超天才清楚系病弱美少女ハッカー風転生者がヤケクソになる話   作:VISP

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火星編 第22話 戦後 前編

 その後の話をしよう。

 司令部を制圧されたヤキンドゥーエからシーゲル元議長による停戦命令が、プラント本国の放送局からは歌姫ラクス・クラインより停戦の呼びかけが行われた。

 これに対しヤキン内外のザラ派閥のザフト兵、プラント本国の防衛部隊の一部が攻撃を行い、停止させようとした。

 しかし、ヤキン宙域に展開する地球連合・火星連邦合同艦隊はこの停戦命令に応じると共に、戦闘停止しないザフト兵への反撃が許可された。

 混乱を避けるため、降伏するザフト兵は武装解除の後に火星連邦側で受け入れるとの宣言が火星連邦艦隊から発せられると途端に降伏はスムーズになり、次々と投降するザフト兵達が現れた。

 反対に、地球連合艦隊との戦闘続行及び宙域から離脱を試みる者達も現れたが、これには合同艦隊は最早処置無しと淡々と攻撃、撃破していった。

 これはプラント本国防衛隊も似た様なもので、多少の散発的抵抗こそあったものの、クライン親子の呼びかけにより武装解除及び関係者の拘束は順調に進んだ。

 市民に関しては当初こそ混乱が見られたもののクライン親子からの呼びかけとギルバートによる説得で多くが落ち着きを取り戻し、ザフトの生き残り達が武装解除も終わって自宅に戻ってくる頃には日常生活に戻っていた。

 こうして、余りに失うものばかりが多かった戦争は一先ずプラントの敗戦で終わりを告げた。

  

 そして、後はワクワク★戦後処理のお時間です(白目)。

 

 『で、どうしましょうか?』

 『事前協議通りでダメです?(震え声)』

 『それだと何もかんも足りねぇっつってんだろうがよォ!!』

 

 端的に言おう。

 プラントは既に、国家として破綻していた。

 そりゃーそうである。

 史実以上に苦戦して割と初期の方からあっぷあっぷだった所をバタラの登場やコロニーの統治で完全に前線も後方も人手が足りず、学徒兵を大量動員してもなお解消できない状態だったのだ。

 結果として、プラントはほぼほぼ無人のコロニー群と化していた。

 これでは例え独立を勝ち取ったとしても、人口ピラミッドが歪どころか倒壊待ったなしの違法建築状態になった事だろう。

 もうプラントには国家体制を維持できるだけの人口が既に無く、例え占領して奴隷状態で生産活動に従事させた所で、嘗ての高品質かつ大量の生産力を発揮する事は不可能だろう。

 しかもコーディネーター特有の問題、世代を経る毎に低下する生殖率も付いてくる。

 

 Q、つまり?

 A、幾ら待っても人口回復しない=賠償金とかも払えません(はぁと)

 

 これには関係者一同も頭を抱えた。

 

 『核融合炉の普及もあって復興は進めてますけど幾らかかる事か…。』

 『人類滅亡を防いだにしてはお粗末な結果ですな。分かってた事ですが。』

 『地上にいるザフト兵を全て帰還させても無理なのか?』

 『無いよりはマシになるだろうが…一部では野に下ってテロリストや傭兵になっているらしく、全ての帰還は不可能だ。』

 

 NJCの技術情報を入手した地球連合はサクッとNJCを再現し、地球全土へと順次ばら撒いた。

 これにより地球全土で問題となっていたエネルギー問題が完全に解消、電波障害等も収まり、戦前の設備や電子機器が復活し、各種復興事業が始まった事で民間でも漸く終戦を実感する事が出来るようになった。

 また同時に現在、地上に展開したザフト軍に対してプラントからの正式な通達と共に降伏及び帰還事業が行われていた。

 勿論、ジェネシスを用いて地球ごと焼き払われる一歩手前だった事も含めて知らされており、殆どのザフト兵は予想以上に素直に降伏した。

 しかし、戦争犯罪やら熱心なザラ派やら私怨やら様々な理由からプラントへの帰還を拒絶した元ザフト兵らはMSその他の兵器や物資を勝手に持ち逃げし、アフリカの大地や海に三々五々に散っていった。

 なお、捕虜になってた砂漠の虎とその恋人はあっさりと帰ろうとしたが、便利な人材だったために各地の元ザフト兵の説得のためにあちこち奔走させられていたりする。

 こうした元ザフト兵達は地球連合へのテロリスト、或いは解散したアフリカ共同体の何れかの勢力か南アフリカ統一機構等に雇われる傭兵として各地で活動している。

 こんな状況になったのも、親プラントを表明していたアフリカ共同体が地球連合に制圧される前に内部から崩壊した事が主な原因だった。

 元々プラントが地球での足場とするために無理に成立させたアフリカ共同体は不安定であり、そのトップだった大統領も自民族優遇を隠さず、内政手腕も褒められたものではなかった。

