呪いの少女と祝福された世界   作:佳山針之介

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2025/02/25 本文一部編集


第14話 辿り着くべきでは無い物語

 シルヴィアは夢を見ていた。あの懐かしい幸せだった日々の夢だった。

 

お母様! ヤドリギ、カモミール、ミントを採って来ました! 今度は何をしましょうか?

 夢の中のシルヴィアは5歳ぐらいで、籠を一杯の薬草を持って家に帰って来ていた。その様子を見た黒曜の髪を持つ母親は笑顔を浮かべていた。

そうねぇ……小川で水を汲んできて頂戴

はい! わかりました!

 シルヴィアは桶を持ってまた家の外へ飛び出す。そして近くの小川で少々の水を汲み、また帰って来る。

 

どんな薬を作るのでしょうか?

今日は、熱冷ましの薬でも作ってみようと思っているの。そろそろ冬だし……

見てていいですか?

えぇ、もちろん。いつかは貴女も作れるようにならなければいけない薬だわ。

 シルヴィアはその後、ずっと母親の調合の様子を見ていた。

 しかし、徐々に眠くなっていって眠い船を漕ぎ始める。その様子を母親は聖母のような温かい笑みを浮かべて見ていた。

あら? 疲れちゃったのね……そうね、今日はおやすみなさい……

 そう言うと母親はシルヴィアを抱き抱えベッドまで連れて行く。そして毛布をかけてやる。シルヴィアはそこで完全に眠りについた。

 

 

天におられる私達の父よ。私達の罪をお赦しください。私達も人を許します。そしてどうか……どうか、あの子に祝福を……この子の未来に恩寵(ひかり)を、幸福(ひかり)を。

 私の幸せはとうの昔に潰えたものです。もう如何でも良いものなのです。しかし、あの子だけは……あの子だけは──

 母親は1人、暖炉の前の椅子に座って祈る。

もし、この願いが私の罪が故に届かないと言うのならば……私は、あの子の為になんでもしましょう。それが母親としての義務であり、私が背負うべき罪の贖罪なのですから……。

 あの子は私のように闇を背負い闇の中で嘆くのでは無く、生きて光の中で笑っていてほしいのですから……。

 母親はそう言うと椅子から立ち上がり、寝息を立てているシルヴィアを見下ろす。そして優しく頭を撫でた。

貴女だけは、どうか幸せになって……

 

 

 お母様は何故、死んでしまったのだろう? 

 クィレル先生とヴォルデモートが言っていた私が持っている復讐心とは一体何なんだろう? 私の……私の過去には一体何があるのだろう?

 

『お主はまだその時では無い。お主にはまだ時間が必要じゃ。真実を受け止め受け入れるだけの時間がの』

 ……ダンブルドア校長先生?

『受け入れ難い過去という者は皆一様に持っているものじゃ。無闇矢鱈と恐る必要は無い。しかし、正しく恐れなければならない。

 その為にお主は時間が必要じゃ。お主はまだ、その真実に辿り着くべきでは無いのじゃ。』

 ……時間が必要。

『そうじゃ、今は苦しいことは全て忘れ、安らかに眠りなさい』

 ……はい。分かりました。

 

 

 一体、どれほどまでの時間が経ったのだろうか?

 シルヴィアの意識は浮上した。温かい場所。今年度3回目の天井をただ呆然と見つめた。

 そうして、最初に浮かんできた感想は「またここか……」だった。ただ、今日は空が明るい。つまり、朝なんだろう。

 

「あら、ダイエーユウさんのお目覚めね。マダム・ポンフリーを呼んでくるわ」

 オリビアは自分が気絶し、医務室に運ばれた事が3回目である事もあって、馴れた対応した。そして、すぐにマダム・ポンフリーは梟の後に着いてやってくる。

「やっと起きましたね。気分はどうですか?」

「え? えぇ……まぁ、大丈夫です」

 シルヴィアはまだ起き抜けで頭がボーッとしていると言う事を除けば頗る体調が良かった。

 恐らくマダム・ポンフリーには止められるだろうが、今からでも走り出せそうなぐらいには元気が良かった。(ただ、どうせシルヴィアは走るのが遅い)

 

「それは良かったです。今日の夜には学年末パーティーがあります。出れそうですか?」

「た、多分……だ、大丈夫。です」

 シルヴィアは若干途切れ途切れに言った。

「では、今は安静にしていなさいね。」

 そう言ってマダム・ポンフリーはシルヴィアの元から離れた。

 

「シルヴィア、ハリー・ポッターが貴女よりサキに起きて色々喋ったから、貴女とハリー・ポッターの英雄譚でガッコージューは持ち切りよ。」

「そ、そう……なの?」

 シルヴィアは困惑しつつオリビアの話を受け止めた。

「ね、ねぇ? オリビア」

「ナニかしら?」

「……結局、全ての犯人はクィレル先生だったの。

 けど、先生はヴォルデモートって言う悪い魔法使いに取り憑かれていたの。確かに、先生の行動は悪の行動だった。それは理解してる。

 それでも……私が先生を殺す免罪符に……なるのかな……?」

 シルヴィアは、涙を瞳に浮かべながらそう語った。オリビアは呆れながらも真っ直ぐにシルヴィアを見た。

 

