新学期初日の授業は運がいいのか悪いのか、〝闇の魔術に対する防衛術〟だった。パンジーはすっかりロックハートと言う教師に対して黄色い悲鳴を上げていた。
ただ、幸いな事にミリセントは食にしか興味が無かったし、ダフネはロックハートと言う人物をただのナルシストにしか見えない。と冷酷な言葉を下していた。(本人曰く、夏休み中パンジーからロックハートの武勇伝についての手紙が鬱陶しく来たらしい。その所為で、すっかりロックハートの事が嫌いになってしまったそうだ)
シルヴィアとしてもオリビアから散々な事を聞かされていたので、あまり良い印象は無かった。
闇の魔術に対する防衛術の教室に辿り着く。どうやら、この教科は平常時は4階で授業を行うらしく、今年は4階のC教室で執り行われるらしい。
その、C教室に入るとなんだか悍ましかった。
ロックハートの肖像画が所狭しと並べられていたのだ。女子生徒の多くは黄色い悲鳴を肖像画に上げ、肖像画のロックハートはパチリとウィンクをした。それに女子生徒はまた悲鳴を上げる。
男子生徒は呆れのあまり引いていた。
シルヴィアは勝手にその女子生徒達を〝ロックハート・ファンクラブ〟と呼称する事に決めた。
「滑稽ね」
ダフネはそう静かに言うとシルヴィアを連れて一番後ろの席に座る。そして、鞄に入れていた7冊の教科書を山のように積み上げた。シルヴィアも同様に積み上げる。目の前が見えなくなった。
「君達は、肖像画に悲鳴を上げないんだな」
ドラコがそう2人の前に座り言う。
「あんな、胡散臭い奴の何がいいのよ」
ダフネはそう言い放った。ドラコはははっと苦笑を浮かべた。
「そう言えば、シルヴィア。君は汽車に乗れなかったようだけど、どうしたんだい?」
「えぇっと……漏れ鍋からキングス・クロス駅に辿り着けなくて……ロンドンを彷徨ってたの。
それで、親切な魔法使いが漏れ鍋まで案内してくれて、漏れ鍋の店主がホグワーツに手紙を送ってくれたの。その後、スネイプ先生に迎えに来てもらって……って事があったの」
「へぇ……そ、それは、気の毒だったな……あ、そう言えば、2人は聞いたかい? あのロナルド・ウィーズリーのところに母親から吼えメールを送られて来たんだ。」
シルヴィアは〝吼えメール〟が一体なんだか分からなかった。ただ、ドラコの顔は完全に人を馬鹿にする物だった。あまり、貰って光栄なものでは無いのだろう。
「ウィーズリーは何をしたのよ?」
「あぁ、アイツはどうやらポッターと一緒に自分の父親が作った〝空飛ぶ車〟で学校に登校して来たらしい。父親は魔法省で尋問を受けてウィーズリーは次、規則破りしたら退学だそうだ。」
ドラコがそう得げに言った具合に、ロックハートが入室して来た。〝ロックハート・ファンクラブ〟が席に着く。
満足気な表情でロックハートは大きな咳払いをする。みんながシンとなる。
ロックハートは生徒の方にやって来て、パンジーが持っていた〝トロールとのろい旅〟を華麗な動きで取り上げた。パンジーは小さく歓喜の悲鳴を上げた。
ウィンクしている自分自身の写真がついた表紙を高々と上げた。
「わたしだ」
本人もウィンクしながら言った。
「ギルデロイ・ロックハート。勲3等マーリン勲章、闇の魔術に対する防衛術連盟名誉会員、そして〝週刊魔女〟5回連続〝チャーミング・スマイル賞〟受賞──最も、私はそんな話をするつもりではありませんよ。」
「するつもりでしょ」
隣のダフネがそう厳しく言い放った。シルヴィアは隣で静かに苦笑を浮かべるしか無かった。
「バンドン*1の
ロックハートはみんなが笑うのを待っている様子だったが、先ほどまで肖像画前に屯していた〝ロックハート・ファンクラブ〟の生徒も少ししか笑わなかった。
「ねぇ? ダフネ。勲3等マーリン勲章ってどのくらい凄いの?」
シルヴィア自身、マーリンと言う魔法使いの事しか知らず、勲章については全く無知だったのでダフネにそう振ってみた。
「マーリン勲章は大きな功績を遺した魔法使いと魔女に授与される物よ。その中でも勲3等は〝魔法界の知識や娯楽に貢献〟よ
けれども……もし、ロックハートの実績が本当ならば、勲1等の〝魔法界における傑出した勇気や優れた功績〟か勲2等の〝並外れた業績や努力〟が贈られる筈だわ。この時点でロックハートってかなり怪しいわ。」
ダフネはそう言った。どうやら、ロックハートは本当に大衆小説家で合っているようだ。
ただ、実はロックハートと言う人は取材能力などが高かったり、人に何かを教えるセンスはあるのかも知れない。シルヴィアはそう言った面で彼に期待してみようと思った。
「全員が私の本を全巻揃えたようだね。大変宜しい。今日は最初にちょっとしたミニテストをやろうと思う。心配ご無用──君達がどのくらい私の本を読み込んでいるのか、覚えているのかをチェックするだけですからね。」
そう言ってテスト用紙を配り出した。全て配り終えると、ロックハートは教室の前の席に戻って合図をした。
「30分です。よーい、はじめ!」
シルヴィアはテスト用紙を開いて質問を読んだ。
1.ギルデロイ・ロックハートの好きな色は何?
