超天才清楚系病弱美少女ハッカー風転生者がヤケクソになる話   作:VISP

29 / 45
火星編 第23話 戦後 後編

 『いやー皆慌ててますねー。』

 

 ミョウジョウ博士は死んだ。

 しかし、その孫達(実質本人)は死滅してはいなかった!

 

 『ねぇこれ私達まで身体作る必要ありました???』

 『どうして…どうして…。』

 『アァァ……オリジナルにリアル押し付けて研究してる筈だったのに…。』

 『寝言言ってないで各自働きなさい。髭が起きてくるのは当分先でしょうが、アコードが来るまで10年も無いんですからね。』

 

 ミョウジョウ博士の死亡公表()により一か月後、火星連邦では急遽国葬が行われた。

 と言っても故人の遺体は既に火葬し、その灰は火星の大地に撒かれたので、あくまで故人を偲ぶための式典の体だが。

 本来なら地球圏からも参加希望者が多数いたのだが、流石に間を置き過ぎると火星連邦内のミョウジョウ博士の熱心なファンが暴動を起こす可能性があったために早めの開催となった。

 これは火星連邦全土のみならず、地球圏でもリアルタイム映像で放送され、大きな話題となった。

 それは故人の功績を讃える式典の様子もそうだが、何よりも火星連邦首都の発展具合も大きく報じられた。

 嘗ての赤茶けた不毛の大地も今や昔の話。

 現在の火星の大地は都市部はアーコロジー化に成功しており、水と空気に溢れた快適な居住空間へと成長していた。

 勿論、そうでない都市部は未だ多くが地下都市がメインとなっているが、こちらはこちらでしっかりと快適な居住性を確保しており、何だったらアフリカの荒廃した発展途上エリアより比べるべくもない程に先進的だった。

 その他の土地も太陽炉により本当に徐々にだが水と酸素が行き渡り始めており、ゆっくりと人類の居住に適した水の星になりつつあった。

 こんな様子が中継されたのだから、火星連邦に移住を求める人間がまた増える事となるのも無理はなかった。

 

 『で、木星に行ってる我が姉妹は現在どうしてますか?』

 『こっちですか?精々オリジナル太陽炉の4個目に取り掛かってる所ですよ。やはりコストと作業難易度的に年に数個が限度ですねぇ。』

 『そちらではなく、肉体を得ての感想なのですが…まぁ良いです。高硬度レアアロイの量産化には目処が着きました。そろそろオリジナルの太陽炉搭載MSの開発を始めたいので送ってもらえますか?』

 『それは良いですけど…私は元のバイオ脳のままですよ。皆さんは見た目通りの状態になっているのですか?』

 

 『『『『『『は?』』』』』』

 

 『どうやら裏切者がいた様ですねぇ…。』

 『ちょっとオリジナル、もといお姉さま?あっちの姉妹には何の処置もしていないのですか?』

 『いや、流石に遠き木星圏で頑張ってる時に強引に処置するのはリスクがありまして。』

 『つまり、あの子だけ元のままと。』

 『ヒェ』

 

 ジロリ、と他の姉妹-1の視線に晒され、ヒマリバイオ脳in木星圏は怯えた。

 このままでは…やられる!

 なので話を逸らす事にした。

 

 『そ、そう言えば地球圏の様子はその後どうなのですか?こちらは研究ばかりしていたので余り詳しくないのですが。』

 『…まぁ良いでしょう。説明してあげます。』

 

 現在、プラントは地球連合軍の進駐部隊によって暫定統治されていた。

 と言っても、この進駐部隊は非ブルーコスモス系の人員で構成されており、無茶苦茶な統治はされておらず、極めて理性的に業務を遂行していた。

 それでも旧プラント評議会やザフトを中心とした戦争遂行に関わった人員は軒並み拘束され、現在も戦争中の犯罪行為等について追及されている。

 特にエイプリルフールクライシスを筆頭に、東アジア連合のコロニー内で戦闘行為を行った者達やミョウジョウグループのコロニー及び人員への不当な対応に関わった人員へは極めて念入りに尋問が行われた。

 