「ハナシによれば、貴女はそのクィレルって言うヤツにか〝服従の呪い〟と〝ハリツケの呪い〟をかけられたようじゃない。それで、ハリー・ポッターをコロソウと仕向けられていた……。」

 ここでシルヴィアは唾を飲み込んだ。自分はハリー・ポッターを殺せとクィレルから命令されていた。しかし、別に〝服従の呪い〟はそこまで自分に対して効果をなさなかったと思う。確かに〝磔の呪い〟は辛かったが……。

「フツーの人間だったら、〝服従の呪い〟をかけられたら、ジュツシャの命令にソムケナイ。〝ハリツケの呪い〟をかけられたら、サイアク廃人になる可能性だってあった。

 貴女のあの時取れたコウドーはクィレルを殺すかイカスかじゃ無くて、クィレルを殺すかハリー・ポッターを殺すかだったわ。」

「う、うん……そ、そう……そうだね」

「確かにヒトの命は皆、ビョードーでありイチド喪われたら戻らない。故にトウトイわ。

 されども、あのクィレルはヴォルデモートに取り憑かれているとはイエ、そのイノチを弄ぶようなコトをした。

 グタイテキに言えば、あの時貴女がハリー・ポッターを殺したら、貴女はもうイッショー戻って来れない闇のオクソコに連れてかれていたわ。

 貴女は、それまでの貴女を失ってしまう。失わされる所だったわ。そうやって、ヴォルデモートはタシャの命を弄んでいる。そして、一度はそのヴォルデモートに力を求めたクィレルもドウザイよ。」

 シルヴィアはオリビアの言った事を納得出来ると出来ないの狭間に居た。

 

「……トリアエズ! 貴女とハリー・ポッターのコウドーは魔法界のミライを救ったのよ! あの時、クィレル及びヴォルデモートを倒さなければヴォルデモートはフッカツした。ヴォルデモートがフッカツしてしまえば、魔法界はお終いよ!

 貴女のユウジンのハーマイオニー・グレンジャーなんかマグル生まれでしょう? マグル生まれは闇の魔法使いにミナゴロシよ。」

「そ、そんな……」

「けど、貴女達のユウカンなコウドーによってそれは避けられた。イッタンは喜びなさいな。」

「う……うん……」

 シルヴィアはその言葉を聞いて無理矢理納得する。しかし、もう1つ疑問が生まれてしまう。

「な、なんで……ヴォルデモートは私を誘拐したの?」

 その問いを聞いてオリビアは少々悩んだ表情を見せた。

 

「……それは、私にはワカラナイわ。ヴォルデモートのみぞ知るって言うハナシじゃ無いかしら?」

 ただ、何処か誤魔化しているような気もした。

 もしかしたらこの梟、オリビアは何か知っているのかも知れない。ただ、それを詮索するのは恐らく今では無いのだろう。

「分かった。色々ありがとうね。オリビア……」

 

「……ね、ねぇ?」

 隣のベッドから声がした。視線を向けるとハリーだった。

「あ、ハリー。良かった、無事だったんだ」

「僕は大丈夫。ハーマイオニーは酷く心配していたよ」

「そ、そっか……私が、迂闊だったばかりに……」

 ハリーは何処か悩んだような表情をしてから、顔を上げシルヴィアを見た。

「シ、シルヴィアは……どうして、自分に酷い事をしたクィレルを……こう、許せるの?」

「わ、私達が人を許さなければ……私達の罪は神はお赦しになられない……から?」

 シルヴィアは何かを読み上げるようにそう言って見せた。ハリーはなんて言えばいいのか分からないような表情になっていた。

「そ、そうだよね。理解出来ないよね。それは……分かる。けど、私……──「シルヴィア!」

 そう言って医務室に雪崩れ込んで来たのはハーマイオニーだった。

 どこからかシルヴィアが目覚めた事を聞きつけたのだろう。若しくはマダム・ポンフリーに無理に聞き出したのだろう。

 

「大丈夫だった!? クィレルに誘拐されていたって聞いたわよ!」

「だ、大丈夫だよ……」

 シルヴィアは若干ハーマイオニーの勢いに押されつつも反応をした。

 ハーマイオニーは心底安心した。と言う表情でシルヴィアを見た。

 そこでハーマイオニーからハリー達一行が直面した課題について聞いた。それはまるで本当に冒険譚のようで、シルヴィアは話に聞くだけで気分が上がった。

 最後の最後には職員室から戻って来たマダム・ポンフリーから摘み出されたが、シルヴィアにその時間は確かに楽しい時間だった。

 

 

 その夜、シルヴィアはハリーと共に学年末パーティーに出席する為に大広間に向かった。

「シルヴィアって……もしかして、動物と話せたりするの?」

 ハリーからそう問われた。シルヴィアは一瞬、真実を話そうか悩んだが、共にヴォルデモートを倒した仲だから……と考え、自分が梟と話せる旨を語った。

「へぇ……やっぱり、魔法界って凄いんだね」

 ハリーはそれだけ言った。そうして、大広間に辿り着く。

 大広間は沢山の人でごった返していたので、ハリーとシルヴィアの登場に気付く者は殆ど居なかった。

 また、どう言う訳かシルヴィアには知り得ないのだが、大広間はスリザリンのシンボルであるグリーンとシルバーのスリザリン・カラーで飾られており、教職員用テーブルの後ろにはスリザリンの蛇を描いた巨大な横断幕が飾られていた。

 

