私はあの子への愛を宣った。普通に考えて狂気の沙汰だろう。今から、私はあの子に殺されるのだから。
◆
イングランドの北方。スコットランドのすぐ手前にある鬱蒼と生い茂る深い森の奥。『魔女の森』『呪われた森』と呼ばれ、度重なる時代の波に飲まれても尚、奇跡的に残ったその森の奥に1軒の古い小さな館が立っていた。
その館にはヘンリー・ローズブレイド、オフィーリア・ブラック、シルヴィア・ネクロタフィオと言う各々苗字が異なる3人が住んでいた。
3人は今日も日常を過ごす。疑似家族の日常を。
◇
「お母さん! 私ね、私ね、森の奥に行ってみたいの!」
幼い少女、シルヴィアはオフィーリアにそう言う。シルヴィアの手には『こどもやくそうずかん-イングランド-』が握られていた。
「成程? もっと奥まで探検して、色々な薬草を探してみたいと言いたい訳かな?」
オフィーリアは慈愛に満ち溢れた瞳で真っ直ぐとシルヴィアを見る。
「けど、ダメなんだ。森の奥は危ない。こわ~い狼やら熊やらが居るかも知れない。」
「ブリテン島には、狼とか熊とかが居ないって書いてあったよ!」
その言葉にオフィーリアはあちゃーと言う表情を作り、ヘンリーに助けを求めるような表情を向けた。ヘンリーは飽きれたような表情を一瞬作ってから、シルヴィアの方へ向かい視線を合わせる。
「シルヴィア。森の奥には恐ろしい魔法生物が多くいるそうだ。それに、大昔の魔法使いがこの森の奥に魔法をかけてしまったようで、何が起こるか分からないんだよ。ダンブルドアお爺ちゃんが来たら、一緒に森の奥まで探検しよう。あのお方は今世紀で一番偉大な魔法使いだからね。きっと怖いもの無しの筈だ」
「アルバスお爺ちゃんは、今度いつ来るの~?」
「えぇっと、いつだっけ……」
ヘンリーはシルヴィアと一緒にカレンダーの前へ向かう。来月の10日にチェックマークが書かれていた。
「後、2週間の辛抱だ。それまでにダンブルドアお爺ちゃんを驚かせちゃうぐらいには、薬草について勉強してみるってのはどうだい?」
オフィーリアが脇からやって来て、そう言った。
「うん! そうする。そうするの!」
そう言って、図鑑を開いて様々な薬草の名前を復唱したり、オフィーリアやヘンリーに質問したりした。
◆
「ねぇ、ヘンリー? 君は〝本物の魔女〟に会った事があるかい?」
「本物の魔女……ですか? 貴女は偽物の魔女なのですか?」
2人。オフィーリアとヘンリーは、部屋の中央にある机に向かいあって座っていた。2人の目の前には、紅茶が置いてある。しかし、随分と時間が経っている為、紅茶の湯気はもう出ていなかった。
もう、夜は深く窓の向こうは怪しく揺れる森の樹々しか見えない。シルヴィアは既に寝室で愉快な夢の世界に入っていた。
「そうだよ。この世界に居る魔法使い魔女はみんなみんな偽物だ。」
「貴女にとって、本物と偽物の定義を教えてくれませんか?」
ヘンリーはそう問うが、オフィーリアは1つ笑いを零した。
「まるで、学会での質疑応答時間のような緊張感を君は醸し出してくれる。ほんと、面白い」
そう言ってから冷めてしまった紅茶を1口飲む。
「本物の定義。それは、この世界の運命に屈服せず、神を《
「それは、もはや魔女と言うより、神話に登場する神に近いのでは?」
ヘンリーはオフィーリアの言う事をあまり本気にしていないようだった。それでも、オフィーリアは気にせず、紅茶を飲んだ。
「そうかも知れない。けれども、彼女は魔女である。魔女として生まれたのだから、彼女は誰が何というとも本物の魔女に違いない。」
「その、彼女がどうしたのですか?」
