魔法重視の竜の騎士は転生者   作:ザムデイン!

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第2話 目指せ地上最強

「グオオオオオオオオオオオオオオオッ!!」

 

「───始まったか…」

 

デルムリン島の穏やかだったモンスター達が急に暴れ出した。魔王軍の地上侵攻が開始したということだろう。寄った国には一応忠告しておいたが、どの程度効果があったか…

 

「ホイミン、アンタ大丈夫?」

 

「はい、多少圧力は感じますが…魔王なんかよりマスターの方が絶対恐いですからね…」

 

「ほう?ちょっとひっかかる物言いだけど悪意弾けたんなら偉い偉いこれで今後も外に連れていけるわー」

 

ホイミンを褒めながら撫で回す。メタリンは様子がおかしいままだ。

 

「ピギッ…ギギギ…」

 

不意にメタリンが動いて、ガキンッ!と甲高い金属音と火花が飛び散ってた。メタリンがレイの顔面に体当たりして、レイが闘気で防御したのだ。

 

「上等だ…コラァ…強くしてやった恩忘れてこの私に攻撃したな…?」

 

そこから、2つの影が別れ、絶え間なく交錯し出す。

 

「…アレが勇者候補のダイ君のお姉さん…レイさんですね」

 

「なんか無茶苦茶速く動いて何かと戦っていますけど…アレ女の子なんですか先生?よく見えますね…」

 

「ええ、間違いなく可愛らしい女の子ですよ…戦っているのは恐らくメタルスライム…?」

 

「可愛いらしい女の子」に反応するポップ。だが人外染みた速度の戦いを目の当たりにしてすぐうへぇとなる。

 

やがて速度を落としたメタリンがレイに捉えられ地面に叩きつけられる。ホイミンは愚かで哀れな同僚に合掌をした。

 

「ピギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァ!?」

 

断末魔のような悲鳴を上げながらでっかい穴が空いて沈められる。そんなやりとりをしている間にアバンが島中に魔法陣を引き終わる。

 

「邪なる威力を退け!マホカトール!」

 

お…島中の皆が大人しくなっていく。知ってはいたけど見事な魔法(モノ)だ…大変有り難く結構なのだが、このままではメタリンが邪悪な魔王の意志に抗えるのか判らない。

 

 

「…試すか…ほらメタリンさっさと出てきなさい大してダメージは無いでしょう分かってんだからね?」

 

「ピギギピギィ」

 

「魔物づかい荒いっすよー」みたいなことを言いながら這い出てくる。そのまま抱えられてマホカトールの圏外であろう上空に飛ぶ。

 

飛行呪文(トベルーラ)!あの歳で見事なモノです…一切姿勢のブレもなく速度も有る。『現時点でも凄まじい魔法使い』というのは間違いないようですね」

 

メタリンが邪悪な意志に抗えたのを確認してから島に降り立つ。

 

「あの、アバンさんですよね?初めましてレイと申します、今後ともよろしくお願いしますっ!」

 

「おお、既にご存知でしたか…それでは「ケケケケーッ!」…」

 

「魔王の偵察隊…ガーゴイル2匹…1匹は私が貰います」

 

そう言うや否や片足に闘気を溜めて、勢いよく踏み出し、手刀でガーゴイルの首を刎ねる。

 

「ゲギャッ…!?」

 

(…見たことのない闘気の運用法…恐ろしく器用かつ鍛えられている…素の身体能力もかなり高い…「魔法使い」…これが?今まででも見たことのない才能…戦士としても間違いなくヒュンケル以上…)

 

残りの1体は結局ダイが始末した。

 

「お見事です…お2人共…レイさん…貴女は現時点でもこの地上でも最上位クラスの強さがあると思いますが…一体『どこ』を目指しているのですか…?」

 

「えーと一先ずはクソ親父をぶちのめして、大魔王の首を獲ることですね、その後はきな臭い動きをする魔界の実力者達を全員ぶっ倒したいですっ…後最後に役立たずの神々には直接文句言いに行きたいですねっ…」

 

「フ…アハハハハッ!良いですよっ面白いあなた方はっ…!私がしっかり鍛えてあげましょうっ!」

 

それから───

 

「大地斬、海波斬を共に1日でマスター…空裂斬は教えるまでもなかったし…凄まじいですねやはり…」

 

「アバン流刀殺法の源流はカールの…先生の故郷の剣術ですからね…思った通り相性が良かったです…」

 

レイは控えめに言っても天才だった。(ドラゴン)の騎士ということを加味しても…正統な(ドラゴン)の騎士では無く混血(ハーフ)なので「戦いの遺伝子」は無いが、現時点でも父親(バラン)相手にそれなりに善戦が出来るほどだった。

本流と比較しても歴代でも上位に位置する才能だろう。彼女は幼い頃からサブカル知識も活かして鍛えていた。具体的には某狩人漫画の念の修行法など…

 

「いやはや『闘気(オーラ)の攻防力移動』の概念や、『闘気の属性変化』等は目から鱗が出る想いでしたよ…『教師』を名乗っているというのに逆に教わることが多すぎて…恥ずべきばかりです」

 

「…暗黒闘気だけ『魔炎気(マエンキ)』なんて属性(モノ)があるのはずっこいと思ってましたからね…結局私は炎と雷しか出来なかったですが…適性高い人なら理論上冷気もイケると思いますが…」

 

「そちらの場合はコントロールが難しそうですね…加減誤ると得物が凍りついて攻撃力の低下に繋がりそうです…」

 

アバンはこの天才児に教えるのが大変だった。闘気の運用法は明らかに自身を上回っているし、魔法なら比較出来る対象が人間ではマトリフくらいしか居ない。

意地で魔法も闘気も無しの純粋な武術だけの模擬戦ならなんとか勝ち越していた。アバン自身が低く見られる程度ならまだしも驕って欲しくなかったからだ。

しかしどれほどの強敵を想定しているのか自身の実力に対する自負は感じられても「驕り」と呼べるものにまでいっていない。

研究者としての視点でも自身に近しいレベルの知識と教養がある。デルムリン島のような孤島でずっと過ごしていたのに…この知識量は違和感を感じたが深く突っ込まないことにした。

かつてマァムにも説いたことだが、彼女は強い上で心の持ちようは正しい。「力のある正義」、まさしく文句のつけようのない在り方だった。家族のことも深く愛しているのが見て取れるし…

「クソ親父」に対しては色々と複雑なようだが、少なくとも「憎悪」ではない。彼女なら恐らく悪い方向にいくことはないだろう。

尤もその「父親」が───地上最強の実力者で自身の故郷カール王国に攻め入る魔王軍の軍団長の1人であることは───レイが積極的に語ることの無かったこの時点ではアバンも知る(よし)も無かったのだが…

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