迷い家の少女   作:ウルハーツ

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マダム・ヘルタ

 宇宙ステーション『ヘルタ』へやって来た。予め約束していたので、時間になったと同時にヘルタ人形が迎えに来てくれた。でも中に本人の意識は無かったみたいで、話し掛けても全く答えてくれなかった。そのまま向かう先はヘルタの部屋。模擬宇宙へ入る為にやって来たのだから、当然の事。

 

「入って」

 

「今日は、誰かと一緒?」

 

「行けば分かるよ」

 

 最初から用意されていた様な返答。この前は銀狼の手引きでサムが一緒に来てくれたけど、今回そんな話は全く聞いていない。不安に思いながらも、ヘルタの言う通りに模擬宇宙へ入る準備をする。待つのをヘルタは嫌うから、言われた言葉を信じて。

 

 

 模擬宇宙へ入った。今まで見て来た光景は写真で見た事がある場所だったり、ヤリーロ-VIや『ヘルタ』の中にある通路だった。だけど見える様になった場所は、入った場所と全く変わらないヘルタの部屋だった。

 

「?」

 

「進んで」

 

「……まだ、入ってない」

 

「違うよ。ここはもう模擬宇宙。良いから、部屋を出て」

 

 中へ入る前に立っていた場所に、全く変わらない様子でヘルタ人形は立っていた。模擬宇宙に入るのを失敗したんだと最初は思ったけれど、どうやら違うらしい。ここはヘルタの部屋だけど、模擬宇宙の中に出来た部屋って事? とにかくさっきと同じ様に、私は言われた通りに部屋を出る。

 

「えっ……」

 

 開いた瞬間、ある筈の『ヘルタ』主制御部分がそこには無かった。代わりにあるのはピノコニーの様な雰囲気の場所。だけど沢山の席が扇状に広がっていて、その殆どにヘルタの人形が座っている。私の知るいつものヘルタ人形も居れば、明らかに造形の違うのも。その全て元が同じなのは何となく分かる。思えば、私の知るヘルタの人形もどこかに居るであろう本人を模したモノだった筈。そもそも私は本人を知らないんだった。

 

「!」

 

『ヘルタ! ヘルタ!』

 

 扇状に広がるその席は観客席の様で、それなら当然舞台がある。そしてそこに掛かっていたカーテンが左右へ広がると同時に、ゆっくりと降りて来る人が居た。ヘルタ人形と同じ様で少し違う服装をした女の人。ヘルタ人形の雰囲気は子供の様だけど、その人は大人の女性。

 

「お忙しくも無い中、よく来たね。今日の主役は貴女と私」

 

『ヘルタ! ヘルタ!』

 

「そして沢山の観客()。さぁ、貴女も舞台に上がって」

 

「!」

 

 急に沢山のヘルタ人形に囲まれる。あそこに立っているのが誰なのか、分からない方が無理がある。声だって少し雰囲気は違うけど似ているし、何よりヘルタ人形が成長したらあんな感じになるんだと思うから。確かヘルタ人形は本人の過去に8割くらいは似ているらしい。

 

 ヘルタ人形の一人に捕まれる。何か怖くて手を引っ込めれば、驚いた様子の後に睨みつけられて……一斉に人形たちが飛び掛かって来た。何をされるか分からないのはやっぱり怖い。だから私はその波から飛び出して、扇状に広がる席を走り抜ける。

 

「ふふっ」

 

『捕まえて!』

 

『逃げないで!』

 

『ヘルタの元へ!』

 

 まるで映画の様に、私は不思議な感覚のままに観客席を駆け抜ける。こうなる事すら予期されていたみたいに。襲い掛かるヘルタ人形の群れを駆け抜けながら、椅子の背もたれに足を乗せて大きく飛んだ。このまま逃げていて埒が明かない。多分捕まったら中央の舞台へ連れていかれるとは分かっているけど、この際行ってみるしかない。

 

『それっ!』

 

「っ!」

 

