されると判断したからだ。今は実力は不明だが、メガネの小僧共もいる。奴らの実力を知るいい機会だからな。存分にぶつかっていけ)

 

(いや、ちょっ!?あんなヤバそうな奴相手にそれはねえだろ!!おい!お~い!!!)

 

 言いたいことを伝え終わると、それっきり新条の声を完全に無視する。

 そして、青ざめた顔でギィギィっと油切れしたロボットのような動きで綾瀬の方を向き、先ほどのやり取りを困った顔で説明する。

 

「え~、っという訳で、宿儺からの助けは期待できません」

 

「なにそれ!相手は宇宙人よ!!?マジで何考えてんのよ、あんたに取り憑いてる奴はぁぁぁ!!!」

 

 癇癪を起したみたいに頭を搔きむしる綾瀬に、新条がメンゴと謝罪する。

 

「どうやら、あの厄介な変身は出来ないようですね」

 

「げっ!ヤバ聞かれてた」

 

 2人の会話がセルポ星人に聞かれていたようで、宿儺に警戒して攻撃を仕掛けてこなかったが、変身がないと分かるや否や、水を首のエラから吸ってレーザー光線の準備に入った。

 

「まずい!えげつない攻撃が来るぞ!!!」

 

 新条の警戒の声のすぐ後に廊下の水を真っ二つにする威力のレーザー光線が放たれる。

 

「「「おわっ!!?」」」

 

 新条の一瞬早い警告のお陰で真っ二つになることはなかったが、その威力に巻き込まれて皆纏めて上の階に吹っ飛ばされた。

 

「あんなの死ぬだろ!!」

 

「ターボババアの力もなしに無理ゲーですよ!!」

 

「まだウェディングドレスも着ずに死ぬなんて嫌ぁぁぁ!!!」

 

 3人が頭を抱えて今のレーザー光線の威力に苛立つように騒ぐ。

 傍から見れば余裕そうに感じる声だが、実際にはそんな余裕なんて欠片もある訳がない。

 

「え〜っと、それで3人に聞きたいんだけど、皆んなで力を合わせればあの変な宇宙人って倒せたりする?」

 

「水の中でなければ、ターボババアの力でどうにかできると思うんですけど……」

 

「超能力もそこまで万能じゃないし……」

 

「私の力では決定打になりませんわ……」

 

 あっ、これちょっとマジでダメっぽそう……。

 

「俺も宿儺が協力してくんねえとパンチとキックしか出来ない雑魚です……」

 

「「「「………………」」」」

 

 数秒の沈黙の後に、皆が顔を合わせて叫びだす。

 

「ちょっ!これマジで絶対絶命のピンチなんじゃねえ!?」

 

「ヤバイですよ!なんなら僕がこの中で一番の足手まといですし!?」

 

「ウチだって超能力で掴めるだけだから……、ごめん!まだオカルンよりはマシだったわ」

 

「ぐふっ!!」

 

「いざとなったら、私が高倉様をお守りしますわ!」

 

 慌てふためく俺達に、合体セルポ星人が再び照準をこちらに合わせるのが視界に入った。

 

「ああ~!しゃあない!!こうなったら、俺がアイツの注意を引き付ける。その間に、なんか作戦でも考えてくれ!!」

 

「あっ、ちょっ!!」

 

 それだけ言い残し、綾瀬が引き止める間もなく、新条が水の中に潜って合体セルポ星人の目の前に出る。

 すると、狙い通り合体セルポ星人は新条の方に顔を向けてレーザー光線の照準を合わせる。

 

「ぐふふふ、あなた方の中で一番厄介なあなたが来てくれたのは、こちらにとって好都合です。あの入れ墨状態になられる前に、あなたを無力化してバナナをいただきます」

 

 その宣言と同時に、合体セルポ星人の手と思われる部分がブレたように見えた瞬間、水越しに凄まじい衝撃が新条を襲った。

 

「っぐぼぉぉぉ!!!」

 

 あまりの衝撃に口から空気が泡となって溢れ、その中には赤い血も混じっていた。内臓のいくつかが損傷した可能性が高い。

 

(しくじった!?遠距離攻撃はレーザーだけだと油断していた!!?)

