超天才清楚系病弱美少女ハッカー風転生者がヤケクソになる話   作:VISP

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プラント編 第二話

 ZGMF-1018 ビルゴ

 

 とは言え、本家本元に比べれば大きく劣っているため、名前負けしていると言われたらそれはそうと頷けてしまう。

 ビルゴ特有のテレビ顔ではなく、ドムの様な凸字型のモノアイが採用されている他、全身にサブセンサーが設置され、死角を無くしている。

 バックパックも宇宙空間における活動時間延長のため、サンダーボルト版ジムやギラ・ドーガの様な大きな箱状のユニットの四方と中央のスラスターが配置された形となっている。

 これはMDを動かすAIの処理を軽減させるための処置で、その分四肢やウイングバインダーを用いたAMBACはジンよりも不得手とする。

 装甲材は指揮官機はルナ・チタニウム合金を、無人機にはチタン合金セラミック複合材をこの世界で再現したものを採用している。

 前者は核融合炉を開発するにあたり手頃な放射線対策を探していた際、低重力下で精製可能な放射線を遮断する特性に目を付けて新規に開発、採用したもので、後者はジンの装甲材の発展型であり、割かし開発は簡単だった。

 これは採用した陽電子リフレクター技術が未発達であり、パイロットと核融合炉含め最も高価な指揮官機を確実に生還させるためのもので、後にルナ・チタニウム合金そのものの製造方法を改良して安価にする事で無人機にも採用させる予定だ。

 そんな指揮官機の気になるお値段はジン(機銃と剣と盾含む)の実に7倍という恐ろしいものとなっている。

 なお、こんなお値段の機体を少しでも長持ちさせるために関節部は全てサンボルよろしくシーリング処理されている。

 

 だが、そんなものはこの機体の性能を知れば呑み込める程度のものでしかない。

 

 このビルゴの装備はどれもジンのそれを軽々上回るものとなっている。

 主兵装は主に右腕部に装備する複列位相エネルギー砲だ。

 原作ではイージスやカラミティ等で採用された兵装で、その威力たるやMSは勿論大型艦すら一撃で致命打を与える。

 とは言え、そんなものバカスカ撃ってはEN切れ必須なので本体とは別にリアアーマーに専用の大容量バッテリーを備えた上でモードを切り替える事で消費を抑えている。

 そちらのバッテリーが切れたら掌と腕部のコネクタを介して機体本体のバッテリーから給電される事となる。

 対MA・MSを想定した通常モード20発、対艦想定の高出力モードで5発使用可能となっている。

 それ以降は指揮官機からのマイクロウェーブ送電か後方に戻っての補給となる。

 副兵装に左のサイドアーマーに設置されたビームライフルを備える。

 この配置のために太腿部のスラスターユニットはジンと同じく脹脛へと移設されている。

 これは所謂ビームスプレーガンとビームハンドガンの相の子の様な装備であり、本来想定されていたデュエルやゲイツ等の主兵装としてのビームライフルではない。

 陽電子リフレクター内での取り回しを重視して短銃身にし、更に出力と収束率を低くする事で拡散したビームを連射可能となり、接近してくる目標を確実に迎撃できるようにしてある。

 これは本家ビルゴが接近戦にて撃破される場合が多かった事への私なりの回答だ。

 なお、このショートバレルビームライフルだが、後にロングバレル化してジン他に装備される事となる。

 そして万が一の時の装備として、定番のビームサーベルである。

 本当ならビームガン兼用にしたかったのだが、コスト高騰もあって取り止めた。

 配置はすぐさま抜刀できる様にキュベレイやバウの様に左手首内側である。

 そして最後、両肩の丸いドーム状のブロックに搭載された陽電子リフレクタービットである。

 個数は片側4基の計8基、インコムの様な中継器付きワイヤーで本体と繋がっている。

 そのため、どうしても乱戦や1G環境下においては使用に制約があり、まだまだ改良の余地があるが、その防御力は本家本元にも劣らない。

 原作においてビーム・実弾双方に対して高い防御力を発揮してほぼ無効化してしまうこの装備をMSサイズにまで小型化したのは我ながら流石と言う他ありません。

 おまけに展開した発生器自体もしっかり対ビームコーティング付きの装甲で覆ってあるので、原作のそれよりも頑丈になっています。

 展開にもパターンがあり、発生基2個を用いて機体前面のみ発生させる自機防御、全8個を用いて自機を包み込む全周防御、全8個を用いて艦艇も覆う程のリフレクターを発生させ友軍等を守る支援防御の3パターンが登録されている。