「君が彼女に会わずにして、人生を終えるのを大変不憫に思うよ。けど、彼女はもしかしたら君のような凡人には興味を示さなかったのかも知れないね」
オフィーリアは、確実に他人の精神を逆撫でする事を言った。しかし、ヘンリーは何とも思って居ないようだった。
「貴女のような人を天才と言うのであれば、私は凡人で結構です。」
「うんうん、実に君らしい回答だよ。」
◇
「……どうして、私が来ていると分かった?」
「何となくですよ。野生の勘ってやつかも知れませんね。」
館の屋根裏部屋には、この世界を生きる人とは到底思えないような容姿をした女が居た。不気味なほど白い髪に宇宙色の瞳。その女に相対するように黒髪に灰色の瞳を持つ女が立っていた。
アルテミシア・カーライルとオフィーリア・ブラックだった。オフィーリアの手には葡萄酒の瓶とグラスが握られていた。
「私と一緒に飲もうと? 君も随分と大人になったようだね。私は安心だよ」
そう言って、何も無い屋根裏部屋に2脚の椅子と1つのテーブルを魔法で生み出し、置いた。2人はそれぞれ椅子に座り、窓から見える月を望んだ。
「シルヴィアの様子はどうかな?」
「貴女が私達とシルヴィアを巡り合わせたのですか?」
オフィーリアがそう聞くとアルテミシアは、鼻で笑ってグラスに注がれた葡萄酒を1口飲んだ。
「どうだろう? これは、俗にいう運命と言う奴なんじゃないかな?」
「……それは、違う。元々あの子と出会ったのは、単純な運命とは思って居なかったけれども、貴女がここに来てやっと確信した。ねぇ、≪否定の魔女≫アルテミシア・カーライル。本来であれば、あの子はどんな運命を辿っていたの?」
オフィーリアがそうアルテミシアに問うと、アルテミシアは僅かに困り顔を見せた。
「やはり、流石はなんでも見透かす瞳を持つ魔女。君に対して、何か誤魔化そうとする行動は無駄のようだ」
「いや、貴女は私に入られていい場所を予め区切っている。貴女はこの事を全て予想していた。」
アルテミシアは、はぁっとため息をついて葡萄酒を一気に飲んだ。半分ほど残して、グラスをまたテーブルの上に置いた。
「あぁ、分かった。分かったさ。≪否定の魔女≫の名に懸けて言葉を発そう。彼女の運命は私が無理矢理、
「……あの子は本来どんな運命を辿──「これもまた≪否定の魔女≫の名に懸けて言葉を発そう。あの子が本来歩む筈だったのか知らない方が幸せだよ」
アルテミシアはオフィーリアの言葉を遮った。オフィーリアは、つまらない。と言いたげな表情だった。
「代わりに君がシルヴィアと出会わなかった世界線の話をしてあげよう」アルテミシアは悪戯な笑みを浮かべていた。対するオフィーリアはつまらないと言いたげな表情だった。
「シルヴィア・ネクロタフィオと出会わなかった世界線のオフィーリア・ブラックは、1986年4月10日の呪われた森ことトワイグフェレストにて、ヘンリー・ローズブレイドを不慮の事故で喪ってしまう。」
オフィーリアは、無表情を貫こうとしていたが、驚きは隠せていなかった。
「そして、オフィーリアは最後の最後の箍さえ失い、破滅的な行動を取るようになる。そして、遂に魔法省がひた隠していたとある真実に触れてしまい、同年の12月25日に殺される事になる。」
「私は殺されていた……?」
「それはそれは、とても穏やかで健やかな笑みを浮かべていたそうだ。」
オフィーリアは先ほどのアルテミシアと同じように鼻で笑い、葡萄酒を1口飲んだ。
「きっとその時、私はこう言うだろうね。〝人生とは歩き回る影法師で、哀れな役者だ。出番が終われば消えてしまう〟そして、殺し屋の彼に感謝の言葉を述べる。彼は心底嫌な気分になるに違いない」