 唯一ザフトの協力を得られるという利点があったからこそ大統領はその椅子に座れていたのだが、プラントが敗戦した以上、ザフトが戦う道理も無い。

 当然の様に発生した革命により大統領他政府首班は全員が殺害、アフリカ共同体は元通りバラバラとなって治安は戦中以上に悪化し、混乱状態が続いている。

 なお、アフリカのビクトリア基地及びマスドライバーを所有しているユーラシア連邦は復興しつつもビクトリア周辺の治安維持に躍起になっていたりする。

 だが、アフリカ沿岸部は大体ザフト水泳部の庭のままだったりするので航路では相応の出血が続いており、兵站の担当者はストレスで毛根がハゲ上がったそうだ。

 

 『更に言えばジャンク屋連合の問題もあります。』

 『あぁ、例の特権取り上げたらかなりの数がテロ屋になったとか。』

 『地上や宇宙の離脱した元ザフト兵に多数MSの部品や物資を売っているそうだ。』

 『大人しく半官半民の会社に就職するのがそんなに嫌かねぇ。』

 『嫌ではないが、過去の悪行を知られるのが嫌だったんでしょうね。』

 

 戦中から問題行動が目立ったジャンク屋連合はその特権を取り上げられ、正式に解散する事が決定した。

 今大戦で大量に増えたスペースデブリは宇宙開発においては大きな障害となってしまう。

 それを解消するために危険な作業に従事するデブリ回収業者の存在は必要不可欠だが、余りにも行き過ぎた特権はテロや犯罪の温床となり果てていた。

 これを戦中から重く見ていた地球連合・火星連邦・他地球各国は合同で新たにデブリ回収多国籍企業を設立し、現ジャンク屋連合所属業者にはこれに移籍するよう強く訴えた。

 が、素直に移籍したのは少数派で、多くは元の在野の個人事業主へと戻った。

 そして、その中の少なくない数が戦中の問題行動、即ちテロ屋や宇宙海賊へと専念する事となった。

 そういった連中は元ザフト兵らと協力し、回収したジャンクの内戦闘に耐え得る代物を元ザフト兵へと仲介業者を通じて多数売却し、戦後半年に至っても宇宙では未だ散発的な戦闘が行われている。

 

 『ま、うちは多少の損耗こそあれど戦後の復興利権に絡めましたし、以後は自衛のみでノータッチという事で。』

 『ですな。』

 

 地球連合が約束した火星連邦への利益はしっかりと事前協議通りに履行された。

 ミョウジョウグループのコロニーの返還手続きに各種賠償、復興事業への参加がそれだ。

 火星連邦の成立と共にその力を内外に見せる事も出来たため、戦勝国と言えども多大な損耗を被った地球連合が早々に火星連邦へと仕掛けてくる事も無い。

 少なくとも数十年は軍事・経済的なダメージが抜ける事は無いだろう。

 その内に火星連邦は更なる飛躍を遂げ、喧嘩するより仲良くした方が良いと示し続けるのだ。

 現状、大西洋連邦は財政・軍事面でのダメージこそあるものの健在だし、ユーラシア連邦は大西洋程ではないがまだ余力はある。

 しかし、今一つ良い所のなかった東アジア連合(そのため最激戦の第二次ヤキン戦で火星連邦共々一番負担の多い両翼担当になった)は加熱する再独立派を鎮圧する等の国内の引き締めに手一杯であり、何ならテロリスト化した難民の件で火星連邦より国債の売り出しを盾に賠償金を請求されていたりするので財政・外交共にほぼ死に体である。

 現状の仮想敵国がコレなので、割と火星連邦は安泰に見えるのだが…

 

 『我々も今は内部の引き締めこそ問題ですからな。』

 

 プラント独立戦争より三か月後、ヒマリ・ミョウジョウ博士の死亡が公表された。

 これに地球人類のあらゆる勢力が混乱・動揺し、詳細を知るために一斉に火星連邦へと連絡したせいで一時的に通信網がダウンする事態となる程だった。

 半日後、改めて詳細が発表されると、人々は概ね落ち着いた。

 死因は老化による内臓機能の低下、そして延命治療の拒否によるもの。

 要するに老衰だった。

 だったのだが、そんな政府広報を信じない者は多かった。

 「あの婆がそう簡単にくたばる訳ない」「あれが最後の妖怪婆とは思えない」「絶対後継者とかいるでしょJK」「クローンミョウジョウ博士軍団…そう言えば遺伝子データは一部で調査済みだったよな」「何で死んじゃったんですか教授ー!」

