迷い家の少女   作:ウルハーツ

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ヘルタ:5 - 開拓者:9(恋人体験)

 ヘルタのところへ行くのは正直不安が大きかった。前回会ったあの日、私は半ば無理矢理初めてキスを彼女に経験させられたから。だけど行かない訳にはいかない。ヘルタは私に定期的な試験と称した訓練をしてくれるから。私が強くなる為に、その期間と場所を用意してくれるから。

 

 宇宙ステーション『ヘルタ』でヘルタのオフィスに入った時、そこに本人は居なかった。彼女の意識が接続された人形はそこに居たけれど、本人が居ないと知って私は正直少しだけ安心してしまった。あんな事をしてきた後なのに、ヘルタの様子はいつもと変わらない。当たり前の様に模擬宇宙へ入る様に言われて、私は試練を開始する。

 

「今日は特殊な挑戦もしてもらうから」

 

「?」

 

 意識が中へ入る瞬間、色々考えていた時に不意を突く様な流れでそんな事を言われる。特殊な訓練って、何?

 

 

 今日はヘルタの宇宙船専用給仕服でミニガンを抱えながら戦闘を進めていく。もう一つの戦い方の場合、どうしても前に出てくれる人が居ないと時間が掛かってしまうから。攻撃はどうしたってされてしまうけど、何とか重いミニガン(これ)を持ちながら回避するのにも慣れて来た。

 

『あー、あー、聞こえる?』

 

「ヘルタ?」

 

『次の場所は左の亀裂に入って』

 

「左?」

 

 基本的に戦う練習が主だったから、赤い亀裂に入る事が多かった。ヘルタもそれは分かっていたと思う。だけど言われて見える左側の亀裂は明らかに青い。緑なら安全地帯の筈だけど、この場合特殊な場所だった気がする。特殊な挑戦、きっとこの先にそれがある。

 

 亀裂に入る。見えて来る様になった景色は、ヤリーロ-VIにある鉱山の広場みたいな場所。そしてそこにズラッと並んだヘルタの人形達。一体を除いて殆どが見た目そのままに一回り以上小さい気がする。動いては居ないみたいだけど、十体以上は居ると思う。近づいてみても反応はなくて、でも次に進むための亀裂はまだどこにもない。

 

「来たね」

 

「ヘルタ」

 

「今から貴女にしてもらうのは、特殊な鬼ごっこだよ。ただし鬼はここに居る私全員」

 

 一番前に居た唯一いつもと同じサイズのヘルタが話し始めて、それと同時に他の全てが明らかに起動した。ヘルタの意志があるのはこの一体だけみたいだけど、動かすの自体はきっと彼女にとって大した労力じゃない。

 

「ルールは簡単。時間内、抗って。攻撃はしても良いし、別に捕まっても良いよ。だけど貴女が戦闘不能状態になった時点で終了だから」

 

 捕まっても良い鬼ごっこ? それは鬼ごっこと言えるのか分からないけど、今から襲い掛かって来るヘルタ達と戦い続ける必要があるのは確か。捕まえに来るって事は、戦闘中に壊すか無力化しないとデバフを付与してくるって感じの解釈で良いと思う。それが私の抱えられる最大までいったら、負け。一体に捕まってもこの大きさだったら無理矢理動けそうだけど、それでも四体くらいが限界だと思う。

 

「それじゃあ、始めるよ。3……2……1……スタート」

 

「っ!」

 

 一斉に動き出したヘルタの小さい人形。私の前にまずは五体が並んで、その全てが武器を持っていない。だけど徐々に近づいて来る様に足を進めていて、私はミニガンの撃ち出す準備を始める。感覚なら辿り着かれるまで三ターンくらい。それまでに無力化して行かないと。倒してもこの数だと三ウェーブくらいはありそう。

 

 装填するのに大体一ターンくらいの時間が掛かった。だけど攻撃する準備は完了したから、私はミニガンで後ろに下がりながら攻撃を始める。一体、また一体と破壊していくけど、最後の一体が間に合いそうにない。下がる程に近づいてくる足が速くなっている気がする。

