迷い家の少女   作:ウルハーツ

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良い事があったので公開。
この話は正直微妙なので、今日中にもう一話公開します。


銀狼:4&ホタル:4

 今日は銀狼とホタルが一日ずっと家に居られる日。一緒に居て何をするかと言えば、普段と変わらずにゲームで遊ぶ一択だけど。

 

「よいしょっと。ふぅ……中々凄い光景だね」

 

「楽しみ」

 

「やるからにはチャンピオンを取るよ。取り敢えず、目標は十回くらいだね」

 

 今からやるのは三人一組で生き残りを目指して戦うバトルロイヤル系の銃撃戦を繰り広げるFPSゲーム。それぞれの部屋でやるのも良いけど、どうせならとリビングに機械とモニターを三台用意して、本格的に遊べる様にする。私と銀狼はそれなりにやってるから、正直腕に自信はある。だけどホタルは偶にしかやらないから、私達がフォローしないと。

 

 ゲームを起動する。三人で同じ様に始めれば、やがて映し出されるロビーの画面。そこで銀狼をリーダーにして私達はパーティーの招待を貰い、三人のチームが結成される。銀狼は最大ランクの中で更に上位の存在しか入れない称号を、過去も今現在もしっかり獲得しているみたい。私は最大ランクには到達しているけど、上位には入れていない。入った事も無い。やっぱり銀狼は凄い。ホタルのランクはちょうど真ん中の称号。

 

「カジュアルでやろう」

 

「だね。それじゃあ、最初から激戦区に降りようか」

 

「正直戦うなら、ちゃんと準備してからが良いんだけど」

 

「なら、交互。次は、人の居ない場所に降りる」

 

 始めてすぐに敵が沢山いる場所へ降りる。今この世界の何処かで同じ時、同じ様に遊んでいる人達。パーティーリーダーである銀狼の強さに合わせられるから、基本的には猛者ばかりだと思う。そんな世界で戦いが始まれば、運も大きく絡んで来る。

 

「あ……すぐやられちゃった」

 

「ん、私も」

 

「了解。こっちは今二枚落としたから、行けそうなら助けに行く」

 

 止めは刺されない。沢山の敵が居るこの場所では、その時間も惜しいから。降りたばかりの私やホタルが物資を真面に持っている訳がないと判断したって事。銀狼の体力が徐々に減っているけど、まだ倒れてはいないから、私とホタルは敵に見つからない様にしつつも同じ場所に固まる。助け起こしてもらう時、その方が素早く出来る。

 

「よし、間に合った」

 

「ありがとう。ホタル、武器ある?」

 

「ごめん、何も拾えなかったよ」

 

「なら、片方あげる」

 

「弾なら適当に拾ってきたから、使わないのを落とすね」

 

 基本的に二種類の武器を持てるけど、武器が無いのは致命的な問題。私はやられる前に二つ拾っていたから、持っていないホタルに片方を渡す。渡したのはアサルトライフル。私が今持っているのは、ショットガン。銀狼はスナイパーとサブマシンガンだから、前線は私が出るべき。

 

「まだ、向こうでやってるね」

 

「銃声が止んだら、突撃する。漁夫の利」

 

「回復は?」

 

「あ、体力の方が足りないかも」

 

「ある。渡すから、こっち来て」

 

 私とホタルは回復に専念して、銀狼はスナイパーで狙える場所へ移動しながら物資を回収。やがて音が止んだ事で戦闘が終わったのだと判断して、私は傷ついているであろう生き残りを倒す為に前へ出る。そんな走る私の横を、弾丸が通り過ぎた。

 

「一枚ダウン」

 

「ナイス……こっちも一人。でも、まだ居る」

 

「こっちに来てるね。逃げて来たみたい……よし! やったよ!」

 

 今回の激戦区覇者は私達。かなり運が良かったというのもある。全ては銀狼が生き残ってくれたから、何とかなった。もし銀狼のところに少しでも敵が多ければ、多勢に無勢でやられていた可能性は高い。私達が止めを刺されていたら、最後を勝ち取る事も出来なかったかもしれない。

 

「物資が沢山」

 

「ささっと集めて次に行こう」

 

「あ、こっちに違うショットガンがあるよ」

 

 がむしゃらに拾った武器じゃなくて、自分の好きな武器を使いたいと思うのは当然の事。私もショットガンは使うけど、普段使っているのは同種で別の銃だから、倒された人達の落とした物資からそれを探す。あ、好きなサブマシンガンがあった。銀狼の好きなスナイパーもある。

 

 徐々にマップの中で活動出来る範囲が狭まっていくのがこのゲーム。だから隠れている人が居ても、いつかは幅が狭くなって接敵せざる負えなくなる。物資を集める時間も無限ではないから、出来る限り素早く集めて次の場所へ向かう。

 

「残りは……六部隊か」

 

「これって私達を含んでるんだよね?」

 

「ん。だから、敵は五部隊」

 

「数は16人だから、二人欠けてるね」

 

 三人一組の部隊数と、残存する人数から残りの敵を把握する。幅が狭まる中でその中心へと向かえば、当然同じ様に移動している敵の部隊と接敵する可能性もある。先に相手を見つけて不意を突ければ優勢に行けるけど、逆もあるので警戒は怠らない様にしないと。このゲーム、負ける時は本当に一瞬で(かた)が付いてしまうから。

 

「待って! こっちに一人走ってるのが居るよ!」

 

「了解。……狙える距離だね」

 

「ホタル、遠くは狙える?」

 

「スナイパーは無いけど、この距離なら多分大丈夫」

 

