超天才清楚系病弱美少女ハッカー風転生者がヤケクソになる話   作:VISP

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火星編 人類統一連合編 2 人類統一連合

 C.E.82年から84年までは荒れていた地球圏が比較的穏やかだった。

 争乱の原因だった旧東アジアとアフリカ一帯がファウンデーション王国の下で実質的に統一され、一度はテロによって荒れたユーラシアもファウンデーション王国との連携で速やかな復興へと移る事が出来た。

 ファウンデーション王国としても改めて内政に注力すべき時期として暗躍は必要最低限とし、情報収集に徹していたのも大きい。

 だがアコードの、より正確に言えば合法ロリババアことアウラ女王にとってはもどかしい日々であった。

 原作からも分かる通り、目的のためならば自国を核で焼く事すら厭わない冷酷さを持ちながら、そうする理由が「自分が創ったアコードが管理する新体制を構築したい」という極めて個人的かつ独善的な性質を持っている。

 これは嘗てのメンデルで研究員として過ごしていた頃の事。

 アコードの他にもアンチエイジングの研究も並行して行っていたのだが、その開発中の薬剤をメンデル襲撃時に浴びてしまった結果、恐怖と苦痛の中で何ヶ月もかけて子どもの姿まで若返ってしまった事に由来する。

 元々多少アレな性格だったのがこの事件で完全に何処かが狂ってしまったアウラは己の作り上げた子供達=作品による世界統治という野望を抱き、行動を開始した。

 と言っても、聡明かは兎も角本人に支配者としてのカリスマとかは無いので、大体オルフェとイングリット頼りだったが。

 幸いにもスポンサーで遠縁にあたるハイバル帝に匿われ、研究の成果として中々のアンチエイジング薬は作れたのとハイバル帝没後はその資産を継承した事で初期資金源に困る事は無かった。

 そして自国内で密かにデスティニープランを発動、遺伝子に基づく先天的才能を理由に苛烈な統治を敷いた後、改めてファウンデーション王国として東アジア連合を統一(なので正確には連合王国)し、アフリカも実質的な統治下に置いている。

 

 だが、この時点で実質的なトップであるオルフェと副官のイングリットとしては大分キツかった。

 

 何せどいつもこいつも頭C.E.民である。

 何かあればすーぐ争い合い、憎み合い、殺し合う連中である。

 はっきり言ってこんな連中の統治とかどんな罰ゲー?

 しかも他のアコード達はそんな連中をはっきりと見下す態度を表に出すので統治には役に立たねぇ!

 世の中軍事力だけで解決する事の方が少ないのにこの有様で、オルフェは頭を抱えた。

 何とか統治下からまともな人材を探し出し、何かと出世させる事で辛うじて各地の統治を成功させているが、それにしたって限度がある。

 加えて、このC.E.世界に呆れ果てた優秀な人材は大体火星圏やミョウジョウグループに移住したり就職したりして、まともな人材の割合は大分少なくなっていたのもオルフェに仕事が集中する一因だった。

 その状態で?今度は大西洋連邦と火星連邦?他全部敵に回して勝てるだろう国力持った二か国相手に?

 無理に決まってんだろ頭沸いてんのか???

 そんな内心を微塵も感じさせず、何とか我儘気儘を言う母親というか創造主であるアウラ女王を宥め賺して統治を行うオルフェ。

 そんな彼ももう20代の若い男だ。

 癒しを求めて設計上の自分の対となる女性、即ちラクス・クラインを探したが、彼女は遥か遠き火星連邦に移住済みで、プラントの歌姫として名が売れていた事から表立った行動はしていないらしく、それ以降の足取りは不明だった。

 癒しもなく、終わりなきデスマーチを死んだ目で続けるオルフェ。

 肉体的にはまぁ何とかなってるが、それでも精神の疲弊は蓄積し続ける。

 最近では朝から晩まで激務、深夜になって余り酔えないのに強めの酒で晩酌して一息ついてから寝落ちする日々。

 母も兄弟も統治の役にはあんまり役立たないしで、オルフェはもうしんどくて仕方なかった。

 

