呪いの少女と祝福された世界   作:佳山針之介

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2025/03/12 本文編集


第10話 大捜索

 クィディッチの試合があった次の日。シルヴィアはいつも通りに図書館に向かった。そこにはしっかりとハーマイオニーが居た。

「やっほ、ハーマイオニー。」

「あっ、シルヴィア!」

 ハーマイオニーが開いていた本は〝20世紀の偉大な魔法使い〟と言う表題の本だった。

 まだ、魔法史では紀元前をやっているはずなのに何故だろうと思ったが、ハーマイオニーならば早すぎる予習してもおかしく無い。とシルヴィアはすぐさま思った。

「えーと、魔法史の予習?」

「いや、違うの。……あ〜っと、シルヴィア。ダメ元で聞くんだけどさ……ニコラス・フラメルって誰か知ってる?」

 シルヴィアは一応記憶を頑張って再生してみた。しかし、特に思い当たる節はどこにも無かった。

「う〜ん、分かんないや。どうして?」

「そうよねぇ……」

 そう言ってハーマイオニーは少し悩んでから意を決した様子で話し始める。

「実はスネイプが何かを盗もうとしているのよ」

 シルヴィアは一気に話についていけなくなる。

 その様子を見たハーマイオニーは「ここは人が多いから空き教室にでも移動しましょう」っと言いながら、シルヴィアの腕を引いた。

 暫く歩いて誰も居ない空き教室に辿り着く。あまりにも寒いので、ハーマイオニーが杖を振って暖炉に火を灯した。

 

「え? スネイプ先生が……何かを盗もうとしているの?」

「まずは何から話せばいいかしら……城内の3階廊下が何故入れないか分かるかしら?」

 シルヴィアは一旦思考を停止させる。城内3階廊下って入れなかったっけ? シルヴィアは何度か3階廊下を通り過ぎたのだ。特に何か異変があったわけでは無かったはずだ。

「わ、分からない……」

「……実は城内3階廊下にある部屋に3頭犬が居るのよ。私とハリー、ロンが確かに3頭犬を見たわ。そこで、何かを守っていたのよ。それが恐らく、ニコラス・フラメルって言う人の何かなのよ。

 それで、あのハロウィーンのトロールが出た夜にスネイプが3階廊下へ向かったそうよ。ハリーとロンが見たそうなの。きっと、ニコラス・フラメルって言う人の何かを奪いに行く為に行ったのよ。」

 ここでシルヴィアは点と点が繋がる。

「──そ、そう言えば……スネイプ先生は、動物に引っ掻かれたような傷を脚に負って……いた。……やっぱり、この学校って怪物が居るんだ……。」

「そうでしょう? それで昨日のクィディッチの試合。あの時、スネイプはハリーに向かって呪いをかけていたのよ」

 シルヴィアは今度は頭の中が混線してきたのを感じた。

「ん? スネイプ先生が……ハリー・ポッターに向かって呪いをかけていた……の? クィレル先生じゃなくて?」

「クィレル先生!? あ、あのオドオドしている先生が?」

 ハーマイオニーが信じられないと言う表情になる。

「実は……」

 そこでシルヴィアは一昨日森の中からクィレルが現れた事。

 そのクィレルは一角獣(ユニコーン)の血を飲んだ人にしか見えないはずの()()()()()()()()()()影が見え、ついでに何者かが取り憑いていた。と自分の梟、オリビアが言っていた事。

 そして、少し前にスネイプから直接、クィレルに気を付けろと忠告を受けた事を話した。

 ハーマイオニーは少し悩んだ様子を見せた。

 

「う〜ん、けど、ちょっと聞かせて頂戴。シルヴィアはあの梟と喋る事が出来るの?」

 ここでシルヴィアは、入学式の時にスネイプから云われた言葉『普通、動物と話す者は魔法界に居ない。()()だとか思われたくなければ控える事を勧める』が思い出される。

「別に、いいのよ。喋れたって。魔法界には少なくとも蛇と喋れる人は居るそうだから……」

「う、うん。話せる。私は梟の言葉が分かって、それで……なんでかは分からないけど……いつの間にか喋れた。意思疎通が図れた。」

 シルヴィアはそう言う。ハーマイオニーはあまり表情を変えなかったが、それでも驚いているのはしっかりと分かった。

 