「あ、シルヴィア! 大丈夫だった!?」

 スリザリンのテーブルにシルヴィアが向かうと最初にパンジーが反応した。

「クィレルに誘拐されて、どう言う訳かあのポッターと一緒に『例のあの人』を倒したって?」

 ミリセントは大層驚いている様子でそうシルヴィアに聞いた。

 シルヴィアは「うーん、大体そうかも」と答える。すると周囲に居たスリザリン寮生は大層驚いた声を上げた。その驚いた声は複雑なものだとシルヴィアでも分かった。

「ほんと、ぶっ飛んでるわね。けど、面白いからいいかも」

 ダフネがそう小さな声で言った。シルヴィアも苦笑いを浮かべるしか無かった。

 自分はこう言った話題に関しては不干渉であると信じていたからだ。強大な敵を倒すなど小説の中の世界だけの話だと信じていたからだ。

 

 ダンブルドアが立ち上がり、大広間を支配していたガヤガヤ声はすぐに静まった。

「また、一年が過ぎた!」

 ダンブルドア校長はそう朗らかな笑顔で言った。

「一同、ご馳走に齧り付く前に、老耄の戯言をお聞き願おう。何と言う一年だったろう。君達の頭も以前と比べて少し何かが詰まっていればいいのじゃが

 ……新学年を迎える前に君達の頭が綺麗さっぱり空っぽになる夏休みがやってくる」

 そう言えば後で、スネイプに〝移動(ポート)キー〟を請求しなくては。とシルヴィアは思い出す。

「それではここで寮対抗杯の表彰を行うことになっとる。点数は次の通りじゃ。4位、グリフィンドール。312点。3位、ハッフルパフ。352点。2位、レイブンクロー。426点。そして1位はスリザリン! 442点」

 スリザリンのテーブルは大盛り上がりし、嵐のような歓声と足を踏み鳴らす音がなった。

 パンジーは高く耳を劈くような声を上げ、ミリセントはドカドカと足を踏み鳴らし、大地が震えた。

 シルヴィアとダフネは喜びつつ、少し迷惑。という様子だった。

「よし、よし、スリザリン。よくやった。しかし、つい最近の出来事も勘定に入れなくてはなるまいて」

 ダンブルドアがそう言うと同時に部屋全体がシーンとなり、スリザリン寮生の笑いが消えた。

 

「駆け込みの点数をいくつか与えよう。えーと、そうそう……まず最初はロナルド・ウィーズリー君。

 この何年間か、ホグワーツで見る事を出来ななかったような最高のチェス・バトルを見せてくれた事を称え、グリフィンドールに60点与える」

 グリフィンドールの歓声は魔法をかけられた天井を吹き飛ばしかねないくらいだった。

 スリザリンはチェスをしただけでその得点はおかしい! と皆んなで騒ぎ立てていた。シルヴィアはハーマイオニーから、何となく事の顛末を聞いていたので知っていたが、ならば先に加点してほしかった。と思った。

 

「次に……ハーマイオニー・グレンジャー嬢に……火に囲まれながら、冷静な論理を用いて対処した事を称え、グリフィンドールに60点を与える」

 グリフィンドールの寮生が、テーブルのあちこちで我を忘れて狂喜している。

 対して、スリザリンの寮生は最後の最後で120点も点数を増やす校長の裁量はどうなっている! と抗議の声を上げている。

 

「3番目はネビル・ロングボトム君。

 勇気にも色々とある。的に立ち向かっていくこのにも大いに勇気がいる。しかし、味方の友人に立ち向かっていくにも同じくらい勇気が必要じゃ。そこで、わしはネビル・ロングボトム君に10点を与えたい」

 耳を劈く大騒音だった。この場に叫びながら足し算が出来る人が居れば、グリフィンドールが442点になり、スリザリンと同列1位になった事が分かるだろう。

 

「そして……ハリー・ポッター君。その完璧な精神力と、並外れた勇気を称え、グリフィンドールに80点を与える」

 大広間の外に誰か居たのならば爆発でも起こったかと思うだろう。そのくらいの歓声がグリフィンドールのテーブルから湧き上がった。

 対して、スリザリンのテーブルからは大ブーイングの嵐だった。

 

「そして……最後に──」

 ダンブルドアは大騒ぎを沈めるかのように声を出した。

 グリフィンドール寮生は期待するようにダンブルドアを見つめ、スリザリン寮生はダンブルドアを己の親の仇のような目で見つめていた。

 

「シルヴィア・ネクロタフィオ嬢。

 自分の危機で信じ難い苦境であっても状況を冷静に判断し、その場にとって最善の選択の為に行動をした。

 そして、何よりも仲間だけでは無く敵にまで慈悲を持つその心を称え、80点を与える。」

 スリザリン寮生は一気に歓声を上げる。ただ、誰かが足し算した結果はグリフィンドールと同列である。と言う事だ。

 しかしながら、後追いのグリフィンドールに80点差で負けるよりはずっと気分がいいと大抵の人が判断したのか、結局皆、歓声を上げ喜びを見せた。

 

「グリフィンドールとスリザリンは522点。従って引き分けじゃ! さて、飾りをちょいと変えなければのう」

 ダンブルドアはそう言うなり、手を叩いた。

 次の瞬間、大広間の半分のスリザリンの飾りがグリフィンドールのシンボルである真紅と金色のライン。そしてライオンが現れ、残り半分はそのまんまだった。

 