 飛んだ私を捕まえようと飛び掛かって来たのは、等身すら違うヘルタ人形。何かのアニメみたいにずんぐりむっくりな見た目のそれが目の前に現れたので、その身体を支えに足を乗せてもう一度空へと飛び出す。向かう先は舞台の中央。間違いない、私の身体能力がおかしいくらいに上がっている。

 

「なんで逃げたの?」

 

「捕まるのは、嫌だから。……ヘルタ」

 

「そう。まぁ、結果が同じなら良いか」

 

 そう言って杖を取り出して私を見てくる。どうして戦う必要があるのか分からないけど、それを望んでいるのなら仕方ない。今の私なら少しはマシに戦えると信じて、薙刀にした武器を構える。

 

「理由は聞かない。それが望みなら、答える」

 

「いいよ、潔い。分かってるね」

 

 さっきまで私を追いかけていたヘルタの人形達が突然、一斉に手を繋いで舞台の周りを囲み始める。逃がさないって意志は伝わって来る。私が改めてヘルタに向き直ると、少し笑ってから杖をこっちへ向けた。途端に放たれたそれを間一髪で避ける。

 

「っ!」

 

 今避けられたのも身体能力が上がっているからだと思う。普段の私が避けられるとは思えない。身体を逸らした勢いのまま駆け出すと、今度はこっちの番とヘルタへ攻撃を仕掛けたけど、軽やかに交わされてしまう。速度も力もちゃんと出てはいる。だけど私自身が追いつけていない。

 

「ほら、よそ見厳禁」

 

「!?」

 

 また飛んできた光を避けた時、空から光が降って来るのを刀身で受け止めた。凄い衝撃だったけど、耐えられる。

 

「ふぅん。速度、防御力は○。ステータスには無いけど、判断力も○だね」

 

「何の話?」

 

「いいから、続けて。掛かって来て」

 

 私の何かを調べているのは間違いない。なら言われた通りに、私はヘルタへ向かってもう一度駆け出す。私が扱える能力は私に効果を及ぼさないから、一人で戦うとなったら使えるのはこの身体だけ。誰かを頼りに出来ない時、自分の身を自分で守れる様にならないといけない。

 

「えっ……」

 

「攻撃力は×。弱すぎ」

 

 避けようとしないヘルタへ本気を出して振るった薙刀の刃。でもそれはヘルタの指二本に挟まれるだけで止められた。押しても引いてもビクともしない。さっきまでは面白そうに何かを記していたヘルタも、面白くなさそうにそう言って……私は薙刀ごと持ち上げられる。

 

「はい、捕まえて」

 

 周りを囲むヘルタ人形とは別のが現れて、私はそのまま捕まってしまった。薙刀が床へ落とされて、丁寧に両手両足をガッシリと掴む四体のヘルタ人形。自由に動かせなくなった身体を強引に動かそうとするけど、無理そう。

 

 目の前に居たヘルタがゆっくりと近づいてくる。戦う状況に無くなってから改めて見た、本物のヘルタ。ヘルタ人形が大きくなったと言えばその通りだけど、背は高いし綺麗だとか可愛いだとか何を言っても似合うと思う。そんなヘルタが私の前へ立って、顎を持ち上げて来る。ジッと見つめて来るその目に吸い込まれそうな錯覚を覚えて、怖くなった。

 

「目を逸らさない。……特に変化無しね」

 

「何が、したいの?」

 

「この前は貴女の扱える力を調べたでしょ。だから今回は純粋な身体能力のテスト」

 

「いつものじゃ、駄目だったの?」

 

「それだと正確な結果が割り出せないから。ルアン・メェイの作った身体を調べるのに、模擬宇宙のエネミーは足りない。手加減もしてくれないから、一人で行かせたら貴女は秒でやられるね」

 

「それで……本物?」

 

 目を逸らしたら怒られたので、改めて見つめ合いながら話をする。やっぱり今の戦いは私の能力とは別の力を調べるため。だけどここに居た時の身体能力は私の知る以上だった。それは参考にして良いものなのか分からない。

