超天才清楚系病弱美少女ハッカー風転生者がヤケクソになる話   作:VISP

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火星編 人類統一連合編 10 追撃作戦

 

 「ぬ…そうか、帰還したんだったか。」

 

 ふと、シュラの意識が戻った。

 確認すれば、寝ているのは医務室のベッドであり、休めた時間は5時間といった所か。

 宇宙要塞を背にした敵艦隊、それもこちらの最新鋭機と同等かそれ以上の性能を誇る量産機や人体の限界を超えた機動を可能とする無人機相手に獅子奮迅し、挙句全く新機軸らしい高性能ハイエンド機とそれが指揮する無人機という恐らくは火星連邦でも最上位の戦力を相手に戦い抜いたシュラは疲労困憊だった。

 通常のパイロットならばダースで死んでる状況なのだが、それはアコードの中でも戦闘・軍事に特化しているシュラである。

 操縦技能に耐G適性、何より体力面はアコードの中で最も優秀な男だからこそ、辛うじて乗り越える事が出来た。

 だが、機体は消失した左腕を中心にあちこちガタが来ている状態だった。

 突貫で修理するにしても限界があるだろう。

 最悪、ルドラの予備機で出撃する必要があるだろう。

 

 「次の作戦は…成程な。」

 

 後15時間程で追撃してくる敵艦隊の交戦可能距離に入ってしまう。

 それに向けた作戦がシュラの端末には送られていた。

 内容を確認すると、確かにこれならば半数は離脱できる計算だ。

 だが、またも殿を受け持つ自分はその中に入る事は絶対にない。

 

 「あの白い機体は絶対に来るだろうな。」

 

 自身は後方で指揮に専念しつつ、こちらの分析をしていただろう二つ目のトリコロールの新型機。

 他の四つ目やバタラとは違い、緑の粒子を発するあの機体は徐々にこちらの機動を解析し、最後には捕捉していた。

 だからこそ、シールドごと片腕と主兵装を失う事となった。

 機体性能に関してはほぼ互角、否、あちらの方が上だろう。

 少なくともこちらの武装の殆どは通用しない事、一撃で戦艦を撃沈する威力のビーム兵器を装備している事は分かっている。

 そして、パイロットが実戦経験が少ないであろう事も、その動きから分かった。

 唯一あの機体に通じる攻撃があるとすれば、それは主兵装の近接対装甲刀ディス・パテールのみだろう。

 ジャマダハル或いはカタールの様な形状をした大型のヒートソードであるコレはFT装甲の転用により極めて高い対バリア貫通と対装甲切断力を併せ持つ。

 レーザー重斬刀の切っ先等と同様に高いビーム耐性がある事からビームサーベルとも鍔迫り合いが可能となっている他、実体があるためにバリアの類にもある程度対抗する事が出来る。

 だが、これ一つで勝てるかと言うと話は別だ。

 一切の慢心を捨ててルドラ用のレールガンも装備するとして、果たして次は何処まで対応できるだろうか?

 

 「奴だけは通す訳にはいかんな…。」

 

 文字通りに戦艦級のビームを放つあの機体が艦隊を襲えば、それこそ旗艦含めて全滅しかねない。

 それだけは避けねばならないためにも、シュラは未だ疲れの残る身体をベッドから起こして職務に復帰するのだった。

 

 

 ……………

 

 

 一方同時刻、改アーガマ級の格納庫にて、シスターズの末妹も愛機たるOガンダムの調整に頭を悩ませていた。

 

 「反応速度も出力も想定範囲内。しかし、肝心の対MS戦闘がパッとしませんね。」

 

