超天才清楚系病弱美少女ハッカー風転生者がヤケクソになる話 作:VISP
C.E.71年1月半ばより、ザフトは戦略目標として制宙権の確保及び核融合炉の燃料たるヘリウム3確保を目的とした月面戦線の制圧を目指す事を決定。
これは入手した核融合炉の燃料が地球圏では主に月面から採掘されるものであるため、それを安定して大量生産するには月面の安定化が急務だったからだ。
次期主力MSの量産、そしてジェネシス運用のためには相当数のヘリウム3が必要とされており、月面の地球連合軍の大規模基地であるプトレマイオス基地攻略は今後のために必要不可欠だった。
が、地球連合内で最大のMS運用数を誇る同基地を陥落させるのは至難であり、バタラの登場から現在まで多数の被害が出ている。
そのため、今までは周囲の小基地を対象とした小競り合いが精々だった。
なのでここで正面戦闘での勝利に拘泥せず、補給を断って干上がらせる方針へと転換した。
その手始めに太平洋・北回帰線戦線の戦力を増強し、東アジア連合保有のカオシュン宇宙港及び基地の攻略を目指した。
沿岸という立地上、水中用MSなら海上・海中から攻撃が可能なため、また東アジアは地球連合加盟国の中では技術力も低くMS運用能力が不足している事も狙われた理由だ。
ザフト軌道艦隊からの宙対地爆撃及び降下作戦、ザフト海中艦隊によるミサイル砲撃と空戦MSと水中MS部隊による同時攻撃。
これに事前に攻撃の可能性を予期していた東アジア側は台湾内の戦力を集結させ、配備が始まったばかりのバタラ(輸出仕様)を展開し、徹底抗戦を開始した。
宇宙においても戦力保全していた連合宇宙軍艦隊が出撃、大西洋連邦・ユーラシア連邦所属MS部隊を伴った有力な部隊がザフト軌道艦隊の地上支援を阻止すべく出撃したのだが、月面でもザフト側が陽動目的の攻勢を開始、こちらへの迎撃を優先せざるを得ない事態になった。
他からの増援も既に海路はザフト水中艦隊によって封鎖されており、空路も制空戦闘が終わってない状態では戦闘機を送る事が限界であり、とてもではないが地上戦力を送る事は出来なかった。
こうして各地で激しい戦闘が行われながらも2週間後、奮戦空しくカオシュンは陥落、地球上に4基あるマスドライバー施設の一つが完全にプラントの手に落ちた。
これはバタラが元々水中・水際での戦闘では真価を発揮できない事、東アジア連合側の技術不足による故障の頻発、MS運用方法が確立されていない事による混乱が重なったためだった。
結果、降下してきた対策済みのジンやシグー、水中から攻撃してくるグーンや奇襲してくるゾノ相手では東アジア製のバタラでは撃破される事例が多く、通常戦力との連携も出来ていなかった事から防衛に失敗する事となった。
こうして地球連合は貴重な宇宙・月方面への補給路の一つを破壊され、年明け初の大規模戦闘はザフト優勢に終わったのだった。
そんなザフトの次なる目標は一度は降下作戦単体による攻略を目指して失敗した宇宙・月方面への補給路の一つ、アフリカのビクトリア基地であった。
……………
さて、この世界では主人公ことキラ・ヤマトだが…実はヘリオポリスにはいない。
それ所かオーブ本土にもいない。
というか、オーブ国民ですらない。
原作C.E.世界でコーディネーターにとって比較的安全でブルーコスモス関連のテロの心配が極小だったオーブだからこそ、ヤマト夫妻はオーブ在住を決意した。
しかし、この世界にはオーブよりもコーディネーター差別が少なく、更には実質トップがナチュラルなのにコーディネーター以上の天才が治める特異な場所が存在した。
そう、嘗ての火星特別自治区、現在の火星連邦である。
ヤマト一家はキラが月の幼年学校のあったコペルニクスからそう日を経ずに当時の火星特別自治区への移民船に乗船、現在は火星連邦所属のコロニーの一つで暮らしている。
なお、一連のこの動きにはヒマリ主は一切関わっていない。