2.ギルデロイ・ロックハートの密かな待望は何?
3.現時点までのギルデロイ・ロックハートの業績の中で、あなたは何が1番偉大だと思うか?
こんな質問が延々と3ページ、裏表に渡って続いた。
54.ギルデロイ・ロックハートの誕生日はいつで、理想的な贈り物は何?
「な、なんて……これが印字される為に切られた木が可哀想だわ……」
ダフネはそんなディスをかました。既にスリザリンの男子生徒は嘲笑を浮かべており、隣の生徒と嗤っていた。
シルヴィアもこのロックハートに期待すべきでは無いのだろう。と言う結論に至っていた。
「そう言えば、聞いていなかったけど、シルヴィアの誕生日っていつなの?」
暇になったのかダフネがそう聞いて来た。ダフネのテスト用紙は全て適当に文字が埋められていた。
「私は……確か……えぇっと、いつだっけ。あ、4月7日だよ。ダフネは?」
「2月28日よ。今度から誕生日プレゼント贈るわね。」
「あ、うん。ありがとう。私も贈るよ」
ダフネとシルヴィアがそんな約束をした頃には30分経っており、ロックハートは答案を回収した。そして、それをクラス前でパラパラと捲った。
「チッチッチッ──私が好きな色はライラック色だと言う事を、殆ど誰も覚えていないようだね。〝狼男とゆっくり1年〟の中でそう言っているのに。
〝狼男との大いなる山歩き〟をもう少し読まなければならない子も何人か居るようだ──第12章ではっきり書いているように、私の誕生日に理想的な贈り物は魔法界と非魔法界のハーモニーですね──尤も、オグデンのオールド・ファイア・ウィスキーの大瓶でもお断りは致しませんよ!」
ロックハートはもう一度クラス全員に悪戯っぽくウィンクをした。ダフネはもう呆れて物が言えない。と言う表情でロックハートを見ていた。
前に座っているドラコとその取り巻きのクラッブとゴイルは呆れ笑いを押し殺していた。
しかし、〝ロックハート・ファンクラブ〟の生徒達は大抵、うっとりとロックハートの言葉に聞き入っていた。
「……ところが、ミス・パンジー・パーキソンは、私の密かな大望を知っていましたね。この世界から悪を追払い、ロックハート・ブランドの整髪剤を売り出す事だね──よく出来ました。それに、50点! う〜ん、惜しかったですね。けれども、素晴らしい! 全く素晴らしい! スリザリンに10点をあげましょう!」
「あの、テストでそんな点数取るなら、魔法史の年表を200年分暗記した方がよっぽど有意義よ」
ダフネはそう棘の鋭い言葉を呟いた。
「では、授業ですが……」
そう言ってロックハートは机に後ろに屈み込んで、覆いの掛かった大きな籠を持ち上げ、机の上に置いた。
「さぁ、気を付けて! 魔法界の中で最も穢れた生き物と戦う術を授けるのが、私の役目なのです!
