羽の生えた猪の像が両脇に並ぶ校門を通り、大きくカーブした白への道を、馬車はゴトゴト進んだ。風雨はいつの間にか嵐になり、馬車は危なかっしく揺れた。
シルヴィアは馬車が横転するかも知れない。と言う不安から、『ザ・クィブラー』を読む気にもなれず窓に寄り掛かって、段々と近付いて来るホグワーツ城を眺めていた。
隣でルーナが気味の悪い馬について解説をしてくれているが、この豪雨の所為でシルヴィアの頭には情報が入ってこない。
馬車が正面玄関へ至るがっしりとした石段の前に止まるまで、計3回は稲妻を見た。シルヴィアはすっかり縮こまっていた。前の馬車に乗っていた生徒達は、急足で石段を上がり城の中へ向かっていた。
シルヴィアはなるべく雨に当たらないように、稲妻が自分の元に落ちてこない事を祈りながら一目散に城へ飛び込むように向かった。対して、ルーナは相変わらず雨を楽しんでいる。
「ル、ルーナ! 風邪引くって!」
「大丈夫だよ。あたし、ホグワーツ入学してから1度も風邪引いていないもン!」
ルーナはそう微笑みながら言った。ルーナが城の中に入って来た時、大きな樫の扉はゆっくりと閉まった。扉が閉まると一気に雷雨の音が遥か彼方の音になった。そうして、びしょ濡れのまま2人は大広間へと向かう。
大広間は学年初めの宴に備えて、見事な飾り付けが施されていた。テーブルに置かれた金の皿やゴブレットが、宙に浮かぶ何百という蝋燭に照らされ輝いていた。
各寮の長テーブルには、4卓とも寮生がぎっしり座り、ぺちゃくちゃとはしゃいでいた。上座のテーブルにはいつもの通り、先生と職員が座っている。大体みんな身に覚えのある人達だ。1人だけ見た事の無い縁無しメガネをかけ、深い紫色のローブを身に纏った白髪の老魔女が居た。それに、1席だけ空いていた。誰か教授が遅れて来るのだろう。ここで、ルーナとお別れをしてスリザリンの長テーブルに向かった。
「あら! シルヴィア。汽車で見当たらなかったから今年もどっかで迷って汽車に乗り込めなかったのかと思ったわよ……ってか、結構濡れてるわね……大丈夫?」
ダフネは開口一番にそんな事を言った。シルヴィアは反論したかったが、特に反論する論が考え付かなかった。
「まぁ……ギリギリ汽車には乗り込めたよ。」そう言ってシルヴィアは、ローブの水を絞ってからダフネの隣の空席に座った。ダフネはいつもより少しやつれている気がした。
「けど、ダフネ。こう言う割には、結構シルヴィアの事を心配していたんだよ」
ダフネの向かい側に座っていたミリセントが悪戯気な表情で言った。
「ちょ、ミリセント!」ダフネはどこか気恥ずかしそうに言った。
「あー、そう言えばパンジーは?」
「パンジーはね……」
ミリセントがまた悪戯気な表情で少し離れた場所を指さした。そこには、パンジーとドラコが並んで座っていた。2人の距離はやたらと近い。
「付き合い始めたらしいよ」
ニヤリとミリセントは笑いながら言った。言い終えたタイミングとほぼ同時に、大広間の扉が開き、一同しんとなった。そのタイミングでシルヴィアは2、3度くしゃみをして、気が気じゃなかった。
マクゴナガルを先頭にして、1列に並んだ1年生の長い列が大広間の奥へと進んでいく。
シルヴィアは随分と雨に打たれ、びしょ濡れだったが1年生の様子と比べればなんでもなかった。
「どうしたのよ……あれ1年は湖を泳いできたってわけ?」
ダフネはどこか怪訝そうに言った。教職員テーブルの前に整列して、在校生の方を向いた時には、寒さと緊張で、全員が震えていた。
「この時期のスコットランドで泳ぐのは、確実に風邪をひきにいってるよ。良かったね、ダフネ。アストリアの入学が今年じゃ無くて。あぁ、そう言えばアストリアを見かけないけど、どうしたの?」
ミリセントの言葉が言い終わる前に、マクゴナガルが3本足の丸椅子を1年生の前に置いていて、その上に乗っていた汚らしい、継ぎ接ぎだらけの三角帽子が歌いだした。
「いまを去ること1000年、そのまた昔その昔
私は縫われたばっかりで、糸も新し、真新し
そのころ生きた四天王
いまなおその名を轟かす
荒野から来たグリフィンドール
勇敢果敢なグリフォンドール
谷川から来たレイブンクロー
賢明公正レイブンクロー
谷間から来たハッフルパフ
温厚柔和なハッフルパフ
湿原から来たスリザリン
俊敏狡猾スリザリン
ともに語らう夢、希望
ともに計らう大事業
魔法使いの卵をば、教え育てん学び舎で
かくして出来たホグワーツ
四天王のそれぞれが
4つの寮を創立し
各自の異なる徳目を
各自の寮で押し込む
グリフィンドールは勇気をば
何よりもよき徳とせり
レイブンクローは賢きを
だれよりも高く評価せり
ハッフルパフは勤勉を
資格あるものとして選びとる
力に飢えしスリザリン
野望を何より好みけり
四天王の生きしとき
自ら選びし寮生を
四天王亡きその後はいかに選ばんその素質?
