超天才清楚系病弱美少女ハッカー風転生者がヤケクソになる話 作:VISP
ダイモス防衛戦開始3時間前 宇宙要塞フォボスにて
『なにも貴方が直接出向く必要は無いのでは?』
「そうは言っても、私が一番この機体について詳しいのですから当然の選択では?」
ミョウジョウシスターズ、その長姉と末妹が端末越しに通話していた。
場所はこれからフォボスへと出発する艦隊の旗艦たる改アーガマ級の格納庫からだった。
『確かにその機体の実戦テストは必要ですが…。』
「それに、私達が口だけ出すのをよく思ってない人達だっているでしょう?何時か誰かがやらなければならないのなら、私がそれをするだけ。他の皆は今無理でしょ?」
『まぁ、それは…そうですね。』
現状、末妹以外のシスターズは全員結婚して子持ちであり、ほぼ全員が妊娠中である。
そんな中、試験機体のテストパイロットをしていた末妹は機体の特性や機密性もあって適任だった。
『はぁ~~~~……仕方ありません。お任せします。ただし、絶対に無事に帰ってくるように。終わったら戦勝記念パーティですからね。』
「はいはい。そっちもそろそろ予定日でしょう。身体と家族を大事にね。』
それだけ言って通信を切る。
まぁ旦那連中が全員軒並み妻子を大事にする連中なので、最初から心配はしていないのだが。
「さて、啖呵を切ったからにはOガンダムの初陣、派手に決めなくちゃいけませんね。」
格納庫にて、既に最終調整を終えた世界初のオリジナル太陽炉搭載MSにして、この世界で初の「ガンダム」の名を冠するMSが初陣を今か今かと待っていた。
……………
火星連邦軍は人類統一連合の遠征艦隊へのハラスメント攻撃兼観測によって知った予測進路から、敵の狙いがダイモスである事を突き止めていた。
何故か?理由は二つある。
一つはダイモスがフォボスよりも小さいものの、火星圏の絶対防衛線の双璧であるから、火星連邦を降伏させるには必ず陥落させねばならない目標の一つだったからだ。
もう一つは、遠征艦隊が拠点を確保する必要があるためだった。
コロニーの軍事転用・攻撃は禁じられた事から、宇宙艦隊の拠点には大型の衛星やそれを改装した要塞が必要となる。
艦同士を繋げて簡易拠点にする事は出来るが、そんな不安定な施設では兵のストレスも嵩むし、何より攻撃を受けてしまった際に複数の艦と人員が諸共沈みかねない。
だからこそ、遠征艦隊は腰を据えて火星圏を攻略するための拠点を必要としていた。
加えて、水や酸素を始めとした物資の存在も忘れてはならない。
物資自体はピストン輸送が可能だが(なおコストは度外視)、それを安定して運用するにはやはり安全な集積所の存在が不可避となる。
そういった要因もあり、火星遠征艦隊の第一目標はダイモスであり、それを火星連邦側はあっさりとキャッチした。
本来ならばもっと段階を踏んで行動するべき格上の難敵なのだが、アウラ女王という神輿が余りにも強行に主張するが故に、この様な博打をする事になっていた。
そして今、博打の盤面は人類統一連合側の負けに寄り始めていた。
『くそ、あのオートマトンが邪魔だ!』
『こちらのドローンじゃ火力が足らん!RPG持ってこい!』
要塞内部では未だ激しい戦闘が繰り広げられていたが、侵入したパワードスーツ部隊はその足を止めざるを得なかった。
要塞司令部へと続く通路、その中で幾つも下ろされたシャッターや設けられたバリケードと遮蔽物の影から攻撃してくる要塞守備隊。
何よりも対装甲ロケットでないと破壊できない程に頑丈なオートマトン達が張る弾幕、そして接近した際の自爆が脅威だった。
施設内用に調整された掌サイズのドローンを囮や奇襲に使うも、人間ならいざ知らず、機械の目を完全に誤魔化すのは難しい。
スモークやフラッシュバン程度では一切攪乱されず、迷いなくこちらに射撃を命中させてくるオートマトンの群れは攻略部隊にとって死の形そのものだった。
ドラム缶型の本体にタイヤを内蔵した4脚、その上部左右に12.7mm重機関銃が、頭頂部に6発の回転弾倉式40mm擲弾発射器を有したコイツは正面装甲は戦車並、背面及び側面も装甲車並みの防御力を持ち、歩兵にとっては死神も同然だった。