悪戯気な笑みを浮かべていた。しかし、その裏には確実に重たくのしかかる何かがあるのが分かる。
「貴女が言いたい事は良く分かった。〝真実を知る事は破滅に繋がる。夫と娘を得た母親の立場でもそれを望むのか?〟」
「君はやっぱり、素晴らしい。これ以上に会話をしていて楽だと思った人間は久々だよ」
「私は、子を産まずとも母になってしまった。夫となる男を愛していないのに妻になってしまった。ヘンリーだって同じだ。私は、私達はこの命が滅ぼされるその時まで、シルヴィアの母となり父となる。そう決心している。」
アルテミシアは、心底安心した表情を見せた。
「ならば良い。それでいんだよ。岩より硬い決心を見せた君には、特別に新たな事実を教え給う。シルヴィア・ネクロタフィオの存在確率についての話だよ」
◆
「君は──奇跡を操る存在が、いると思うかい」
湯気の向こうで、オフィーリアは問いを投げた。
鍋の中では、玉ねぎが小さな泡を立てている。包丁の刃がまな板を打つたび、乾いた音が台所に響いていた。
「奇跡……操る、ですか」
ヘンリーは刃を止め、しばし黙り考え出した。
「奇跡の定義は曖昧です。ですが、もしもそれを自在に扱える存在があるとしたら……神の領分でしょう」
「そうかもしれない」
オフィーリアは視線を落とし、勝手に鍋の底をゆっくりとかき回す。
「たとえば──前に話した〝本物の魔女〟。彼女は奇跡を操れると思うかい?」
「貴女から話を聞く限りでは、神に近しい存在に思えます。ならば、可能でしょう」
オフィーリアは、そこで僅かに笑った。
「彼女が言っていた。シルヴィア・ネクロタフィオが人として生きられる世界は、1/52!の確率しかないと。それは……52枚のトランプを完全に同じ順序で並べるのと同じ。」
「つまり──ほぼ、不可能……?」ヘンリーは料理を作る手を止めてオフィーリアの灰色の瞳を見ながら言った。
「そう。だが、それが起きた」
オフィーリアの声は鍋の煮立つ音に溶ける。
「だから私は思う。奇跡は確率の果てにあるのではなく、確率の外にあるのかもしれない」
「外……」
ヘンリーは、刻んだ人参を鍋へ落とす。オフィーリアは静かに続けた。
「〝紙を42回折れば月に届く〟という話を知っているかい? 一見すれば簡単な数に思える。だが、現実は紙が裂け、腕が疲れ、厚みが刃のように立ちはだかる。理屈は正しくとも、現実にはまず無理だ」
「現実的ではないことが、現実になる……それが奇跡」
「そう。そして、もし誰かが本当に折りきったのなら──その瞬間、彼女の人生という物語の余白に、小さな文字で『ここでは救われる』と書き足されるだろう。限りなくゼロに近い確率を、誰かがやってのけたんだ。ゼロでは無いからね。」
オフィーリアはスプーンを持ち上げ、湯気を吹き払い、口に含んだ。そして、少し首を傾げる。
「……塩気が足りない。奇跡は起きても、完璧とは限らない」
「自分では作れないくせに」
「文句じゃない、評価だよ。魔法界の貴族を語るブラック家出身のお嬢様の舌だよ。間違える事は無いさ」
ヘンリーがトマトを手に取ると、オフィーリアは露骨に顔をしかめた。
「よ、止してくれ。私はトマトが大の苦手なんだ」
「シルヴィアに好き嫌いを覚えさせるわけにはいきません。貴女のように捻くれた人間になられては困ります」
「……それは、確かに。自分のような人間が増えれば、世界は息苦しくなる。それに単純に反吐が出る。」
包丁の刃がトマトを真っ二つに切った頃合いでヘンリーが問いかける。
「それで、奇跡を起こしたのは誰だと思うのですか?」
オフィーリアはしばし目を伏せ、遠くを見つめる。