グリフィンドールその人が
素早く脱いだその帽子
四天王たちそれぞれが
帽子に知能を吹き込んだ
代わりに帽子が選ぶよう!
被ってごらん。すっぽりと
私がまちがえたことはない
私が見よう。みなの頭
そして教えん。寮の名を!」
組み分け帽子が歌い終わると、大広間は割れるような拍手が湧いた。
「私達が1年生の時と歌が違う」シルヴィアはそう言った。
「毎年違う歌なのよ。ほんと、帽子は暇な人生を生きていると思うわ」
ダフネは皮肉気に言った。そして、マクゴナガルは羊皮紙の太い巻紙を広げ始めた。
「名前を呼ばれたら、帽子を被って、この椅子にお座りなさい。そして、帽子が寮の名前を発表したらそれぞれの寮のテーブルにお着きなさい」
マクゴナガルがそう1年生に言って聞かせた。シルヴィアはこの時には、随分と疲れていた。そうして、微睡の狭間へと意識は落ちて行った。
「ちょっと、ちょっと! いい加減起きなさい! 宴の時間よ。」
ダフネはシルヴィアの肩を揺すりながら、そう言った。目を開くと既に帽子と丸椅子を片していて、ダンブルドアが立ち上がっていた。彼は両手を大きく広げて歓迎し、生徒全員にぐるりと微笑みかけた。
「皆に言う言葉は2つだけじゃ。思いっきり、掻っ込め!」
そう言うと目の前の空っぽのお皿が料理で一杯になった。ミリセントはすぐに料理に手を付けていたし。ダフネもゆっくりとサラダを食べ始めていた。
シルヴィアも目の前にあったミニトマトを取り、1口食べた。けれども、どうしても食欲が湧かなかった。シルヴィアは自分の目の前にある黄金の皿を退かした。
「ダフネ、ミリセント。ダンブルドア校長のお話が始まったら起こして」
そう言うなり、机に突っ伏して眠り始めた。
ダフネもミリセントも口をあんぐりと開けていた。折角ご馳走が目の前にあるのに、それを食べないシルヴィアをあり得ない。と言いたげな様子だった。
しかし、シルヴィアは気にせず眠りに着いた。
ダンブルドアは立ち上がった。大広間を満たしていたガヤガヤと言うお喋りが、殆ど一斉にピタリとやみ、聞こえるのは風の唸りと叩きつける雨の音だけになった。
ダフネはシルヴィアの脇腹を小突いて、起こした。シルヴィアは目を擦りながらも聞く姿勢になる。
「さて! みんなよく食べ、よく飲んだ事じゃろう」ダンブルドアは笑顔で全員を見渡した。
「いくつか知らせる事がある。もう一度耳を傾けてもらおう。管理人のフィルチさんから皆に伝えるようにとの事じゃが、城内持ち込み禁止の品に、今年は次の物が加わった。〝叫びヨーヨー〟〝噛みつきフリスビー〟〝殴り続けブーメラン〟。禁止品は全部で437項目あるはずじゃ。リストはフィルチさんの事務所で閲覧可能じゃ。確認したい生徒がいればの話じゃが」
「居る訳ないでしょ」
ダフネは小さな声でそう言った。ダンブルドアの方も口元がヒクヒクっと震えていたので、居ると思っていないようだ。シルヴィアも自分でも見に行かないだろう。と思った。
「いつもの通り、校庭内にある森は生徒立ち入り禁止。ホグズミード村も3年生になるまで禁止じゃ」
そう言うとダンブルドアは一旦話を止めた。
「今から知らせる事はわしの辛い役目じゃ」皆が困惑した様子ダンブルドアを見ていた。シルヴィアも何を言い出すだろうか? とドキドキしていた。
「心苦しいのじゃが……寮対抗クィディッチ試合は今年は取りやめじゃ」
「エーッ!?」
クィディッチ狂いのティモシー・ベレスフォードが誰よりも大きな叫び声を上げて卒倒した。他の寮のクィディッチ・プレイヤーの生徒達も絶句したり、各々の反応を見せている。
シルヴィアもシルヴィアでクィディッチなど一切の興味が無かったが、学校内の人気行事を取りやめにするような理由が図れなかった。
「一体、クィディッチを辞めて何をするつもりなのかしら?」
ダフネがシルヴィアの隣でつぶやいた。ここで、ダンブルドアの話が再開される。
