魔法重視の竜の騎士は転生者   作:ザムデイン!

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第6話 これからの竜騎将

 超竜軍団は壊滅した。「その責任を取って軍団長の座を辞する」と最低限の礼儀として形式上の上司のハドラーに告げて、バランは魔王軍から脱退した。

だが正史(ほんらい)と違って人間の仲間達の連携の前に敗れ去ったわけでもない彼は相変わらず人間への不信感は募らせたままだ。が、確かに積み重なった「人間の(わざ)と歴史」というものを垣間見た彼は武人として、それだけは評価せざるを得なかった。

 

 ロン先生は概ね満足していたが少し不満有り気だった。まあ「正面から上回った」というよりは「虚を突いて技と速さで上回った」という感じだったからな…

だがそもそも「使い手同士の力量が全くの互角」なんて前提が有り得ないわけで…しかも向こうの使い手は必ず(ドラゴン)の騎士なわけだから…同格の使い手たる私の存在だけでも奇跡のようなものなのだ。

だが少なくとも「武器も同格以上」とは証明出来たはずだ。ロン先生とホルキンスさんらには竜騎衆が居た時の予備戦力として覗き見も見逃していた。

ホルキンスさんは人間の中では最上級の強さだ。多分今の時点のヒュンケルより強い。ロン先生は言わずもがな普通にラーハルトよりも強い。ロビンも隠していたから、まあ竜騎衆が居ても対策は出来ていた。

メタリンは周囲の悪魔のめだま対策に周囲を警戒させて哨戒させていた。

元々逃げ足の速い種族で気配にも敏感だ。「何体か潰した」とのことなので、「超竜軍団と父様が誰かに負けた」くらいしか分からなかっただろう。

これから魔王軍は「勇者ダイ一行」とは別の「(ドラゴン)の騎士バランを倒せる謎の英雄」に警戒しなければならないわけだ。

単独か複数かすら分からないし不気味だろう。魔王軍側は「バランの子供が2人」ということすら知らないらしいので血眼(ちまなこ)で探ろうとしてくるだろうな…

多分魔影軍団のシャドーとか使って。暫くカールに留まってそちらを潰すのが中心となった方がいいかもな。

まあカールの騎士団は普通にレベルが高く闘気の使い手も結構居る。王城なんて直接探ろうとしても大半が潰されるだろう。

私も普通に暗黒闘気は収めているので対策にシャドーを作ってみたりもした。私が作ると緑色っぽくなり上位種のホロゴーストになるが…

パプニカには既に結構放っている。ダイたちには説明済みなのでうっかりやられたりしないだろう。カールにこいつらを残しておけば、ミストバーンのシャドー如き喰らってしまえるだろう。

 

 そして脱退した父様だが「将が娘に敗れたから従う」と告げても、それだけでは納得出来ない者らもいるわけで…カール所有の砦内部の一室を貸し切って集められた竜騎衆とバランとレイは対峙していた。

 

「『別に人間達の軍に迎合しろ』だなんて言わないわよ、そんなの父様だけならともかくアンタらには無理でしょうしね」

 

「ただ、最終決戦時に父様と一緒に私らと近いタイミングで別働隊として敵の本拠地に突入してくれればいい」

 

「あんたら全員地上出身でしょ?じゃあそれそのものを消し去ろうとしているバーンの計画も他人事ではないはず…」

 

「納得出来ない?そっちの鳥君は特にそれっぽいわね、ラーハルト以外の実力は微妙そうだし、別に抜けても構わないわよ?」

 

「アンタがバラン様に勝ったってのが納得いかねェ!娘だろうが折られた真魔剛竜剣を見せられようともなァ!まずはその実力(チカラ)をきちんと見せてもらおうかぁ!」

 

「ふぅん?じゃあそれで?どうすんの()るの?()らないの?」

 

()るに決まってんだろうがァ!」

 

ガルダンディーが息を巻いて外に出ていく。

 

「ラーハルトとボラホーンは?同僚助けなくていいの?」

 

「お戯れを…我らが揃っても勝てるものではないでしょう…貴女様には…」

 

「ワシも…『納得出来ない気持ちはある』と言うのが正直なところですが…」

 

ラーハルトはともかくボラホーンも意外と冷静だな…ポップ人質にヒュンケル殺そうとしたりとあんまりイメージ良くなかったんだがなこのトドマン…

その後のガルダンディーとの対決は語るまでもない。羽根の攻撃は全て闘気で吹き飛ばされ完全に封殺されて素手のみでボコボコにされ敗北した。

最初に紋章をチラ見せしたらスカイドラゴンのルードはビビって引け腰になり使い物にならなくなった。

 

「流石でしたね…いや感じられる実力(チカラ)も相応のモノだと分かってはいましたが…バラン様の娘というのも間違いないようですな…」

 

「あの()の本領は戦士ではなく魔法使いの方だぞ…軍勢で対峙したら悪夢のようだった…私のドルオーラの7割くらいの威力の範囲攻撃が数キロ先から10秒おきくらいに飛んでくるのだ。とてもではないが兵を守りきれるわけがない。