 通常の対艦・対MS戦闘に問題は無かった。

 機体の性能差もあって、それらに対しては終始一方的な結果だったからだ。

 だが、肝心の対エース戦闘では攻め切れず、格下の機体だったにも関わらず相手を逃がす結果となってしまった。

 何か不調があったのかと戦闘後に念入りに検査したが、機体に問題は無かった。

 ハードに原因が無いのならソフトの、即ちパイロット側の問題となる。

 訓練や性能試験等では一切問題が無かったものの、彼女は実戦は今回が初陣であり、相手は敵軍のトップエースとなれば、撃破できなかった事は無理もない。

 しかし、このOガンダムは何れ来る対髭を想定したMSの雛形なのだ。

 半世紀は先だと予測されているが、それでも擬似反重力機関「レヴィテーター」及びFT装甲採用のアコード専用MS「程度」に遅れを取るようでは話にならない。

 なお、半世紀と言えば宇宙世紀における一年戦争からコスモバビロニア建国戦争と木星戦役の間位なので、そりゃまだまだ追い付ける訳ないだろうと言われればそうなのであるが。

 それはさて置き、Oガンダムのポテンシャルをより引き出し、有用なデータを取るべく末妹は考えた。

 

 「んー、OSは多少の調整で済むとして……トランザムの設定を変えますか。ノーマルから短時間、それも瞬間的な発動…そうですね、強化倍率は5倍にしましょう。理論上は十分耐えられるでしょうし。」

 

 武装は盾二つにGNドッズライフルにGNドッズガン、サーベル×2の重装仕様のまま。

 実弾は今回はいらないのでヨシとして、随伴機としてMDバタラ(ブースターユニット装備)を2機連れていく。

 余り多数連れていても邪魔になるし、何より他のジンクスⅡにも随伴機の補充が必要だ。

 MD含むMSの数はこちらが既に上回っているが、艦艇数に関しては未だに互角だ。

 無論、性能はこちらが上であるが、艦艇に関しては最悪特攻や自爆なども考慮すると手を抜く事は出来ない。

 

 「こんな事をしてる暇なんて無いと分かってるのに…結局突き進むしかないのが辛いですねぇ。」

 

 Oガンダムはまだまだ試作機だ。

 半世紀先の髭の覚醒に備えた戦略級MS開発計画のためのテストヘッドの最初の一機。

 ジンクスのデータを元にしつつ、オリジナル太陽炉及び新機能の運用データ獲得がその製造目的だ。

 なので宇宙世紀のGPシリーズよろしく、戦闘用ではないデータ収集用のセンサーが各部に内蔵されてたりする。

 そのセンサー部分さえ生きていれば、例え機体が大破してパイロットが死亡した所で機体データは保存・送信され、次世代へと生かされる。

 無論、そんな事になれば姉妹達を始めとした近しい人達は泣くだろうが、既に家庭を持っている彼女らならば何れ家族と時がそれを癒してくれるだろう。

 態々独り身のままでいたのは、誰か一人はこうした役目を負う必要があると思ったからだった。

 

 「これが終われば少しだけ仮眠を取りますか。」

 

 時間は主観さえ除けば、一部例外を除いて平等に流れる。

 追撃戦が開始されるまで、既に10時間を切っていた。

 

 

 ……………

 

 

 「作業の進捗率、70%に到達。作戦予定時刻までには完了できそうです。」

 「よし、負傷した人員の搬送を急げ。勇敢に戦った者達を死なせる訳にはいかん。」

 

 ボロボロになった艦隊を次の作戦までに建て直して備えるべく、オルフェは不眠不休で指揮を執っていた。

 慣性航行に移行した現在、停止状態でないので大変危険なのだが、急ピッチで各種作業を進めていた。

 足回りが無事な艦は武器に弾薬、艦載機を降ろして撤退に専念し、足回りが無事ではなく最後まで追従しきれないだろう艦に武器や弾薬、艦載機を移して殿役とする。

 殿役は基本的に志願兵のみであり、老兵や未婚の者が優先的に配置されている。

 同時に数ヵ月後まで間に合わないと判断された負傷者は少数の輸送艦や戦闘不可能な程に被弾した艦(空気が漏れない程度に応急修理済み)に纏め、追撃してくる火星連邦艦隊へと投降させる。