「これは10月に始まり、今学年の終わりまで続くイベントの為じゃ。先生方も殆どの時間とエネルギーをこの行事の為に費やす事となる──しかしじゃ、わしは皆がこの行事を大いに楽しむであろうと確信しておる。ここに大いなる喜びを持って発表しよう。今年、ホグワーツで──」
ダンブルドアが何かを言おうとしたタイミングで、耳を劈く雷鳴と共に、大広間の扉がバタンと開いた。その音に驚いて、誰もが大広間の扉の方へ顔を向けた。
戸口には1人の男が立っていた。長いステッキに寄りかかり、黒い旅行マントを纏っている。今しがた天井を走った稲妻が、突然その男の姿をくっきりと照らした。男はフードを脱ぎ、馬の鬣のような長い暗灰色まだらの髪をブルっと振るうと、教職員テーブルに向かって歩き出した。
1歩踏み出す事にコツッ、コツッと言う鈍い音が大広間に響いた。シルヴィアは男の顔を見て、小さな悲鳴を上げた。それはシルヴィアだけでは無い。大抵の生徒は悲鳴を上げるか息を呑んでいる。
「あれって、マッド-アイ・ムーディじゃないか?」ミリセントが声を顰めながら言った。
「闇祓いの? 彼って、気が狂って友好的握手と非友好的握手の差も付かなくなってしまったんじゃ……?」
ダフネはそう言った。何故、ホグワーツの教授の選出は基本的におかしいのかシルヴィアには分からなかった。
物語に彩りを加えているつもりなのか? しかし、シルヴィアにとってこの世界は物語では無い。ここは現実だ。あまり変な事をしないでほしい。そう心の中で叫んだ。
やがて、男の顔が幾度目からの雷鳴に照らされてはっきりと見えた。男の顔は、まるで何度も砕けた仮面を無理やり縫い合わせたようだった。
額から顎の先まで刻まれた縫い痕が無数に這い、皮膚の上には1ミリの隙間さえない。まるで異なる人生の断片が寄せ集められ、別の何かへと作り変えられたかのようだ。口元は深く裂けており、鼻は大きく削げ落ちている。もはや痕跡すら曖昧だ。
そして何よりも男の形相を恐ろしくしている要素はその目の所為だろう。
片方の目は小さく、黒く光っていた。しかしもう一方は大きく、丸いコインのようで鮮やかな明るいブルーだった。ブルーの目は瞬きもせず、もう一方の普通の目とは全く無関係にグルグルと上下左右絶え間なく動いている。
一瞬、シルヴィアはそのグルグルと回る目と目があった。背筋がゾワっとした。何か人間では無い何者かに見られている気分に一気になった。
間も無く、見知らぬその男はダンブルドアに近付き、手を差し出した。その手も顔と同じくらい傷だらけだった。ダンブルドアはその手を握りながら、何か呟いたが、誰も聞き取れなかった。
ダンブルドアは何かを男に尋ねたようだったが、男はニコリともせずに頭を振り、低い声で答えていた。ダンブルドアは頷くと、自分の右手の空いた席へ男を誘った。
男が席に着くと馬の鬣のような長い暗灰色まだらの髪をバサッと頭から払い除け、ソーセージの皿を引き寄せ、残骸のように残った鼻のところまで持ち上げてフンフンと匂いを書いだ。
次に旅行用マントのポケットから小刀を取り出し、ソーセージをその先に突き刺して食べ始めた。片方の正常な目はソーセージに注がれていたが、ブルーの目は忙しなくグルグル動き回り、大広間や生徒達を観察していた。何度かシルヴィアと目線が合い、シルヴィアはその度に恐怖で身を震わせた。
「〝闇の魔術に対する防衛術〟の新しい先生をご紹介しよう」静まり返った中でダンブルドアは明るい声で言った。
「アラスター・ムーディ先生です」
ダンブルドアとハグリッド以外は職員も生徒も誰1人として拍手しなかった。シルヴィアも普通だったら拍手をしていたと思う。しかし、あの男。ムーディのインパクトが強すぎて困惑していた。
2人の拍手が静寂の中でパラパラと寂しく鳴り響き、その拍手も直ぐにやんだ。
ムーディはそんなお世辞にも温かいとは言えない歓迎ぶりにも、全く無頓着のようだった。目の前のかぼちゃジュースのジャーには目もくれず、旅行用マントから今度は携帯用酒瓶を引っ張り出して、グビッグビッと飲んだ。