元は技術開発局が開発した作業用機だったのだが、現場でのマンパワーの不足から急遽軍用として再設計され、対歩兵兵器の他、艦艇のダメコン用としても各所で活躍している。
派生機も多く、軍民官問わず幅広く火星圏内で普及している。
こんなもんが要塞内部に1000体以上存在しており、侵入してきた歩兵部隊の対装甲装備では圧倒的に数が足りていなかったのだ。
というのも、元々MSとの不意の遭遇や隔壁の破壊のために持ち込んだ代物であるため、そんなに数が無かったのだ。
更に速攻で終わらせようにも入り組んだ要塞内部の事前情報無しでは思うように進めず、こうして見事に足を止められてしまった。
『隊長!後方から敵兵及びオートマトンの増援です!』
『…ここまでか。任務達成は不可能と判断する。各所に設置した爆弾を起爆した後、降伏する。』
『ここまで来たのに残念です。』
『仕方あるまい。元々無理の多い任務だったんだ…起爆しろ。』
道中までに仕掛けた爆弾が一斉に起爆する。
これにより通信網や電力ケーブルが各所で寸断した事もあり、その機能が一時的に麻痺してしまう。
要塞砲は独自の電源があったものの、格納庫や要塞内インフラの電源も一部が断たれてしまった。
特に一時的とはいえ要塞司令部と艦隊との通信も切断された事は影響が大きかった。
これによりMDの指揮系統が急遽スタンドアロンに変更され、その際に僅かな間だが動作が単純化するという隙が発生してしまい、その好機を見逃す程に人類統一連合軍は甘くなかった。
要塞内の工兵隊が僅か5分という短時間で通信網を復旧した時には、既に趨勢が決まりつつあった。
「歩兵部隊が上手くやってくれた様だな。各員押し切れ!ここで勝たねば勝機は無いぞ!それと、私のカルラも用意させろ。」
足並みが崩れたダイモス防衛部隊に、遠征艦隊が襲い掛かる。
要塞の守りも殆ど意味を無くし、艦艇数に勝る遠征艦隊が徐々に押し込み始めていく。
僅かな間とは言え弱体化したMD部隊はその間に数を大きく減らした事もあり、MS部隊同士の制宙権確保も前線で鬼神の如く舞い続けるシヴァの活躍もあり、同様に押し込められつつあった。
『オルフェ・ラム・タオ。ブラックナイトスコード・カルラ、出るぞ!』
更にダメ押しの大将機の登場である。
本家の様なドラグーンや陽電子砲こそ搭載していないものの、肩部の多連装レーザー砲兼通信システムにより、随伴機のジグラートに指示を出しつつ、PDを貫通するレーザー砲をマルチロックで運用可能なカルラの存在は大きかった。
『宰相殿が出たぞ!我らも続け!』
『うおおおお突撃ィィィッ!!』
どんな時代でも、大将が現場に出てくると士気が上がるのは変わりない。
況してやそれが自軍のエース級に活躍しているのならば、前線の兵達の士気は否応も無く上がる。
『く、そ…!』
『まだだ、ここで負ける訳には…!』
ダイモス防衛隊の戦線が致命的な破綻を迎える事は最早防げない。
押し込み、押し込まれ、これが最後だと現場の誰もが察した、その時だった。
『避けろオルフェッ!!』
『ッ!?』
遠方から迫りくる殺気を察知したシュラからのテレパシーに、アコード達の長であるオルフェは的確に反応した。
随伴機のジグラートを囮兼盾としつつ、疑似反重力機関レヴィテーター特有の無茶な乱数回避を高速で行う。
通常の機体ならばそれだけで各部にアラートが出そうな無茶な機動だったが、そのお陰もあって、オルフェは一撃でジグラート三機を消し飛ばし、延長線上にいた数隻の艦艇を貫いた砲撃から逃れる事に成功した。
『何だ今のは!?』
射線元を見れば、そこには赤く輝くMSと3隻の大型艦の姿があった。
3隻の大型艦、それはGNドライヴの搭載を始めとした大改修を受けた改アーガマ級だ。
そして、今の一撃を放ったのがたった一機のMSであると続けて放たれた射撃に教えられる事となる。
『各機、緊急展開!カタパルト無しでいい、即座に展開しろ!』
『各砲座、照準でき次第撃ち始めろ!これだけいるんだ、撃てば当たる!』
何の事はない。
最近実用段階に達したトランザムを用いて、フォボスからの増援艦隊の先駆けとしてこの三隻と一機が大急ぎで来たのだ。