「ま、まぁ……分かったわ。けど、その〜失礼だけど……梟が分かるのかしら? そんな事……」

「た、確かに……それも、そうかも。梟がそこまで理解出来るかちょっと怪しいかもね。うん……そうかも……」

 客観的に見れば、梟と喋れてその梟の言っている事を信じている自分の方が変な人の可能性があった為、シルヴィアは口を噤んだ。

 ただ、シルヴィアはオリビアの言う事を完全に信じていた。ただ、同時にスネイプ自体も怪しいと思って居た為、もうなんだか意味の分からない状態だった。

 

「けど、どっちが犯人だとしても……〝例のあの人〟の為に行動していると思うの。ハリー・ポッターを殺したがる人は殆ど確実に〝例のあの人〟の信奉者だろうから。」

「〝例のあの人〟……そうかも知れないわね。どっちが犯人なのかしら?」

「それも気になるけど……やっぱり狙っている物も重要な気がする。ニコラス・フラメル……ね。」

 ハーマイオニーは図書館から持ち出してきた〝20世紀の偉大な魔法使い〟と言う表題の本の索引のページを開いた。

「ほら、Fのところにフラメルのフも無いのよ。」

 ハーマイオニーが指差したFの欄には確かにニコラス・フラメルの名前は無かった。

「う〜ん、実はそれより前の人とか? それか、あまり知名度は無かった。とか。分からないけど……」

 シルヴィアは当てずっぽうな考察を言ってみる。

「逆に、〝例のあの人〟が欲しがりそうな物で考察してみるのはどう? 

 仮にクィレル先生が犯人だと仮定してオリビアの言う事を全肯定するなら〝例のあの人〟は今、霊か何かでクィレル先生に取り憑いている。

 それで、蘇ろうとしてるんじゃ無いかな? ユニコーンの血を飲むぐらいならそうだと思うの。だから……蘇りの力を持つ魔法道具とかで調べてみるとか……」

 シルヴィアはどんどんと語気を弱めながら言う。

 そんな魔法道具を調べるのとニコラス・フラメル。と言う人物について調べるの。どちらが楽なんだろうか?

 

「ますます、調べるのが難しくなって来そうね。そんな魔法道具、十中八九闇の魔術に関する物だろうし……」

「だよねぇ……」

 結局、シルヴィアは一旦図書館に戻り〝19世紀の偉大な魔法使い〟〝18世紀の偉大な魔法使い〟〝17世紀の偉大な魔法使い〟の3冊を借りてきた。

 ハーマイオニーは、今はもう20世紀末なのよ? と主張したが、蘇りの力を持つ魔法道具を持っているような人だったら何百歳と生きてもおかしく無い。と言ってハーマイオニーの反論をピシャリと言い返した。

 

「居ないや……」

 

 結局、2人は4冊の本を一通り探してみたが見つからなかった。

「私、パパとママに一応聞いてみるわ」

「ご両親は……その、魔法界の事……分かるの?」

「分からないけど、一応よ。ほら、大魔法使いマーリンだってマグル界では〝アーサー王伝説〟に出て来るから一定の知名度があるわ。……だからもしかしたらニコラス・フラメルもその枠かも知れないわ」

 シルヴィアは一応、大魔法使いマーリンや彼が出て来る物語である〝アーサー王伝説〟を知っていたが、それがマグルの間でも知名度があるとは知らなかった。

 ただ、一抹の希望をかけてもいいだろうと思った。

「そうだね、私も家にある本から探してみる。家には沢山古い本があるからもしかしたら何かしらの情報があるかも知れないし……」

 そう言いつつ、あの部屋中に積み重なっている本をひっくり返して読むなんて、正直面倒くさいと心の奥底で思った。

 

「ところで、シルヴィアの家って何処にあるの?」

「う〜ん、トワイグフェレストって言う村なんだけど……結構田舎で、分かるかな?」

 ハーマイオニーは少し悩んだような顔になる。聞き覚えはあるらしい。

 