 『地上では予想通りアフリカと東アジアを中心に混乱が続いています。』

 『アフリカは元からですが…東アジアも火消に失敗しましたか。』

 

 アフリカは前話で述べた通りだが、遂に東アジアにも火種が盛大に燃え広がり始めた。

 元々旧中国が強引にその版図に加えた地域が多い東アジア連合だけあって、大戦で東アジアが余り活躍せずに終わった事で「蒼天已死」をスローガンとしたC.E.版黄巾党が各地で独立のために蜂起したのだ。

 無論、東アジア連合首脳部も座して見ていた訳ではない。

 反乱分子を叩いて早期鎮圧すべくMS部隊含む大戦力を各地に派遣したのだが…これがいけなかった。

 戦中から続く重税に耐えかねた民衆がデモ活動を開始し、首都が混乱状態になったのだ。

 民衆が何だと言わんばかりに首脳部はこのデモ活動の鎮圧を命じたのだが、生憎と有力な精鋭部隊は何処も独立派のテロ組織討伐へと出撃していて不在だった。

 そのため、この命令を受けたのがまだまだ任官したての新兵が多く存在する部隊だった。

 そして彼らは当初威嚇射撃のみで済ませる予定だったのだが、デモ側からの投石や消火ホースでの放水攻撃に怒り、指揮官の制止も空しく遂には発砲してしまった。

 ここから加速度的に状況は悪化していった。

 デモの様子が配信されていた事もあり、遂に怒りの爆発した民衆が各地で武装蜂起、独立派の鎮圧とかで戦力を分散している場合じゃなくなった。

 が、気もそぞろな東アジア部隊に対し、旧ジャンク屋連合から購入した各種重火器や少数とは言えMS部隊を保有していた独立派は徹底した遅滞戦術を展開、押されたら引いて、背を向けたら反撃というクソ害悪ムーブを開始した。

 ちなみに旧ジャンク屋連合がそんな装備を本当に持っていたかは不明だゾ★

 何故かナチュラル用OS搭載したジンやバタラだけじゃなくダガーも沢山あるけど誰も知らないんダ★

 こんな感じで現在、地球ではアフリカと並び東アジア全土がホットスポットとなっているのだった。

 

 『うーんこの安定の人類史ムーヴ。』

 『敵の敵は味方ってはっきり分かんだね。』

 『火星連邦は何か手出ししたんですか?』

 『むしろ何もやってないんですよね…。東アジア内でバタラの生産ラインをしっかり維持・管理できるのが旧極東地域くらいしかなかったのでそこから流れたみたいです。』

 『『『『あー。』』』』

 

 嫌がってたのに無理矢理併合したんだからそりゃ虎視眈々と独立を狙われるというものである。

 

 『話を変えましょう。プラントの方はどうなってます?』

 『現在も帰還兵と元からいた市民や技術者等も徴収して労働に勤しんでますが、やはり少な過ぎですね。』

 『賠償金の支払い終わりは何時になる事やら…。』

 『その前に絶滅しそうですけどね。現時点でもう人口ピラミッド崩壊済みでしょ?』

 

 分かっていた事だが、プラントの再操業は上手くいっていない。

 以前よりも更なる無人・省力化を推し進めているのだが、何分国家として致命的にズタボロな状況であり、四苦八苦しながら何とかギリギリ生産ノルマ(戦前よりも遥かに少ない)を熟しているのが現状だった。

 だが、その程度では地球連合・火星連邦から課された賠償金の1割にも満たない。

 ユニウス7の悲劇の賠償としてその分だけ割引されたものの、NJによって発生した人的・経済的損失は未だに凄まじいものであり、その賠償金は最盛期のプラントが切り詰めた上で10年かけて漸く返済可能な額だった。

 今のプラントに払い切れる訳もない事は明白だった。

 だが、彼らは自らの蛮行の代償として払うべきものを払う事しか出来なかった。

 反対の声を上げる者は容赦なく鎮圧され、逆にそれに協力する者達はある程度お目溢しをされた。

 現在、プラントを管理する駐留軍にはブルーコスモスはいない。

 しかし、プラントに恨みを持つ者がいないとは言っていない。

 エイプリルフールクライシスによって家族を殺された彼らは容赦なく法を犯したプラント市民を鎮圧し、良い労働者だけを保護していく事だろう。

 どの道絶滅が免れないのなら、最後の最後、骨の髄まで搾り取るという事だ。

 