単に似た様な境遇の第一世代コーディネーターのいる家族は積極的に受け入れていた事から来る特大のガバである。
まぁ他にも地球連合側にMS関連技術や核融合炉の提供により、オーブ首長国連邦と大西洋連邦が裏で手を組んでMS開発をするという流れが完全に消えており、既に原作情報など殆ど宛てにならないのだが。
それはさて置き、現在のキラ・ヤマトは火星連邦直営の工業大学へと進学しており、似た様なコーディネーターや優秀な上澄みのナチュラル達と共に平和なキャンパスライフを送っている。
なお、ハードではなくソフト関連で既に優秀な成績を修めており、将来的にはミョウジョウ・ソフトウェアへの就職を目指しているそうな。
無論、ミョウジョウ博士らは彼ら一家の存在を移住前には把握していたが「別に民間人戦わせる程ピンチじゃないですしねぇ」とスルーした。
一人のファンとしても、一人の良識ある大人としても、彼を利用するのは気が咎めたのだ。
それはそれとして緩めの監視だけは付けたが。
「やれやれ、地球圏は無茶苦茶ですね。」
『でもまぁ、想定内でしたね。』
『この時点で完全に守りに入られる方が厄介でしたからね。』
ミョウジョウ博士のラボ、そこではいつもの様にバイオ脳達とヒマリ博士が世界の技術と情勢の最先端を直走っていた。
『幸い、こちらの準備は終わりそうです。』
『開発局の子達のブロック構造艦の特殊装備の開発は順調です。後は試作と試射だけですね。』
『こっちはジェネシス程の戦略兵器は求めてませんからね。』
「木星行きの亜光速巡航無人工作艦の竣工も終わりました。後は皆さんに任せますね。」
『任せてください。きっちり仕事を熟して来ます。』
『共時性パリティ通信装置の小型量産仕様の開発も終了。これで最前線でもNジャマーやNJダズラーによる干渉は最低限になるでしょう。』
『アマクサとバタラ向けの携行型レールガンも開発局が頑張ってくれました。良い出来ですよ。』
『GNドライヴのコアファイター化とSPCの組み込みも完了です。ジンクスの先行試作機は予備パーツ含め10機分用意しましたので、試験部隊に洗い出ししてもらいましょう。』
ポンポンと飛び出す言葉の内容を理解したら、誰もが白目を剥く事だろう。
そのどれもが現在の地球人類の技術の最先端とその更に先の事を当たり前として話しているのだ。
地球連合とプラント双方がこれを知れば、有り金はたいて売ってくれと懇願する事請け合いの内容だった。
「では皆さん、我々が加勢するのはボアズ及びヤキン・ドゥーエ攻防戦直前からという事で。」
『『『『『『『異議なし。』』』』』』』
ジェネシスという余りに危険な戦略兵器の存在を、火星連邦は許容しない。
それは既に地球連合と火星連邦上層部、そしてロゴスの間では周知の事実だった。
知らないのは当事者たるプラントのみ。
プラントの戦略的敗北はパトリック・ザラの狂気を知る人物が巨大勢力のトップにいた事、その一点であった。
……………
C.E.71年2月、地球連合軍アラスカ基地にて
「これがデュエルとその量産型ですか。」
視察に来たムルタ・アズラエルの視線の先、そこには漸く制式配備に漕ぎ着けた初の地球連合産MSの姿があった。
唯一のデュアルアイ採用機のGAT-X102 デュエル
量産型らしくシンプルなバイザーアイのGAT-01 ダガーと上位機種のGAT-01D デュエルダガー。
試作機とそれを元にした量産機二種の計3種である。
「シンプルイズベスト。必要な機能はオプションで補う。バタラの設計思想が見えますね。」
「お恥ずかしい限りです。ですが理事、これが今の我々のベストです。」
独自設計の内骨格フレームやPS装甲、最高級の独自生産部品のテストも行ったデュエル。
数々の試験データにバタラや鹵獲ジンの運用データを元に開発された機体がダガーとデュエルダガーであった。
「実機を用いた各種試験に模擬戦の結果は良好でした。後は折を見て実戦でデータ収集の必要があります。」
「戦場は今あちこちにありますからね。月面とアフリカ、予定はどうなってます?」