この教室で君達は、これまでに無い恐ろしい目に遭うことになるでしょう。但し、私がここに居る限り、何物も君達に危害を加えることが無いと思い給え。落ち着いているよう、それだけをお願いしておきましょう」
ロックハートは喋りだけは巧かった。
この言葉によってシルヴィアはすっかり縮こまってしまったし、ダフネも一応は真面目な表情になった。ドラコとクラッブ、ゴイルの顔にも嘲笑は無かった。
「どうか、叫ばないようお願いしたい。連中を挑発してしまうかもしれないのでね」
ロックハートはそう低い声で言い、教室に居る全員が息を殺した。ロックハートはパッと多いを取り払った。
「さあ、どうだ! 捉えたばかりのコーンウォール地方のピクシー小妖精だ!」
ロックハートは声を張り上げた。途端、クラス内に居た男子生徒多くとダフネが吹き出した。
「どうしたのかね?」
「こ、こいつら……こ、こいつらが危険だって?」
ドラコはプルプルと震えていた。しかし、それは恐怖による震えでは無く、嗤いを抑える。と言う震えだった。ドラコは完全に嘲笑モードに入っていた。
ピクシー小妖精は身の丈20cmぐらいで群青色をしている。とんがった顔でキーキーと甲高い声を出すので煩かった。
「思い込みはいけません(嗜めるように指を振った)連中は厄介で危険な小悪魔になり得ますぞ!」
そう言ってロックハートは教室を見渡す。
「さあ、それでは……君達がピクシーをどう扱うかやってみましょう!」
そう言って籠の戸を開けた。
ピクシーは籠を出るなり、上へ下へ右へ左へ大騒ぎ。ピクシーは縦横無尽に教室を飛び回った。あっという間にクラッブとゴイルが上空のシャンデリアに吊り下げられた。シルヴィアはあんな力を持っていたのか、と感心していた。
しかし次の瞬間、インク瓶を掴んだピクシーがインクをぶち撒けてシルヴィアの髪の毛は白髪部分がインクにかかり、真っ黒になってしまった。
油断大敵、とか言う奴なのだろうか? シルヴィアはそう後悔の念を心の中で発表した。ダフネはロックハートの著書を盾にしており、特に身体に被害は受けていなかった。
また、ピクシーはゴミ箱をひっくり返してブレーズ・サビニやシリル・マルシベールはゴミを頭から被ってしまっていた。セオドール・ノットはその隣で華麗にピクシーの攻撃を避けていた。
ミリセントはロックハートの著書をピクシーに浴びせて、数匹のピクシーを気絶させていた。
やっぱり、フィジカルって魔法より強いんだ。そうシルヴィアは強く思った。
ダン・エイブリーのノートや教科書は破られて悲惨な事になっていた。他にも誰のか分からない教科書を空中で振り回していたし、窓硝子を割って生徒達に硝子の半分を浴びせていた。
〝ロックハート・ファンクラブ〟の一員であるパンジーやバーバラ・ボーモント。セルマ・ドリューウェット、アントワーヌ・ド・ブランジェ。
その他数名の女子生徒。それに加えて一部男子生徒は逃げるように教室を出て行ってしまっていた。
「さあ、さあ。捕まえてみなさい。捕まえなさいよ。高がピクシーでしょう?」
ロックハートは煽るように叫んでから腕まくりをして杖を振り上げた。
「〈ベスキピクシペステルーミ ピクシー虫よ去れ〉!」
そう大声を出した。しかし、特に何の効果を発揮せずにピクシーが1匹、ロックハートの杖を奪い取って振り回して辺りに出鱈目な呪文を放ち始めた。
シルヴィアはどうにか頑張って避け続けていた。
しかし、その呪文に哀れにも当たってしまったヨランダ・ラスボーン-セルデンは爪が延々と伸び始めると言う絶妙に嫌な呪いにかけられた。彼女はブルーの瞳に大粒の涙を浮かばせ、すぐに医務室へ駆けて行った。
「こっの、無能め!」
ダフネがロックハートに向けてそう叫んだ。
「シルヴィア! いいから、杖を振り上げて〈イモビラス 動くな〉って言いなさい! 早く!」
「えっ!? えぇ……分かった……」
シルヴィアはローブから杖を取り出す。
「〈イモビラス 動くな〉!」
ダフネに言われた呪文を叫ぶと教室中のピクシーがピッタリと動かなくなった。