 その後、楽しい雰囲気でパーティーが執り行われたが、結局シルヴィアは疲れが取れておらず、サラダを2口ほど食べてから眠ってしまった。

 

 

 シルヴィアは勿論、他の生徒もすっかり忘れていたのだが試験の結果が出された。

 魔法薬学と薬草学はどうしたものかシルヴィアは満点以上を叩き出し、ハーマイオニーやその他、パンジーやミリセントは疑問に思っていた。

 ただ1人、ダフネは納得した様子で「流石はポーションマスターね」と何処か皮肉げな云い方をした。

 それ以外、特に変身術の実技が酷い点数だったがどうにか座学で取り返している。という状態だった。

 

 そして、あっという間に洋服ダンスは空になり、トランクは一杯になった。

 〝休暇中魔法を使わないように〟という注意書きが全生徒に配られた。

 シルヴィアは自習したかったのに! と嘆いたが、法律的にしょうがないらしい。という事実を知るとシュンと静かになった。

 

「あ!」

 シルヴィアはここで忘れ物を思い出す。スネイプに〝移動(ポート)キー〟を貰うのを忘れていたのだ。

 急いで、シルヴィアはスネイプが居るであろう場所を練り歩く。

 魔法薬学教室にも居らず、職員室にも居らず……結局、最終的に見つけた場所はスネイプの研究室だった。

 

「入りなさい」

 木の扉をノックするとすぐにそう言われた。シルヴィアは若干緊張しながら入る。

 理由は単純明快、スネイプの助言を無視したが故にクィレルに誘拐されるわ、磔の呪文をかけられるわ、ハリーを殺しかけるわで大変だったのだ。

 シルヴィアは流石に反省していた。

 

「その〜……〝移動(ポート)キー〟を頂きたいんですけど……」

 シルヴィアは部屋に入るなり、スネイプにそう言う。スネイプは明らかに機嫌が悪いと言う様子だった。

 ただ、粛々と黒い羽ペンを取り出して杖で魔法をかけシルヴィアに渡した。

 そう言えば、この黒い羽ペンは何なのかと一瞬思った。しかし、考えてもあまり意味が無さそうと言う考えに至り、考えを放棄した。

 

「……ネクロタフィオ。君は、そのあまりにも幼稚とも言える不注意さで母君が繋げてくれた命を無碍にするつもりか?」

「あ、いや……ご、ごめんなさい」

 シルヴィアはただ謝った。しかし、スネイプの舌はまだ回る。

「君はもう少し人を疑い、人に根拠の無い信頼を寄せるな。」

 それって、つまり目の前に居るスネイプも疑った方がいいのだろうか?

 シルヴィアはふと疑問に思ったが、そんな事口に出すべきでは無い。とは思った。

 

「……、兎に角。気を付けろ。世界と言うものは、君が想像するよりもずっと醜く汚らわしく悪意に満ちている。君を利用とする輩も一定数居る。

 どうやら、君は地下でクィレルを救おうとだとか馬鹿な考えを思い付いたようだが、世界はそんな容易いものでは無い。世界は生温いものではない。

 純粋無垢は人を救わない。自分も救えない。覚えておくんだ」

「は……はい……分かりました……。」

 シルヴィアはスネイプからそう言われた後、〝移動(ポート)キー〟である黒い羽ペンを受け取った。

「あ、あの……スネイプ先生?」

「何かね? 急がないと汽車が行ってしまうぞ」

「そ、その……私を利用しようとする人とは何なのですか?」

 スネイプは暫く黙ってしまった。少しすると壁掛け時計を眺めた。

 

「早く、ここから立ち去れ。汽車の時間に本格的に間に合わなくなる」

 そう言うなり、スネイプは完全にシルヴィアを追い出す。と言う雰囲気を醸し出し始めた。

 シルヴィアは「ヒェ……」と小声を出して、逃げるようにスネイプの研究室から飛び出した。

 

 

 『アノ子ハ……オ前ヲユルシタ。ケレドモ、私ハ……オ前ヲユルサナイ。ユルサナイ……呪ッテヤル!

 

 

「ここは……一体、何処だ?」

 わたしは目覚めた。わたしは確かに死んだ筈だった。ハリー・ポッターの謎の魔法により、わたしは灰になった。

 わたしは愚かな事をした自覚がある。

 何せ、他人を見返してやりたいから。と言って、ホグワーツ教授の仕事を休職して世界旅行を始めた。

 あのヴォルデモートは滅んでいないらしい。そんな噂を小耳に挟んだ。正直確証は無い。

 ただ、ヴォルデモートに出会って闇の魔術を1つや2つ教えて貰えればいい。とか思っていただけだった。そう思って世界旅行を始めたのだ。

 行き先も無い旅。最初は本当にただの流離旅だった。

 

 ──あのアルバニアの森に辿り着くまでは。

 アルバニアと言う土地は、マグルからしても魔法族からしてもあまり近寄り難い土地だ。まず、鎖国をしている為、マグルは易々と入れない。それに加えて、マグルの政治的にもイギリスの政治と随分と違う。