「あ、もしかして……〝呪いの森〟がある廃村?」

「〝呪いの森〟? そんな呼ばれ方してるの? あの森って……」

「なるほど……あの森は魔法族が住んでいたから、長い間伐採されなかったのね!」

 ハーマイオニーは何処か納得した表情になっていた。シルヴィアは一切合切何一つとして理解していないが。

「あれ知らないの? そのトワイグフェレストって言う廃村の近く……というより廃村を飲み込む形で森があるんだけど、その森には大昔から〝魔女〟の亡霊が出るらしいの。

 それで、森の木を伐採しようとする人が居れば〝魔女〟が呪いをかけてしまうって。時にはその呪いで命を落とす人も居たとかなんとか……。

 昔、テレビでドキュメンタリー番組かなんかをやってるのを見たわ。けど、そう言う保護呪文だったってわけなのね。ちょっと過激な気がするけど……。」

 シルヴィアはあまり納得がいって居なかった。

 親が殺されて以来シルヴィアは何年間も行っていないが、確かにトワイグフェレストには村がある。廃村になんかなって居ないはずだ。そもそもドキュメンタリー番組とはなんだ。

 

「──まぁ、いいか……」

 

 

「えぇ!? ハーマイオニー、君正気かい?」

 グリフィンドールの談話室にロンの呻き声にも似た声が響く。

 ロンはあまりにも自分が声を出しすぎてしまった事を反省し、すぐに口を手で覆った。談話室に居た何人かが3人の方へ向いたが、すぐに各々の作業に戻った。

 

 事の始まりは、ハーマイオニーがシルヴィア・ネクロタフィオにもスネイプがニコラス・フラメルの何かしらを狙っている。と言う事実を相談したら、クィレルも怪しい。と言う結論に至った事だ。

「けど、冷静になって考えてみなよ。あの子はいくら君の友達だからってスリザリンである事は変わらないよ? あのスリザリンだよ? マルフォイが居るスリザリンだよ?

 もしかしたら、僕達がスネイプを怪しんでいる。って言う情報があの子を通して筒抜けになっているかも知れないんだぜ?」

 ロンはそう主張した。

「そんな、シルヴィアがスパイみたいな言い方やめて頂戴っ!」

 ハーマイオニーはそう憤慨する。

 ロンはハーマイオニーの勢いに負け、「分かった。分かった。悪かったよ」と軽く謝った。

 

「なんで、ロンはそんなに、シルヴィア・ネクロタフィオの事を嫌がるんだい?」

 ハリーがふと思ったように聞いた。

 ハリーとしてはシルヴィアに対して、結構な美人で(その黒い髪の毛に白髪が入っているのは特徴的だが)かつ不思議な人。そして、スリザリン向きの人では無さそうと言う印象しか無かった。

 ロンは他のスリザリン生(マルフォイなどの直接害を与えて来るような生徒を除いて)と比べて異常にシルヴィアを嫌っている。警戒している印象があった。

 ハリーはその理由についてあまり理解していなかった。

 

「……き、君達は知らないだろうけどね、ネクロタフィオって言うのは昔から悪名高い一族なんだよ? マグルをもうそりゃあ残酷に殺したり、魔法族でも自分に無礼を働いたらすぐに殺しちゃうような狂人一族なんだ。

 『墓場の君主』なんて言う通り名までついてる。……もう500年以上前に名字が変わっているはずなんだけど」

「けど、少なくともシルヴィアはそんな事をするような子じゃ無いわ。」

 ハーマイオニーはそう断言をする。

 ロンは少し呆れた様子で「まぁ、そうかもね。あの子気弱そうだから」と短く答えた。

 

「兎に角、人の命も蘇らせるような魔法道具も並行して調べましょう」

 ハーマイオニーはそう宣言し、ロンは「へいへい」と答えた。ハリーはまだ何処か悩んでいる様子だった。

「どうしたの? ハリー。」

「どうして、シルヴィア・ネクロタフィオは500年前に名字が変わったはずの一族の名字を名乗ってるんだろう?」

 ハーマイオニーもそこら辺はイマイチ知らなかった。その為、2人の目線はロンに自然と向かう。

「流石にそこまで僕は知らないよ! と言うか僕だって、ネクロタフィオ家の生き残りが居るだなんてホグワーツに入学してから知ったんだよ? 本人に聞きなよ!」

「まぁ、そうよねぇ……。」

 