 

 意識が吹き飛びそうになる中、反省と後悔を繰り返しながら何とか体勢を立て直す。今の自分の役割は、あの宇宙人を倒す作戦を考えつくまでの時間を稼ぐことだ。宿儺があまりにも簡単に圧倒していたせいで、宇宙人の強さも自分の実力も過信してしまっていた。

 

「どうですか?全員合体した我々──いえ、私のパンチの強さは?」

 

(馬鹿かよ、俺は!?宿儺が強くても俺は弱いまんまじゃねえか!!それを忘れて馬鹿正直に真っ正面から行くなんて……)

 

 衝撃で口から大量に漏れた酸素を補給しようと水面を目指して泳ぐ。

 だが、それを合体セルポ星人が許す筈もなく、水面を目指して泳ぐ新条の足に狙いを定めてあのレーザー光線が発射されて貫通──というよりも、爆散レベルで撃ち抜かれる。

 

「っがぼぉ!!?」

 

「おっと、逃がしませんよ。このまま四肢を撃ち抜いて、酸欠で意識を失ったところを捕獲させてもらいます」

 

 足を撃ち抜かれた痛みとショックで、肺に残っていた空気を全て吐き出してしまった。酸素不足も深刻だが、足から流れる大量の血で失血死する可能性も十分にある。

 それを分かっているのかいないのか、合体セルポ星人は再び周囲の水を吸収し、レーザー光線の準備に取り掛かった。宣言通り、新条の四肢を全て撃ち抜くつもりなのだろう。

 

(やべぇ、皆に格好つけて囮役を買って出たってのに、まったく役に立ってねえ。つか、俺このまま死ぬのか……?)

 

 酸欠と失血で意識がぼんやりとしだし、今まで感じなかった死の恐怖が明確に湧き出てきた。

 それは奇しくも、少年院で特級呪霊に殺されかけた虎杖と同じ心境に至った。それがきっかけとなり、薄っすらとだが、新条の拳に呪力が宿る。

 だが、結局はそこまでだ。いくら呪力が宿ろうとも人は酸素がなければ意識を保てず、血がなければまともに動くことは出来ない。

 

「っ、何か嫌な気配を感じました。捕獲はやはり危険。ですので、ここは安全策を取って、殺してからの解剖にするとしましょう」

 

 宿儺から呪力をぶつけられた影響か、新条の拳に宿ったわずかな呪力を感知した合体セルポ星人は、もう片方の足を狙撃するのをやめ、三つの首で同時攻撃を仕掛けて頭部を破壊しようとした。

 このままでは、あと数秒で新条は命を落とす。避けることのできない死の運命だ。ただし、それはこの場に新条一人だけだった場合の話だが。

 

「だっしゃぁぁぁ!!!!」

 

「なにごとですか!?」

 

 気合の入った声とともに綾瀬が超能力で水を割って飛び込んできた。

 新条を最優先していた合体セルポ星人にとっては不意打ちの展開で、発射寸前だったレーザー光線を一旦中断せざるを得なかった。

 

「っかはぁ!」

 

 水が消えたことで溺死寸前だった新条が水を吐きながら空気を吸い、一命を取り留める。

 

「ったく!勝手に1人で突っ走るからそうなんだよ!」

 

「っぐ、ごめっつうぅ──!!」

 

 独断専行した新条を綾瀬が怒鳴りつける。それに対して謝ろうとする新条だったが、脳に酸素が回ったことで鈍っていた痛覚が戻り、撃ち抜かれた足の痛みに言葉を詰まらせる。

 

「だが、よくやったお陰で秘策は思いついた!!!」

 

「一体何を企んで──っ!?」

 

 即座に中断したレーザー光線の対象を新条から綾瀬に切り替えた合体セルポ星人の胴体に長い髪が巻き付く。その髪の出所を探すと、綾瀬の背後にアクさらに変異したアイラがおり、更にその髪の上にターボババアへと変異したオカルンがスタートダッシュの構えを取っていた。

 

「水中で足がつかないから溺れるなら、足がつく道があれば水中だろうが空中だろうが関係ねぇってのはさすがだぜ、桃ちゃん!」

 

「まさか!?お待ちなさい!!」

 

 待てと言われて待つバカはいないとばかりに、オカルンはアクさらの髪を滑走路代わりに使い、綾瀬を一瞬で追い抜いて合体セルポ星人に必殺の頭突きをお見舞いする。

 