それで素早く討ち取ろうとしても本人が接近戦でもあの実力だ…魔王軍に軍勢でどうこう出来る者はもう居ないだろうな…事前情報無しの初見じゃお前らでも最初の猛攻にやられていただろう…連れて行かなくて本当に良かったよ…」

 

模擬戦を見物していたラーハルトはレイを高く評価したがバランが補足する。

 

「なんと!それほどの存在を魔王軍は未だ認知出来ていないということですか…いっそ奴らが哀れになってきますな…」

 

「そう卑下するものでもない…『真のバーンの側近たるミストバーン』と大魔王本人は普通に戦っても『(ドラゴン)の騎士でも単独では危うい』だそうだ…」

 

「なんと!その情報源は気になりますが…あれほどの実力者でも慎重に力を蓄えるわけということですか…」

 

───

 

 死神キルバーンに唆される形でもあったが、占い師のナバラとメルルに出会い「(ドラゴン)の騎士」の名称を聞き、テランにやって来たダイとポップとレオナであったが───

 

「昔レイが言ってたんだ『自分達は(ドラゴン)の騎士で父親と自分達の3人しか今代では存在しない』って…」

 

「じゃああいつに直接聞けばすぐ分かるんじゃねえのかよ!?」

 

「レイちゃんかぁパプニカも散々助けられたから、強く出れないのよね私は…」

 

積極的に不死騎団を狩っていたロビンと負傷兵を癒やしていたホイミンの存在も大きかったが。事前に三賢者を始めとした他の賢者や僧侶職も含めてニフラムの契約を推奨させていたのだ。お陰で正史(ほんらい)よりかなり抗戦が出来、被害も縮小したのだが…

 

「先日カールのルーラ使いの使者から連絡があったの…『リンガイアからカール方面に攻めてきた超竜軍団はこちらの勇者様が壊滅させました』って…

最後は向こうの軍団長と一騎打ちだったらしいけど、天変地異のような見たこともない魔法を次々と繰り出してあっという間に大半のドラゴン達を薙ぎ払っちゃったんだって…フローラ様も凄く気に入っちゃっているみたいだし…

『西の勇者』だの『戦姫』だの『勇者姫』だの『魔導姫』だの色んな異名があるらしいわよ?本当はダイ君のお姉さんでパプニカ寄りのはずなのに…フローラ様もやっぱり一国の指導者だけあって(したた)かなところもあるのよねえ」

 

「ふーん今そんな感じなんですねーまあ口止めしてなかったから仕方ないかー」

 

「ええ、そうなのよ…ってレイちゃん!?」

 

「ダイは既に湖底神殿の方に向かったようですね…まあ竜水晶から私達のことを説明してくれるのなら話は早いです」

 

「おまっ…こっちはすげえ大変だったんだぞ!今まで何やってたんだよぉ!?」

 

「ごめんなさい…正直『超竜軍団長と魔影軍団長以外は普通に1人で勝てるから貴方達の実戦経験のために別れていました』なんて言われても納得いかないでしょう?」

 

「「なっ!?」」

 

「でもクロコダインとヒュンケルは『私が1人で超竜軍団を下した』ってことを伝えれば納得すると思うわよ?」

 

レオナは伝え聞く情報だけで「有り得るわね」と納得したようだがポップは憤慨している。

 

「で…そっちのおっさんは誰なんだよ?」

 

「私達の父親の正統な(ドラゴン)の騎士で…元超竜軍団長よ」

 

「「はぁ!?」」

 

「なんか八つ当たりのように『人間滅ぼすー!』って息巻いていたけど私が勝ったから諦めてもらったの」

 

「バランという。リンガイアを既に手に掛けた身で都合の良い話ではあると思うのだが…我が娘に懇願されては『大魔王を倒すまでの一時の共闘』くらいは大目に見てもらいたい」

 

「レイッ!」

 

「あら、ダイ。水晶から話は聞けた?」

 

ダイがレイの胸に飛び込んでくる。

 

「うん、レイはずっと知ってたんだよね?」

 

「そうね、ずっと前から…」

 

「そっちのおじさんは…」

 

「私達の『父様』よ」

 

「!?」

 

「魔王軍に所属して既に多くの人間を手にかけてしまったが、今一度お前たちのために戦わせてはくれないか?デ…ダイよ…」

 

「それって人間たちのために…?」

 

「いや違う、お前とレイのため…我が子らのためだけだ!」

 

「あら…悪魔のめだま…もう私のことも隠しておけないし、この際宣戦布告しとくか…」

 

「やっほー魔王軍の皆さんっ先日『勇者』としてデビューしたらしいレイでっす。こーいうわけで私達『3人の(ドラゴン)の騎士』がそのうち魔王軍潰しに行くから引け腰気味の魔軍司令殿や妖魔司教殿は逃げるなら今の内よ?」

 

中指立てて宣戦布告したあと、魔法を浴びせて消滅させる。

 

「ダイ…結構強くなったみたいだけど…まだまだね、貴方はもっと強くなれる…一先ず一番軍団としては強かった超竜軍団は無くなったから…各国の戦線も落ち着くだろうし…これから父様と私がみっちり鍛えてあげる

それが終わったら私達の剣に匹敵する『貴方だけの剣』を作ってもらいましょうね」

 

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