◆
極東デュエルチャンピオン。
それがこの青年の持つ肩書だ。実力もそれに見合うだけのものを備えており、彼の名前はこちらの世界でも広く知られている。
普段の紳士的な振る舞いと、それに相反する残虐なデュエル。
表面上のキレイさに騙された者は、彼を最低な決闘者だと豪語する。
しかしその一方で、彼のデュエルに魅せられ、後から興味を持った者もいる。
その結果、本人の思惑とは別に一定数の固定ファンがついてしまい、こちらの世界でも一流のスターとして大成した。
……だからこそ、彼は選ばれてしまった。
「テストデュエル……か」
マスターデュエル・ディメンション・システム。海馬コーポレーション――『KC』の社長自らが開発・運営の指揮を執っている一大プロジェクト。その成果がこの世界――あらゆる世界から決闘者が集う闘技場――であり、現在も開発は進行中。一般人が能天気にデュエルを楽しんでいる今も、この世界は進化し続けている。
その一環として、KCでは定期的にテストデュエルが行われていた。
KCの社長が決闘者を指名し、専用の決闘場にて極秘裏にテストデュエルを行う。目的は新型デュエルディスクの開発、
幸か不幸か、今回彼はそのテストに選ばれたというわけだ。
「随分とご機嫌じゃねーか、
「……凌牙か」
紫のジャケットを羽織った同年代の青年――神代凌牙が、その青年に声を掛けた。
青年――
「一体何の用だ。俺は忙しいんだ。お前に構っている暇はない」
「つれねーな。お前の一番のファンがわざわざ激励に来てやったんだ。むしろ、感謝してほしいくらいだぜ」
「どうだかな。負け犬ズラを拝みに来た、の間違いだろ。
ま、どうでもいいがな。その様子だと、今から俺がどこに行くか知ってるらしいな」
「ああ。何でも、海馬コーポレーションの社長直々の指名だってな」
「……先に言っておくが、覗き見なんて真似はするなよ? 相手はあのKC、セキュリティレベルは段違いだ。運よく侵入できたとしても、後でどうなるか保証できないぜ」
「わざわざそんなことするかよ。なんせ、目の前にネギを背負ったカモがいるんだからな。
――なあ、極東チャンピオンさんよ。大企業から指名された決闘者なら、テストの内容くらいは知らされてるだろう?」
「――チッ」
Ⅳは忌々し気に目線を逸らし、舌打ちした。
しかしそれは、凌牙の指摘を認めたようなものだった。
「……まあいい。これくらいなら話しても構わねーだろ。俺達にとっても馴染みが深い話だしな」
「俺達?」
「ああ。
……俺が海馬瀬人に選ばれた理由は二つ。
まずは知名度。公式の大会で一定の成績を収めていることが最低条件だったらしい。テストデュエルが無駄にならないよう、実力が信用できるヤツを選んだわけだ。
そして二つ目。俺が思うに、本命はこっちだな」
「本命だと?」
「ああ。どうやらKCの連中は、《
「……何?」
凌牙は己の耳を疑った。
《
その正体はある人物の『力』と『記憶』の欠片。あらゆる世界を探しても、一枚しか存在しないはずの聖遺物だ。
だというのに――何故そんな厄ネタが、大企業の手元にあるのか。
「《
「……要するにてめーは、体のいい試し斬り役ってとこか」
「そんなところだな……――まあ、行儀よく斬られてやるつもりは毛頭ないが」
Ⅳの瞳に怒りが灯る。
実際、凌牙の解釈は正しい。今回のテストの第一目標は、《
だからこそⅣは気に入らない。そもそも《
「暴いてやるさ。大企業サマの厚い化けの皮をな」
◆
海馬コーポレーション、テストデュエル専用
Ⅳを待ち受けていたのは、三人の人物だった。
海馬瀬人。海馬コーポレーションの御曹司であり現社長。そして、Ⅳを呼び出した張本人でもある。
スーツの男。海馬瀬人からは『磯野』と呼ばれていた。二人の態度から察するに、この男は海馬の側近なのだろう。バインダーに挟まれている書類を確認しながら、携帯端末で誰かと話している。これから行われるテストデュエルの打ち合わせでもしているのだろう。
武藤遊戯。知る人ぞ知る決闘者。デュエルの腕も相当なものらしく、異世界では伝説的な人物として敬われているとのこと。