「〝本物の魔女〟は何も教えてくれなかった。ただ、私の考察によれば……物語に納得できなかった作者だろうな」
そして、ふと身体を横に向け、指を指した。表情も渾身の決め顔だ。
「──あるいは、これを読んでいる君たちかもしれない」
「……何をしているんですか?」
「前に読んだ小説の真似さ。物語の外へ声を投げるやつ。滑稽に見えるだろう?」
ヘンリーは飽きれた。と言う表情を作っていた。
「そう言うのいいので、シルヴィアを呼んできてください。そろそろ出来ますから」
「あぁ、分かった。」
そう言うなり、オフィーリアは「シルヴィア~」と猫撫で声を出しながら、家の外へ出て行った。
◆
「あと、あと少ししか時間が無いのに……どうして、あれもこれも……全部、全部ダメなんだ……!」
オフィーリアは怒りを沈み切れない様子で、ビーカーを床に叩きつけて割った。
「お、落ち着いてください。ま、まだ試していない方法が必ずある筈です。」
「そんなことない! す、全て試した。もう11月だ。あの子が持つのはどんなに長く見積もっても年内だ。いや、私達は12月25日に死ぬ。……あの子の魔力暴走によって! ……あぁ、どうすれば……どうすればいいんだ!」
「シルヴィアが……起きてしまいますよ」
オフィーリアは床に座り込んだ。ビーカーの破片があろうとも関係が無かった。それの所為で、オフィーリアの手は血だらけだった。
「私は、あの子を救えないのだろうか? あの小さな命すら救えないのだろうか?」
「そ、そうだ。そうですよ、セブルスに助けを求めてみませんか?」
「どうせ、アイツは聖マンゴにぶち込めとしか言わない。あんな冷血野郎に何が分かるんだ。愛した女すら守れない糞野郎に。愛を知っているくせに愛を裏切った愚か者に」ブツブツと恨みを募るように言った。
「魔力不安定が主訴で聖マンゴに入った患者がどんな扱いを受けるか知っているか!? 囚人のように身体を雁字搦めに固定され、コントロール出来ない自分の魔力。それに、人として扱われない苦痛に苛まれるんだ。そんな、そんな希望の無い世界を見せる為にあの子は生きているんじゃないんだ!」
ヘンリーは何も言えなかった。
「あの子は、美しい世界を見る為に生きているんだ。他人に裏切られる世界などもう見なくて良い。見ないで。あの子に祝福を……あの子の未来に
「お母さん? お父さん? どうしたの?」
眠い目を擦りながらシルヴィアが寝室から出て来た。
「シ、シルヴィア! い、今は夜だ。恐ろしい魔物がやってくる夜だ。寝室に戻って眠って居なさい」
ヘンリーがそう言うが、シルヴィアは、2人の元へ向かっていた。オフィーリアは絶望からシルヴィアに顔を向けなかった。
「お母さん!? 怪我、怪我してる! 私が、治してあげるから!」
そう言うと、シルヴィアは自分の部屋に一目散に駆けて行った。そして、暫くすると1本の薬瓶を持ってきた。ヘンリーには、それが傷を癒す薬だとすぐに分かった。
「お母さん。これはね、私が作ったの! よく転んで怪我しちゃうから……多分、聞くと思うの。傷に塗っていい?」
「うん、ありがとう。ありがとうね、シルヴィア。」
オフィーリアはシルヴィアの顔を見る事は出来なかったが、感謝の言葉を述べて、傷がある手を見せた。すると、シルヴィアは優しくその手を取って薬を塗った。途中、硝子が刺さってるところは優しく抜き取った。そして最後には包帯を巻いた。
「うん、これで大丈夫! 痛いの痛いの飛んでけ~なの!」
そう言って包帯の上からキスをした。
「ご、ごめんなさい。ごめんなさい。」
オフィーリアはそう言うなり、シルヴィアを抱き締めた。