 わたしはマグル学教授だったから知っている。

 アルバニアとは共産主義政党による一党独裁体制で、社会主義人民共和国なのだ。独裁体制なもので、かつ鎖国体制。当然、情報が外に出て来ない。

 そんなよく分からない国に入って2週間。とある森に入った。とても不気味な森だった。それと同時にどこか闇の魔術的な何かを感じた。

 とある木の洞を覗いた時だった。そこには、魂の残り滓のような何者かが居た。わたしは直感からこの何者かが嘗て、ヴォルデモートとして名を馳せた者だと分かった。

 

 そこからはあっという間の話だった。ヴォルデモートから闇の魔術を教わろうと思った。しかし、ヴォルデモートは先ず、わたしにわたしの体を貸せ、貸したら教えてやっても構わないだろう。と言った。

 そこでわたしは、体を貸す事を許してしまった。──その時だった。その時、わたしの死が決まったのだった。

 ヴォルデモートは確かに闇の魔術を教えてはくれた。

 毎度毎度、わたしに対価を求めてきた。まず、わたしが何者か語るように命令した。

 ホグワーツで教授をしていると言ったらやたらと食い付きが良かった。ここで悟る事が出来たならばどれだけ楽だったか。

 ヴォルデモートはわたしを〝生き残った男の子:ハリー・ポッター〟殺しの為の捨て駒にしようと考えていたのだ。

 

 わたしは、今までずっと誰にも求められた事は無かった。

 誰からも虐められ、軽んじられていた。そんな惨めな人生が嫌だった。そんな中で、自分を肯定する者、自分を求める者が現れたらどうだろう?

 わたしは、ヴォルデモートの甘美な言葉にまんまと乗せられていた。

 

 ヴォルデモートを体に宿したまま、わたしはイギリスに帰った。

 何処から情報を手に入れてかはわたしでも定かでは無いが、ヴォルデモートが手に入れた情報によれば、ホグワーツに〝賢者の石〟が保管されるらしい。という話を聞いたそうだ。

 そして、〝賢者の石〟は今現在はグリンゴッツ銀行にある。ともヴォルデモートは語った。本当に何処から情報を手に入れたのだろう?

 わたしは、グリンゴッツの銀行破りをしろと命じられた。

 あり得ない。無茶だ。そんなの不可能だ。

 グリンゴッツは魔法界に置いてホグワーツの次に安全と謳われる場所だ。そんな場所に飛び込み、保管されている物を盗めだなんて無茶な話だ。

 

 わたしは、確かにそう()()()だけだ。

 しかし、ヴォルデモートはわたしの思考を正確に読み解き、わたしの体に直接苦痛を与えた。わたしは、ヴォルデモートに反抗するのが怖くなった。

 勿論、対抗しヴォルデモートを自分の体から追い出そうと言う努力はした。しかし、無駄だった。

 ヴォルデモートのような闇の力の権化のような存在に、わたしのようなちっぽけな魔法使いが敵う筈もなかった。

 それどころかヴォルデモートの支配はより一層強まり、わたしの後頭部に顔を出すようになった。

 わたしは、その顔を隠す為にターバンを巻きつけたが、寝るのが満足に出来なくなった。それ以降、ベッドで寝る事が叶わなくなり、椅子に寄りかかりながら眠る事となった。

 

 

 ──わたしは結局、ご主人様の命令を叶える事が出来なかった。銀行の金庫は既に開けられており、わたしは早々に退却した。

 

 それから、1年間。わたしは、ご主人様の命令を達成する事は叶わなかった。

 それどころか、ホグワーツに戻りダンブルドアに一眼見られるや否や、何か疑いの目を向けられた気がした。それに加えて、悉くスネイプが邪魔してきた。

 

 わたしは、1年を通してずっと弱々しい教授を演じた。そうすれば、かの生き残った男の子であるポッターを騙す事が出来た。

 彼は、ずっと賢者の石を盗み取ろうとする犯人をスネイプだと勘違いしていた様子だった。わたしの演技は完璧だったようだ。

 

 ご主人様の命令は主に3つあった。

 賢者の石を奪う。ハリー・ポッターの殺害。そして、シルヴィア・ネクロタフィオと言う少女を攫ってくる事。だった。

 最後の1つのみ理解が出来なかった。ネクロタフィオと言う一族は中世の時代に栄え、その後名字を変更した筈の名前だ。

 現代に於いて、存在し得ない家の筈だ。

 ご主人様に訳を聞いてみれば、彼女は特異な存在であり、マグルに対して強い復讐心を持っている。そう語っていた。

 

 しかし、新学期が始まってみてどうだろう。

 生き残った男の子であるポッターは、魔法に対しての造詣はマグル生まれと殆ど変わらなかったし、ネクロタフィオはただの気と頭の弱い小娘だった。

 ネクロタフィオは、わたしの真っ赤な嘘を全て飲み込み信じたのだ。

 信じられる嘘では無いとは思っていたが、まさか全て信じる愚か者が居るとは。と思った。

 

 クリスマスの時、わたしはご主人様に連れられてトワイグフェレストと言う廃村がある村にやって来た。

 森を少し進めば1軒の小さな館が存在しており、ご主人様によればあの家にあの少女は住んでいるらしい。それも1人だそうだ。

 何故、1人でこんな森深くに住んでいるのかは知らないが、正直に言って可哀想な子だと思った。

 ……ただ、簡単な事だと思った。館を襲撃して少女1人を連れ去ればいいと思っていた。

 しかし、話はそう簡単ではないそうだった。

 1歩踏み出そうとすると何者かに後ろから肩を掴まれ、砕かれそうになるし、その謎の手を振り払って小川を越えようとすれば、小川は途端河幅を広げ増水し私を流してしまった。