 

「!?」

 

 まだ少しだけ距離があると油断していた。突然目の前の小さいヘルタが飛び出してきて、私の足にしがみ付いてくる。ミニガン本体で叩いても剥がれず、まるでコアラみたいに私の片足にくっついてしまった。重さはあるけど、動かしは出来る。でも速度は明らかに落ちてしまう。

 

「くっ……次」

 

 捕まってしまった事を悔やんでる場合じゃない。また次の五体が私に向って今度は扇状に近づいてくる。弾幕を張って牽制は出来るかもしれないけど、倒せないと余り意味が無い。後ろに下がるにしても足がいつもより重い上に、いずれ壁に背中が当たる。正直、不味い。

 

「またっ! うぅ」

 

 もう片方の足に、そして後ろ腰に小さいヘルタが張り付いた。三体に組み付かれると、真面に動けない。最後のデバフを与えられたら終了だと思っていたけど、三体で殆ど詰み状態に近いかもしれない。また次の五体が近づいてくるのが見える。これが最後だとは思うけれど、全て止められるとは思えない。

 

「それ、でもっ!」

 

 抗わない訳にはいかない。どんな目的でこんな挑戦を考えたのか分からないけど、何があっても諦める事がヘルタの望む行為じゃないって事だけは確か。

 

 重さで狙いが定まらない中で、二体まで無力化する事は出来た。だけど三体のヘルタが張り付いて来て、もう立っても居られない。結果は六体のヘルタに捕まってしまった。鬼ごっこだから逃げる選択肢は確かにあった筈だけど、ミニガンを持っていると流石に厳しい。誰かと一緒の時に補助へ回る時なら、まだ可能性があるかもしれない。

 

「ふぅん。駄目だね、ランクB」

 

「最大、は?」

 

「Sだよ。八体(半分以上)に捕まったらC。三体くらいでA。一人にも捕まらなければS」

 

 普通のヘルタが近づいてくる。組み付かれているせいで倒れる事も出来ず、動けないまま立つだけの私に。言葉通りならかなり低い評価。その通りだと思う。こんな状態で評価が高い訳ないから。

 

「……」

 

「ヘル、タ?」

 

 重くて動けないのはかなり苦しい。私にくっ付いたまま動かない小さなヘルタ達はそうやって固定されたまま動かなくなっていて、剥がすのも難しそう。挑戦が終わったのなら、早くこれを解いて欲しい。そう思っていると、目の前のヘルタが更に近づいてくる。

 

「B評価の報酬をあげる」

 

「ここ、で? んぶっ!?」

 

 至近距離にまで迫ったヘルタに、私はなすすべもなくキスされた。人形の筈なのに人肌の暖かさを持っていて、入って来る舌に口の中が舐め回されると体中にゾクゾクっとした感覚が走る。倒れる事も出来ず、ヘルタが終わってくれるその時まで私はされるがまま何も出来ない。

 

「ぅ、ぁ……」

 

「C.B評価だと人形でご褒美をあげる。頑張ってA.S評価を取れたら、直接してあげる。豪華な報酬でしょ?」

 

 初めてされた時、意識を失う寸前にヘルタが言っていた言葉を思い出した。これからはキスを報酬としてあげるって、そう言っていた事を。これが、そうなんだ。

 

 キスをされると力が抜けてしまう。もう体に付いたヘルタが支えになってるだけで、私の力では立っているとは言えない状態。初めてされて弱いって言われてから、これまでの間に何回かキスを経験したけど、これに関しては強くなれる気が全くしない。そもそも、ヘルタにされてからがおかしいんだと思う。銀狼とするしないって話があったのに、何でこんなに沢山しているんだろう。

 

「ヘルタの、せい……」

 

「何が?」

 

「キス、されると……おかしくなる。頭、ボーっとして……」

 

「それで?」

 

「責任、とって」

 

「それ、意味分かって言ってる?」

 

 何を考えていたのか、頭の中がグルグルして整理出来ない。まだここは模擬宇宙の中だから、意識を失う訳にはいかないと必死に耐えてるけど、限界が近いんだと自分でも分かる。銀狼の言う通り私の弱点、なのかも。キスされる事が? そんなの、普通は狙われない。

