超天才清楚系病弱美少女ハッカー風転生者がヤケクソになる話   作:VISP

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もう数話で終了予定…なんだけどもっと増えそう(汗


火星編 第15話 詰んだプラントとハッスルガルシア おまけのジンクス

 C.E.71年6月 ザフト参謀本部会議にて

 

 所謂黒服と言われるザフトの現場指揮官、司令官職の彼らは一様に頭を抱えていた。

 

 「「「「「「もう完全に詰んでる……。」」」」」」

 

 彼らは優秀だった。

 優秀だったが故に閑職に回されず、今日まで身を粉にしてプラント独立のために戦ってきた。

 きたが…これはもうどうにもなりませんわ、と匙を投げるしかなかった。

 

 「外交的に四方八方敵だらけ!」

 「食料確保した所でいきなりそんな消費は増えないのにミョウジョウグループにも喧嘩売った!」

 「戦力的に押され始めてたのに技術的に上の火星連邦まで敵に!」

 「トドメに議長は講和なんて端から考えてない!」

 

 幸いにもプラント本土を守る二つの宇宙要塞の改修は完了し、ヤキンとボアズによる防衛線構築は完了している。

 しかし、マンパワーが絶望的に足りない。

 幾ら頑張って補充や新兵器の配備をした所で既に士官学校生を繰り上げ卒業させたのみならず、一定以上の年齢の学生らをほぼ全て動員している状態なのだ。

 最早プラントに社会を維持できるだけの人員は残ってないと断言しても良い状態だった。

 これだけでも辛いのに、出生率の低下は相変わらず重く圧し掛かっている。

 いくら独立を達成した所で、残るものはあるのだろうか?

 そんな不安と絶望が彼らの心を鷲掴みしていた。

 

 「…防衛計画の策定を続けよう。予想される敵艦隊の規模はどうか?」

 「戦前のナンバーズフリートの数は既に回復済みです。艦載機もMSが多数存在し、その総数は不明ですが…最低でもこちらの数倍はあるかと。」

 「艦艇数からして、既にこちらの2倍を超えています。どれだけ増強されているか考えたくはないですが…下手すると火星連邦の艦隊と合わせて、こちらの4倍以上なんて事も有り得ます。」

 「MSは現在ジンの改修とゲイツの生産を急いでいます。ベテランを地上から宇宙に上げようというプランもありますが…。」

 「制宙権の確保に不安があります。一時的なものなら兎も角、恒常的に地球からの航路を維持する事は最早困難かと。」

 「火星連邦の主力艦隊が到着するのは7月初頭に入ってからと思われます。実際に戦闘に出てくるのは機体や艦の慣熟と連合側との連携の確認等でもう少し先になるかと。」

 

 報告の多くは絶望的な状況を改めて教えてくれるものだったが、それでも彼らは職務を全うするつもりだった。

 それが最善であると、プラントの未来を拓く可能性が僅かでもあると信じて。

 

 「合流する前に各個撃破は可能かね?」

 「不可能です。こちらのエースやベテランを全て使い潰すつもりでも、向こうの戦力が回復する方が早い。」

 

 クルーゼ隊を筆頭に、未だ実力と優良装備を維持している部隊はある。

 しかし、それ以外の部隊の消耗や練度低下は著しく、MSの優位性も無くなった今、数の差を覆すには至らないというのが参謀本部の見解だった。

 

 「加えて、我が方の艦艇はどれもMSの運用に特化した構造です。」

 「連合の艦艇に対し砲の射角は限定的で、対空能力は明確に低い。そして何より数が足りない。」

 「MSに頼りきってきたツケだな。我々の軍備は全てMS在りきであり、補助戦力は極僅かだ。MSを使った戦術的優位性が消えた今、地力の差が如実に出て来た。」

 

 だが、そうでなければ国力、特にマンパワーで劣るプラントが軍備を整える事は出来なかった。

 汎用性が高く、戦闘以外の多くの作業に使えるMSを使う事で国力、特に人的資源に劣るプラントは地球連合に隠れながらも軍備を整える事が出来た。

 だが、他全ての兵器や作業機械に代替する事はコストやサイズ面からも出来ないし、マンパワーばかりはどうしようもない。

 結局、プラントは何処まで行っても小国で、独立ならばまだしも地球連合相手に戦争し続けるだけの体力はどう足掻いても無かったのだ。

 