 

「今の私は、私じゃない」

 

「そうね。だけど未来の貴女なのは間違いないよ」

 

「どういう事?」

 

「ちょっと前に開拓者のお蔭で力を手に入れて、その後に星核ハンターと模擬宇宙に入って戦闘。でも、それだけで強くなれる訳ないよ。当然でしょ?」

 

 それは、その通りだと思う。私に能力が扱える様になったからと言って、今まで戦ってきた訳じゃない。ちょっと誰かの役に立つかもしれない能力と武器を手に入れただけで、私自身の身体能力は何も上がっていないから。武器とスキルを身に着けただけで、私自身はLv.1みたいなもの。だとすれば、今さっき動けていた私の能力はLv.を上げた未来の私だったのかもしれない。

 

「こんなモノかな」

 

「終わり?」

 

「えぇ。模擬宇宙も出ていいよ。あぁ、それと戻ったら私からプレゼントがあるから」

 

 それを言われると同時に視界が歪み始める。模擬宇宙を出る時と同じ現象。そのまま意識が一瞬飛んで、目覚めたら『ヘルタ』にあるヘルタの部屋に居た。入った時と同じ様に立っているヘルタ人形。だけどその手にはさっきまで無かったモノがあった。

 

「はい、これ」

 

「? チケット……?」

 

 私の知るチケットは三種類だけ。銀と千切れる部分が黒のチケット。金と千切れる部分が赤のチケット。そして私の居る家へ行ける様になる、黒と千切れる部分が青のチケット。だけど渡されたそれは、今あげた三種類のどれでも無い。まず全体が緑色で、何より違うのが千切れる部分が存在しない事。一度使ってもまた使えるチケット? 何か書いてある。……『ヘルタのフリーパス』?

 

「それを貴女の家にある玄関で使えば、私の宇宙船に来れるから。来る時はお菓子を持ってきて」

 

「……」

 

「あぁ、言っておくけど貴女しか使えない様になってるから。それともし他の誰かを連れて来よう、なんて事したら、その誰かは宇宙のゴミになるよ」

 

「……お菓子、食べたかった?」

 

「…………」

 

「ヘルタ?」

 

「…………」

 

 応答してくれなくなった。話が本当なら、私は本物のヘルタが居る場所へ招待されているって事だと思う。何度か人形越しに話をする事はあったけど、偶に話で出るお菓子には興味があったみたい。ヘルタ人形は食べられないから、この際私に持って来させようって考えたのかも。

 

 ヘルタに会いたい人はきっと沢山居る。だけどヘルタは興味を持った人以外はどうでも良いって人だから、その雑踏と雑音が我慢出来なくなった。そして自分の宇宙船で何処かへ行ってしまって、いつも独りで生活しているってアスターに聞いた。本人が『ヘルタ』へ来る事も殆ど無くて、実在するかを怪しむ人も居るくらいには人前へ出て来ない人だって。

 

「……分かった。お菓子、持っていく」

 

「フルーツタルトでよろしく」

 

 返答してくれないだろうと思いながら、答えた言葉。それにヘルタ人形は一瞬だけ繋がって、そう告げてからまた即座に接続を切る。フルーツタルト、ルアン・メェイにお礼のつもりで作った力作だった。確かあの後、ヘルタ人形が待っていた覚えがある。気にしていたらしい。

 

 

 

 

 後日、私は朝からヘルタの元へ持っていくためのフルーツタルトを作り始めた。銀狼とホタルに今日の予定を聞かれて『ヘルタに会いに行く』と言ったら凄く驚かれた。予め今日に行くとヘルタ本人には伝えてある。銀狼は出掛けるその時まで反対気味だったけど、約束したから今回はヘルタ優先。面白くないって感じだったから、今度銀狼にも作ってあげよう。

 

「よし」

 

