超天才清楚系病弱美少女ハッカー風転生者がヤケクソになる話   作:VISP

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長くなり過ぎたので巻いていきます


火星編 第11話 第二次ビクトリア終了 各々の動き

 結論を言えば、ビクトリア攻防戦の趨勢を決めたのは、東アジア連邦のカオシュンへの宙対地爆撃だった。

 

 先の攻防戦で対空・対宙警戒網がズタズタになり未だ再構築できていなかった事、重要施設の場所が事前に詳細に把握されていた事、ザフト軌道艦隊がビクトリア攻防戦に参加して阻止できなかった事。

 これによりカオシュンのマスドライバー施設に宙対地爆撃が直撃、大破した。

 施設復旧の目途は立っておらず、必要資材の量すら計算できない状態だった。

 最早一から作った方が早いと思える程の苛烈な爆撃により、宇宙港及び防衛用の基地は見事にクレーターだらけとなってしまった。

 この急報を受け、ザフト側は浮足立ってしまい、バルトフェルドは動揺を回復させようとしたが、生憎とラゴゥとバクゥでは決定打にならずデュエルを筆頭にしたG部隊との苛烈な戦闘によって指揮に専念する事が出来ず遂に被弾、大破してしまう。

 頭を無くした事により元々連携の拙いザフト部隊は徐々に押されていく。

 頼みの綱だった降下部隊も地上の動揺による援護不足に加えて、スカイグラスパー隊の制空圏内に入り込んでしまった事から多数が降下カプセルから出る前に撃墜され、その後も鳥葬されるが如く航空部隊によって蹂躙された。

 副官のマーチン・ダコスタも何とか指揮系統の掌握に務めたが、やはり総司令官の撃破とマスドライバー破壊報告の影響は大き過ぎ、何とか建て直した時には既に連合軍もまた前線を再構築した後だった。

 

 「…ダメだな。これ以上は無理だ。総員、撤退する。」

 「な!?正気ですか、ここまで来て!」

 「来たからこそだ。もう今日は勝ち目は無い。一度撤退し、態勢を立て直す。全ての責任は私が取る。」

 「ぬぅ…了解です。総員に撤退指示を出します。」

 

 こうして、ザフト側は一時撤退、連合側も消耗が大きかったため、多少の砲撃こそしたものの見送る形となった。

 その後、ザフト側は本作戦の被害とカオシュン宇宙港のマスドライバー破壊を重く見たプラント上層部の指示によりビクトリア基地攻略を断念、降下部隊を可能な限り回収しつつ統制を保ったまま段階的に撤退していった。

 連合側はこれを追撃したものの、未だ統制を保った状態のザフト側に少数では返り討ちにされる事例が多く、航空機による偵察から小規模なMS部隊同士の戦闘が多発する事となった。

 以降、戦力の多くを消耗したザフト側の地上戦線における活動は鈍化、アフリカ東部を捨てて南部の防衛に専念する事となった。

 また、宙対地爆撃を受けたカオシュン宇宙港のマスドライバーが念入りに破壊された事もあり、新たに建設するか、既存のものを奪取するかでプラント評議会でも意見が割れ、行動が遅れる事となった。

 連合軍もまたこの結果に意気高揚となるも緩む事なく、地上で消耗した戦力の補充と同時に宇宙での反抗作戦成功のための準備を開始するのだった。

 

 『カオシュン陥落と聞いて焦ったが、ビクトリアはまたも連合が勝ったか。』

 『これで連中の地上と宇宙の連絡線はかなり細くできましたな。』

 『新型のGシリーズ、思ったより良い出来の様です。』

 『地上は取り敢えず押し込めた。後は宇宙ですな。』

 『出来ればこのまま片付けたい所だが…地上の連中を完全に駆逐しては迷う素振りもなくアレを撃ってくるでしょうな。』

 

 ロゴスメンバーのビデオ会議にて、第二次ビクトリア攻防戦の勝利から今後の戦略について話し合う事となった。

 とは言え、大筋はもう決まっているのだから、これは確認に過ぎない。

 

 『火星連邦からの注文はどうなっているかね?』

 『万事滞りなく。奴らは自らの手で首を絞める。』

 『これで新人類等と言うのだから笑わせてくれる。どう頑張っても優等生が関の山だろうに。』

 『全くですな。所詮は改造人間という事でしょう。』

 

 地球圏を裏から動かしていた裏組織の中でも最大規模の彼らは、口では嘲りながらもプラントへの侮りは一切無い。

 なにせ彼ら全員を地球ごと焼き尽くすだけの戦略兵器が今もなお建造中だと分かっているからだ。

 

