超天才清楚系病弱美少女ハッカー風転生者がヤケクソになる話 作:VISP
C.E.89年初頭、人類統一連合は未だ地球圏全土を併呑して間もない事から内政ターンのままだった。
ままだったが、それはそれとして火星連邦に対して人類統一連合への参加を要請した。
これに対し、火星連邦政府は「各地で行われている遺伝子差別による組織的迫害及び人権侵害が停止しない限りは参加しない」と返答した。
参加国はまぁそりゃな、という感じで流し、ファウンデーションもその返答を受け取り、「今後も前向きな交渉を行いたい」として流した。
要は互いのスタンスを改めて確認しただけだった。
とは言え、地球圏全土から無視できない程の人・物・金が一方的に出て行っている現状、何れ両者が激突し、大戦争に発展する事は火を見るよりも明らかだった。
「妊娠しました。」
「ふぁッ!?」
それはそれとしてお目出度である。
なんとファウンデーション宰相オルフェ・ラム・タオと副官のイングリット・トラドールの間で妊娠が発覚したのだ。
なお、アウラ女王は紅茶飲んでた所に急報が来たため、椅子から転げ落ちた上に淹れたての紅茶を頭から被った模様。
「け、検査じゃ検査!医者を集めよ!徹底的に検査じゃ!それと休養!安静じゃ!」
女王の鶴の一声と共にイングリットは王侯貴族向けの国内最高の病院へと同僚のリデラード・トラドールを伴って検査入院となった。
「で、オルフェや。一切合切全部話すのじゃ。」
「はい…。」
そして母親にして上司に事の次第を全て話すオルフェ。
途中、プレイの内容とか告白とかの内容に顔を赤くしたりおぉ…とか言うアウラに居たたまれなくなりながらも、オルフェは語るべき事を全て語った。
「うむうむ、そなたらも適齢期で若いからの。相性も考えれば、こうなるのもある種の必然だったか…。」
「必然ですか?」
「うむ。元々イングリットはそなたのサポートの他、もしもラクスに何かあった場合の予備のパートナーじゃった。まぁラクス程適合性は高くはないが、それでも普通の男女のそれよりも相性は高い。何か切っ掛けがあればそうなる可能性は高かった。しかし妊娠とはの…。」
アウラの言葉に納得と同時に少々の不満も感じるオルフェ。
自分と彼女の間の愛を予備の一言で片づけられたのだから、当然の感情だった。
だが、そうした感情を抱けるようにまで情緒が育った事の証明でもあった。
「目出度い。目出度いのじゃが、来年の火星連邦の件を考えると痛手じゃな。」
「イングリットには出産に専念してもらいたいので、母上と共に本国にて待機して頂きたく。」
「ま、そうなるか。イングリットと胎の子が一番じゃしな。オルフェも時期を見て式を挙げるのじゃ。用意は妾と他の子供達でやっておくから、ドレスのデザインだけ王宮の服飾担当と相談する事じゃな。」
「よろしいのですか!?」
てっきり内々で籍だけ入れて済ますか、将来のために嫁取りをしろと言われる事を想像していたオルフェとしては嬉しい予想外だった。
「そなたらは我が子。そして生まれてくる子は妾の孫も同然!孫の誕生を喜ばぬ祖母はおらぬ。こればかりは祖母の特権じゃからな、徹底的に甘やかすのじゃ!ま、先にお主らの結婚式を盛大に行うとするがの。」
「ありがとうございます。イングリットも喜んでくれるでしょう。」
「ふふふ、最近は仕方ないとは言え戦争ばかりじゃったからな。ここらで民草にも明るいニュースといこうではないか。」
こうして、C.E.89年の地球は多くの血を流しながらも表面上は穏やかに過ぎていった。
……………
同じ頃、火星連邦上層部
『はぁ、面倒ですねぇ。』
『全くですな。』
ミョウジョウシスターズの長女と火星連邦上層部のビデオ会議にて、一同は実に嫌そうに顔を顰めていた。
『こちらは例の案件でどこも忙しいというのに、地球の連中は利益にならん戦争に耽るばかりか。』
『とは言え、降り掛かる火の粉は払わねばならん。』
『MDの生産状況は順調だ。既に2000近いが、生産ラインの追加で今後はもっと加速度的に増える。連中が攻めてくる頃には3倍近くになるだろう。』
『ジンクスの近代化改修も順次行っていますし、来年初頭にはこちらの準備は終わります。』
『艦艇もだな。推進機関を直列型GNドライヴに換装するのはやや時間がかかるが、一部は試験航海でデータ取りをしている。』