「っと、少し離れた場所にもう一人。欠けた部隊の最後って訳じゃ無さそうだね。一欠けか、何処かにもう一人居るよ」

 

「なら、まず二人で仕掛ける。やり切れなくても、最初のは私が必ずやる」

 

 ショットガンとサブマシンガンだから、近づかないと私は戦えない。仲間が遠くに居るのなら、止めを刺す事は出来る筈。だからさっきと同じ様に先行して、二人が撃ってくれた敵を確実にダウンさせてから必ず止めも刺す。銀狼に合図を送ってもらって、カウントダウンで行動開始。

 

「3・2・1、ショット」

 

「当たった!」

 

「こっちで一枚ダウンさせた」

 

「ナイス。確入れた。もう一人が駆け寄って来てる。このまま接敵するから、フォローお願い」

 

 二人が狙って撃った相手は私が手を出す間もなくダウン。なので止めを入れれば、別の場所に居た一人が私の方へ来ているのが分かった。下手に離れて無防備な背中を見せるよりも、このまま私は戦闘を開始する。敵と私が撃ち合う中、私の背後からは二人が放った弾丸が相手へ飛んでいく。銀狼の腕は確かで、ホタルもしっかり当ててる。お蔭でそんなに苦戦もせずにもう一人もダウン。

 

「? 終わらない」

 

「じゃあ、何処かにもう一人居るって事だね」

 

 部隊が全滅すれば、そこで止めを刺さなくても全員が完全に倒れる。なのに相手は膝を突いているだけで、居なくならない。つまり生き残りが居る。そう思って目の前の敵に止めを刺そうとした瞬間、私は一瞬でダウンしていた。

 

「!?」

 

「遠くから撃たれたね。ヘッドショット?」

 

「どっちの方向かな?」

 

「あっち。あ……止め刺された」

 

 倒れた私に遠くから止めの一撃が。私の画面は白黒になって、その後はホタルと銀狼の画面を見るだけに。銀狼は私が死に際に刺した方角から敵を視認出来たみたいだけど、ホタルはまだ目視で確認出来ていない。スナイパーのスコープじゃないと、見えない距離かも。

 

「……さない」

 

「ホタル、敵はあそこ」

 

「許さないっ!」

 

「あ、ホタル狙われてる」

 

「っ!」

 

 銀狼の画面で敵がホタルを狙っているのが分かった。そして放たれた弾丸はホタルに近づくけど、それを横へ走りながら躱す。当然次の弾丸がホタルへ。それも、躱す。躱し続けて、ホタルは着実に相手へ近づいていた。

 

「燃やし尽くす!」

 

「テルミット投げた」

 

「下手に近づくより、カバーに回ろう」

 

「……要らないかも」

 

 全部の弾丸を躱して、ホタルはグレネードを投げる。それは攻撃よりも敵を妨害する事に特化した炎の柱を作り上げるグレネード。投げ込まれてその場に居られなくなった敵が移動した時、ホタルは一瞬で敵を撃てる位置に移動していた。銀狼がもう一度スコープで覗いた時、銃撃戦を繰り広げる二人。私が最初にあげたアサルトライフルをそのまま使っていたらしい。

 

「ダウンした。でも、消えない」

 

「自己蘇生持ちだね」

 

「……」

 

「ダウンした相手をシールド越しに無言で撃つ続けるのは流石に怖いって」

 

 弾と時間も気にすれば、ダウンした人が出せるシールドの後ろへ回って直接身体へ弾丸を浴びせる方が早く止めを刺せるけど、ホタルはシールドの耐久値が無くなるまで銃弾を浴びせ続けていた。やがてシールドが壊れて身体に弾丸が当たり、止めを刺される敵。流石に死体を撃つのはマナー違反なので、ホタルもそれ以上は撃ったりしなかった。

 

「ごめんね。君を守れなくて」

 

「大丈夫。銀狼」

 

「はいはい。リスボーンっと」

 

 止めを刺されても、仲間が居れば条件を満たす事で蘇生が出来る。ホタルが一人で敵を倒している間、銀狼が私を復活させる準備をしてくれていた。お蔭で即座に復活して、私は私自身の死体から物資を回収する。これで元通り。

 

「残り三部隊」

 

「ん。チャンピオン、取れる」

 

「今度は離れない様にしようね」

 

 そういって一緒に行動を始めると、現実でもホタルがちょっとだけ近づいてきた。肩が触れ合う距離で、お互いの操作する振動を少しだけ感じながら。

 

 それからはそんなに苦労しなかった。距離が短くても、銀狼のスナイパーは正確に相手を撃ち抜いてくれる。私とホタルで前線を維持しながら、後ろからの援護でしっかり一人ずつ倒して行けた。大事なのは、私とホタルのどちらもダウンしない事。それが相手のチャンスとなって、一気に形勢が不利になってしまうから。

 

『YOU ARE THE CHAMPION!』

 

「やったね!」

 

「ん。お疲れ」

 

「いいね。それじゃ、この調子でパパッと九回くらいチャンピオン取ろっか」

 

 初回からチャンピオンを取れたのは幸先が良い。まだまだ遊べる時間はたっぷりあるから、銀狼の言う十回チャンピオンも夢じゃないかも。

 

 何時間も休憩しないでやり続けて、やっと取れた十回目の後は全員ヘトヘトだった。終わった瞬間に私が横になると、そんな私を横から抱きしめてそのまま眠り始めそうな銀狼。更にそんな私達を纏めてホタルが抱きしめて、何も言わないままに私達は三人で固まって眠ってしまう。きっとまた、起きたらホタルが先に起きて私達を見ているんだと思う。寝顔を見られるのは少し恥ずかしいけど……この眠気には抗えない。




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