 

「はぁ。その顔、誘ってるよね」

 

「え……んんっ!?」

 

 また、されてる。頭の中、真っ白で……もう……無理…………。

 

 

 次に目が覚めた時、宇宙ステーション『ヘルタ』の医療室に私は居た。模擬宇宙への挑戦は失敗に終わったみたい。これからあの挑戦があるとしたら、難易度は跳ね上がったも同然な気がする。

 

 間違い無く改悪調整だと思う。

 

 

 

 

 

 恋人体験。ちょっとした事から始まったこの時間、正直散々な目に遭ったと言える気がする。大体キスされてるのは、恋人だから仕方ないのかもしれない。でも銀狼もホタルも、こっちが動けなくなるまで。なんなら動けなくなった後でも続けて来て、頭が真っ白になるのが絶対だった。

 

「もう来てたんだ。待った?」

 

「ん、今来たところ」

 

 だから開拓者との恋人体験もちょっとだけ不安。でも家で過ごした二人と違って、今回は夢境での待ち合わせから開始。開拓者からの提案で、別に狙った訳じゃないけど、今来たのは本当だから自然とそれっぽい感じの合流になった。

 

 開拓者がこの時間(デート)の為に沢山頭を悩ませていたと、ヘルタや花火から聞いた。そのせいでやっぱり色々な目に遭ったけど、全部開拓者が悪いとは思ってない。それに銀狼の時、ホタルの時と違って今回は外出しての同行。楽しみに感じてるのも確か。

 

「それじゃあ、行こう。エスコートは任せて」

 

「分かった」

 

 差し出される手を掴んで、私達は移動する。今日、私は開拓者にただついて行くだけになる。全て任せてしまうのは少し悪い気もするけど、そうしたいと開拓者本人に言われたから。最初から最後まで、プランは出来ているんだと思う。私はそれを楽しませてもらうだけの恋人(仮)。

 

 まず訪れたのはゲームコーナー。私達といえば、なのかもしれない。初めて出会った時も一緒にゲームして、それからみんなで集まった時もやる事と言えば大体ゲーム。私がこの世界へ来る前はメッセージのやり取りをしていたらしいけど、その内容がゲームの事なのか世界の事なのかは覚えてない。でも、私達の関係にゲームはいつだって関わっている。

 

「そういえば、最近また人権キャラがまた増えたよね」

 

「ん。銀狼は百連だった。ホタルは三十連」

 

「いいな。私、天井だったよ。因みに貴女は?」

 

「……十連」

 

 繋いだ手に少し力が入った気がする。後、目が怖い。確かに今回は運が良かったけど、私だって天井は何度も経験してる。逆の場合だってあるんだら、羨ましがらないで欲しい。それに正直な話、開拓者はお金に困ってないと思う。色々な場所に行っては問題を解決したり、ヘルタに協力して報酬を貰ったり。私よりも稼いでると思うから。

 

「……」

 

「……」

 

「……他の場所、行こっか」

 

「ん」

 

 最近のゲームはクオリティが高い。アーケードでしか遊べないゲームは確かにあるけど、正直普段から一緒にゲームをしている私達だとそんなにだった。夢境にはまだまだ色々な場所があるし、ゲームだってこの先きっと沢山出来る。それを察した開拓者の言う通り、今は別の場所へ行こう。

 

 次に到着したのはスイーツのお店。オークロールとか、ホタルの好物は勿論色々なお菓子が沢山ある。ふと思ったけど、夢境の中で沢山食べても太らない? 何度か夢境の中で食べた事はある。ちゃんと味も感じられてお腹も一杯になるけど、現実じゃないなら食べた事にはならないのかもしれない。誰でも入れる場所じゃないらしいけど、それ故に美味しいモノを無限に食べられる特権なのかも。

 

「何を食べる?」

 

「じゃあ、ショートケーキ」

 

 色々な種類があるけど、やっぱり王道が一番って思う時がある。自分で作れる様になった事で、珍しいモノも少なくなった。

 