 こんな感じで無数の流言飛語が飛び交い、関係者は事態の収拾に躍起になった。

 そんなもん放置しとけば?という意見もあったが、収拾しないと何時までも火星連邦の通信網に過負荷がかかるので放置も出来なかった。

 そんなこんなで表向きぐだぐだしつつ、しかし裏向きではしっかりと遺言その他を残していた。

 

 

 『これを皆さんが見ている頃には私は死亡している事でしょう。』

 

 『まぁそんな在り来たりな話はさて置いて。伝えておくべき事を話しましょう。』

 

 『以前から私の遺伝子情報を元に人為的な天才を生み出そうという研究が行われてきました。』

 

 『大体は潰したり、成果物を保護してきたのですが…一つだけ、今まで私の手から逃れてきた者達がいます。』

 

 『一族と言われている者達です。彼女らは高度なクローン技術を持っている、ロゴスとはまた別種の秘匿された組織で随分昔から暗躍してきた者達です。何でも先のコペルニクスの悲劇も彼女らの手引きだとか。』

 

 『この組織への対応と、出来れば成果物の保護ですね。今まで保護してきた私のクローンやコピーは孫として戸籍上登録し、研究の助手として使い倒してきましたが、これからは表に出てくるかもしれません。』

 

 『まぁ全員研究大好きで政治とかは興味の薄い子達ですから、適度に付き合っていくと良いでしょう。今は主に火星圏、次いで木星圏にいますから、その内会ってみるとよいでしょう。』

 

 『言うべき事は以上です。何時までも私に頼らず、そろそろ自立なさい。』

 

 『私は自分の良識の下、好きに生きました。貴方達もそうすると良いでしょう。』

 

 

 病床の上、以前よりも痩せた面貌でミョウジョウ博士が言い切ると共に映像は終わった。

 これを見たのは火星連邦上層部、そしてムルタ・アズラエルだけだった。

 

 「最後にとんでもない宿題を残してくれちゃってまぁ…。」

 

 ムルタは嘆息と共に天を仰いだ。

 一族の存在は知っていた。

 以前からロゴス伝手で知っており、しかしどうにも危険過ぎると距離を置いていた所にこれだ。

 調査は必要だろうが、もし万が一ミョウジョウ博士のクローンなんてものが一族の手に落ちれば、どんな事が起こるか見当もつかない。

 

 「ま、やるだけやってみますよ。先ずは復興からですけどね。」

 

 こうして、地球人類は新たな戦後へと向き合っていくのだった。

 

 手始めにムルタはブルーコスモス盟主の座を降りた。

 同時、ロード・ジブリールが次代盟主に就き、各地に潜伏するブルーコスモス過激派を扇動し、改めて地球上のコーディネーター狩りを開始しようとしたのだが……就任後、一週間で逮捕された。

 主な罪状はテロ行為への加担だが、何より重要視されたのは「血のバレンタイン」を起こした核弾頭を勝手に持ち出し、剰え傘下の兵に命じて勝手に使用した事だった。

 戦後、肥大化した軍部への手綱を握り直した上で、増えに増えた軍事費を削って復興費用に充てる必要があった。

 軍上層部もその必要性を認識していたのだが、何分巨額の予算が動く案件だし、大量に増えた軍人を下手に解雇すると路頭に迷って治安悪化の原因になる事もある。

 そのため、大鉈を振るうには相応の理由が必要だった。

 そこでロゴスの面々は復興事業推進のためにこう考えた。

 

 もう戦争終わってブルーコスモスもいらんし、パージするか。

 

 そう考えると彼らの行動は早かった。

 狂信的反コーディネーター主義者であるジブリールを「ブルーコスモス過激派を支える財界の大物にして過激派のスポンサー」と言う名の生贄にし、軍・政府内部のブルーコスモス関係者の大規模リストラを開始したのだ。

 散々使い倒したのに、いらんとなったらこの掌返しであるが、人類史上割とよくある事例なので今更である。

 なお、後継者を作っていなかったジブリールの資産はほぼ全てロゴスで山分けからの復興事業の元銭として使われた。

 レッドパージならぬブルーパージと呼ばれたこの一連の政変だが、無実の関係者は特段お咎めもなく事情聴取を行うだけに留められた。

 しかし、実際にテロ行為に加担した者達は所属・立場・階級問わず逮捕されていった。

 これを言論統制だと反発し、テロ行為に出る者もいたが、政府関係者は一貫して「法律に基づいた対応を行っているだけ」として厳正に対処していった。

 

 こんな感じで、プラントの自治権こそ完全に取り上げられ借金塗れとなったものの、地球に住む一般的な順法コーディネーター達にとっては比較的平和な時代となっていくのだった。

 

 

 

 

 




なお、まだまだ平和という訳ではない模様
いつも通りのアフリカ+元ザフト兵と無人化したプラントにより、地球連合は当てにしていた賠償金&プラント利権を得られなかったため、ジブリールの財布を割る事にしましたw
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