宇宙の伝記ULTRA ウルトラマンオーブダークノワールブラックシュバルツ   作:鯛ニム

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こんにちは
拙い文章ですが見ていただければ幸いです。


第一話 闇の巨人現る

 

 

 首都近郊にあるベッドタウン綾香市は1300年前に「妖奇星」と呼ばれる巨大隕石が落下したという伝説が残っていること以外はごく普通の田舎町だった。だが十数年前から「アイゼンテック」という巨大企業の手により急速に開発が進み、2018年現在ではアイゼンテックの企業城下町となっている。

 こうして、町の発展に多大な貢献をした名士として名を馳せたのが…

 

「愛と善意の伝道師、愛染マコトです」

 

 ホワイトスーツとピンクのネクタイに身を包み、人々に愛と善意を振りまくナイスガイ!

 父から町工場を受け継ぎ、宇宙開発や新エネルギーの研究を行う巨大企業に成長させた類まれなる才気を持ち、冠番組までも持つ綾香市1番の有名人!

 だが!!そんな一般人よりもたかーーーい市民税を払っている私には誰も知らない真の姿があったのだ!それこそが…

 

「絆の力…お借りします!」

  

 ウルトラマンオーブダークノワールブラックシュバルツゥ~~!!怪獣に苦しめられる綾香市に突如降臨した光の巨人!聖剣オーブダークカリバーを手にし市民の皆さんからの声援を背に受け、あるときは怪獣から!またあるときは災害から!町を守る真のヒーロー!!それがこの私なのです。

 町と会社を発展させた優秀な経営者と!宇宙を守るウルトラマン!2つの顔を手に入れた私の人生は!!それはもう満ち足りていた!まさに順風満帆と言っても過言ではなかった。だがそんな私の人生兼ウルトラ生に水を差してくる奴らがいた…そう、うん、みんなもう分かってるよね、そう…ロッソとブル。ネコミミ野球バカの兄貴とトサカ研究バカの弟のシロウトラマン達。

 あいつらさ…私のことをさウルトラマンじゃないとか難癖つけてきて襲ってきてさ…その上、変身アイテムまでさ…取り上げて使わせないとか………酷くない!?なんだよ!ウルトラマンじゃないって!べらべら喋り倒して神秘性のかけらもないくせに!なんだよ!これはもう使わせないって!それを決める権利がお前らにあるわけないだろ!だってこれは俺が!!ウルトラマンになるために!ギリギリまで頑張って!ギリギリまで踏ん張って!ようやく形になったものなんだよ!それを取り上げるなんて…それでもウルトラマンかぁぁぁぁぁぁぁ――――………

 

「アチャーーーーーーー!!!」

 

「ああっ破いちゃった…ごめんねノートさんごめんね」

 

私はぶち撒けた紙片を慌ててかき集めた。

 

「あちゃ~最初からやり直しか……ん?お!良い言葉が降りてきた!!」

 

私は懐の短冊を取り出ししたためた。

 

 

 [アチャーと物に当たりあちゃ~]

 

 

「ハイ、ダーリン。今の言葉をリストに加えておいて、後新しいノートを持ってきて」

 

「了解しました!」

 

 私の持つドローン型秘書AI「ダーリン」がノートを持ってきてくれた。

 

「社長、これまたずいぶん派手に破きましたね。ちぎり絵ですか?」

 

「違う違う。このノートにはね、私のウルトラマンとしての活躍を自伝として記していたんだよ。けどね…」

 

「けど?」

 

私は渋い顔でダーリンから目を逸らす。

 

「…それを書くってなるとやっぱりあいつらの存在を省くのは難しいじゃない。」

 

「あいつら?ああ!ウルトラマンロッソとブルですね!」

 

「そうそう…」

 

私は顎を小さく動かした。

 

「流石に後世のオーブダークノワールブラックシュバルツファンの皆さんに嘘はつけないからさ、あいつらのこともほんのチョッーーーピリ書いておこうと思ったんだけど…いざ書いてみたらさ…頭の血がガンガン!昇っていっちゃってさ、それでもうアチャーって…」

 

「お察しします」

 

 ダーリンが同情するように相槌を打つ。

 

「ダーリン、私どうしたら良いのかな」

 