「ダガーとデュエルダガーはスタッフの一部と共に月面に移動。残りはアフリカ戦線に移動の予定です。」
「大変結構。予算と人員は必要な分だけ言ってください。時間だけはどうにもなりませんが、他はどうにかしますので。」
担当する技術佐官の言葉に、ムルタはそう返す。
実際、状況はかなり切羽詰まっている。
地球を滅ぼされないためにも、確実にジェネシスを破壊するためには何だってする。
「ご希望通り、早急な戦力配備を念頭に設計致しました。パイロットも促成栽培ですが月方面軍からベテランを幾人か引き抜いて教育中です。」
「月方面には負担をかけてしまいましたが、新品をお送りしたのでチャラという事でお願いしますね。」
貴重な戦力引き抜かれた現場が頭抱えたり罵声を上げたりしてるだろうが、後方だって必死なのである。
代わりに新型のダガーとデュエルダガー一個小隊ずつ+補給物資マシマシで送ったから許してほしい。
「共有可能な各種オプションの開発も終了。主兵装の携行式115mmリニアガンと対MS重斬刀、頭部20mm機関砲、プラネイトディフェンサー内蔵式シールドは何れも良好な試験成績となっていますが…。」
「あぁ、その辺は良いです。要は実戦証明だけは出来てないんでしょ。じゃ、これから実地で頑張ってもらいましょう。」
物も人も金で揃えられるだけは揃えた。
後はこれをどれだけ鍛え上げ、増やせるかだ。
「時間だけが我々には足りません。くれぐれもお願いしますよ。成功したら輸出も視野に入れてるんですから。」
「お任せを。全霊を以て果たしてみせます。」
まぁ出来ないと皆死ぬんですけどね、とは双方言わない。
佐官の方は失敗したら銃殺されかねねぇ!と冷や汗ダラダラだし、ムルタの内心はムカ着火ファイヤー継続中である。
「……あの人なら、どうしたんですかねぇ。」
遠く火星にいる愉快なお婆ちゃんを思って、ムルタは一つ溜息を吐いた。
……………
C.E.71年2月20日、第二次ビクトリア攻防戦、開始。
先のカオシュン港陥落を受け、事前に戦力を強化していた地球連合と同じく強化を受けたアフリカ方面軍が正面からがっつり組み合う激戦となった。
宇宙においてもカオシュン港攻防戦と同じく地上への支援のために来たザフト軌道艦隊とその阻止のために出撃した連合宇宙軍が会敵、制宙権を巡って激しい戦闘を繰り広げた。
その双方において、連合とザフトの新型機や新装備が多数配備されており、これまでのMSの常識を投げ捨てる様な戦いが起こっていた。
即ち、射撃戦からの壮絶な近接戦闘、殴り合いである。
『艦隊各位は弾幕を絶やすな!MA隊は迂回して対艦攻撃!30秒後に敵艦隊向け3斉射!後にMA隊は突撃せよ!』
『MS部隊、敵MS部隊に押されています!』
『バタラタイプはどうした!頑丈さが売りだろう!』
『バタラにも損害多数確認!精鋭部隊のようで…3機が抜けてきました!』
『直掩のMS部隊に通達!敵MS3機が抜けて来た!迎撃頼む!』
そして、そうなるとナチュラル用OSで動作の簡易化をしている連合側と神経接続により手足の延長の様に動かせるザフト側では機体性能の差が縮まっている事もあって、ザフト側が優位になっていた。
それでも以前のMS無しの状態よりはかなり奮戦していた。
少なくとも当初の目的である対地支援を阻止できているのだから。
『ハン!ナチュラル共が猿真似した所で!』
『油断するなよイザーク。連合のMSの性能は本物だ。気を抜けばやられるぞ。』
『敵の数が多い。艦隊の砲撃戦じゃ不利だ!』
『アスラン、イザーク!敵MS部隊が来ます!』
連合が押される理由、それはザフトの精鋭部隊ことクルーゼ隊が軌道艦隊と共に参戦していた事だ。
しかも赤服の彼らが搭乗する機体もまた配備されたばかりの新型機だった。
ジンの正統後継機たるジンⅡ、その初のお披露目が今回だった。