彼こそが今回の対戦相手だ。
決闘場にて二人の決闘者が向かい立つ。
「いやはや、人生とは数奇なものですね。そうは思いませんか、武藤遊戯さん。まさか貴方ほどの決闘者とデュエルができるなんて」
「そんな、大げさだよ。今はただの、一人の決闘者さ」
「謙遜しなくても構いませんよ。どれほど時が流れようと、貴方の実績は変わりませんからね。
キング・オブ・デュエリスト、武藤遊戯。胸を借りるつもりで、挑戦させていただきます」
KCに入る前に不機嫌さは何処へやら、Ⅳは人当たりのいい笑顔を浮かべて対戦相手に笑いかける。遊戯もまたそれにつられ、柔和に微笑みながら言葉を返す。
――そのやり取りに、不満を覚える者が一人。
「フン。表面を取り繕おうとするその姿勢、相変わらず反吐が出る。
遊戯、貴様もだ。気色の悪いやり取りは今すぐ止めろ。その男の本性は貴様も既に知っているはずだ」
「えぇ……」
「――チッ。まあ、そりゃそうか」
海馬が指摘した瞬間、遊戯は困惑顔を浮かべ、Ⅳの顔色が百八十度変化する。
とはいえ、Ⅳにとっては想定内のことだ。この世界を運営する会社のトップが、仮にも極東チャンピオンの本性をリサーチできてないはずがない。
「本性を知ってるなら話は早え。先に言っておくが、テストだからと言って手を抜くつもりはねえ。
むしろ逆だ。海馬コーポレーション製の《
「当然だ。そうでなくては意味がない」
「……何?」
……《
Ⅳとしては物の例え、挑発のつもりで言ったのだが、海馬はむしろ、それを肯定した。そうすることが決闘者として当然だと告げるように。
「聞き間違いか? 今、《
「貴様の耳は確かか? 俺は、そうでなくては意味がないと言ったのだ。
今回のテストデュエルの目的は、遊戯のデッキに眠る《
「――ほう、面白え。
少しだけ見直したよ、海馬瀬人。テストを理由にくだらねえファンサービスをするところだった。
そういうわけだ、武藤遊戯。社長直々のお許しが出た今、テストも《
「うん。望むところだ!」
「……決闘開始の宣言をしろ、磯野!」
「ハッ! 決闘開始ィィ――!!」
◆
ターン1
「先行は貰う!
俺は
墓地へ送るのは《ギミック・パペット-キラーナイト》! そしてキラーナイトの効果発動! こいつは手札以外から墓地へ送られた場合、手札に加えることができる!
更に、手札の《ギミック・パペット-ブラッディ・ドール》の効果発動!
俺はランク4の《ギミック・パペット-ギガンテス・ドール》を選択! これにより、デッキからレベル4の《ギミック・パペット》を特殊召喚する!
来い! 《ギミック・パペット-リトル・ソルジャーズ》!
更にブラッディ・ドールの効果により、ブラッディ・ドール自身も特殊召喚!
そして、リトル・ソルジャーズの効果発動! デッキから《ギミック・パペット》を一枚墓地に送り、そのレベルをコピーする!
レベル8の《ギミック・パペット-カトル・スクリーム》を墓地に送り、リトル・ソルジャーズのレベルを8にする!」
「レベル8のモンスターが二体……!」
「さあ、ファンサービスの幕開けだ! とくと御覧じろ!
俺は、レベル8となった《ギミック・パペット-リトル・ソルジャーズ》と、《ギミック・パペット-ブラッディ・ドール》でオーバーレイ!
二体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!
エクシーズ召喚! 現れろ、希望を与える幻影の人形! 《ギミック・パペット-ファンタジクス・マキナ》!」
「っ……これは……そうか。これが、君のデッキの象徴のモンスター……!」
「ファンタジクス・マキナの効果発動! オーバーレイ・ユニットを一つ使い、デッキから《
そして俺は、《
カオスエクシーズチェンジ! 現れろ、絶望を与える奉仕の人形! 《
ファナティクス・マキナの効果により、俺はデッキから
ここで、墓地のカトル・スクリームの効果発動! 俺の場のオーバーレイ・ユニットを一つ取り除き、墓地から特殊召喚できる!