「っぐ!なんの……、これしき──!!!」

 

 ここで原作との違いが生まれ、新条を助けるためにシャコパンチを繰り出す前に水を割ったせいで、合体セルポ星人の腕が無事だった為に、正面から突っ込んでくるオカルンの頭突きを防いでしまった。

 さらに、本来ならば合体しなかったはずのセルポ星人2人分の力が加わり、全力のオカルンの頭突きの一撃を何とか受け止めてしまった。

 

「おいおい、嘘だろ。萎えるぜ……」

 

「そうでした。あなた方も十分に警戒する対象であることを忘れていたのは私の失態です。しかし、こうして受け止めてしまえば、後は私たちのものです!我々3人分の高圧縮水流でバラバラに──」

 

おい――

 

 真っ二つにして差し上げようと言いかけたその瞬間、合体セルポ星人の背後から冷徹極まりない声が響いた。

 合体セルポ星人はその声に反応し、オカルンに放つはずだったレーザー光線を反射的にその方向へ発射した。それはきっと取り込んだ戦闘種族、シャコ星人の本能が働いたのだろう。目の前のオカルンよりも背後の何者かの方が危険だと察知したのだ。

 

「ほぉ、さっきまで余裕と油断を履き違えていた愚者にしては、いい反応だと褒めてやろう」

 

 そこにいたのは全身に入れ墨が入った新条、いや、両面宿儺だった。

 そして驚くべきことに、彼は右手を突き出したまま佇んでおり、合体セルポ星人が放った3人分による極大レーザー光線を片手で受け止めていたのだ。

 

(実際には、(カイ)によって高圧縮水流を直前で切り裂いただけで、片手で受け止め切った風に見せたのはブラフだがな)

 

「馬鹿な!?あなたはもうその姿に変身出来ない筈では……!?それに、さっき私が撃ち抜いた足も元に戻って──!?」

 

「敵の言うことをまんまと鵜吞みにしたか?馬鹿め、するもしないも俺の自由だ……。それと足のことなら、そうだな……、まあ治した」

 

 せせら笑うように宿儺は合体セルポ星人を見下す。

 

 同時に、綾瀬の超能力で作られた水の中の空白地帯が元の水中に戻る。

 

「もう無理!これ以上は水を押し留められないから!!!」

 

 息を荒らげながら綾瀬が水上でそう叫ぶ。

 それを聞いて転機と感じたか、合体セルポ星人は即座に水の中に潜り、宿儺と対面する。

 

「──っ、例えあなたが再度変身出来たとしても、依然として有利なのはこちらの方です!!こちらは何時間でも水の中で活動出来ますが、あなたはどうですかね?」

 

 見え透いた挑発か、それとも自分を奮い立たせるための虚勢か。

 いずれにせよ、宿儺にとっては大した問題ではない。その挑発に応じるように、人差し指を曲げて挑発し返す。

 

「っ!!馬鹿正直にあなたには近づきません!!次こそ確実に切断できるよう、さらに圧縮した水流で殺して差し上げます!!!!」

 

 挑発を受けた合体セルポ星人はさらに距離を取り、3つの首から大量の水をチャージする。

 その間、宿儺はただ水中で何もせず、楽しむように目の前で攻撃準備を進める合体セルポ星人を見守っている。

 

「何もしない?それは余裕ですか?それとも油断ですか?どちらにせよ、水中ではヒトは地上より素早く動けない!!これで大人しく死んでください!!!」

 

「「「っっっ!!?」」」

 

 3つの首を合わせ、高圧縮水流を1つに束ねて光線へと昇華させた。

 その速度はこれまでのレーザー光線よりも速く、事の成り行きを見守っていた綾瀬、アイラ、オカルンは驚愕し、宿儺の死を予感した。

 

はぁ……?

 

 だがそれは杞憂に終わり、攻撃した筈の合体セルポ星人の方が逆に真っ二つに両断されたのだった。

 虚空を作り出していたセルポ星人が死んだお陰で水に変わった校舎は元に戻り、いつもの廊下の上に4人は立っていた。

 

「冥土の土産だ。宇宙人にあるかどうかは知らんが、その魂に刻んでおけ。これが呪術全盛の平安時代において、呪いの頂点に立った呪いの王の力だ!!」

 




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