 お昼を迎えるよりも前に無事出来上がったフルーツタルトを箱に入れる。出掛ける準備も万端。今日の服装はいつも着ているのから変えて、アスターが用意してくれた服の一種類。ヘルタ人形と凄く似た御揃いの服で。人形の服はきっとヘルタが決めているから、多分こんな色合いが好きなんだと思う。

 

 箱を手に玄関へ向かう。どれくらいで帰る事になるか分からないから、ゲームの端末とスマホも持っていこう。貰った『ヘルタのフリーパス』を玄関の前で掲げると、今までと同じ様に扉の向こうが変わり始める。普段は真っ白に光っているけど、今回は仕様が違うみたいで黒に近い紫。宇宙みたいな光景が向こう側に広がっているのが見えた。多分これは見た目だけで、入ったらちゃんとヘルタの居る場所に繋がっていると思う。

 

「っ!」

 

 今まで新しい場所へは開拓者に迎えに来てもらってから行っていた。でも今回は一人で行った事の無い場所へ行くから、少し緊張しながら壁の向こうへ足を踏み入れる。景色が一気に変わって、気が付いたら全く知らない場所。

 

 

 私の後ろは玄関でも無ければ窓や外に繋がりそうな場所でも無かった。大きな紫色に輝く球体があって、私はそこから入って来たんだと思う。周りを見渡せば、薄暗い部屋に本、本、本。積み上がっている本の間には何かの資料も沢山挟まっていて、如何にも学者の部屋って感じの場所。あ、ヘルタ人形もちゃんと居る。しかも複数体が一斉に本を抱えながら動いている。

 

 ヘルタ本人は別の部屋かもしれない。動いているヘルタ人形は機械的に作業をしているみたいで、話し掛けても一切反応してくれない。邪魔にならない様に気を付けながら、本物のヘルタを探す為に私は移動してみる事にした。

 

 本棚ばかりの部屋。お風呂場。寝室にキッチン。……キッチンはちょっと汚れてる。使ってはいるみたいだから、ヘルタは料理をするのかも。人形に作らせている場合もありそうだけど、今は置いておこう。まだ入ってない場所は沢山ある。

 

「?」

 

 

――――――――――

 

『まだ来ないの? もう時間は過ぎてるよ』

 

『今、居る。場所が分からない』

 

『……』

『分かった。迎えに行かせるから、勝手に動かないで』

 

――――――――――

 

 

 ヘルタからメッセージが来た。約束の時間は当に過ぎてしまっていたから、心配させてしまったかもしれない。スマホをしまうと同時にヘルタ人形の一人がこっちを見る。作業をしていない、壁に立っていただけの人形が私に近づいてくると、何も言わずに手を掴んで来た。ちょっと怖いけど、多分連れていかれた先にヘルタは居るんだと思う。だから、抵抗はしない。

 

 また忙しく動いているヘルタ人形の間を通って、辿り着いたのは一際大きな扉。執務室なのか実験室なのか、とにかくこの先にヘルタは居るらしい。私を連れて来た人形も扉の前で道を開ける様にして止まってしまった。私は意を決して扉をノックする。

 

『入って』

 

 中から聞こえて来るヘルタの声は扉越しでも分かる、あの時模擬宇宙の中で聞いた少し大人びた声だった。言われた通りに扉を開ければ、中には机の上で本を捲りながら顔を向け、目だけを上目遣いの様に見上げてこっちを見て来るヘルタが居る。

 

「勝手に行動して迷子にならないで」

 

「ごめん」

 

「それと、その服は何?」

 

「御揃い。アスター先輩が、くれた」

 

「はぁ……。それで、お菓子はちゃんと持ってきたの?」

 

「ん。これ」

 

 私が言われた言葉に箱を見せた瞬間、さっきまで私を連れて来てくれていたヘルタ人形が横を通りながらそれを奪う様に取ってヘルタの元へと運ぶ。そして机の上へそれが置かれたら、ヘルタが箱を開けて中を確認する。ルアン・メェイへあげたのと殆ど同じだけど、強いて違いを上げるならお菓子を作る熟練度的なモノがあの頃より高いと思う。