 「オルフェ、大丈夫?あまり強い酒は身体に悪いわ。」

 「イングリットか…すまないね。最近はこうでもしないと寝付きがね…。」

 

 そんなオルフェを献身的に支えたのがイングリットだった。

 もう毎度お馴染みとなったハーブティーの入ったポットと共に現れた副官に、オルフェはほんのり心が温まるのを感じた。

 彼女がいなかったら、もう随分前にこの生活に嫌気が差して出奔してしまったかもしれない。

 それ位にはイングリットはオルフェにとって大事な所に置いてある女性であり、家族だった。

 

 「ううん、大丈夫。私は私で役得があるから。」

 「それは、どう…いう……。」

 

 日々の激務と度数の高い酒、そしてリラックス効果のある調合をした睡眠薬ハーブティー。

 なお、日々の激務と童貞的思考や潔癖症でオルフェは自分で処理等はしていない事を明言しておく。

 

 「ふふ、ゆっくり休んでねオルフェ。後は私が済ませておくから♡」

 

 妖しく濡れた瞳をした女の声と共に、部屋の明かりが消された。

 こうして、今宵も夜が更けていくのだった。

 

 

 ……………

 

 

 大西洋連邦はファウンデーション王国回りの国際情勢の変化を持ち前の情報部を用いてしっかりと調査した。

 結果、こりゃやってんねぇ!と結論を出し、暫くは自衛に専念すべきと結論を出した。

 何せ彼らもまた前の大戦争での傷が完全に癒えた訳ではないからだ。

 経済的なそれは取り戻したとしても、多くの人的資源を消耗した事に変わりは無い。

 次世代量産期としてダガーL、そしてウィンダムの開発は進んでいるが、完全に更新するには暫くの時間が必要だった。

 鉱物資源の多くを自前で賄っていたのも今は昔、現在は火星連邦から工業生産品とヘリウム3と並ぶ輸入品目として高度に精錬された鉱物資源が挙げられる。

 地球上で採掘可能な資源の多くは目減りする一方で月や小惑星まで採掘している地球圏にとって、多少輸送コストがかかろうとも火星連邦から齎される良質な鉱物資源はとても価値がある商品だった。

 それを真っ先に買う相手が大西洋連邦であり、次にユーラシアとそれ以外と続く。

 この蜜月とも言える関係を断つのは相当に難しい。

 難しいが、不可能ではない。

 その辺は旧世紀から謀略で鳴らした大西洋連邦にとって馴染み深いものだからだ。

 だからこそ、大西洋連邦は警戒し、火星連邦にも警告を出した。

 まぁ火星連邦は諜報員への対策さえしっかりしておけば大丈夫と、距離の暴虐を背景にした防衛体制が整っているのでその辺は安心だった。

 加えて軍事力も数は兎も角質においては最上級を突っ走っているし、数に関してもMD搭載MSの試験が終わり、生産が軌道に乗れば即座に覆せる程度でしかない。

 その立地上、ファウンデーションからの謀略が届かないからこそ、火星連邦上層部は大変ですねーで済ませていた。

 それはそれとしてしっかり外交官を通じて復興義援金を出したり、ここぞとバタラ(輸出用)の新規販売やアップデート等の売り込みもしているがそれはさておき。

 

 「取り敢えず、何かあったら共同して殴るべ。」

 「せやな。」

 

 こんな感じで2か国は秘密協定を締結し、嘗ての戦争よろしくもしもの時に備えるのだった。

 この時までは、二か国は互いを最大の友邦と看做していた。

 

 

 ……………

 

 