 川に引き摺り込まれそうになったが、どうにか逃れる事は出来た。後に、何故かスネイプとも鉢合わせたし散々だった。

 わたしはまた失敗したのだ。ご主人様の願いを叶える事が出来なかった。

 

 それ以降、ご主人様は私をよく痛めつけるようになった。

 それに加えて、私は魂を吸い取られすぎた為、わたし自身も弱くなっていって禁じられた森に言って一角獣(ユニコーン)の血を吸う。という魔法界に於いて、罪深い行為に走らなければならなくなった。

 

 何日も眠れず、わたしは疲労困憊している中、試験が訪れた。

 試験になれば教授は皆大抵忙しくなる。スネイプの監視の目を随分と緩くなる。これは絶好のタイミングだ。

 それに加えて、わたしはわたしの体がもうこれ以上長く持つとは思えなかった。だから、早くご主人様の願いを叶える必要があった。

 きっと、ご主人様はわたしが全てを完遂させれば復活し、わたしの体をも救ってくださる筈だ。そうだ。そうに決まっている。

 ならば、早く。なるべく早く計画を進めなければ。

 

 わたしはダンブルドアに偽の梟便を送りつけ、ホグワーツから魔法省のあるロンドンへ向かうように仕向けた。ダンブルドアは見事、騙されてくれてロンドンへ向かった。

 次にわたしは、ネクロタフィオ誘拐に着手した。

 正直、スネイプの監視さえ無ければ簡単に出来ると思っていた。あの少女は驚く程に純粋無垢で人を容易く信じてしまうからだ。

 結果、嘘みたいに上手くいった。自分が普段、授業をしている教室に誘い込み、失神呪文を食らわせ倒れさせた。

 

 ポッターを箒から落し、殺そうとしたわたしにまともな倫理観は無かった。

 ご主人様が言うには、彼女は大いなる魔力を持っているそうだ。

 逃げられるのを防ぐ為、わたしはご主人様の命令通りに彼女を魔法で縛り上げ、トランクに突っ込んだ。

 途中、彼女に触れた際に彼女の肌は死人のように冷たいのに、何故か手が燃えるように熱かった。しかし、それはすぐに治った。

 そして消灯時間が過ぎた後、地下へ向かった。トランクに入れて仕舞えば人間1人を移動させている事など誰にもバレなかった。

 

 そうして、教授達の数々の罠を乗り越え最後の部屋に辿り着いた。

 そこには大きな鏡が置いてあるのみだった。どうしよう。とご主人様に問えば小僧が来るまで待て。と言われた。本当に来るのだろうか? 

 心配になったが、ご主人様によれば必ず来る。と仰った。

 

 

 そう、あのポッターは確かにこの部屋に辿り着いた。ポッターを使えば賢者の石が手に入るとご主人様は言った。

 ポッターを鏡の前に立たせてみればビンゴだったようだ。彼は賢者の石を手に入れた。私よりも先に。

 ポッターは逃げようとした。

 ご主人様は次はシルヴィア・ネクロタフィオを使えと言った。ネクロタフィオにポッターを殺させ、能動的に闇側に引き込ませよう。と言う算段だそうだ。

 

 わたしは、ネクロタフィオに服従の呪文を向けた。

 確かに魔法はかかった。しかし、彼女が確固たる意思を持っていたのか、それとも私の実力不足なのか効力は弱かった。

「や、やだ……こ、殺しなんて! 殺しなんてしたくない!」

 そう言ってわたしに杖を向けて来た。

 どうせ、1年生の魔力だったらわたしを倒す事は出来ない。それでも、愚かな事に彼女はわたしに杖を向けて来た。

「あの理不尽、不条理を忘れていないだろう? あの怒りを忘れてはいないだろう?」

 そう言って仕舞えばネクロタフィオのダンブルドアによって操作され消された過去の記憶を思い起こす事が出来る。そうご主人様は語っていた。

 わたしはよく分からなかった。

 ネクロタフィオという少女はこの世の理不尽さや不条理、残酷さを一切知らなそうな純粋無垢な少女だった。一体、彼女の過去に何があるか知らなかった。

 それでも、わたしは彼女の腕を杖をポッターに向けさせた。まただ。彼女の肌は冷たいのに、それなのに触れると熱い。手が火傷をするくらいに熱い。

 ……それでも、ご主人様の拷問的な折檻と比べればずっとマシだった。

 

「さぁ、殺せ! 殺せぇ!」

 ご主人様はそう喚くように言う。少女よ、早くポッターを殺せ。わたしを楽にさせてくれ。

「いやだ……いやだ。人、人殺しなんて。そんなの神はお赦しになられない!」

 ネクロタフィオはそう口走った。

 神? 神を? この小娘は神を信じているのか? 何とも愚かな事に……この世界には神は存在しない。神など存在し得ない。存在するのならば、私の苦しみは何故、救われない?