甦れ! 《ギミック・パペット-カトル・スクリーム》!
更に、手札の《ギミック・パペット-キラーナイト》の効果発動! 墓地の《ギミック・パペット》一体と、手札のキラーナイトを同時に特殊召喚する!
来い、ブラッディ・ドール! そしてキラーナイト!
俺はレベル8の《ギミック・パペット-ブラッディ・ドール》と、《ギミック・パペット-カトル・スクリーム》でオーバーレイ!
エクシーズ召喚! 現れろ、運命の糸を操る人形! 《No.40 ギミック・パペット-ヘブンズ・ストリングス》!」
「これは……数字を持つエクシーズモンスター……!」
「ヘブンズ・ストリングスの効果により、フィールドのモンスター全てにストリングカウンターが一つ置かれる。
更に、墓地から《
そして、ファナティクス・マキナの効果発動! オーバーレイ・ユニットを一つ使い、自分か相手の墓地からモンスターを一体、相手フィールドに特殊召喚する!」
「ボクのフィールドにモンスターを……?」
「ククク……今に分かるさ。とくと味わってくれよ? 俺のファンサービスを――!」
「――ううん。残念だけど、そのサービスは受け取れないよ!
ファナティクス・マキナの効果が発動した瞬間、ボクはこのモンスターを召喚する!
来い! 《
「何っ!
! ファンタジクス・マキナのカードが……!」
「《
「チッ――だが、ファナティクス・マキナの効果は有効だ。墓地から《ギミック・パペット-カトル・スクリーム》を、アンタのフィールドに特殊召喚する!
更に、ファナティクス・マキナの効果発動! 相手の場にモンスターが特殊召喚された時、一体を破壊して、攻撃力の半分のダメージを与える!」
「なんだって……!?」
「タイミングを見誤ったな! 行け、ファナティクス・マキナ! ヤツのドラゴンを捕縛しろ!」
「っ……だけどここで、マグナム―トの効果が発動! このターンのエンドフェイズ、ボクはデッキから新たなドラゴンを手札に加える!」
「おっと、そうはいかねえ! 手札から《灰流うらら》を捨てて効果発動! マグナムートの効果を無効にする!」
「なっ――」
「まだだ! ファナティクス・マキナの効果により、マグナムートを破壊! そして、1250ポイントのダメージだ!」
武藤遊戯
LP:8000 → 6750
「くっ――!」
「今のはほんの挨拶代わりだ。まだまだファンサービスは続くぜ!
俺は《
《No.40 ギミック・パペット-ヘブンズ・ストリングス》で、オーバーレイ・ネットワークを再構築!
カオスエクシーズチェンジ! 現れろ! 《
デビルズ・ストリングスの効果発動! 特殊召喚に成功した時、ストリングカウンターが乗ったモンスターを全て破壊し、その中で最も攻撃力が高いモンスターの攻撃力分のダメージを与える!
これによりファナティクス・マキナ、キラーナイトの二体を破壊! そして、ファナティクス・マキナの攻撃力、3100ポイントのダメージだ!」
武藤遊戯
LP:6750 → 3650
「ぐ、あ……!」
「デビルズ・ストリングスの効果により、俺はカードを一枚ドロー!
更にデビルズ・ストリングス、二つ目の効果を発動! オーバーレイ・ユニットを一つ使い、相手モンスター全てにストリングカウンターを置く!
永続魔法、《王の棺》を発動! その効果により、俺は手札を合計二枚墓地へ送り、デッキから《ホルス》モンスターを二体墓地へ送る。
そして《ホルス》モンスターは、自分の場に《王の棺》がある場合、一ターンに一度、墓地から復活できる!
さあ甦れ! 《ホルスの栄光-イムセティ》! 《ホルスの祝福-ドゥアムテフ》!」
「っ……また、レベル8のモンスターが……」
「そういうことだ!