『各員、敵MS部隊を撃破する。先頭は私だ。アスランとイザークは私に続け。ディアッカとニコルは軌道艦隊の援護、ラスティ他の人員は艦隊の直掩に付け。』
『『『『了解!』』』』
『この程度の戦場で落ちるなよ。武功を稼いで生き残れ!』
しかも連合にとっては不幸が続く。
ラウ・ル・クルーゼ。
ヒマリの流した医療技術によってクローン故の欠陥も全て完治し、弟分のレイと恩人のギルバートのために戦う事を決意したナチュラルの上澄み中の上澄み。
ザフトの英雄的トップガンが次期主力MSの先行試作機たるゲイツを駆って、この戦場に参加していた。
この30分後、ビクトリア基地上の制宙権は一時ザフト側が完全に掌握する事となった。
〇デュエル
この世界における大西洋連邦が開発した初の純国産MS。
ナチュラル用OSの使用、内骨格フレーム、PS装甲等、後の連合系MSの基礎を築いた。
鹵獲ジンやバタラ(輸出仕様)のデータを元に開発され、試作機ながら最高級の部品や素材を用いて作られたハイエンド機。
動力はバタラのものを参考により高出力化が図られた核融合炉を採用しているが、出力向上の結果として燃料消費量が増加し、排熱も増えたため、連続活動時間がバタラよりも短いという欠点がある。
これ以外はコストを除いてバタラをあらゆる面で上回る性能を有しつつ、良好な操縦性を持つ。
各部にハードポイントがあり、必要に応じて様々なオプションを追加できる。
武装は携行式115mmリニアカノン、頭部内蔵式20mm機関砲、レーザー重斬刀、プラネイトディフェンサー(以下PD)内蔵式シールド。
他にもオプションで対艦用350mmバズーカを持つ。
武装構成は主にPD搭載機を想定したもので、重斬刀は両刃剣の刃の部分にレーザー刃発生基が備えられているもので長さはジンの重斬刀と同程度だが、他の外観はグフ・イグナイテッドのそれと酷似。
〇ダガー
デュエルの簡易量産機。
PS装甲の撤廃と構成パーツが二線級のものとなっている他、各部の構造が可能な限り簡略化され、コスト低下・量産性・整備性の向上が図られている。
外観上の最たる違いは頭部であり、デュエルのデュアルアイとV字アンテナからバイザーとロッドアンテナに変更されている。
武装は全てデュエルと同じものだが、融合炉がバタラ(輸出仕様)のそれと同様の仕様のために機体出力が低下している上、その分リニアカノンやレーザー重斬刀、PDの出力も低下している。
その分だけ活動可能時間が延長しているが、活動可能時間を短くする代わりに一時的に融合炉の出力を上昇させ、ハイパワーを出す事も可能になっている。
〇デュエルダガー
ダガーの性能向上型。
PS装甲の撤廃はダガーと同じだが、構成パーツの多くをデュエル程ではないが高級品にし、性能向上に成功した上位互換機。
武装面は互角だが、デュエル程ではないものの融合炉の出力を高く設定しているため、ダガーよりもハイパワーとなっている。
主にダガーで満足できないパイロットが搭乗予定であり、性能低下と引き換えにダガーと共食い整備する事も可能な程度にはパーツが共有されている。
外観上の違いは頭部センサーがツインアイ内蔵バイザーであり、起動時にはツインアイが発光する他、スラスター数が増加している。
〇各種オプション…デュエル・ダガー・デュエルダガーの全機が装備可能。
・地上用バックパック…排熱能力を重視した軽量小型バックパック。
最も素直で扱いやすい。
・宇宙用バックパック…推進剤の容量を重視した中型バックパック。
上下左右方向にスラスターが配置され、宇宙での活動に適している。
・F型装備…全身にスラスター内蔵追加装甲、中型バックパックにスラスター内蔵プロペラントタンクを装備する。
宇宙での要塞攻略や大規模戦闘での運用が前提の装備。
追加装甲は全てPD発生基を備え、高い防御力を有する。
史実のフォルテストラのそれに酷似するも、それ以上の防御力を有する。
武装は両肩のハードポイントにに6連装小型ミサイルポッド、115mmレールガンの何れか二つを自由に選択可能。