 開拓者は頷いてから店員に声を掛けて注文をする。そのまま支払いも付け入る隙無く行われて、私達の前にはショートケーキとティラミスが。今回は店内で食べる事にして、席に座る。何故か四人で座れる向かい合わせの席で隣り合わせになって。

 

「お金」

 

「気にしない。それより食べよう。はい、あーん」

 

「あーん。……ん、美味しい」

 

 私に払わせる気が無いって事が嫌でも伝わって来る。そして自然な流れでティラミスを口元に近づけられて、私はそれを口にした。少しほろ苦くて、でも甘い。

 

「あむっ」

 

 味を楽しんでいると、開拓者がスプーンを加えた。気のせいかもしれないけど、何も上に乗って無かった様な気がする。普通に自分のティラミスを食べた筈なんだけど、もしかしてそのまま私が食べたのを銜えた? 流石にそれは無い、と思いたい。

 

 不審に思っていると、開拓者がジッと私を見て、ショートケーキを見て、また私を見る。言葉にしなくても何が言いたいのか分かった。恋人ならお互いにやり合うものかもしれない。うん、口移しで食べさせるのはやり過ぎだと思う。

 

「あーん」

 

「あーんっ! うん、甘い」

 

 少し笑みを浮かべながら微笑んだ開拓者。その視線は未だに私から離れない。何かを待っているみたいで、でもあーんはもうした。何を待っているのか分からないまま、私は自分のショートケーキを食べる。途端、満足気に頷かれる。

 

「なに?」

 

「なんでもないよ」

 

 その後、開拓者が何に満足したのか分からないままに私はケーキを食べ終わる。

 

 次に向かったのは映画館。やっているのは、ブラザーハヌ? 時折夢境で見かけるキャラクターだけど、詳しくは知らない。開拓者は何か特権でもあるのか、殆ど顔パスで上映を見れる事に。席に座って見るのは当然なんだけど、何故か私の席は開拓者の膝上になった。

 

「始まるよ」

 

 文句を言う間も無く、始まった映画。でも正直内容を理解出来る程の集中が出来ない。だって私のお腹をまるでぬいぐるみを抱くみたいに抱えた開拓者が、時折撫でるみたいに触って来るから。少し理解しようと映画を見ていたら、突然脇腹を撫でられたり太腿を摩られたり。

 

「どうだった?」

 

「疲れた」

 

「そっか。……何も言われないって事は、まだやれそう」

 

 確認されても疲れた以外に言葉が出ない。

 

 一旦休憩も兼ねて景色の良い場所へ行く事にした。景色と言えば、ホタルのお気に入りの場所があるって聞いた事がある。でもホタルは簡単にここへ入れないから、いつかまた入る機会があったらその時に連れて行ってくれると約束した。だから今回はそこ以外が良い。

 

「なら、良い場所がある」

 

 

 開拓者に連れられて、少し薄暗い場所へ到着した。離れた場所にある建物が大きなお城にも見える壮大な景色。薄暗いからこそ見える青白い光。集合した場所に比べると人も減って、静かに身体を休めるには良い場所。お忍びでロビンが息抜きするにもちょうど良さそう。多分もうしてると思うけど。

 

「今日はどうだった?」

 

「ん。悪くない」

 

 ゲームして、ケーキを食べて、映画を見た。デートって意味では王道なのかもしれない。本当のデートをした事は無いけど、創作ものなら知ってるからイメージとしての感想。遊園地みたいな場所なら夢境がそもそも似た様なもの。水族館とか動物園は私の知る場所に無いから、仕方ない。ベロブルグで遊ぶってなると、私には博物館を回るくらいしか思いつかないかも。

 

「今日で恋人体験はお終い。銀狼、ホタル、開拓者」

 

「満足した?」

 

「ん。恋人って、大変。何度もキスしたり、動けなくなるまで抱き締められたり、そんな事しないで一緒に遊んだり」

 

「キス、か。そういえばもう何人かとしたって本当?」

 