 私は俯きながらダーリンに聞いた。

 

「そうですねぇ、そういうときは体を動かすのが1番じゃないですか?筋トレとか」

 

「なるほど、確かに筋トレにはストレスホルモンの分泌を抑える効果があると聞いたことがある。よし、そうと決まれば愛染は急げ!ダーリン、トレーニングウェアの準備を」

 

「了解しました!」

 

 

◇◇◇

 

 

「くぅ~やはり筋トレの後のバーンパワーは効くなぁ!」

 

 社長室にてトレーニングを終えた私は買い溜めていたバーンパワードリンクで一息ついていた。

 

「うんうん!たくさん汗を流したからかな、なんだが気分が爽やかだ。どうもありがとうダーリン」

 

「どういたしまして!」

 

 ダーリンが明るく返す。

 

「さてと…それじゃダーリン、私はシャワーを浴びてくるよ。体をサッパリさせて自伝の続きを書かなくては」

 

「いってらっし…

 

 ジリリリリリリリン!!ジリリリリリリン!!

 

 ダーリンの言葉をけたたましい音が遮った。

 この警報音、アイゼンテックの警備システムが怪獣の出現を感知したのだ。

 私は動じることなくいつものスタイリッシュな姿勢でダーリンに訊ねた。

 

「状況は?」

 

「アイゼンワンダーランド周辺に60m級の巨大生物が出現。映像出します!」

 

 モニターに映ったのは。茶色一色でノッペリとした顔の怪獣テレスドンだった。

 

「テレスドンかぁ~」

 

 私はがっくりと肩を落とした。

 

「どうしました?社長」

 

 ダーリンがドローンで顔を覗くようにして訊ねる。

 

「いやさあ、もし強い怪獣だったらさ、あのシロウトラマン達を代わりにコテンパンにしてくれるんじゃ

 

ないかな~って、ちょっと期待してたんだよ。でもテレスドンじゃな…」

 

 私は首を大きく振る。

 

「無理無理、あいつらでも勝てるね。ダーリン、市民の皆さんに避難指示出して。私たちもシェルターに

 

行くよ」

 

「了解しました!」

 

 私は気を取り直して、部屋の外に向かった。あの兄弟がまた名を挙げるのは気に入らんが、変身出来ない以上仕方がない。せめて、私が渡した通信簿通りにウルトラマンらしい戦いを見せてくれれば良いのだが…

 そんなことを考えながら、ドアノブに手をかけ外に出ようとしたとき。再び警報が鳴り響いた。

 

「ワンダーランド周辺に50m級の巨人が出現!」

 

「ほぉ~今回は随分早い到着だな。いい心がけだ」

 

 成績表に加点しておくかと考えながら振り返り、モニターを見るとそこに映っていたのは…

 

「こいつって…」

 

 赤いネコミミでも青いトサカでもない、大きな1つとその脇を固める少し小さな2つの銀色のトサカ。体は胴体が黒く腕部が赤く染まっていた。何より1番目を引いたのが、漆黒に塗り固められた瞳だった。その目はまるで自分がウルトラマンとは異なる種であるということを強く主張しているようだった。そう、こいつはウルトラマンではない、この巨人の名は…

 

「ダークメフィスト…!」

 

 かつてウルトラマンネクサスが守る地球に現れ、暴虐の限りを尽くした闇の巨人…!なぜ現れた?

 困惑する私を他所にメフィストはテレスドンに向かい合いファイティングポーズをとった。 

 

「デリャッ!!」

 

 構えたままメフィストは一直線に向かっていった。テレスドンは背を屈め短い手を前に出し迎え撃つ構えだ。

 

 両者はあっという間に距離を詰めていく。双方を隔てる空間がテレスドンの腕2個分にまで狭まった瞬間、メフィストは左足を強く踏み込み、それを軸にした逆回し蹴りをテレスドンの尖った口にお見舞いした。

 

「グギャッ!?」

 

 うめき声を上げてよろめくテレスドン、痛そうだ。何本か歯が折れてるかも。

 メフィストはその隙を見逃さずテレスドンの懐に飛び込み、胸部に何十発も脇の閉まった連続パンチをお見舞いした。この動きからして、やつは相当戦い慣れしているようだ。言葉もほとんど発さず神秘性がある。ウルトラマンじゃないのがもったいない。 