移民により増えたとは言え、その総人口は未だ約3億人程度でしかない火星連邦に、態々地球圏まで殴り込む余裕は無い。
というか、既に死地に近付きつつある地球圏に近寄りたくないというのが彼らの心境だった。
加えて、未だマンパワーに関しては地球圏の方が遥かに大きい。
技術力に関しても火星程ではないが高い水準を維持しており、何時危険な新兵器が登場するか分かったものではない。
故にこそ、火星連邦は手を抜く様な真似はせず、全力で侵攻してくる敵艦隊を叩き潰すつもりだった。
『で、例の件の進捗はどうかね?』
『予算は問題ないし、研究の過程で多くの利益も出ているのは分かるがね。』
『おや、では止めます研究?』
小娘にちょっかいを掛けようとした面々が、その威圧感ある笑顔と言葉に口を噤んだ。
祖母そっくりの顔と笑み、そして何よりも技術力と財力に老人達はちょっと怯んだ。
しかし、老人と言うがその肉体はナノマシンにより40代まで若返り、共に若返った奥方達と共に公私共に充実した日々を過ごす彼らからすると、彼女達には少し言いたい事があった。
何より以前からミョウジョウ博士のプレッシャーを受けてきた彼らからすれば今更でしかないため、さらっと流して本題に入っていく。
『まさか。君達には今後も頑張ってもらいたい。が、しかしだ。』
『長女の君と次女が結婚したのだし、他の子もどうかと思ってね。』
『つまり?』
『お見合い、しないかね?』
えぇ…とヒマリ主は困惑したが、自分がここ数年毎年の様に腹ポコになって大きめなグラサンがトレードマークの旦那の子を既に3人も産んで育児中なのだし、ここらで遂に長子を産んだ次女以外の他の子達もそういう相手を持ってもおかしくはないかと考え直した。
ナノマシンにより長寿かつ見た目若いとは言え、やはり伴侶を持つ事で得られるものもあると実感として知っているのもある。
『取り敢えず釣書だけください。妹達に見せてみますので、縁があったらという事で。』
『あぁ、それで構わないとも。』
こうして、火星連邦圏で最大の財力と技術力を持つミョウジョウシスターズに対する火星連邦上層部による策略「結婚して子供作ってもらって丸くなってもらおう作戦」は進んでいくのだった。
なお、上二人が見事にプラント出身者に射止められた事から、自分の孫とかを勧めようとしてた爺様方は少し焦っていたりする。
今後の自分達の一族や後継者の影響力確保や栄達を考えると、やはり堂々のトップの一族と姻戚関係になるのが手っ取り早い。
勿論、ミョウジョウシスターズはそんな事は百も承知だが、元々権力には興味は無いし、資産も生活と研究に困らない程度にあれば良いと考える彼女達にとって、そういった事が得意な者が身内になる事は都合が良かったりする。
そして最大の理由だが…こいつら大体恋愛関係の経験が極端に薄いので、割と押されるとイケる事が長女と次女によって証明されていたため、変なのとくっつかないための予防措置である。
結果だけを言えば、木星でオリジナル太陽炉を作っていた末っ子以外は全員お相手を見つける事となった。
……………
上層部がこんな感じで見合いおじさんと化している中、火星連邦技術開発局管轄の衛星基地フォボスとダイモスでは順調に戦闘艦艇の近代化改修が行われていた。
『作業は順調なようですね。』
『当然です。元々ブロック構造の艦艇類はこうした改修や修理を容易に行える様にと設計されたのです。この程度の簡単な作業の繰り返し、失敗してもらっては困ります。』
『アルバート、彼らもまた同じ国の仲間なんですから、そういう言い方はダメだと言ったでしょう。それに作業自体は順調なのですから、寧ろ彼らを労うべきでしょう。』
『む…申し訳ありません。』
その作業を見つめるのはシスターズの次女夫婦である。
技術開発局務めの二人は今回は所用もあって元開発基地で現軍事衛星基地であるフォボスを訪れていた。
『特にGNドライヴ搭載を前提としたアーガマ改級の建造は今までとは大きく異なる部分が多いのですから、それに対応できる彼らの頑張りこそ褒めるべきです。』
『それは勿論。しかし私としてはもっと早く済ませて数を揃えたいのが正直な所です。』
アルバート・ハインライン。