 「ゲイツへの機種転換訓練はどうなっている?」

 「学徒兵を中心に訓練しています。ベテランの多くはジンⅡで構わないと…。」

 「まぁ、時間と生存性を考えればそうなるか…。」

 

 最早まともな機種転換訓練をするだけの時間は残されていない。

 だったらせめて生存する可能性の高い最新鋭機を新兵に、ベテランはジンの正統後継機たるジンⅡに乗るのが理に適っていた。

 勿論、クルーゼを始めエース級は優先的にゲイツが割り当てられ、相応の活躍をする事を期待されているが。

 なお、シグーは未だ良好な性能を持っている事からジンⅡの武装とバッテリーの追加のみで特段の改修はされていない。

 

 「余った地上用MSの再利用計画は?」

 「進めています。主にMS操縦の適性の無かった新兵を中心に搭乗させていますが、意外と有効なようです。」

 「バクゥにザウートがこんな形で活躍するとはな…。」

 

 バクゥにザウート。

 この二機種は地上戦線で大いに活躍したものの、宇宙ではその出番はほぼ無かった。

 故にMSとは考えず、移動砲台或いは固定砲台としてMS操縦の適性が無かった学徒兵向けに運用する事が決まった。

 これは二機種は宇宙で不要な装備を削った上で甲板上で砲台として運用するべく改修を施し、対空迎撃能力の低いザフト艦艇の対空砲台としての任に就く事となる。

 

 「水中用MSはどうか?」

 「余り順調とは言えませんな。連合のMA程のドッグファイト能力は付与できませんでした。確かに攻撃機としての火力はそれなりのものですが…。」

 「構わん。一撃離脱に徹させれば多少は生存率も上がるだろう。」

 

 グーンとゾノ。

 水中用MSとしてザフト水泳部の二枚看板として活躍してきたものの、地上との航路を実質封鎖された現在ではその生産ラインはバクゥとザウート以上にお荷物だった。

 そのため、一撃離脱の対艦攻撃に特化した機体として脚部を大型ブースターに交換し、スラスターや余った火器を追加する改装が施された。

 なお、音波兵器であるフォノン・メーザー砲や魚雷は宇宙では使用できないので撤廃され、純粋なレーザー砲とミサイルかロケット弾ポットが配置されている。

 

 「何でMS使って連合のMA擬き作ってるんだろなオレら…。」

 「言うな。悲しくなってくる。」

 

 こうした彼らの苦悩と努力だが、実はパトリックとその側近達からはそれなりにしか評価されていない。

 その原因はジェネシス及び試作型のジェネシスαの存在を、パトリックは側近にしか明かしていない事が上げられる。

 ジェネシスさえあれば勝てる、ナチュラルを滅ぼせると思ってるパトリック達からすれば、ジェネシスを知らない彼らの行動は無駄ではないが必要以上の過剰労働にしか見えなかった。

 ジェネシスさえ、ジェネシスさえ完成すれば勝利は揺るがない。

 そんな半ば以上後先の事を考えるのを拒否、否、放棄しているのがパトリックとその側近達だった。

 

 「よし、次はジンⅡの配備状況だが…。」

 

 そんな事は露知らず、勤勉な参謀本部のザフト指揮官達はテキパキと仕事を進めていくのだった。

 

 

 ……………

 

 

 C.E.71年7月後半 月面プトレマイオス基地にて

 地球連合軍司令部は予定通り戦力の充足を完了したとして、遂にプラント本国を占領、ジェネシスを完全破壊すべくエルビス作戦を発令した。

 そして、ユーラシアの艦隊が先行して月から地球を挟んで反対側となるアルテミス要塞へと移動を開始した。

 彼らの役割は一つ、ボアズ要塞攻略戦のために前線基地兼破城槌として使用するアルテミス要塞の移動の補助と護衛である。

 

 『ガルシア司令、人員の退避は完了済みですかな?』

 『えぇ、既に人員の多くは引っ越し済みです。後は我々基地司令部と護衛だけです。』

 『では予定通り進めていきましょう。いざとなればぶつける事になるのですから、何時でも退避できるように注意してください。』

 『分かっておりますとも。このアルテミスの力、とくとコーディネーター共に見せてやりましょう。』

 