本来ならば艦隊旗艦と自国の要人の乗る試作機で敵艦隊に突撃とか正気を疑うのだが、戦場に満ちるGN粒子によるジャミングが人類統一連合側の索敵を阻害し、何より要塞攻めに集中する余り、他方向への警戒が疎かになっていた事が原因で奇襲を許してしまったのだ。
『ハイパーGNビーム砲、チャージ率50%に達しました。』
『拡散モードだ!撃てぇい!』
双発の3基直列式GNドライヴによる膨大なGN粒子生成量を誇るアーガマだからこそ出来る、トランザム中のハイパーGNビーム砲のチャージという荒業。
100%の出力での運用が戦略兵器禁止の戦時条約に引っ掛かるならそれ未満で使えばええやろがい!という屁理屈を捏ねる事で使用を解禁した結果、人類統一連合艦隊の横っ腹に拡散されたとは言え未だに大出力のビーム砲が三隻分も叩き込まれる。
直撃を受けたMSは出力差もあって当然の様に蒸発し、直撃した艦艇はPD搭載艦ならば流石に墜とされる事は無かったもののPD発生器に大きな負荷がかかった事で一部は凌いだ後に緊急停止、一部は途中で機能停止から直撃して撃沈する艦が発生した。
流石に旗艦たるグルヴェイグは撃沈される様な事は無かったが、PD発生器は過負荷で停止しかけだった。
更にダメ押しで多数のジンクスⅡ及び随伴機のMDバタラが次々と出撃し、艦隊に空けられた穴を広げるべくなだれ込んでいく。
アコード達のブラックナイトスコードに比肩する高性能機とそれを駆る事を許されたベテランやエース級のパイロット達は味方の仇を取るべく、陣形が崩れた敵艦隊へと喜び勇んで突撃していった。
『総大将機、逃がす訳ないでしょう!』
『ぬぅぅッ!』
勝機を目前に奇襲を受けて慌てる艦隊を立て直すために指揮に専念するべきオルフェに対し、トランザム状態のOガンダムが襲い掛かる。
随伴機もなく、基礎スペックに劣るカルラに対し、通信機能を除けば全ての性能で勝るOガンダムの猛攻に圧されていくオルフェ。
それでもアコードの長としての意地と、何より愛する者を残して死ねないという意志で圧倒的性能差のOガンダム相手に食い下がり続ける。
GNドッズガンにGNビームサーベルという、出力差もあって当たればPDであろうとほぼ即死級の一撃を回避しつつ、時にレールガンとレーザー重斬刀で反撃するカルラ。
だが、トランザム中で圧倒的性能を得ているOガンダムは高硬度レアアロイとGNスキン、更に低出力とは言え常にGNフィールドを纏っている状態であり、レーザー・ビーム・実弾問わず高い防御力を発揮する。
機動性に関しても最早言わずもがな。
この状態で襲い来るOガンダムを相手に持ち堪え続けるオルフェの技量こそ褒め称えるべきだろう。
しかし、それも長くは続かない。
高機動戦闘の最中、数秒でライフルのパラメーターを変更して収束率を低下させて散弾状態にした後、最大展開時にPDの範囲外になってしまう両翼を狙って破壊する。
『しまッ!?』
『貰ったぁ!』
『お前をなぁ!』
片翼を撃ち抜かれ、大幅に機動性が低下したカルラを刈り取るべくGNビームサーベルを振り下ろさんとするOガンダムだったが、それを駆け付けたシヴァの一刀により逆に切りつけられ、しかし切断される事は無かったが大きく弾き飛ばされてしまう。
『オルフェ、お前は艦に戻り指揮に専念しろ。最早勝機は過ぎた。ここからは予定通り負け戦だ。』
『ぐぅ…すまん、任せたぞシュラ!』
各部を損傷し、片翼となったカルラが撤退していく。
その背をOガンダムは追撃する事なく見送る。
だが、それは戦闘の終了を意味する訳ではない。
トランザムの終了に伴う一時的な出力低下を補うために指揮下に入れるMDバタラを呼び出し、目の前に現れたアコードのトップエースへと備えるためだ。
『やれやれ、流石に単騎駆けとは我ながら無茶しましたね。でもまぁ…』
『見た事の無い新型。それも性能はこちらより上。しかし…』
Oガンダムが油断なくGNドッズライフルを構え、同時にMDバタラが一斉に突撃する。
ほぼ同時、シヴァが全身の刃を展開しながら応じる様に突撃する。
『『勝つのは私です/オレだ!』』
こうして、長い腐れ縁となる二人の初の邂逅が始まった。
忙し過ぎて全然執筆できんかった…
上司代わるし眼鏡壊れるし視力下がって新品買わねばだしでもうマジ無理ポヨ!