旧プラントのハインライン設計局の御曹司にして、プラント工学大学を飛び級で卒業した若き天才であり、ゲイツの基礎設計チームにも参加した経験を持つ開発者でもある。
火星連邦に亡命した現在では、その才能と経験を買われて技術開発局にて活躍している。
仕事を始めた直後、偶々視察に来ていたシスターズの次女に人生初の恋を抱いて熱烈にプロポーズした事は今でも語り草となっている。
現在は艦艇類の近代化改修、特に3基直列式GNドライヴ×2を備えたアーガマ改の設計と調整を妻と共に担当している。
アーガマをベースに近代化改修を施したアーガマ改級は現在1隻が改修中であり、予定では新たに2隻が追加で竣工が予定されている…が、コストと建造までの時間もあり、開戦に間に合うかは微妙だと見られている。
通常の既存艦艇、即ちサラミス級巡洋艦及びマゼラン級戦艦、ヒマラヤ級輸送艦とヒマラヤ改級MS母艦等は既にGNドライヴ搭載型へと近代化改修が粗方完了しており、現在は火星と地球間の航路上の巡回を目的とした艦艇用の追加GNコンデンサー兼GNスラスターユニット、警備艇としてMS2機を搭載可能なシノーペ級宇宙警備艇が生産されている。
通常艦艇は主砲のビーム砲をGNドッズキャノンに換装、副砲をレールガン、通常弾頭をGNミサイルへと交換した上でGNフィールド発生器を追加している(艦艇用PDはそのまま搭載)。
艦内部のスペースは代わっていないが、GNドライヴ(疑似太陽炉式)のおかげで水と酸素の縛りがかなり緩くなり、居住性が改善している。
結果、若干のコスト増加こそあるが、既存の推進剤頼りよりも慣性緩和効果により機動性向上、GNドッズキャノンにより火力向上、GNフィールドにより防御力向上とほぼ全ての面で強化されている。
この改装はアーガマ改級にも適応され、現在近代化改修が進んでいるものの、大型艦な事もあってやや時間がかかっている。
追加GNコンデンサー兼GNスラスターユニットは原作の初代宇宙世紀における大気圏離脱ブースターに酷似したもので、今後の人類統一連合軍の火星侵攻までの進軍の道中で奇襲をかける目的で多数が追加建造されている。
シノーペはVガンダムにてザンスカール帝国の開発した所謂宇宙用サブフライトシステムの一種に当たる。
キール(竜骨)の前方にキャビン、後方に推進機を有するだけの単純な構造でコストが低く、上下にMS2機を曳航して任務にあたる。
その外見から分かる通り、まともな装甲は存在せず、バリア等も無い。
しかし軽量かつ搭載したGNドライヴ2基のおかげで機動性、特に加速性と航続距離に優れている。
また、有人操縦の他、MS側からの操縦や無人での運用も可能となっている。
中央のMS用グリップの付け根には作業用アームが備えられ、船体の固定の他、MSの簡易整備等が可能となっている。
また、キャビンの下にはGNドッズガンを砲塔化したものが備わっているものの、防御力は皆無に等しいので戦闘用というよりも、危険なデブリ破壊用としての面が強い。
火星連邦産の特徴であるブロック構造を採用しており、MSを搭載せずに代わりに20m級コンテナを二つ、上下に接続する事も可能となっている。
一応、対艦用ミサイル6発を搭載したミサイル発射システム(基地防空用のものを転用)を上下に接続して対艦攻撃機として運用する案もあったが、余りに人命軽視であるとして採用されなかった。
他にもより高性能・多機能なノッセル級が宇宙警備艇として計画されていたのだが、多機能過ぎて高コスト・MS搭載数が1機のみだった事から特務部隊用の極少数が生産されるに留まっている。
『まぁ順調なようですし、私達は私達の仕事をしましょう。』
『無論です。時間は有限であり、我々の仕事にミスは許されない。手抜かりなく進めていきましょう。』
そういう二人の目の前、そこには既存の艦艇とは全く異なるシルエットを持った二つの艦が建造真っ最中だった。
『ワイオミングにアーカンソー。アーガマ改級の追加建造が間に合わない場合、次の戦いでこの子達が艦隊戦の決め手になるでしょうね。』
『無論、そのつもりです。君と私がこれだけ手間を掛けたのです。その位活躍して貰わねば困ります。』
こうして、火星連邦側の準備は着々と進んでいた。
ワイオミングとアーカンソーの説明はまた次回で。
元ネタはサンボルの噛ませになっちゃったアレですw
個人的に好きなんですけどねぇ