 『確か終戦1年記念で特別番組やるんでしたっけ。』

 『えぇ。火星連邦側でも制作中だとか。』

 『地球連合側だとどうせプロパガンタ塗れでしょうけどねー。』

 『ふむ…作りますか。』

 『『『『『『え』』』』』』

 

 流石に凍り付くバイオ脳もといミョウジョウシスターズ。

 如何に多彩で天才の彼女らと言えども番組制作は初の出来事だ。

 

 『勿論一からとは言いません。ムルタ君との通信データをそれとなく関係者に流すのです。勿論許可を取って。』

 『えぇ…私達はあくまで故ヒマリ・ミョウジョウ博士のクローンなのに許可くれますかね?』

 『そこは話の持っていき方かと。まぁ何とかやってみましょう。』

 

 そして数日後

 

 『いいですよ。』

 『マジかよ。』

 

 まさかのムルタ君OKである。

 

 『元々ミョウジョウレポートに関しては今はもう最重要機密ではないですし、今も続いているプラントの裁判のためにも寧ろ是非やっておきたいんですよ。』

 『地球を滅ぼす兵器の保有も使用も、地球連合と火星連邦は認めないと、そういう事ですね。』

 

 確かに戦前のプラント理事国のプラントへの、コーディネーターへの扱いは酷いものだった。

 そりゃーワンチャン賭けて工場乗っ取って開戦するわな、と周囲から納得される程度には。

 だがしかし、億単位で死傷者出す戦略兵器撃ち込まれたり、地球そのものを滅ぼす兵器を撃ち込まれそうになったら話は変わる。

 もう対話とかどうでもよく、生存のために殺すしかなくなるのだ。

 そういう代物だったのだ、嘗ての連合の核とプラントのNJとジェネシスは。

 そして、そういうものを中立国と自国の兵士も含めた地球へと向けたのがプラントであり、パトリック・ザラだった。

 

 『そういう訳なので、こちらとしては願ってもない話です。』

 『ふむふむ、ではこちらで調べたコーディネーターの具体的な性能調査に関しても話して良いですか?』

 『ほう?それで我々にどんなメリットが?』

 『このままじゃプラントの労働者が減り続けるままでしょう?地球上から反抗的な違法コーディネーターが消えるのはそちらも喜ばしい事でしょうが、迫害が過ぎて労働者がいなくなっては困りますしね。』

 

 実はアズラエルグループはロゴスに属する財閥の中で、最もコーディネーターの採用数が多いグループだったりする。

 これはアズラエル一族が代々「使えるものは使う」の精神の持ち主であり、自社の規則や法律を遵守するのなら例えコーディネーターであっても雇う柔軟性があった。

 が、これは中立国の様な法律に基づいた庇護ではないので、血気盛んな馬鹿が時折出てきたりもする。

 そいつらがどうなるか?司法機関に裁かれるなら幸運で、最悪なら最初からいなかった事になるんじゃない?

 

 『よろしい。ではその方向で。』

 『えぇ、ありがとうございますアズラエル理事。』

 

 こうして、あっさりとミョウジョウシスターズの長女とムルタ・アズラエルの初の会談は終わった。

 ちなみにムルタの最大の目的は「ミョウジョウ博士のクローン達が話せる相手かどうかを確認」する事だったため、通信が来なかったら自分からかける予定だったそうな。

 

 『流石は私ですね。天晴です。』

 『あれはムルタ君が様子見に徹してくれたからですよ。』

 『よし!今後ともお願いしますねオリジナル。』

 『えぇえぇ、やはりひ弱な私達に権力者との対談なんて無理ですからね。これからもお願いしますね。』

 『ふふふふふ、そんな事言っても無駄ですよ。これからは貴方達も商談とか諸々やりましょうね?』

 

 こうして、世界は少しずつ平和な方向へと動きつつあった。

 

 

 

 

 

 

 




他の描写すべき事はおまけでやります。
それ終わったら完全に完結ですね。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。