「最初はヘルタ。元はといえば開拓者が原因だけど」

 

「私?」

 

 開拓者が今回の件について口を滑らせた事でヘルタに襲われた事を教える。同じ様に花火からも襲われた事。ヘルタにされた事が原因で恋人体験では銀狼にされて、それからロビンとルアン・メェイ。そしてつい先日、ホタルに……された事も。

 

「え、シたの?」

 

「……」

 

 最後のは言わなくて良かったかもしれないけど、流れでつい口が滑ってしまった。恋人体験で頭が一杯だった開拓者が口を滑らせたのは、こういった感じだったのかもしれない。

 

「そっか。ホタルとしたんだ。恋人体験って、そこまでして良かったんだ」

 

「開拓者?」

 

 何処か遠い目をして景色に視線を向けた開拓者の雰囲気が少し変わった気がした。そしてゆっくりとこっちに移して来るその目は、据わっていた。予感がする。この後、大変な目に遭う予感が。

 

「一緒に手を繋いで、間接キスして、身体を触って、私は今日それで満足するつもりだったんだ。それこそ最後にキスでも出来たら大満足で終わろうと思ってた」

 

「!」

 

 捕まった。両肩をガッシリと掴まれて、目を据わらせたまま開拓者の顔が近づいてくる。何をしようとしているのか分からない筈がない。周りに人は少ないとはいえ、居ない訳じゃないから流石に人前でされるのは嫌だけど、離れられない。

 

「気が変わった。ホテル、行こう」

 

「待っ!」

 

 口を塞がれたら、もう私には何も出来なかった。どうすればキスに強くなれるのかなんて分かる訳もなくて、力が入らなくなるまでされてから身体を持ち上げられた事だけが分かる。多分、お姫様抱っこみたいな姿勢。そのまま一定の間隔で私を無力化するみたいにキスされながら、何処かへ連れていかれる。そこが何処なのかハッキリと分かるのは、全てが終わった後だった。

 

 

 

 恋人体験は一先ずお終い。分かった事といえば、キスをする関係になると私は何も出来ずにされるがままとなってしまうって事。それに銀狼はして来なかったけど、ホタルと開拓者は理由さえ整ってしまうと容赦なく襲って来るって事。

 

「本当に可愛かったよ」

 

「うん、最高だった」

 

「私、してないんだけど?」

 

「もう、止めて……恥ずかしい」

 

 恋人体験の後、家で四人集まって話す内容は当然何をしたのか。そうなったら自然にホタルと開拓者が私にした事が話題に上がって、目の前でその話をされると顔が熱くなる。恥ずかしくてここから今すぐにでも逃げ出したいけど、まず私の部屋で話している時点で逃げ場がない。寄りかかって、何なら圧し掛かって来る銀狼が少し怖い。

 

「もう、しない。恋人体験も、お終い」

 

「あぁー、それは無理だと思う」

 

「? どうして?」

 

「ヘルタとか花火は今回の件を知っちゃってるから。多分、黙って無いと思う。それにその……他のところでも口を滑らせた気がする」

 

「……」

 

 ヘルタと花火以外にも開拓者経由で知った人が居る? また、あんな目に遭うかもしれない?

 

「ねぇ、あたし達もまたしようよ」

 

「ホタル、下心が見え透いてるから」

 

「やっぱり純粋で無垢な心は無いね。ある意味素直ではあるけど」

 

「うっ!」

 

 また恋人体験をしたら、今度は銀狼も襲って来る気がする。もう頭が真っ白になるのは嫌。あの時間、自分が自分じゃないみたいで、気持ち良さで何にも考えられなくて、戻れなくなりそうで怖いから。

 

「もう、しない」

 

 聞こえて来る残念そうな批判の声を無視してゲームに入り込む為にヘッドホンを付ける。きっぱり断らないと、また始められそうだから。他の人達はどうなるか分からないけど、少なくとも三人とはもうするつもりは無い。無いったら、無い。

 

 

「大丈夫。いざとなったら無理矢理……何なら編集して」

「あたし、合意の上が良いのに」

「もう私達は止められない」

 

 




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