 ユーラシア月面方面艦隊司令に、ガルシアはニヤリと返す。

 ここまで実に長かった、とガルシアは思った。

 基地司令となれば相応に良い立場だが、本国からも戦線からも遠く離れた土地でただゆっくりと腐っていく日々は軍人として耐え難いものがあった。

 彼とて元は宇宙の船乗りとなるべく宇宙軍に所属した身で腐っていく事に忸怩たる思いだったが、それでも最前線で塵の様に散っていくよりは遥かにマシだと言い聞かせてきた。

 そんな状態で部下達も真面目に働く訳もなく、不満と腐敗の温床と化していた。

 そんな日々が先日の総司令部からの命令によって大きく変わった。

 その内容を要約するとこうなる。

 

 『敵要塞及び戦略兵器攻略のため、アルテミスを前線基地兼破城槌として改装する。』

 

 やっと出番が来たのだと、そう思った。

 そこからガルシアの動きは早かった。

 基地内の非戦闘員を始め、輸送艦で必要ない人員と装備に設備の退避、旧式化したメビウス等のパイロットらの再訓練を命じつつ、作業員には基地構造の補強及び移送されてきたブースターユニットの装着作業を命じた。

 今までが嘘の様な慌ただしい半月だった。

 だが、その慌ただしさに応じて、アルテミスは一気に移動要塞へと仕上がった。

 アルテミスの傘こと全方位光波防御帯の突破による発生基の破壊も考え、防衛艦隊内の輸送艦には発生基の予備パーツの半分を修理用の工具や作業用ミストラルと共に積載させ、素早い修理が出来るように配置した。

 ガルシアはやれるだけの事はやった。

 腐っていくだけの日々を止めて、これから彼らは船ならぬ要塞に乗って戦場に行くのだ。

 

 『機動要塞アルテミス、発進せよ。目標、ボアズ。』 

 『了解。レーザー核パルスエンジン始動、移動開始。』

 

 後発の大西洋連邦・東アジア両艦隊と途中で合流しつつ、ユーラシア艦隊及びアルテミス要塞はボアズへ向けてゆっくりと出発した。

 

 

 ……………

 

 

 ほぼ同時刻、遂に地球圏へと到達した火星連邦先行艦隊はその任務を果たすべく、長距離偵察仕様バタラによってクリアリングを済ませた宙域でアマクサ及びジンクスの動作テストを行っていた。

 

 「テスト項目、70%まで消化完了。以降は模擬戦闘の形式を取る事となります。」

 「許可する。双方訓練用設定で模擬戦闘を開始せよ。」

 

 許可と同時、二機の最新鋭MSが同時に射撃と乱数回避を行い、激しいドッグファイトを開始する。

 MFSー02アマクサ と GNXー01ジンクス

 両機とも基礎設計や基本構造は共通した機体であるが、しかし、たった一つ致命的に埋め難い差があった。

 それはGNドライヴ搭載機か否かである。

 GNドライヴ無しならば、両機にはそこまで大きな性能差は無い。

 GN粒子を用いた動力源、別名「太陽炉」と言われるそれは極めて革新的な技術だった。

 この太陽炉に電力を供給する事で安定してGN粒子を生成する事が出来る。

 このGN粒子は原初粒子と言われ、通常は自然界に普通に存在しているものの密度が非常に希薄で特殊な効果を及ぼすような状態には無い。

 太陽炉によって安定的に生成・圧縮する事で初めて様々な特性を用途に応じて発揮できる。

 代表的なものだけでも以下の通りとなる。

 

 1、圧縮すればビームになる。圧縮率が高ければ高い程質量が増す。

 2、質量を軽減させるなど慣性緩和効果がある。

 3、斥力を発生させる推進剤となる。

 4、遠隔操作兵器に大出力スラスターを必要とせず、重力下でも空中浮遊を可能とする。

 5、自由に形成でき、敵の攻撃や大気圏突入時の熱から機体やパイロットを保護するバリアになる

 6、脳量子波とよばれる特殊な通信手段の媒介となる。

 7、電波攪乱効果によって目視で確認出来るまで感知されない。

 8、高濃度では電子部品を焼くなどECM的効果がある。

 9、人体の細胞変異を促す。また無毒化処置をしていない特定の圧縮状態ではテロメアを破壊したり細胞異常を引き起こす毒性を有し、再生医療も受けられない。

 10、外部に放出されると一定時間で自己崩壊を起こし、酸素と水素になる。

 11、粒子を熱変換し、対象を容易に溶断する(GNカタールで実用化)。

 12、弾丸等に内包して発射できる(毒性がある粒子なら細胞異常を引き起こせる)。

 