 C.E.85年、もう第何次か分からない大西洋連邦発の世界恐慌が発生した。

 と言ってもそれまでの大恐慌に比べれば回復も早く、比較的短期間で済んだ。

 これにはロゴスの他、火星連邦からの支援もあったのだが、それはさて置き。

 大慌てで緊縮財政を行う大西洋連邦に対し、いけしゃあしゃあとファウンデーション王国が囁いてきた。

 

 「我が国と共に世界平和に貢献しませんか?人類統一連合に加入してくだされば、財政支援を行う用意があります。」

 

 内心ピキりつつ、大西洋連邦は慎重に検討と交渉を重ねた。

 何せ下手すると人類統一をお題目に火星連邦と一戦交える事になりかねないのが人類統一連合への参加である。

 あの、今は亡きミョウジョウ博士の孫や弟子達の薫陶篤い火星連邦と戦争。

 その時点で二の足を踏むのが彼らと最も関わり深く、その高い軍事力と技術力をよく知る大西洋連邦だった。

 前大戦であれだけ陰に日向に暴れ回った連中と正面から戦う?

 馬鹿も休み休み言ってもらいたい。

 少なくとも意見を聞かれた軍部の人間は絶対に反対する、加盟するなら退役しますとすら言ってきた。

 火星連邦と戦争は嫌だ、でも資金援助は欲しい。

 喧々諤々と意見が分かれる中、ある一人の官僚の言葉が決め手となった。

 

 「別に必ず火星連邦と敵対する訳じゃないし、もしそうなったら戦闘はしないって予め言っといたら良いんじゃないですか?」

 「採用!」

 

 双方向の貿易も最近は利率が火星連邦側に傾き続けている現状、その辺を改善する取っ掛かりとしてもまぁ有りかな?という意見と選挙の時期が近かった事もあり、人類統一連合への加盟が決定されてしまった。

 なお、この決定を下した政権はサクッとロゴスに見捨てられた。

 

 「いや当然でしょ。目先の金と功績欲しさに地雷踏み抜く人に大統領になってもらいたくありませんよ。」

 

 某CV.勇者王からのコメントである。

 とは言え、火星連邦との貿易摩擦は年々ゆっくりとだが大きくなっていた。

 何せ火星連邦から出される品目は多いのに、大西洋連邦が出すものの多くは家畜や作物の種苗に有機物を多量に含んだ土、そして労働力である。

 幾ら世界有数の金持ち国家とは言え、この状態で取引を続けるのは限度があった。

 加えて、火星連邦側は取り敢えず生きるだけなら自前で全て賄う事が出来るし、資源にしても既に物質生成炉の開発に成功、工業的利用を開始している事もあって無理に取引を続ける必要も無い。

 加えて、商業でも強引な妨害がされると割とあっさり引き下がる事が多かった事も災いして、火星連邦は地理的要因もあって徐々に外交的・経済的に孤立し始めていた。

 

 「まぁ彼女達ならどうとでも対応できるでしょう。こっちは今の内に損切りの準備をしておくとしましょうかね。」

 

 そんな様子をロゴスの海千山千の商売人達は興味深そうに見つめていた。

 何せ火星連邦は理性的な運営がされる、商売相手としては理想的な国家だ。

 そんな彼らがジェネシスの様な戦略兵器を地球に撃ち込んで人類滅亡なんて真似はしないと確信しているからこそ、彼らは商売人に徹する事に決めたのだ。

 だが、火星連邦にも逆鱗はあり、それに触れた者には容赦しない。

 その辺の事情を皮膚感覚として知らないオルフェ達からすれば、こちらの裏工作で押せば押しただけ退いていく火星連邦の相手はやりやすかった。

 相手がこちらへの殺意ゲージを貯めている事に終ぞ気付かぬまま、ファウンデーションはゆっくりと結末へ向けて転がり出していた。

 

 

 




なお、世界中でバタラ君は現役で働いています。
安い!強い!使いやすい!の三拍子で大人気です。
何処でも引っ張りダコで、誰が使っているか分からない程ですねぇ()
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