飲む時に腕が上がり、マントの裾が床から数センチ持ち上がった。シルヴィアは先端に鉤爪のついた木製の義足をテーブルの下から垣間見た。
ダンブルドアが咳払いをした。
「先ほど言いかけていたのじゃが。これから数ヶ月に渡り、我が校は誠に心躍るイベントを主催すると言う光栄に浴する。この催しはここ100年以上行われていない。この開催を発表するのは、わしとしても大いに嬉しい。今年、ホグワーツで
「ご冗談でしょう!」フレッドウィーズリーが大声を上げた。
ムーディが到着してから大広間に張り詰めていた緊張が急に解けた。殆ど全員が笑い出し(尚スリザリン生で笑ったのは半数にも満たなかった)、ダンブルドアも楽しげにフォッフォッと笑った。
「ミスター・フレッド・ウィーズリー、わしは決して冗談など言っておらんよ。……とは言え、冗談の話が出たからには、実は夏休みに素晴らしい冗談を1つ聞いてのう。トロールと鬼婆とレプラコーンが一緒に飲み屋へ入ってな──「コホンッ!」──ふむ、しかし今その話をする時では……ないようじゃのう」
マクゴナガル先生が咳払いをした事により、ダンブルドアは話の舵を元の方向へ戻した。
「どこまで話したかのう? おお、そうじゃ。三大魔法学校対抗試合じゃった……。さて、この試合がいかなるものか、知らない諸君もおろう。そこで、とっくに知っている諸君にはお許しを願って、簡単に説明するのでの。その間、知っている諸君は自由勝手に他の事を考えていてよろしい」
とっくに知っている諸君。とはドラコやパンジーの事を指すらしい。2人はイチャイチャし始めた。また、他にも親が魔法省職員だと言うロイド・バーネットや親が新聞記者のマージョリー・フェアフィールドなどは知っている様子だった。
「三大魔法学校対抗試合はおよそ700年前、ヨーロッパの三大魔法学校の親善試合として始まったものじゃ──ホグワーツ、ボーバトン、ダームストラングの3校での。各校から代表選手が1人ずつ威張られ、3人が3つの魔法競技を争った。
5年ごとに3校が持ち回りで競技を主催しての。若い魔法使い、魔女達が国を超えての絆を築くには、これが最も優れた方法だと、衆目の一致するところじゃった──夥しい数の死者を出るに至って、競技そのものが中止されるまではの」
「夥しい死者?」シルヴィアは呟いた。
「そんな競技を復活させるだなんて正気じゃないわ」
ダフネもそう言ったが、大広間の大半の生徒はシルヴィアとダフネの心配など、どこ吹く風で、興奮して囁き合っていた。目の前のミリセントもその一員だった。
「何世紀に渡って、この試合を再開しようと、幾度も試みられたのじゃが……そのどれも、成功しなかったのじゃ。しかしながら、我が国の〝国際魔法協力部〟と〝魔法ゲーム・スポーツ部〟が今こそ再開の時は熟せりと判断した」
「そんなの、狂気の沙汰だわ」ダフネはそう憤りを見せた。
「今回は、選手1人たりとも死の危険に曝されぬようにする為、我々はこのひと夏をかけて一意専心取り組んだのじゃ」
「今まで、問題だらけが発生しているホグワーツでそんなの出来るのかしら?」
ダフネは冷笑的に言った。確かにシルヴィアもその意見には同意見だった。ホグワーツは毎年事件に見舞われている。きっと今年も何かしらの事件が起きるのだろう。
「ボーバトンとダームストラングの校長が、代表選手の最終候補生を連れて10月に来校し、ハロウィーンの日に学校代表選手3人の選考が行われる。優勝杯、学校の栄誉、そして選手個人に与えられる賞金1000ガリオンを賭けて戦うのに、誰が最も相応しいかを公明正大なる審査員が決めるのじゃ」
「立候補するぞ!」フレッド・ウィーズリーがそう意気込んだ。
他のどの寮のテーブルでも、うっとりとダンブルドアを見つめる物や、隣の友人と熱っぽく語り合う光景がシルヴィアの目に入った。しかし、シルヴィアはそんな皆んなの行動を正気では無い。と思った。
自ら死に行くつもりなのだろうか?