 『火星連邦。彼女の技術だけでなく軍事力もあれば、確実にプラントを圧倒できる。』

 『だが、中立国を戦争に参加させるには一手間かかる。』

 『まだ時間はある。確実にチェックするためにも指し手を緩める訳にはいかん。』

 

 こうして、腹黒い商人達と彼らの手駒となった政府や軍部により、火星連邦参戦のための裏工作が着々と進んでいった。

 

 

 ……………

 

 

 一方の火星連邦は…

 

 「………。」

 

 ラボにて、自動車椅子に深く腰掛け、否、背凭れを倒して完全に寝の姿勢に入っているミョウジョウ博士、そんな彼女を見守るバイオ脳×7。

 割と平和だった。

 

 『やれやれ、年は食いたくないですね。』

 『最近睡眠時間が随分と伸びてしまいましたね。』

 『気持ちは若くても身体が追い付かない。仕方ありません。』

 『峠は越えたのですし、後は若い子達に任せるべきでしょう。』

 

 バイオ脳×7達はチャットでコソコソと密談をする。

 勿論、それで何かやらかさない様にヒマリ主により会話や計算内容等の記録は取ってあるのだが、人数差もあって既に抜け道を構築済みである。

 

 『どうします今後?私以外の人に面倒見てもらうとか有りですか?』

 『分かってて言ってるでしょう。無しですよ無し。』

 『一人目二人目は兎も角、それ以降は野心滾らせてやらかす様子が目に浮かびますね。』

 『私と同時に自壊するのもちょっとねぇ…。』

 

 あーだこーだと言い、しかし、彼女達の優れた頭脳はとっくに答えを出していた。

 

 『では、私改造プランを実行します。』

 『『『『『『異議なーし!』』』』』』

 

 サクッと本人の意思を無視してやらかす決定が下された。

 

 『所で最近、一般市民の生活が大分楽になったそうですね。』

 『そりゃあんだけGNドライヴがあるんですから、平時は水と酸素生み出すのに使い倒すでしょう。』

 『流石イオリア・シュヘンベルグ。宇宙開発用装備としてはこれ以上ないですね。』

 『未だオリジナルの太陽炉には至りませんが…木星に行った私はどうなりましたかね?』

 『普通にここに参加してますよ私?太陽系内ならリアルタイム通信できるんですから。』

 『まだ木星圏に到着したばかりでしたっけ。そう言えば漸く高硬度レアアロイが出来ましたよ。MSの装甲材とフレームに採用しましょう。』

 『お値段が既存素材の5倍はするんですけど…鉄血世界は凄いですね。』

 

 その他にも世界の趨勢を決めそうな会話がゴロゴロ出てくるが、それもまた彼女達にとっては日常に過ぎない。

 

 『では、取り敢えず急ぎで医療用ナノマシンを仕上げてしまいましょう。』

 『コーディネーター間の出生率もナチュラルのスペック不足も解消可能な素晴らしい発明なんですけど、先ずは私から使いましょう。』

 『これでSEED世界の人種問題は大体解決するのですが…それで終わりそうもないのがまた。』

 『まぁ良いでしょう。我々が全ての面倒を見てあげる必要はないのです。』

 『髭が出てくる前に太陽系離脱してしまえばOK。付いてきたくない方はそれまでという事で。』

 

 こうして、今日もまた世界を揺るがす発明が火星と、そして木星でポコジャカ作られていくのだった。

 

 

 ……………

 

 

 C.E.71年、3月 プラントにて

 一方、一度プラントへ帰還したクルーゼ隊だが、隊員達の多くは気を落とすか、苛立っていた。

 なにせ彼らがパーフェクトに近い結果を出したのに、肝心の地上戦線が敗北・撤退となってしまったからだ。

 第二次ビクトリア攻防戦敗退により、ザフトは急速に地上での活動を鈍化させ、守りに入らざるを得なくなっている。

 制海権こそ未だ多くをザフト側が握っているが、それとて何れ出てくるであろう連合の対抗戦力を相手にどれだけの事が出来るのやら。

 未だ二つのマスドライバーを抑える地球連合は、今後も月方面へと多量の物資や増援を送ってくる事だろう。

 そうした事情を考えると、彼らの感情も当然のものだった。

 

 「ふむ。やはりゲイツはこのままでは駄目だな。」

 

 それはそれとして、偉い人はそれでも仕事をしなくてはいけない。

 