 

 クリスマス休暇1日前。荷物をまとめているシルヴィアはとある課題に直面していた。

「私の家って〝キングス・クロス駅〟からどうやっていけばいいのかな……?」

 シルヴィアは入学の時にはスネイプが渡してくれた移動(ポート)キーで〝キングス・クロス駅〟に移動したのだ。

 だから、自分の家までの行き方など知らなかった。

「歩くにはあんまりな距離だし……流れの馬車を捕まえるにしてたって、地図も無ければ魔法界のお金しか持っていないもんね……」

 暫く悩んだ末、もう一度スネイプからあの移動(ポート)キを貰おう。と言う答えに至った。

 

「善は急げだね。早速、スネイプ先生を探しに行こう」

 シルヴィアはまだ何の確信を持たずに寮から飛び出した。

 ふわふわとしか、シルヴィアはスネイプの居場所は分からなかった。スネイプはどうせ、魔法薬学の教室か職員室に居るだろう。と勝手に思って居た。

 

 ──結果、どちらにも居なかった。では、何処に居るのだろう? とシルヴィアは頭を回転させる。

 

「う〜ん、教授の私室とか分かるわけ無いもんね……」

「こ、これは……ミ、ミス・ネク……ネクロタフィオ……では、あ、ありませっんか!」

 後ろから声を掛けて来たのは相変わらず吃りがきついクィレルだった。クィレルは目を泳がせながらも、シルヴィアの灰色の目を見ていた。

「あ、クィレル先生。その、スネイプ先生が今どこにいらっしゃるか知っていませんか?」

 シルヴィアがそう聞くとクィレルは少しの間、時間が静止してから明るい顔を見せる。

「え、えぇ! セ、セブル……スがどこに居るか、け、けけ見当……があり、ますよ。つ、着いて来てっ、ください」

「ありがとうございます!」

 そうして、シルヴィアはクィレルの後を着いて行く。

 クィレルは、スネイプのように変に早足では無かった。シルヴィアの歩速に合わして歩いてくれた。

 

「ミ、ミス・ネ、ネクロ……タッタフィオは……ク、クリスマスきゅ、休暇に実家にか、帰ったり。すっ、するんですか?」

「えぇ、そのつもりです。……それに、ちょっと家で調べたい事も出来たので」

「そ、そう、ですか……。ご、ごりょ、ご両親とク、クリッ、クリスマスを……す、過ごすんですか?」

「……その、もう両親はもう亡くなっているんです……。5年前に。だ、誰かに殺された……んです」

 シルヴィアは途端、暗い気持ちになる。クリスマスは普通は家族と過ごすものだ。

 けれども、シルヴィアにはその一緒に過ごす家族というものが居ない。少し寂しい気持ちになった。

 

「あ、あぁ、そ、それは……き、気の毒……に。──両親の名前はヘンリー・ローズブレイドとオフィーリア・ローズブレイドで合っているか?」

「え? あ、そ、そうです……けど? も、もしかして……りょ、両親をご存知何ですか?」

 クィレルの喋り口調がやけに流暢に、そして冷たくなった気がする。

 シルヴィアは不思議に思いながらも答えた。その途端、一瞬頭痛がした気がした。

「クィレル。何をしている?」

 後ろから聞こえたのは、スネイプの声だった。クィレルは明らかに動揺したような表情をしている。

「な、何、何も……き、君のりょ寮の生徒が……き、君をセ、セブルスを……さ、さが、探して居たから……あ、案内を……していた……だけさ。ほ、ほら、セブルスは居た、だろ? では、私は……こ、ここらへんで」

 そう言うと逃げるようにクィレルは立ち去って行った。

「我輩は言った筈だ。クィレルに気を付けろっと。それで、我輩に何用だ?」

「えっと……あー、その……私、クリスマス休暇に家に帰りたいんですけど……その、〝キングス・クロス〟に入学式の時に行った時みたいに移動(ポート)キを貸して頂けないかな……って……」