 更に艦載の大型ミサイル類は十分通用するとして機雷と共に予想会敵宙域の前に撒き、敵艦隊に迂回機動を取らせて減速させつつ、更にその予測された迂回進路に向けて散布したミサイルを時間差で放つ。

 こうした多段作戦により敵艦隊の足を止め、撤退を成功させるのが次の作戦の目標だ。

 本来オルフェは戦う前に勝負をつける派であり、こんな賭けの面が大きい作戦は基本的に取らない。

 しかし、追い込まれた現状ではそうも言ってられなかった。

 

 「宰相閣下、作戦前に少しお休みください。残った作業のオペレートならば今いる人員で可能ですので。」

 「む、そうか。ならすまないが私は少しばかり休ませてもらおう。」

 「畏まりました。」

 

 以前の、若くて独り身だった頃のオルフェならば断わって作業を続けただろうが、今の加齢と結婚で丸くなったオルフェは部下からの進言を受け、あっさりと艦橋から退出する。

 これから家族を捨て駒にする事と艦隊の指揮にMSの操縦、そして撤退から今現在まで働き詰めだったのでかなり消耗していた事もあり、今だけは泥の様に眠りたかったのだ。

 

 (あぁクソ、妻子に再会するまでがとても遠い…。)

 

 寝台に横たわりながら、オルフェは何よりも大事な妻子との再会を夢で見れないだろうかと思いながら意識を落とした。

 

 

 ……………

 

 

 そしてダイモス防衛戦から実に24時間後、遂に火星連邦追撃艦隊は撤退中の人類統一連合艦隊へと追い付いた。

 

 『敵追撃艦隊を発見!距離5000!なおも接近中!』

 『予定通りだな。作戦開始!何としても友軍艦隊離脱までの時間を稼ぐぞ!』

 

 人類統一連合側は艦隊の約半数が反転、迎撃の陣形を取り始める。

 

 『司令、敵艦隊正面に機雷原を確認。このまま前進すれば機雷原に突入してしまいます。』

 『むぅ…掃海していては逃げられるな。左右に分かれて迂回するぞ。迂回後は十字砲火で敵艦隊を攻撃しつつ、MS部隊を出撃させる。他にも罠がある可能性があるのでGNフィールドを展開した上で索敵を厳とせよ。』

 

 そして、人類統一連合側の狙い通りに迂回機動を取る火星連邦艦隊。

 間を置かず、遠隔起動した対艦ミサイル群が多数、否、無数に迂回機動中で左右二つに分かれた艦隊へと向かってきた。

 

 『熱源探知!対艦ミサイル多数!』

 『AAWオート!撃ち方始め!GNフィールドに出力回せ!』

 

 艦隊から放たれる無数の機関銃やレーザーが放たれ、迫り来るミサイルに対して派手に対空砲火の花を咲かせる。

 だが、左右に艦隊を分けた事で対空砲火の密度が低下していた事もあり、1000近く放たれたミサイルの過半数に着弾を許す事となってしまった。

 

 『っ、損害報告!!』

 『サラミス級に中破7、小破19!』

 『GNフィールドに救われたか…中破艦は下がらせろ。追撃を続行する。』

 

 幸いにも警戒を厳にしていた事、GNフィールドの出力を上昇させていた事から被害を大幅に軽減する事は出来たのだが、それでも被害を0にする事は出来なかった。

 これが地球圏の艦艇ではAA級の様な例外を除けば多数の撃沈艦が出ていた事だろう。

 

 『!?敵艦隊の一部が離脱します!』

 『残りは殿か。各員、気を抜くな!敵は死ぬ気で来るぞ!』

 

 こうして、追撃艦隊撃滅作戦は第二フェイズへと移行していった。

 

 

 

 




なお、シヴァとOガンダムの戦力差は中の人含むとシャアザクと初期ガンダムinアムロ程度の差があります
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