俺はレベル8の《ホルスの栄光-イムセティ》、《ホルスの祝福-ドゥアムテフ》でオーバーレイ! 二体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!
エクシーズ召喚! 現れろ、二体目の絡繰り人形! 《ギミック・パペット-ファンタジクス・マキナ》!
そして出現せよ、希望と絶望のサーキット! 召喚条件は機械族モンスター二体!
俺は《ギミック・パペット-ファンタジクス・マキナ》と、《
リンク召喚! 現れろ、《ギミック・パペット-キメラ・ドール》!
この瞬間、ブラッディ・ドールの効果発動! 手札以外から墓地に送られた場合、このカードは手札に戻る!
そしてキメラ・ドールの効果発動! デッキから新たな《ギミック・パペット》を手札に加えた後、手札から《ギミック・パペット》を特殊召喚できる!
再び現れろ、《ギミック・パペット-ブラッディ・ドール》!
更にこのターン、ファンタジクス・マキナの効果により、もう一体《ギミック・パペット》を通常召喚できる! 来い、《ギミック・パペット-テラー・ベビー》!
テラー・ベビーの召喚に成功した時、墓地から《ギミック・パペット》モンスターを蘇生できる!
さあ、再び姿を見せろ! 《
ここで墓地に眠るファンタジスク・マキナの効果が発動! 《ギミック・パペット》エクシーズモンスターを召喚した時、墓地から《RUM》と共に甦ることができる!
三度、姿を現せ! 《ギミック・パペット-ファンタジクス・マキナ》! そして、墓地から《
そして! 《
《ギミック・パペット-ファンタジクス・マキナ》一体で、オーバーレイ・ネットワークを再構築!
カオスエクシーズチェンジ! 再び現れろ! 《
「二体目の同じ《No.》だって……!?」
「もう言わなくても分かるよなぁ? モンスター効果発動! アンタのフィールドにひっそり残ってる《ギミック・パペット-カトル・スクリーム》! そいつを破壊し、その攻撃力分、2000ポイントのダメージだ!」
武藤遊戯
LP:3650 → 1650
「ぐあぁぁ――!」
「デビルズ・ストリングスの効果により、俺は再び一枚ドロー!
そして《王の棺》の効果を三度発動! 手札の《ギミック・パペット-ビスク・ドール》を墓地に捨て、デッキから《ホルス》モンスターを墓地へ送る!
そして復活しろ! 《ホルスの加護-ケベンセヌス》!
更に、墓地に眠る《ギミック・パペット- リトル・ソルジャーズ》の効果発動! こいつを除外することで、俺の場の《ギミック・パペット》のレベルを4上げる!
テラー・ベビーをレベル4からレベル8に変更!
レベル8の《ギミック・パペット-ブラッディ・ドール》、《ギミック・パペット-テラー・ベビー》、《ホルスの加護-ケベンセヌス》の三体でオーバーレイ! 三体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!
エクシーズ召喚! 現れろ、《No.88 ギミック・パペット-デステニー・レオ》!
デステニー・レオの効果発動! オーバーレイ・ユニットを一つ使い、このモンスターにデステニーカウンターを一つ置く。そしてデステニーカウンターが三つ溜まった時、俺はこのデュエルに勝利する」
「! 特殊勝利効果を持つモンスター……」
「おっと、最後に墓地から《コンドーレス・パペット》の効果を発動させるぜ。このカードを除外することで、機械族のエクシーズモンスター一体は、相手の効果では破壊されなくなる。俺が選ぶのはファナティクス・マキナ!