 そう言ってシルヴィアがスネイプの目を見ると彼は呆れたような疲れたような表情をしていた。そして、スネイプはため息を吐いた。

「分かった。貸そう。……しかし、君には休暇中に約束して欲しい事がある」

「や、約束……ですか?」

「あぁ、そうだとも。君は休暇中、家を出ても構わないが小川の向こうに行こうとするな。間違えても村の方へ行ったり森を出ようとするな」

 シルヴィアはさっぱり分からなかった。

 丁度、久しぶりに村の方へ行ってみようと考えていたところだったのだ。それなのに、それを否定された。

「な、何故ですか?」

「今のご時世、魔法界は平穏とは言い難い現状にある。田舎で一人暮らしをしている女子生徒の元に、いつ闇の魔法使いが襲撃に来てもおかしく無い世情なのだ。」

 そんなに、この魔法界は荒れていたのか。シルヴィアの体感治安は今の所、そこまで悪くない。

 ──トロールが学校に出て居たり、学校内に怪物がいる時点で少し怪しいが、闇の魔法使い。と言う観点では別に悪いとは思っていなかった。

 ……いや、待て目の前のいる人はオリビアに散々元死喰い人(デスイーター)と言われている人だ。

 もしかしたら闇の世界の世情に詳しいのかも知れない。水面下の治安は頗る悪い。という事を詳しく知っている可能性がある。

 ならば、このスネイプの忠告を素直に受け取った方がいいのかも知れない。

 

「わかり……ました。」

 シルヴィアは素直に引き下がった。

「では、移動(ポート)キを渡そう。我輩に着いて来たまえ」

「あ、はい……」

 そうして今度はスネイプの後ろについて行く事になった。スネイプはいつも通り随分と歩くのが早く、かつ無駄話1つしなかった。

 シルヴィアは今まで一度も通った事がなかったような地下牢廊下を通り、遂に手すりも無い螺旋階段を下がり(シルヴィアは本当に落ちかけて気が気じゃなかった)、スネイプの目的地に辿り着く。

 スネイプが木の扉を押し開ける。部屋は薄暗く、壁に並んだ棚には、何百というガラス瓶や実験用具が置かれ、様々な色合いの魔法薬に、動物や植物のヌルッとした断片が浮かんでいた。

 シルヴィアはなんだか、やけに不気味な雰囲気の部屋だな。と思いながらも、その様々な魔法薬に興味を示していた。

 

「君はもう少し人を疑うと言う事を覚えた方が良い」

 そう言うなり、スネイプは机の引き出しから黒い羽ペンを取り出していた。そして、黒い羽ペンに杖を振って魔法を掛けていた。

「これで、キングス・クロス駅から君の家まで向かう事が出来るだろう。

 ホグワーツ特急がキングス・クロス駅に着いてから10分後に起動するようになっている。そして、休暇後の君の家からキングス・クロス駅への移動キーはまた後日梟便で渡す」

「了解しました。ありがとうございます」

「……君はどうせまた迷うだろう? 我輩が寮前まで案内しよう」

「え? あ、まぁ……はい」

 シルヴィアは確かに、この部屋から寮への行き方など想像も付かなかった。若干、馬鹿にされたような気分にはなったが、スネイプのそのご厚意を素直に受け取る事にした。

 スネイプは相変わらず歩くのは早かったが、すぐに寮前に辿り着いた。

 

「どうも、ありがとうございました。えぇっと、〝マーリン〟」

 そうスネイプに礼を言ってから、合言葉がメモされた羊皮紙を見ながら合言葉を言い、シルヴィアは寮へ入って行った。

 

「……性格が変わったか?」

 スネイプは1人呟く。

「いや、5年前に性格が戻ったのか……」

 スネイプはそう誰も居ない廊下に呟いてから、スリザリン寮前から離れて行った。






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賢者の石編はあと4話(14話)+1話で完結します。その後、投稿を週1。もし余裕があれば週2に変更したいと思います。理由は単純に投稿者が忙しくなって来たからです。申し訳ありません。連載は続けていく所存なのでどうか気長に待っていてください。
投稿日の方は金曜日にしようかと思っています。これからもよろしくお願いします。
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