 更に複数機が連携する事でより広大なリフレクターの発生すら可能となっている。

 今後の戦闘データ如何でこれら展開パターンは増やしていく予定だ。

 まぁ高速で突っ込んでくる対ビームコーティングした対艦刀持ちMSとかには流石に撃破される可能性はあるけど…現状は問題ないし、その辺は今後の課題という事で後継機のビルゴⅡで解決させよう。

 元型の元型たるメリクリウスよろしく発生基をビットみたく攻防一体に使えれば良いんだけど、今のAIの習熟度じゃ無理、実戦データが足らん!

 後、出来れば実弾兵器を幾つか追加したいけどそのためにもやっぱり実戦証明と戦闘データが欲しい!

 そして、有人の指揮官機はここに更にMSサイズの熱核融合炉を搭載、供給されるエネルギーの限り活動やビーム兵器の使用に制限は無い(推進剤や関節の摩耗、排熱は別)。

 高度なAIで動く無人機だが、AI故に電子戦や想定外の状況には弱いため、有人機による指揮が必須となる。

 そのため指揮官機は後頭部に2本のセンサーマストを増設し、指揮管制能力を高めている。

 他にも脇腹(元型の胴の灰色の部分)に指揮下の無人機へのEN補給のためのマイクロウェーブ送信ユニットを左右それぞれに装備している。

 対となる受信機は後頭部に設置されている。

 これは給電時に敵に背後を見せないための配置になっている。

 これは原作のデュートリオンビームの元型になった技術をMS搭載サイズにまで小型化したのだが、やはり無理に小型化した初期試作機という事あって送電距離は短く、現状最も故障率の高い装備となってしまったので予備として二つ装備している。

 なお、操縦系統はジンのそれを発展、洗練させたものであり、MDの操作はある程度の簡略化したコマンドを短距離無線やレーザー通信、接触通信によって各機に送る事で成立させている。

 

 「ではラウ。実戦証明お願いしますね。」

 「やれやれ。急な呼び出しと思ったらこれかね。」

 

 マニュアルを読み込んだラウ・ル・クルーゼが呆れた顔で息を吐く。

 その顔にマスクは無く、金髪碧眼の端正な顔立ちが露わになっている。

 その立ち居振る舞いに病魔の影は無く、至って健康的な男性のソレだった。

 

 「貴方の専用機は現在フルメンテ中で暇なんですから、私の研究に付き合ってもらってもバチは当たらないでしょう?」

 「まぁ構わんとも。ギルバートからも君の我儘には可能な限り応えるよう言われているからね。」

 

 呆れを滲ませつつ、嘗て世界の滅びを願い、しかしそれが阻まれる事も同じ位願っていたクルーゼは格納庫に佇む4機の新型MSを見上げる。

 ジン以上にマッシブで無骨な印象を受けるそれらは正しく時代を変え得る兵器だった。

 ほぼコーディネーター専用のMSどころではない、作られれば即実践投入可能な無人MSことMD。

 個人の能力と技術力には優れども、プラント理事国に比して致命的に人的資源に限りのあるプラントにとって、この機体は正しく革命的と言える。

 

 「そんな革命的な発明をより良く完成させるためにも貴方には頑張ってもらいましょう。」

 「やれやれ。命の恩人の願いとあっては無下にも出来んな。」

 

 事実、クルーゼは彼女の開発した医療技術によってクローン体由来の短命を完治する事に成功している。

 以後は彼女の監視兼護衛役のザフトからの人員として配置されているのだが、有能と分かるや否や時折こうして無茶振りされるようになっていた。

 

 「まぁ理事国のMAではどう足掻いても貴方の乗ったビルゴに勝てる道理はありませんから、安心してください。」

 