――ターンエンド。さあ、アンタのターンだ。ライフが尽きるのが先か、それともデステニーカウンターが溜まるのが先か、ゆっくり見物させてもらうことにするぜ」
◆
フィールドには四体のモンスター。
《ギミック・パペット-キメラ・ドール》
《
《
《No.88 ギミック・パペット-デステニー・レオ》
一枚の永続魔法。
《王の棺》
そして、一枚の手札。
一見相手を妨害するカードはないが、《
だからこそ、武藤遊戯はホッとしていた。
この程度ならば崩せる、と。
しかし、あくまで崩せるだけだ。 このターン中に倒しきれるカードは、武藤遊戯のデッキには入っていない。
……残りライフは僅か1650。
プレイヤーに直接ダメージを与えてくるⅣ相手では、もはや猶予はない。このターンで勝負をつけなければ、武藤遊戯は敗北するだろう。
「……よし」
武藤遊戯は確信する。己の勝利を。
繰り返すが、彼のデッキにⅣを倒せるカードはない。持久戦を得意とする彼のデッキには、ライフポイント8000を一息で削れるだけ攻撃力がないのだ。
些末な問題だ。ないのなら借りればいい。
それを可能としたのが、この電脳世界なのだから。
◆
ターン2
「ボクのターン!
ボクは永続魔法《光の黄金櫃》を発動! その効果により、ボクはデッキから新たなモンスターを手札に加える!」
「やはりそう来たか!
俺は手札から《ドロール&ロックバード》の効果を発動! こいつを墓地に捨てることで、このターン、互いのプレイヤーはデッキからカードを手札に加えることはできない!」
「手札から速攻魔法、発動! 《未来への沈黙》! これによりボクは、デッキから更にもう一体、モンスターを手札に加える!」
「チッ、速攻魔法によるデッキサーチか……!
だがそこまでだ! 俺の場には、効果では倒されないファナティクス・マキナと、複数の壁モンスターがいる。この防衛ラインを突破し、俺のライフを削り切ることは不可能!
それに対し、アンタのライフは僅か1650! 俺の手札は尽きたが、その程度のライフならどうとでもできる!」
「そんなことはないよ」
「何――?」
「ボクは手札からこの魔法カードを発動する! 《マジックカード「クロス・ソウル」》! これによりボクは、君のフィールドのモンスターを使って、新たなモンスターを召喚できる!
君の場のファナティクス・マキナと、デビルズ・ストリングスの二体をリリース!
現れろ!
「っ!? 俺のモンスターを使って上級モンスターを召喚しただと……!?」
「リバースカードを一枚セット!
そして、ガンドラ
武藤遊戯
LP:1650 → 825
「そしてその後、デッキから新たなモンスターを呼び出す!
来い! 《トリコロール・ガジェット》!」
「クソ、俺のフィールドが一瞬で更地に……!
だが、問題はない! 防衛ラインは突破されたが、肝心の俺のライフまでは削り切れねえ!」
「そうだね、その通りだ。
《破壊竜ガンドラ
だから――このカードを使わせてもらう」
「っ……!? なんだ、それは。空中からカードが出現したのか……?」
「ここは海馬コーポレーションによって構築された電脳闘技場。自分が所持していないカードは、独自の技術によって再現される。つまり、この世界限定のコピーカードだ。
でも……君達にとっては、そんなに驚くことじゃないかもしれないね」
「……どういう意味だ」
「だって……君も今、二枚目の《No.》を使っているでしょう?」
「!
……やはり知っているのか、アンタたちは」
「うん。この世に同じ《No.》は一枚しか存在しない。本来なら、同じデッキに二枚以上入れることは不可能なんだ。
でも、それを可能にしたのがこの世界。あらゆる決闘者が、あらゆるカードを使用できる闘技場。
このカードは本来、ボクのデッキには入っていない禁忌のカード。それを今、ここで使わせてもらう!
ガンドラGの効果により、《トリコロール・ガジェット》のレベルは除外したカードの枚数分レベルが上がる。よって、レベルは8となる!」
「レベル8のモンスターが二体……!
そうか! ガンドラGの効果を使う前にカードを伏せたのは、モンスターのレベルを調整するため……!」
「ボクは、レベル8の《破壊竜ガンドラ
エクシーズ召喚! 現れろ、重力を司る漆黒の影! 《No.97 龍影神ドラッグラビオン》!」
「! ついに来たか、《No.》……!」
「ドラッグラビオンの効果発動! オーバーレイ・ユニットを一つ使い、新たな《No.》をフィールドに呼び出す!
ボクが呼び出すのは――これだ!
宇宙創造の鍵! 今こそ扉を開き、この世界に未来をもたらせ! 現れろ、《No.100 ヌメロン・ドラゴン》!」
「なん、だと……!?
