シャーレ初日の騒動が終わり、協力してくれた皆が帰った時にはもう夕方になり始めていた。
灰陽たちはシャーレの部室にて三人で話していた。
「いやー、まっさか本当にキヴォトスに来ることになるとはな」
「最初はどうなるかと思ったが、なんとかなりそうだ」
「ま、流れに身を任せるべきだよねぇ」
「竜騎は、任せすぎだ。もう少し気を引き締めたらどうだ?」
「まっ、こいつぐらいはこんなテンションでもいいだろ」
「そうだよぉ、月本君。一人ぐらいさ、いいだろう」
「そういうのは自分で言うもんじゃない」
ワイワイと話ながら、3人の話は少しづつ真面目な話になっていった。
「そういえば灰陽君、アロナはどうなったんだい?」
「ああ、まだ合わせてなかったな。ほれ」
灰陽はシッテムの箱を2人の前に突き出した。
「アロナ、挨拶してやれ」
『はい!こんにちは皆さん!私はメインOSのアロナです!よろしくお願いします!』
画面の中には、よく見た水色がよく似合う女の子、アロナが立っていた。
「こんにちは、アロナ君。私は犬上竜騎だよぉ」
「初めまして、アロナ。僕は月本望だ」
2人もアロナに続いてあいさつを交わす。
「彼女がいるってことはここはプレ先の世界じゃないんだねぇ」
「確かにそうだな。てことは最終編で……」
今後起こるであろう出来事を想像して、3人は少し肝を冷やす。
「まあ、そこら辺のことは起こる直前あたりで対策すればいいだろ」
「そうだねぇ。今話してもあまり意味はなさそうだし」
「まずは、すぐに起こるであろう第一章のことから考えていくしかないか……」
「Vol1の対策委員会編だな」
「そこも堅実にこなしていくのかい?」
「いや、これからはちょっとだけやりたいことがある」
灰陽以外の2人は頭を傾げた。
「俺たちは原作とは違って特殊な力がある。さらに1人じゃなく3人だ」
「それがどうしたんだ?」
「……やれるんじゃないか?」
「原作をめちゃくちゃにしながらハッピーエンドに行く」
「「……」」
灰陽の突飛な発言に2人は一瞬思考が追い付かなかった。
「……つまり、灰陽君は既存のチャートに沿わずに、オリジナルチャートでクリアするつもりなんだね」
「そういうことだ」
「……ずいぶんと綱渡りじゃないか?原作はいろんな奇跡みたいな状況でやっと何とかなっていたじゃないか」
「もちろん全部を壊すわけじゃない。いろんな重要なイベントは踏みつつ、より良いエンディングに向かえるんじゃないかと思ったのさ」
「そもそもブルアカのエンディングはどこだよ……」
「さあ?」
「さあ?って……」
「けど、いつかは終着点にたどり着くだろ?」
「それはそうだろうけど……」
月本は、そういうことじゃないだろと言いたげな顔をした。
「……月本君の言いたいことはわかるよ……。そうだねぇ……。各章ごとに終わりは確かに存在しているね。それを1つのエンディングだと判定するのはどうだろうか?」
「お!それいいな!そうしよう!」
「またずいぶんと雑な……。けど……それはわかりやすくていいな」
「よし!それじゃ、今後の方針が決まったな!」
灰陽は陽がいまだ沈まず、夕日が照っている窓際に立ち両手を広げて宣言した。
「ほどほどに原作を破壊しつつ、楽しくやっていく!」
「そして、このキヴォトスで最高のハッピーエンドを目指す!」
「そのために……しっかりついてきてくれよ!2人とも!」
ニコニコと無邪気な笑顔をした灰陽に向かって2人も笑顔で返した。
「もちろんだよ」
「どこまでもついていこうじゃないか」