 そうして送り出された先、何度目かにプラント理事国による食料生産コロニーの破壊作戦の迎撃作戦へと出撃していく。

 

 「君の頭脳には聊かの疑いもしていないさ。その諦観にもな。」

 

 パイロットスーツを纏い、ビルゴのコクピットへと身体を滑り込ませ、即座に各計器をチェックしながら、クルーゼは呟く。

 自分の身体を治した女、ヒマリ・ミョウジョウ博士。

 自信満々な言葉と裏腹に、その目は何処までも諦め、諦観に満ち満ちていた。

 自分を生み出した世界への憎悪に燃えていた頃のクルーゼとは異なる、しかし強い感情に支配されていた彼女はクルーゼにとってとても分かりやすかった。

 

 「プラントもコーディも知らん。私が生きるために必要だからやってるだけ。」

 

 ジンの開発成功時、初めて酒を口にした彼女が自宅兼ラボでぽつりと零した事を知ってるのはクルーゼだけだった。

 他のお付きの者達、特にハインラインの御曹司辺りが聞いたら「その通りです!博士がプラントを利用しているのであって、その逆はない!」とか本気で肯定してくるだろう。

 だが、それは優越感から来るものではない。

 自身の才能と成果からの上から目線ではなく、何処までもこの世界に対して諦めている彼女が妥協に妥協を重ねた末にプラントを選んだだけなのだ。

 その気になれば自分の身体を治し、何処にでもいけるヒマリはしかし、何処にいってもこの憎しみの目と心と、引き金を引く指しか持たぬ者達ばかりの世界に対して、諦めてしまったのだ。

 何処に行っても最低なら、少しでも自分にとって都合の良い場所へ。

 そして選んだのが偶々プラントだった。

 それだけの話なのだ。

 

 「であれば、恩返しのためにも多少は働くとしよう。」

 

 格納庫内にて、三機の黒いビルゴと純白の指揮官機がそのモノアイに光を灯した。

 

 「ラウ・ル・クルーゼ。ビルゴ小隊、出るぞ!」

 

 その日、ザフトのトップガンの名が更新された。

 その名をラウ・ル・クルーゼ。

 人の業によって生み出されたクローン人間にして、同類を守るために戦場に立つ事を選んだ男。

 彼が何を、何処を目指すのか、それはまだ分からない。

 しかし、この戦闘にてプラント理事国の宇宙軍は艦載機のみならず艦艇も壊滅、地球圏の制宙権はほぼプラントが握る事となっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 「流石の出来だな。これで試作機とは思えんよ。これに乗っていてはジンが物足りなく思ってしまう。」

 「そうでしょうとも。この私の発明ですからね。」

 「だがMDはまだ未熟だな。やはり無人機だけあってまだ動きが硬い。近接戦闘に至っては新兵のそれだ。火力も現状においては対艦戦以外では過剰だ。」

 「ふーむ。一機は対艦メインの砲戦機、残りはビームライフルを主兵装にしておくべきですかね。」

 「ビーム兵器はやはり継戦能力に響く。バルカンも追加するとして主兵装はやはり既存の重突撃機銃で良いのではないかね?」

 「んーでは状況が変わるまではアンダーバレルにビームガンを追加しますか。対MAならそれで充分でしょう。」

 「後はやはり実戦データの収集か。シミュレーターだけではやはり足らんな。」

 「取り敢えず実弾メインに換装した機体で電子戦仕様のジンに指揮してもらいましょう。それで必要なデータは集まるでしょう。」

 「成程、指揮管制機能さえあればジンでも問題ないと。…思うに、先にジンを無人化すれば良かったのではないかね?」

 「プラントなんて円筒形よりも脆弱なコロニーに住んでるんですから、その守り手には強くなってほしいじゃないですか、」

 「つまり?」

 「趣味です!」ドヤァ 

 「…………」無言で頭ワシワシ

 「ちょ、ま、何してるんですか!?や、止めなさい止めてください!あ、アルバート!アルバー、なんでもっと手荒になるんですか?クルーゼ!?クルーゼ!」

 

 

 

 

 

 

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