「さぁ! ミリセント、ドラコ、セオドール、シリル、ブレーズ、ダン! 空中に静止しているピクシーを集めて籠に入れなさい!」
ダフネがそう言うと男衆(ミリセントが混ざっているが)は戸惑ったように、しかしキビキビと動いた。そして、すぐに空中で静止しているピクシーを集め始めた。数分もすればピクシーは皆、籠に囚われた。
「さ、流石は結束心の高いスリザリン生だ! あぁっと、ミス……?」
「結構です。貴方からもらう点数なんて吐き気が出そう」
そう言ってダフネはシルヴィアの手を引いて教室から出て行った。後から後処理をした生徒達も追いかけて来た。
「ダフネ、シルヴィア! 凄いよ!」
そうミリセントが褒め称える。
「あの時の判断能力は良かった。流石はダフネだ」
ブレーズ・サビニは自分の体にかかったゴミを払いながらそう言った。
シルヴィアはここで思い出したように〈スコージファイ 清めよ〉と自分の頭に向けて放つ。すると忽ちインクは消えた。皆はそれなりに驚いた表情で見ていた。
どうやら、自分に杖を向けて魔法をかける。と言うのは異常行動らしい。
「ホント、お前を見ていると無知は幸せなんだなって思うよ」
シリル・マルシベールはそう皮肉混じりに言う。このマルシベールはシルヴィアが当初から近寄り難いと思っていた人物のうちの1人である。
実際にそれが故に関わっていなかった。(他の生徒は何故だか知らないが、シルヴィアに近寄ろうともしなかった。挨拶さえ交わした事の無い生徒だって居る)
「お前は無知だから穢れた血のグレンジャーとも連めるんだろ?」
シルヴィアは穢れた血の意味は知らなかった。
しかし、それでも侮辱表現である、と言う事は無意識のうちに知っていた。
「……ハー、ハーマイオニーに……そ、そんな事を言うなんて……。ひ、酷いよ!」
そう言ってみたものの、今はスリザリンで集団を作っている状態である。
ダフネもミリセントも自分の友人のシルヴィアが仲良くしているから何も言わないだけで正直に言えば、マグル生まれのハーマイオニー・グレンジャーを見下している。
そして、シルヴィアの運はつくづく悪い。
この場に居る生徒はスリザリン寮内でも純血出身という事で幅を利かせている生徒達だ。分が悪い。数の利的に、シルヴィアは完全に負けているのだ。
「ミス・ネクロタフィオ。君は少〜し頭が足りないようだから言うけど、マグルってものは僕らや君よりもずっと劣った存在なんだよ。」
ダン・エイブリーが優しく幼稚園生に教え込むような話口調でそう話を始める。
「そんなマグルから僕らのような高尚な魔法族が生まれると思う? 奴らは魔法族の魔力を奪い取って魔法使いを名乗っているんだ。」
「じゃ……じゃあ! 貴方達はハーマイオニーより成績が良いって言うの? 彼女、去年度の期末テストで魔法薬学と薬草学以外1位だった。ゆ、〝優秀な〟……あ、貴方達の……入る隙間なんて無かった!」
シルヴィアはそう言い切る。すると、マルシベールとエイブリーが杖を抜いた。
「ふざけんな!」「俺らを侮辱しやがって!」
ミリセントとノット、ザビニ。それにダフネが微力ながらに止めようとした。そして、それに遅れてドラコが止めようとしたが、既に呪文は放たれてしまった。
「〈レダクト 粉々〉!」「〈ディフィンド 裂けよ〉!」
シルヴィアはピクシーが放つ呪文を避けるのに既に体力の大部分を使っていた。
その為、同学年男子が放ってくる魔法を避ける、なんて言う体力は残っていなかった。
自分を庇おうとして左腕を前に出した。
その途端、左腕に2人の放った呪文が当たり、忽ち左腕はグロテスクな様相になった。その場に居る誰もが声に出ない悲鳴を上げた。
「よ、避けろよ!」
マルシベールがそう声を上げた。しかし、シルヴィアその人はただ呆然と自分の左腕を見ていた。
「い……たく……な──「貴方達! 一体、廊下で何を騒いでいるのですか!」
マクゴナガルがそう声を張り上げてこちらにやって来た。マルシベールとエイブリーは脱兎の如く逃げ出した。
「先ほどから、ここら辺りは煩いです! 授業中ですよ! 何があっ……──ミス・ネクロタフィオ!?」
マクゴナガルの怒鳴り声が絶叫に変わる。