 これらの攻撃を畳み掛けられたことでテレスドンはすっかり怯えているようだった、相手が自分より格

上であると本能で理解したのだろう。目の前の敵から離れ背を向け、地面を削り始めた。地下深くへ逃走するつもりだ。

 

「…」

 

 彼は敵の醜態を見逃さず距離を詰め、尻尾をつかみ、地面に隠れていた顔を引きずり出した。その勢いのままにジャイアントスイングを繰り出し、テレスドンは空中に放り投げられた。すかさず、彼は腕を前に出し、手首を交差させた。光線の構えだ。空中ならば怪獣倒した際に生じる衝撃による被害を最小限に出来る。街に対する配慮も行き届いている。素晴らしい。

 放たれた光線はテレスドンの体を貫き、爆発四散した。

 

「デヤ……デヤ……デヤ……デュワッチ!!」

 

 肩で息をしていた彼は腕を伸ばして空高くに飛び去った。一難去ったら空を飛べ。良く分かってるねえ、10点加点だ。

 2つの巨体が去った後には大きな穴2つと凹凸まみれの地面が残った。

 

 

◇◇◇

 

 

 彼は彗星のごとく現れ、あっという間に去ってしまった。闇の巨人であるはずの彼が何故怪獣と戦い街を守ったのか、私にも分からない。だが、それは大して気にならなかった。それ以上に私の頭を支配していたのは、高揚感だった。あの戦い方は私の求めるウルトラマンのそれにかなり近いものだった。怪獣を一方的に殴りつけていたのはいただけないが、素早く現れ、街への被害を最小限にし、素早く倒し、素早く去る。う~ん、最高だ。      

 

 

◇◇◇

 

 

「〜♪」 

 

 私はハーモニカを口に夢想に浸り、奏で始めた。この曲を聴いていると思い出す。力に選ばれた日のこと。失った日のこと。友と別れた日のこと、出会った日のこと。ナオミ…シン…ジェッタ…渋川のおっさん…ジャグラー……そう、俺こそが…

 

 

「お前は誰だ!?」

 

 

「俺は夕陽の風来坊。トォー」

 

 

「ウルトラマンさん!」

 

 

「シュア!」

 

 

「ティガさん!」

 

 

「チャッ!」

 

 

「光の力お借りします!」

 

 

「フュージョンアップ!スペシウムゼペリオン」

 

 

「テレレレー俺の名はオーブ闇を照らして悪を討つ!」

 

 

「ギャオオオン!」

 

 

「キュピーン!スペリオン光線!ンビーー」

 

 

「パキイイイイン!!グヘヘヘ…」

 

 

「駄目だ!効かない!ピコンピコンピコン」

 

 

「ピシュュュュン覚醒せよ オーブオリジン!」

 

 

「オーブスプリームカリバー!ドシュュウウウ!」

 

 

「グオオー…ドカアアァン!」

 

 

「銀河の光が我を呼ぶ!」

 

 

 ああ~楽しい!やっぱりオーブは最高だ。やはり彼こそが至高のウルトラマン。あのシロウトラマン達もオーブを見習ってだな…おっといけない、愚痴っぽくなっちゃった。ここは気を取り直して…

 

 

「スッ…シュワッチ!」

 

 

「ありがとうー!ウルトラマンオーブ!ワーワーワーワー」

 

 

「シュタッ!タッタッタッタッ…お~〜〜い!お~〜い!」

 

「渋川さん!こんな時にどこ行ってたんですか!」

 

「いや〜悪い悪い…って違う!これ渋川さんじゃなくて、ガイ…さん…」

 

 あれ?女の人の声?

 

「えっ?ガイさんって【お〜い】するタイプの主人公でしたっけ?」

 

 後ろを振り返ると制服姿の女性がキョトンとした顔をしていた。

 私は目の前の一回り小さな女性を曲がった指で指して言った。

 

「その前にさ、君、誰?」

 

 それが彼女と交わした最初の言葉だった。 




最後まで読んでいただきありがとうございます。

自分はかなりの遅筆なので次回はしばらく先になると思います。ご了承ください
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