「全ての諸君が、優勝杯をホグワーツ校にもたらそうという熱意に満ちておると承知しておる。しかし、参加3校の校長、並びに魔法省としては今年の選手に年齢制限を設ける事で合意した。ある一定年齢に達した生徒だけが──つまり、17歳以上じゃが──代表選手として名乗りを上げる事を許される。このことは──」
ダンブルドアの言葉に怒り出した何人かの生徒がガヤガヤと騒ぎ出した。ダンブルドアの声はどんどんと大きくなっていく。
「この事は、我々がいかに予防措置を取ろうとも、やはり試合の種目が難しく、危険である事から必要な措置であると判断したが為なのじゃ。6年生、7年生より年少のものが課題をこなせるとは考えにくい。年少の者がホグワーツの代表選手になろうとして、公明正大なる選考の審査員を出し抜いたりせぬように、わし自ら目を光らせる事とする。」
ダンブルドアの明るいブルーの瞳がウィーズリーの双子に注がれた事は誰であっても明白な事だった。
「それから、17歳に満たないものは、名前を審査員に提出したりして時間の無駄をせんようによくよく願っておこう。
ボーバトンとダームストラングの代表団は10月に到着して、今年度は殆どずっと我が校に留まる。外国からの客人が滞在する間、皆礼儀と厚情に尽くす事と信ずる。更に、ホグワーツの代表選手が選ばれし暁には、そのものを皆心から応援するであろうと、わしはそう信じておる。
さてと、夜も更けた。明日からの授業に備えて、ゆっくりお休み、はっきりとした頭で臨む事が大切じゃと、皆そう思っているじゃろうの。就寝! ほれほれ」
そう言うとダンブルドアは再び腰掛け、マッド-アイ・ムーディと話し始めた。ガタガタ、バタバタと騒々しい音を立てて、全校生徒が立ち上がり、群れを成して玄関ホールへ向かい始めた。
シルヴィアは教職員席に座る白髪の老魔女に目が向いていた。人混みの間から彼女の姿は僅かに見える。結局、彼女が何者であるかの解説が無かった。
「シルヴィア? ボーってしちゃって……大丈夫?」ミリセントが声をかけて来た。
「ねぇ、あの老魔女知ってる?」そう言ってシルヴィアは人混みの向こうに居る白髪の老魔女を指さした。
「老魔女? マクゴナガルとかスプラウトじゃ無くて?」
人混みが疎らになるとその白髪の老魔女の姿はすっかり消えていた。
「えぇ!? 居なくなっちゃった……」
「やっぱり、何か食べた方がよかったんじゃ無いか? 疲れてんだよ。大丈夫、私が後で屋敷しもべ妖精から夕食の余りを貰ってくるから」
「あ、いや、それは大丈夫……うん」
シルヴィアはただの悪い幻覚かと思い、と言うより思うようにして大広間から立ち去った。
寮へと向かう道中、4寮全ての生徒がどうすればダンブルドアを出し抜けるか議論していたが、シルヴィアは少しも興味が出なかった。
結構、原作通りです。ネタバレをすると炎のゴブレットは終盤まで殆ど原作通りです。多分。
おめでたいことに4話分ストックがあります。これから不備がなければ最低四日間は連載ができます。よろしくお願いします。