シルヴィアのグロテスクな様相の左腕を見て驚いたのだろう。その間もシルヴィアはただ呆然と自分の左腕を見ていた。
「さ、さぁ! マダム・ポンフリーの所に行きますよ! その程度ならば治す事が出来ると思いますから!」
「あなた達は後ほど、こうなった経緯について聞きますから!」
マクゴナガルはシルヴィアの右腕を引いて小走りで走り出した。置いてかれるスリザリン生はその状況をただただ呆然と見ているしか無かった。
◆
『アノ子ヲ、傷ツケタ……ソノ代償ハ、イツノ日カ支払ウ事ニナル……呪ッテヤル!』
◇
「何故これほどまでに平常心で居られるかが、全くもって分かりません……」
マダム・ポンフリーは一通り処置を終えてから、そう語り出した。シルヴィアはボーッと治った左腕を見ていた。自分でも何が起こったのかが理解出来ていない様子だった。
シルヴィアはノロノロと寮へと帰ろうとする。
「あら、御機嫌よう、シルヴィア・ネクロタフィオさん」
そうシルヴィアの後ろから声をかけて来たのはヨランダ・ラスボーン-セルデンと言う金髪にブルーの瞳を持つ少女だった。
先ほど、ピクシーに爪が延々と伸びる呪いをかけられて涙目になっていた子だ。
シルヴィアでも流石に同学年の名前と容姿は覚えている。
ただ、本当にシルヴィアに話しかけてくる生徒は少なく、ここで話しかけられてシルヴィアは驚いた。
「ご、ご機嫌……よう?」
そう返すとラスボーン-セルデンはニッコリ朗らかな笑みを浮かべた。
「私の事はヨランダでいいわ。貴女の事もシルヴィアって呼んで宜しくて?」
「あ、うん……どうぞ……」
なんだか、ヨランダと話しているとあのマルフォイ氏と話しているのと同じような気分になった。
「私、ずっとシルヴィアと話してみたかったの。けれども、あの、いつも
ヨランダは大袈裟に肩を落とした。
しかし、シルヴィアとしてもそんな事があっただなんて一切知らなかった。一体、いつそんな事があったのだろう?
「貴女は、マグル生まれのハーマイオニー・グレンジャーさんとよく図書館でお勉強をなされていらっしゃるでしょう? だから、貴女自身にはそう言った偏見は無い。と確信していましたわ。
私は貴女とも友好的な関係を築きたいと思っていましたの。お父様はよく仰りますもの。人というものは助け合って過ごすものだと。
ですから、これからはあの3人やグレンジャーと仲良くするのもいいですけど……是非、私とも仲良くして頂けないかしら?」
「あ……はい。どうぞ……」
シルヴィアは中々に困っていた。
ヨランダは本当に不思議な話口調なのだ。どう言うテンションで彼女と話せばいいのかが分からなかった。それに脳裏にはマルフォイ氏が横切っていく。何か嫌な感じがしたのだ。
「まぁ、嬉しいわ!」
そうして、2人は本当に他愛の無い事(今日の天気の話など)を話しながら次の授業である変身術の教室へと向かった。
流石に治療をしていた為に遅れて入室した。スリザリン生の多くは黄金虫をボタンに変える、と言う課題に苦戦していた。
マルシベールとエイブリーは教室に居なかった。
シルヴィアとヨランダはマクゴナガルの指示により空いている前列右側の列に座った。そして、2人も黄金虫をボタンに変えようとした。ヨランダは10回目ぐらいで成功していたが、シルヴィアは中々上手くいかず、結局授業終わりまで変身させる事が出来なかった。
次は呪文学の授業でシルヴィアは移動中、目の前を歩いていたダフネ、ミリセント、パンジーに話しかけようとしたが、3人は足早に立ち去って行ってしまった。
その後、その日の授業は殆どヨランダと彼女の友達というバーバラ・ボーモント(父親が〝精神科医〟をしているらしい)と過ごした。
全ての授業が終わって部屋に帰った時、ダフネだけが部屋に居た。目が合うなり、すぐに目を逸らして何か作業を始めた。
「……エイブリーは叔父が
ダフネは独り言のように喋り出した。顔すらシルヴィアの方に向けていない。
「2人はスリザリンの中でも過激な純血思想を持っている。だから、ネクロタフィオ。と言う名字を持つ貴女に興味を持っていた。