馬鹿な、ヌメロン・ドラゴンだと……何故そんなものが存在している……!?
いや……まさか、こいつが今回の主役! 再現したってのか、ヌメロン・コードとやらの鍵を!」
「ボクはヌメロン・ドラゴンの効果発動! ボクのフィールドのエクシーズモンスターのランク一つにつき、攻撃力を1000アップする!
ドラッグラビオンとヌメロン・ドラゴンのランクの合計は9! よって攻撃力は、9000ポイントアップ!」
《No.100 ヌメロン・ドラゴン》
攻撃力0 → 9000
「バトルだ! 行け、ヌメロン・ドラゴン! プレイヤーにダイレクトアタック!」
「ぐっ――がああああ――――!!」
Ⅳ
LP:8000 → 0
◆
「……終わったか。磯野、データの方は?」
「はっ。こちらになります、瀬人様」
「ふむ……まずまずといったところか。悪くない結果だ。至急、開発班へデータを送れ」
「はっ!」
スーツの男は、早足で部屋から退出していった。
異世界にしか存在しないカードを再現できた上、各機材にも大きな負荷は見られない。また、実際のデュエルにおいても有用性を証明できた。
総じて……今回のテストは成功したと言えるだろう。
いや、成功してしまったと言うべきか。
「遊戯、そしてⅣとやら。今回のテストはこれで終了だ。一応、労いの言葉をかけておこう。
ご苦労だった。今回のテストは我が社の、そしてこの世界の発展に大いに貢献するだろう」
「ありがとう。海馬君こそお疲れ様。
あ、そうだ。このデュエルディスク、返しておいた方がいいかな」
「……そうだな。《No.》を召喚したことで想定外の負荷がかかっていたかもしれん。俺が預かっておこう」
遊戯は自分のデュエルディスクを海馬に渡す。
……何とも普通の光景だ。《No.》カード、それもヌメロン・ドラゴンを再現した直後とはとても思えない。
ヌメロン・ドラゴンとは、分かりやすく言うなら「宇宙を作った龍の分身」だ。神代凌牙やⅣも《No.》カードを所持しているものの、それらとは比較にならない聖遺物だ。カードとしての「格」は、かの三幻神にも匹敵する。
「……正気かよ、テメエら。
ヌメロン・ドラゴンだぞ? 世界を書き換える鍵、宇宙創造の原初のドラゴン。そんなものをよりにもよってコピーするなんざ――」
「――クク」
戦慄するⅣに、海馬はたまらず笑いを溢す。何を今更と言わんばかりに。
「っ……何が可笑しい」
「かつて宇宙を創造したドラゴンをコピーすれば、相応の裁きを受けるとでも?
構わん。むしろ望むところだ」
「何……?」
「貴様は言ったな? 我々の正気を疑うと。
正解だ。我々……少なくともこの俺は、狂気に吞まれている。その自覚もある。
そもそもの話……我々は新たな世界を創造しようとしているのだ。正気など保っていられるはずもない。
神の怒り。龍の裁き。世界崩壊の危機。いかなる困難も乗り越えてみせよう。その先にこそ、永久に続く戦いのロード、そしてこの世界の未来があるのだ!
ククク……フハハハハハーーーー!!」
◆
使用デッキ
自分:光の黄金櫃(後攻特化)
誘発捲り札モリモリ黄金櫃。瑠璃vs遊戯の時と同じデッキ。
「マジックカード「クロス・ソウル」ってそんなに使えるか? 超融合の方が良くないか?」
と思ってたけどゴメンナサイ、めっちゃ強かった。
お相手:ギミック・パペット
エアプなのでよく分からん。
ギミックパペットよく分からんけど多分ワンキルされるなーと思っていたが、何故か生き残ったので後攻ワンキルをプレゼントした試合。自分の中でマジクロの評価が変わった試合でもある。
そして遊戯王ZEXALは諸事情あってホープレイ登場辺りまでしかリアルタイムで追えてないので、実はⅣと凌牙の関係とかヌメロン・ドラゴンの価値とかよく分かってない。(重大欠陥)