「どうしたの? どうして、お母さんは、泣いてるの?」
「ごめんなさい。貴女を守ってやれなくて、貴女に苦痛の未来を強いてしまって……」
「く、つう? お母さん、大丈夫だよ。私は、昔の記憶が無くても、お母さんとお父さんと暮らせて幸せだよ。」
そう言うとオフィーリアの事を抱き締め返した。ヘンリーはそれを涙浮かぶ目で見ていた。暫くすると、シルヴィアはオフィーリアに抱き締められたまま眠ってしまっていた。
「……こんな時間だ。子供は眠くなるものだよ」
オフィーリアはそう言いながら、シルヴィアをベッドまで運搬した。
「ヘンリー。ここは意を決するしかない。……あのスネイプはきっと非情な事を言うだろう。ただ、ここはアイツの力を借りるしかない。それと同時に、お忙しいだろうがダンブルドアにも助力を求める。あの人は今世紀で一番偉大な魔法使い。と言う称号は持っている。その称号に見合う事はしてくれる筈だ。」
「……そうですね。今すぐ、梟便を送りますよ」
そう言うとヘンリーは部屋から出て行った。
「私達は、果たして……シルヴィアを救えるのだろうか? いや、救う。私は、そう決めたんだ。1/52!の確率でしか存在出来ない哀れで、愛しい我が子。この命に代えても……絶対に」
◇
「シルヴィア~! 起きなさいよ! もう少しで1限目だよ!?」
ダフネがしつこくシルヴィアを揺すっていた。
「──お父さん、お母さん?」
「え? 誰が貴女のお父さんお母さんよ?」
シルヴィアの瞳には涙が浮かんでいた。
「ご、ごめん。夢を……夢を見てただけなの……授業、先に行ってていいよ」
「あ、うん。じゃあ、先に行ってるからね。ちゃんと来るのよ」
「うん……」
ダフネは慌てて部屋の外へ飛び出して行った。
「多分。行けないかも……」
シルヴィアはそう呟いてから、約30分程度はベッドの縁に座っていた。そして、やっと顔を洗いに立ち上がった。
その後のシルヴィアはずっとのんびりと行動をしていた。今日の授業の教材を鞄に押し込むと、寮から出る。城内は授業中と言う事もあって静寂に包まれていた。
スリザリン4年生の1限目の授業は呪文学だったが、シルヴィアは呪文学の教室へは行かずに城を出て梟小屋の方に行った。
「あ、居た。」
「あ、イタじゃないわよ! 遂に忘れられチャッタかと思ったわ!」オリビアは憤慨していた。
「確かに、ちょっと忘れてたかも?」
シルヴィアは悪戯な笑みを浮かべた。その途端、オリビアは大きく飛び上がり、シルヴィアの腕に乗って手を突っつき始めた。
「い、痛い。痛いって!」
「ワスレルだなんて! シンパイしたのよ!? 何か、ウラで黒い事が起こっているって聞いたわ」
「なぁに、それ?」
シルヴィアがそう問いかける時には、オリビアがシルヴィアを突く事もやめていた。
「シラナイならそのままが幸せよ。知っても得をしないシンジツと言うのもあるのだから。」
その言葉にシルヴィアは考え込む。
「何よ? 何かココロ当たりでもあったの?」
「……ねぇ、もしも……私が私の手で……自分を引き取って養育してくれていた義理の両親を殺してしまって居たら……どうする?」
オリビアは静かに考え始めた。
2限始まりの鐘が聞こえた頃、やっと口を開いた。
「それでも、貴女をアイシテいたと思うわよ。きっと『どうかしあわせになって』と願った筈よ」
「……」
「どうして、キューにそう思ったりしたの?」
オリビアの問いにシルヴィアは答えられなかった。
「分からない。そう言う、夢を見たから……自分が、そう。自分が怖くなったの。私の欠落している記憶には何か爆弾があるんじゃないかって、怖くて……怖くて……」