 

「切って。貴女はこっち」

 

「えっ……っ!?」

 

 ヘルタ人形へ切る様に告げてから、ヘルタは指を鳴らす。途端に私の膝裏を押す様にして背後から椅子が近づいてくる。強制的に座らされると同時に椅子はそのまま動いてヘルタの傍へ。机の上に並んでいた資料の様な物もまるで魔法の様に動いて、整理整頓される。凄い。

 

 切られて六等分くらいにされた三角形のフルーツタルトがフォークと共にお皿へ乗せられて運ばれて来る。数は勿論私とヘルタの二人分。ヘルタは読んでいた本をそのまま捲りながら、フルーツタルトを一口分削って口へと運んだ。その動作は他の事をしているから行儀が良いとは言えないのに、とても綺麗に見えた。ヘルタの口に合うのか、少し緊張しながら感想を待つ。

 

「…………」

 

「何見てるの?」

 

「感想」

 

「必要?」

 

「口に合ったか、気になる」

 

 凄く面倒と言いたげな顔でヘルタは私を見て来る。それでも何度か口に運びながら、何も言わないヘルタに私はジッと見続ける事にした。やがて観念した様にため息をついてから、ヘルタが最後の一口を食べる。

 

「悪くないんじゃない?」

 

「……それだけ?」

 

「私の感想に意味があるの? 一流のパティシエですらない、家庭料理の域を決して出る事は無いのに」

 

「意味はある。ヘルタが美味しいと思える様に、また作るから」

 

「…………もう少し、甘い方が良いよ」

 

「ん、分かった」

 

 人の好みはそれぞれだから。またヘルタの元へこうやって持って来る時に、少しでも美味しいものを持って来たいと思うのはおかしい事じゃ無いと思う。少なくとも今日作った物より、次はもっと甘くしようとは思えたから、意味はちゃんとある。

 

「貴女、何を作れるの?」

 

「お菓子なら、色々勉強した。和菓子も洋菓子も。料理も、頑張ってるつもり」

 

「それは銀狼(小娘)のため?」

 

「ん、ホタルも居る。だから、家族のため」

 

「そう。それじゃあ、今日からよろしく」

 

「? どういう事?」

 

「あのフリーパス、片道でも使ったら三日は使えなくなるから。三日間は帰れないよ」

 

「……え?」

 

「ここは簡単には来れない場所なの。当然でしょ? だから三日間、そのつもりで居て」

 

 ヘルタやルアン・メェイの事を皆は天才だって言う。そうだと私も思うけど、天才だからって突拍子もない事をしたりするところを私はまだ見た事が無かった。分からない事でも、その全てにはちゃんと意味があって、理由があると感じていたから。でも今日、私は初めてその天才に振り回される事になった。三日間帰れなくなるなんて聞いてない。ここが何処かも分からない以上、その期間帰れないんだったら私にはどうしようもない。

 

 

――――――――――

 

『ごめん。三日間、帰れない』

 

『えっ、何かあったの?』

 

『ヘルタのところ。すぐには帰れないって』

 

『今こそ、伝説を打ち破る時かもしれない』

 

『なんの話?』

 

『ヘルタ本人の居る場所を突き止めた人はまだ居ない。必ず見つけ出してみせる』

 

『危ない目に遭ったりはしてない?』

 

『大丈夫。帰れないだけ』

 

――――――――――

 

 二人に帰れない事を伝える。銀狼はここを見つけ出すつもりみたいだけど、ヘルタにそれを伝えたら小馬鹿にする様に鼻で笑った。

 

「小娘がここを見つける? ゲームと現実の区別がついてないのね。無理だよ」

 

 銀狼には悪いけど、私もここを見つけるのは無理な気がする。相手が悪いというより、強すぎるから。三日間は帰れない事を覚悟するしかない。




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