 『他からも同じ報告が来ていますが、やはりですか。』

 「この有線式レーザー砲も決して悪いものではない。しかし、一般兵には扱い辛い。量産機なのだから、操作性や使い勝手等は当然シビアにもなる。」

 『クルーゼ隊長から何かアドバイスやリクエスト等はありますか?』

 「機体の基本性能やレーザー砲以外の武器は基本的に合格だ。が、近接武装が従来の重斬刀だけでは今後危ういかもしれん。連合のデュエルだったか?アレの様なレーザー刃を展開する武装があっても良いと思う。」

 『了解しました。その方向で開発を進めていきます。』

 

 先行試作型ゲイツ

 高い基本性能にPD、そして対PD搭載MSを意識した武装構成のゲイツだが、腰部レーザー砲は史実のそれよりマシだが、それでも使い辛いとパイロット達から不評だった。

 「アンカー機能いらん。レーザー砲だけくれ」「レールガンでもいいぞ」「何故実質使い捨て部分にレーザー砲を付けたん?」「格闘に入るまでの繋ぎが足らん。シールドはシグーのにしてくれ」等々、雑多な意見が多数寄せられた。

 そのため、今後はサイドアーマーには旋回砲塔式のレーザー砲、シールド裏にはシグーよろしくガトリングか単なるロケットアンカー(ほぼソードストライクのそれ)を追加する形で正式量産仕様にする予定だ。

 

 (現場は何とかしてみせるが、戦略はどうにもならん。間に合わせてくれよギルバート。)

 

 ヴェサリウスのブリッジで浮きながら、仮面ならぬ大きめのサングラスで顔を隠すラウ・ル・クルーゼは思考する。

 既にプラントの勝ち筋は消え、戦略的に敗北は決まった。

 

 (そもそもたった5000万で地球人類の過半を敵に回して勝てると思っているのがおかしい。)

 

 ナチュラルの上澄みの中の上澄みたる男のクローンであるラウにとって、ナチュラルだコーディだという話はちゃんちゃらおかしいものだった。

 しかし、他に行き場も無く、弟分もいるからとここプラントに流れて来た。

 

 (ほぼ単一人種のみの閉鎖空間。そして他民族との交流不足と迫害。エネルギーと食料危機で快適な生活と安全を脅かされればこうもなろう。)

 

 だが、どれ程能力が高くとも生殖能力に問題を抱えた少数民族の末路など一つしかない。

 それを解決できそうな唯一の存在はあちら側よりの中立で、戦前に築いたMS等の技術的・軍事的アドバンテージは最早消えた。

 後は質を凌駕する物量によって磨り潰されるだけだろう。

 地球とプラントの、コーディネーターの問題は自分の様にあっさりと片付く事はない。

 寧ろ、滅んだ方がマシと看做されている可能性の方が高い。

 だからこそ、恩人にして身内たるギルバート・デュランダルらと共に少しでもマシな終わりになる様に動いている。

 

 「儘ならんものだな…。」

 

 ポツリと零れた愚痴は宙に漏れて消えていった。

 

 以降、プラント側は地上戦線にて戦力保全に動き、その活動を鈍化。

 しかし、弱ったと見て各地で反プラントの非政府武装組織が同時多発的に蜂起。

 これによりタダでさえ弱っている所を鎮圧に戦力を取られ、回復が大幅に遅れる事となる。

 こうした戦況の不利に伴い、プラント占領下の各LPの民間コロニーでもデモやストライキが多発。

 未だ非武装であるものの、占領統治に多大な支障を来し始め、鎮圧にまた多くの人手を取られる事となる。

 これを見た連合側は宇宙側の戦力を増強すべく、残ったパナマとビクトリアの2基のマスドライバーにて多量の物資を打ち上げていく。

 戦争の主体は次のステージ、即ち再び宇宙へと戻るのだった。

 

 

 




正式量産型ゲイツ
 先行試作型の問題点、即ち有線式レーザー砲の使い勝手の悪さを改善すべく改修した機体。
 サイドアーマーの有線式レーザー砲を旋回砲塔付きの純粋なレーザー砲に交換した他、シールド裏面にロケットアンカー(ソードストライクと同型)、アンカーを挟む様に両脇に28mm単装機関砲×2を追加した。
 これにより多くのパイロット達の注文通り「射撃戦の手数増加兼近接格闘戦へ移行する際の繋ぎ」を叶えた。
 また、オプションとしてレーザー重斬刀(片刃のみレーザー刃発生基あり)が追加され、バックパック両横のマウントラックに重斬刀の代わりに懸架可能となっている。
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