 ネクロタフィオに少しばかり抱いていた憐れみの感情が、一気に嘲笑に入れ替わった気がした。

「神はお赦しになられない? 神だなんて馬鹿馬鹿しい。そんな存在し得ないものを信じるのではなくて、ただ唯一の闇の帝王。ご主人様を信じろ!」

「拷問してでもその娘を使ってハリー・ポッターを殺せ!」

 ご主人様はそう仰った。

 ならば、わたしはそうするべきなのだ。この小娘に磔の呪文を放つべきなのだ。

「〈クルーシオ 苦しめ〉!」

 私の杖からネクロタフィオの体に閃光が飛ぶ。

「あああああ!! 熱い!! 熱い、熱い熱い熱い!! い、いやだ、いやだ。死にたくない! 死にたくなぁぁい!!」

 ネクロタフィオはそう叫び喚いた。11歳の幼い少女には耐え難い痛みだろう。

 けれども、わたしは、わたしはいつもその苦しみを味わって来た! 

 怒りが先行した。されど、打ち慣れない闇の魔術は確実に体力が消耗させた。ほんの数秒の事だけしか磔の呪文は続けられなかった。

 

「さぁ、ハリー・ポッターを殺せぇ!! お前がハリー・ポッターを殺せばお前の憾みを果たす手伝いをしてやろう!」

 ご主人様の声が空間を裂いた。ネクロタフィオは下を向きながら息を上げている。

「──ハ、ハリー・ポッターを殺せば……私の憾みを果たす手伝いをしてくれるん……だね?」

 やっと、やっと……やっと。ネクロタフィオは私の望む回答をした。やっと、やっと私は救われる。

「あぁ、勿論だとも。必ずやお前の復讐を果たさせよう。死の呪文は知っているかね? 『アバダ・ケダブラ』だ。」

 ご主人様はそう言う。

 少女に殺人の咎を負わせようとしている。

 本来、普通の道徳的な大人であれば止めるべき場面だろう。しかし、わたしにはそんなものは無かった。

 小娘は昏い笑みを浮かべていた。ポッターをその灰色の瞳で見つめていた。不気味な笑みを浮かべていた。

 ──やっと、この小娘はわたしに……ご主人様に屈服したのだ。

「あっはは……分かった。」

「〈ステューピファイ 麻痺せよ〉」

 

 先ほどまでポッターに向けられていた杖先が自分に向いた時、わたしは死の呪文がかけられると思った。

 しかし、この小娘が放ったのは失神呪文だった。

 わたしが憎く無いのか? 己に耐え難い恐怖を与えたわたしが憎く無いのか?

 けれども、同時に悟った気がする。

 この少女はあまりにも慈悲深いのだ。例え、敵であろうとも救おうとする。それが少女の性質そのものであろう。

 それが例え信仰が故の行動であっても、確かに尊すぎる行為だった。しかし、同時に怒りが湧いて来た。

 他者を憐れんで、神にでもなったつもりか。人を許して神にでもなったつもりか。そう思った。

 少女を通って地面に崩れた体。

 ずっと、ご主人様が唸っていた。叫んでいた。『殺せ! 殺せ!』と叫んでいた。

 

「痛みを与えられても尚、抗おうとする……その、心意気。本当に愚かなんだな……シルヴィア・ネクロタフィオ!」

 わたしはすぐに起き上がり、逃げようとする少年少女を追いかける。

「来るな!」

 ポッターは何とも健気な事にネクロタフィオを庇うように立ち塞がった。

 杖も持たず愚かな小僧よ。

 そう思っていた頃だった。ポッターは飛んできたわたしに顔面パンチを喰らわせた。

 ──意味が分からなかった。その行動を理解が出来なかった。せめて魔法を使え!

 

「ぐっ、魔法使いなら魔法を使……──な、なんだ! ご、ご主人様……わ、私の私の体が……私の体が!!」

 何故か、ポッターのパンチを受けたところが燃えるように熱くなった。

 あの、ネクロタフィオに触れた時と同じだ。いや、それ以上に熱かった。

「た、助けてください!!」

 最期にそう叫んだ。しかし、ヴォルデモートは助けてなどくれなかった。

 ──わたしは結局、捨て駒にしか過ぎなかったのだ。そう、それだけだったのだ。

 

 徐々に薄れていく意識の中。わたしは死を覚悟した。そして間も無く……わたしは死んだ。

 

 

 

 

「それが……何故、生きている?」

 代わり映えのないあの地下にて、わたしは健常な体を取り戻し、息を吹き返していた。

 

 

 校長室にはマクゴナガル、スネイプ、フリットウィック、スプラウトが勢揃いしていた。そして、今さっき起きた奇妙な出来事について議論をしていたのだ。

「一体、全体……何がどうなればこうなるのですか?」

 マクゴナガルが校長室に戻って来たダンブルドアに向かってそう言う。

 皆それぞれが大層驚いている様子だった。

 4人は確かに、地下でクィレルの死を確認した。しかし、クィレルの遺灰を集め墓に入れる為にもう一度地下に戻った際にクィレルは生き返っていたのだ。

 クィレルは4人に対して今までの反省の言葉を紡ぎ、そして経緯の説明をした。

 その後、クィレルは大人しく校長室に出頭しダンブルドアは、クィレルをアズカバンに引き渡したのだ。

 ダンブルドアが戻ってくるまで4人は議論をした。何故、クィレルが生き返ったかについてを……。

 

「全く予想が付かん。」

 ダンブルドアは困り果てた。と言う様子でそう言った。

 そして、マクゴナガルの隣に居るスネイプを見つめる。スネイプは彼にしては珍しく動揺しており、尚且つ何か知っているような表情をしていた。

 