けれども、入学当初からマグル生まれのグレンジャーと関わっていた貴女にすぐに幻滅した。」
その2人は勝手に自分に興味を持ち、勝手に幻滅している。と言う現実に、シルヴィアは正直言うと飽き飽きしてしまっていた。
「貴女はもう少し……慎重に……身の振り方を考えた方がいいわ。去年も言ったように、スリザリンで平穏に過ごしたいなら……。ミリセントは兎も角、パンジーも貴女に見せないだけで、中々に過激な方だし」
ダフネはそう言うと図書館で借りたのだろう本を持って出て行ってしまった。部屋に1人残されるシルヴィア。自分がどう過ごせばいいのかが、よく分からなかった。
勿論、今日のように誰かから魔法を放たれて怪我をするのは御免だ。しかし、それでもハーマイオニーと仲良くしたい。それに同室のダフネ、ミリセント、パンジーとも仲良くしていたい。
「そう言えば……今日から……ハーマイオニーと勉強、する予定だっけ?」
そう呟いてから、ノロノロと今日出た宿題などを集めて部屋を出た。
談話室には4年生の男子生徒が7年生の女子生徒から勉強を教えあっており、その近くには1年生の女子3人グループが変身術の宿題がよく分からないと頭を捻っていた。丁度通りかかった5年生の男子生徒がキザな笑みを浮かべて教え始めていた。
スリザリンとは確かに、純血、混血、マグル生まれ(自分では隠しているが、居るには居るらしい)の絶対的な立場の差。階級的なものは存在するが、特に不和を起こさないのであれば受け入れられる。そして、皆が協力し結束する。
しかし、一度不和を起こしてみればどうだろう?
異端者は弾かれる。この確固たる結束心に傷を付ける者は誰であっても許されない。それが例え、純血の名家であったとしてもだ。
シルヴィアはこのスリザリン寮にとって異端者だった。
「異端……」
シルヴィアはそそくさと誰の視界にも入らぬよう寮を出て行った。
ダフネ:
夏休み中、パンジーからロックハートについての武勇伝を鬱陶しいほど聞かされて来たので、ロックハートの事が嫌いになった。
最初からロックハートの実力を疑っている。ダフネの誕生日は公式では出ていなかった。ダフネとは月桂樹と言う意味らしい。ので、月桂樹が誕生花の日を調べ、そこから選定した。
ロックハートの惨事をシルヴィアを使うことによって、止める事に成功。
シルヴィアに身の振り方についての忠告をした。
『ロックハート・ファンクラブ』:
ロックハートが大好きな女子生徒達。多分1ヶ月すれば実際に組織されていると思う。
ブレーズ・サビニ:
アフリカ系のスリザリン生。父親が7人変死している母子家庭。
シリル・マルシベール:
オリキャラ。男子生徒。純血主義者。親は死喰い人。父親が闇祓い殺されて母親はアズカバンの中。スネイプの友達のマルシベールの息子では無い。
シルヴィアに呪文をぶっ放す。
ダン・エイブリー:
オリキャラ。男子生徒。純血主義者。両親は死喰い人では無かったが、叔父は死喰い人。スネイプの友達のエイブリーの息子では無い。
シルヴィアに呪文をぶっ放す。
バーバラ・バウカー:
オリキャラ。男子生徒。ヨランダ・ラスボーン-セルデンの友達。父親が精神科医をしている。
セルマ・ドリューウェット:
オリキャラ。女子生徒。『ロックハート・ファンクラブ』の一員。
アントワーヌ・ド・ブランジェ:
オリキャラ。女子生徒。フランス人。『ロックハート・ファンクラブ』の一員。
ヨランダ・ラスボーン-セルデン:
オリキャラ。女子生徒。ピクシーに爪が延々と伸びる呪いをかけられて涙目になっていた。お嬢様言葉を使っている。
スリザリンのオリキャラ生徒たち:
スリザリン生徒が約28人居る。と考え、捏造された人たち。物語に関わってきたり、関わらなかったりする。
読んでも読まなくてもどちらでもいいですが、一応19人捏造し、それぞれに適当に設定をくっ付けたので、興味がある人は→https://privatter.me/page/67a1b254b3b5e
誤字脱字等ありましたら報告お願いします。
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