「ダイジョーブよ。私は、どんな時でもシルヴィアの味方だわ」
オリビアのその言葉にシルヴィアはただ、何度も頷き続けた。
結局、シルヴィアは授業を出席する事が出来なかった。
◆
私はあの子への愛を宣った。普通に考えて狂気の沙汰だろう。今から、私はあの子に殺されるのだから。
シルヴィア。例え貴女が生きる事を呪ったとしても、貴女が生きている事を罪だと言う人が居ても、貴女が歩む道は間違っていないと。私は信じている。
私達は、貴女と出会えて……出会えて、本当に幸せだった。貴女と出会えた事が最高の幸運だった。
私達は貴女を愛している。貴女は……『どうかしあわせになって』
ヘンリー・ローズブレイド:
オフィーリアの後輩。オフィーリアに気に入られている。紆余曲折あって、オフィーリア、シルヴィアと共に疑似家族として生活する事になった。
料理が出来る。
シルヴィアと出会っていない世界線では、1986年4月10日の呪われた森ことトワイグフェレストにて、不慮の事故で死ぬ。
オフィーリア・ブラック:
ヘンリーの先輩。ヘンリーを気に入っている。紆余曲折あって、ヘンリー、シルヴィアとと共に疑似家族として生活する事になった。
料理が出来ない。トマトが嫌い。
シルヴィアと出会っていない世界線では、1986年4月10日の呪われた森ことトワイグフェレストにて、ヘンリー・ローズブレイドを不慮の事故で喪ってしまう。
その後、破滅的な行動を求め、魔法省が隠していたとある真実を知り得てしまい同年の12月25日に殺される事になる。
但し、本人曰くこの世界線でも12月25日に死ぬ。
シルヴィア・ネクロタフィオ:
紆余曲折あってヘンリーとオフィーリアと疑似家族として生活する事になった。
魔法薬を作るのが得意。とても可愛い。
実は、シルヴィアが人として生きられる世界は、1/52!の確率しかない。これは、52枚のトランプを完全に同じ順序で並べるのと同じである。存在する事から殆ど否定されているような可哀想な存在である。
ダンブルドア/アルバスお爺ちゃん:
この疑似家族はダンブルドアとも関係があった。シルヴィアは懐いているが、オフィーリアは普通にダンブルドアの事を嫌っている。ヘンリーはどうとも思って居ない。家族は、ダンブルドアに頼らなければいけない場面が多々あった。
アルテミシア・カーライル:
不気味なぐらい白い髪と宇宙色の瞳を持つ、やたらと肩書きのある魔女。今回、肩書きデッキに≪否定の魔女≫が加えられた。
オフィーリア曰く、〝本物の魔女〟。因みに本物の定義は『この世界の運命に屈服せず、神を《
スネイプ:
オフィーリア曰く、シルヴィアを聖マンゴにぶち込めと言う人格をしているらしい。本当に言うどうかは不明である。
オフィーリアに冷血野郎。愛した女すら守れない糞野郎。愛を知っているくせに愛を裏切った愚か者。とボロクソに言われている。
オフィーリアを庇うとすれば、彼女は今物凄く心が疲れ切っているから、ボロクソに言っている。通常時ならこの半分ぐらいの悪口で済む。
オリビア:
久々の登場。忘れていたわけでは無い。
次の話は出来ているには出来ていますが、15日~17日の期間はハーメルンを触れられなくなります。よって、19日より投稿を再開させたいと思います。
予約投稿も直前の直前で加筆修正などをする為、このような対応を取る事に致しました。ご理解のほどよろしくお願いします。(1か月ほど放置していた人が言う言葉ではない気がしますが……)
今のところ2話分は出来ています。2話分で取り敢えずはゴブレット編の本編は完結。いつものように、閑話を書いて正式にゴブレット編は終了します。