 現在、ジンクスに搭載されているGNドライヴには敢えて6と9の機能を制限し、無用な混乱や被害の発生を抑えている。

 試作型のヴァラヌスに比べ洗練されているとは言え、まだまだ粗削りな面もあるジンクスだが、それでも通常の推進剤を用いた反発推進と核融合炉のみのアマクサに比べ、圧倒的な性能を誇っていた。

 

 『くそ、早過ぎだろ!』

 『すまんが、最新型で負けてられないんだよ!』

 

 パイロット達の通信がブリッジに届く。

 テスト項目の消化は順調だが、それはそれとしてパイロットとして負け続けるのは性に合わないのか、アマクサのパイロットは特務部隊に恥じぬマニューバでGNビームライフルの射撃を回避、或いはシールドで防ぎつつ、防御する。

 しかし、被弾する回数は明らかにアマクサの方が多い。

 それ程までにGNドライヴ搭載機は既存機に比べて大きな差があるのだ。

 

 『間も無く近接戦闘に移ります。』

 

 オペレーターの声とほぼ同時、両者はライフルを投げ捨て、近接武装を展開する。

 アマクサは対PD用にビームザンバーを、ジンクスはGNビームサーベルをそれぞれ右手に握り、一気に相手に向かって加速した。

 一切の減速も迷いもなく、両機は振り被ったサーベルをそれぞれ振り下ろし、鍔迫り合い、縺れ合う様に回転してから互いを弾いて距離を取り、タイミングを見計らう。

 対PD装備として、通常はレーザーとレールガン、そして近接戦闘が上げられる。

 だが、それはあくまで対策に過ぎず、決定打となるかはパイロットの腕に依存する。

 そのため、火星連邦開発局では対策として既知のビームサーベルを発展、ビーム刃を形成する粒子を縦に高速回転させて切断力を大幅に向上させたビームザンバーを開発した。

 それに対し、ミョウジョウ博士はGN粒子を用いた高出力・高密度のGNビームサーベル及び今回は使用していないがGN粒子を纏った実体剣であるGNソードを開発した。

 どちらもPD及び既存のレーザー重斬刀や対ビームコーティングシールド等に対して十分な切断力を発揮しており、現状の地球連合及びザフト系MSの持つ防御手段ではこれらを防ぐ事は出来ない。

 

 『くそ、一矢報いられたか。』

 『うへぇ、やっぱ負けかぁ。』

 

 そして、全てのテスト項目が終わる頃には二機の決着もついていた。

 アマクサの手首のビームサーベルで不意を打って敢えて回避させ、動きの乱れた所で本命のビームザンバーの一撃で倒す。

 しかし、ここまでの航海で既に互いの手の内を知っていた二人にとって、それは想定内の動きでしかなかった。

 アマクサは辛うじてジンクスの胸部にある小型粒子発生基を片方だけ切断したものの、その直後に胴体に横薙ぎの致命打を受けて撃墜判定をもらった。

 

 『状況終了。整備班は二機が帰投次第、総点検を開始せよ。作戦開始まで時間は無いぞ。』

 

 こうしてプラントを巡る戦争の最後、その前哨戦とも言えるボアズ攻防戦及びジェネシスα破壊作戦が間も無く始まろうとしていた。

 

 

 




〇シグーⅡ
 PD対策としてジンⅡの武装である携行式レールガン、レーザー重斬刀、PD発生基内蔵シールドの装備、大容量バッテリーの追加を行った機体。
 ジンⅡと機体性能の差は殆どないが、耐久性の点においては素の装甲が薄い分だけ劣っている。
 なお、新規生産分は胴体部に派生機のディンから逆輸入したマルチランチャーが追加された機体も存在する。

〇ビームザンバー
 対PDとして火星連邦政府の開発局で開発されたビーム斬撃兵装。
 ミラージュコロイド粒子を定着させるための磁場形成理論を応用し、磁性を持った粒子群を刀身状に形成するビームサーベルから発展したもの。
 単に刀身状にするだけでなく、粒子を縦に高速回転させる事で電動鋸の様な高い切断力を実現している。
 必要な電力は既存のビームサーベルと同じく掌のコネクターから供給される。
 反面、柄の本体の大型化・燃費悪化・高コスト化を招いており、装備時はサイドアーマーのどちらかに専用ラックを備える必要がある。

〇GNビームサーベル
 原作と同じだが、アマクサ同様に非使用時は手首に装備し、GNビームガンとして機能する。
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