「セブルス? お主はクィレルが生きているのを見た時、大層驚いていた後に『ヘンリーが言った事は正しかったのか』と呟いたの? お主はヘンリーから何か託けでもあったのかの?」

「ヘンリー? ミス・ネクロタフィオの書類上の両親である、あのヘンリー・ローズブレイドですか?」

 フリットウィックが目を丸くさせて、そうダンブルドアに問いかける。ダンブルドアは静かに頷いた。

「い、いえ……わたしは、何も……」

 スネイプはどうにか平常心を保とうとしているが、無理な話だったようだ。

 

「ほう? わしの見立て……と言うよりお主の動揺具合から推測するに、この件はシルヴィアが関係しておりそうじゃが……お主はローズブレイド夫妻とそれなりの親交があったの? 2人から何か託けでもあったのかの?」

「……そ、そんなもの……何も御座いません。貴方に5年前伝えた内容で全てです。」

 ダンブルドアは疑い深そうにスネイプをそんブルーの瞳で捉えたが、早々に止める。

「そうかの。まぁ、それで良い……」

「わ、わたしはここで失礼させて頂きます。」

 スネイプは足速に去って行った。

 残された4人は複雑な表情で立ち去るスネイプの後ろ姿を見ていた。

「こ、校長? シルヴィアが……関係しているとはどう言う事なのですか? シルヴィアは確かに、こう……複雑な過去を抱えているとは聞きましたけど……まさか、死人を生き返らせる能力を持っている。と言うのですか?」

 今度はスプラウトが動揺した様子を見せた。

「分からん。セブルスは黙秘しておるし、ローズブレイド夫妻はもうこの世に居らん。迷宮入りというやつじゃ」

 ダンブルドアがお手上げ。と言う表情でそう言い放つ。3人は少し呆れた様子にはなるが、すぐに悩む。と言う表情になった。

 

「しかし、〝例のあの人〟はいったい何処でシルヴィア・ネクロタフィオについて見知ったのでしょうか?」

 先程のクィレルの自供によれば〝例のあの人〟はシルヴィアの事を知っており、尚且つその力を求めていた。

 しかし、シルヴィアの事はこれまでひた隠されていた筈の話だった。

「それについても分からない。あの者が未だ、力を持っていた時にたまたま知ったか、力を失ってから知ったか……。

 彼女についての護りは帰省中は確実であるのじゃが、どうもホグワーツに居る間は弱まる……対応策は考えねばの。」

 ダンブルドアは月を眺めた。静かな月夜だった。

 

「いずれはシルヴィアもまた、真実を知らなければならない。残酷な真実を……。憐れな子じゃ」

 ダンブルドアはそう呟くように言った。3人もまた気の毒そうな表情で月を眺めた。





シルヴィアの母親:
 薬草を集め、煎じて薬を作ったりしている人。
 シルヴィアの未来に幸福が訪れるように神に祈っている。母親の幸せはとうの昔に潰えたらしい。何か罪を犯したらしい。

ダンブルドア:
 グリフィンドールに大量加点をしてからシルヴィアにも加点をしたので、原作よりかはスリザリンに対して優しい。
 クィレル蘇り案件についてスネイプが何か知っているのではないかと疑っている。
 ヴォルデモートがいつシルヴィアの事について知ったのか気になっている。

スリザリン寮生:
 シルヴィアがヴォルデモートを倒すやら、寮対抗杯で優勝したと思ったらダンブルドアによるグリフィンドール大量加点があるやら、シルヴィアに加点があったのでグリフィンドールと同列優勝するやらで色々と感情が迷子。

寮の点数:
 スリザリンの点数と加点が原作と違います。

アノ子ハ……オ前(中略)呪ってやる! さん:
 誰なのか?

クィレル:
 独白は一応設定を踏まえてだけども結構捏造が多い。あっていない部分が結構ある気がする。何処か時系列狂ってる場所がありそう。
 実はクィレルはヴォルデモートに抗った事がある。けれども、ヴォルデモートと言う強大な悪の元ではその抗いも虚しく、結局支配されてしまった。
 めっちゃ、シルヴィアをディスってる。
 シルヴィアの肌は冷たいけど火傷のように熱くなる。
 地下で目覚めた後、大人しく校長室に向いアズカバンに送られた。きっとアズカバンで趣味の押し花やってると思うよ。

アルバニアの森:
 やたらとハリポタってアルバニアの森が出て来ますよね。あれ調べたら、クィレルの独白に入れましたがアルバニアは1992年まで社会主義人民共和国で一党独裁をしていたそうです。そしてそれに加えて鎖国をしていたので、ヨーロッパの北朝鮮と呼ばれていたそうです。(国民総監視社会だったそうですし)
 その為、情報があまり出て来ず怪しい国だったので、JKR氏のイメージ的もきっと怪しい国、謎の国だったのでしょう。だからこそ、ヴォルデモートがやたらと行くようになったのかも知れませんね。(レイブンクローの髪飾りもアルバニアの森に落ちていましたし)

天におられる(中略)人を許します:
 『主の祈り』の一部分。

教授達の議論:
 4寮の寮監達はシルヴィアの複雑な過去を知っている。


誰も気が付いていないと思うので書くんですけど、第4話の序盤の誰かさんのセリフの空白部分をコピーすると文字が出て来ます。

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