漂白が如く 卍解!   作:フェルトファン

3 / 3

 その少年は、自身の目が嫌いだった……

 顔を合わせれば『気持ち悪い』『人じゃない』『バケモノ』と呼ばれた

 友達や家族がいない彼は、子供らしさを捨て……人を狩り続ける…


三話 炎の怒

 

 

 

 

 

 

『あぁ〜何だおm……な、何だその()()()()()()は!?来るな、ここはお前みたいな奴なんかが泊まっていい場所じゃねーんだぞ!さっさと出ていけぇ!!』

 

 そこまで値段が高くなさそう旅館で泊まろうと思ったら、亭主である男が恐れながら追い出そうとする。

 

『なんだそのキモい悪い目は……最近客の数が減っていると思ったら、お前が原因なのか!?ふざけんじゃねぇぞテメー、今すぐやめてとっとと消えろ!!』

 

 金に困ってて荷物を運ぶだけの作業をしていただけなのに、何故か少年の両眼が恐ろしいというだけの理由で、辞めさせられた。

 

『あ、ありがt━━━ヒィ!?いや……誰か………誰か助けてぇ!!

 

 転げそうになった女性を助けただけなのに、何故か怖じけられ叫び声を上げた。そのせいで周りにいた人々は少年が女性を襲おうとしていると思い込まれている。

 

『ヒェへへ……良い両眼を持っているな小僧〜。確かお前、流魂街の中で一番嫌われているらしからよ、別に死んでも恨みはねーだろぉ!!』

 

 適当に歩いていた時、たまたま遭遇してしまった盗賊に自身の目を奪おうと殺しに掛かろうとした。

 

『お前は人じゃない………人間の皮を被った汚らしいバケモノだ!貴様は今すぐ、死んだ方が良いに決まっておる!!』

 

 途中で寺で少し休んでいた時、まるで少年を疫病神だと思っているような目で一人の僧侶がそう叫んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だから少年は、自身が手にした刀で斬り裂いたのだった……

 

 

ヒィィィ━━や、やめろ……やめてくれぇ!!

 

 追い出そうとする亭主……

 

『悪かった、俺が悪かったから……許してくれ!

 

 理不尽な理由で少年をクビにする男……

 

『ごめんなさい!ごめんなさい!酷い事を言って、ごめんなさい!!!

 

 助けて上げたはずなのに、感謝もしない女性……

 

『ま、待ってくれ!アンタの強さは分かった…か、金ならいくらでも持っているから……い、命だけは━━━』

 

 怖じけて命乞いをする盗賊……

 

『み、ミミハギ様ぁぁ……どうかお助けください!どうか、どうかお助k━━━』

 

 そして、信仰している神に必死で助けを求める僧侶も……

 

 

 

 

 

 自身を嫌おうとする者達を……容赦無く己の刀で斬るだけしかなかった。やがていつの間にか死神の隊員すらにも手を出してしまい、気がついたら“人斬り”と呼ばれるようになった。

 

 同じ日々を繰り返していく内に、少年を捕らえようとする死神や黒装束の者達が目の前に現れた。相手は今までの日常のように数がそこまで苦戦するほど多くはないが、特に浦原や夜一と言う名の死神は相当な実力を持っており、今まで通りにはいかなかった。

 

 “早くこの場から逃げ出したい”と今まで使ってない頭脳を必死に使う少年は、自身の刀で戦っている内にそばかすがある小柄な少女の斬撃によってフードが顔から剥がれてしまった。当然顔も見られてしまい、相手も驚きを隠せなかった。

 

 

 

『な……なんやねん……まさかあの女が人斬りなのか!?』

 

 

 

 

 だが、そばかすの少女……ひよ里が口に出した言葉を聞いて、()()()()()()()()()()()。ついさっきまでいた遊郭で斬り殺した楼主が自身を『女子』と呼んでいたと同じように。

 

 

━━━す━━

 

 

 今日だけで一度では無く、二度も言われてしまい……怒りは更に増していた。

 

 

━━す……こ………ろ━━━

 

 

 しかも身体中から目では見えない何かが溢れ出てくるのを感じるが、少年自身はそれが何なのかは分からなかった。その瞬間━━━

 

 

 

 

 

 

コロシテヤル

 

 

 

 

 

 殺意が籠った言葉と共に周囲からが舞い上がったのだった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▼△▼

 

 

 

 

 

 

 

 

 ついさっきまであったはずの森林が一瞬で炎に支配され、木や廃墟の建物なども黒焦げとなり、炎も更に燃え広がっていた。

 

 膨大な霊圧を溢れ出す“人斬り”……少年は、身体中に炎が燃え移っているのに関わらず、表情に怒りを見せたまま平然と立っていた。対して浦原達は炎の熱さによって身体中から汗が大量に流れ、熱によってふらついてしまいそうになる。

 

「霊圧にこの炎……正直まだ分からない事だらけっスけど、どうやらあの子が持っている刀……恐らく()()()なのかもしれませんね。」

 

「なっ、そんな馬鹿な…!?」

 

 汗をかきながらも冷静に分析し始める浦原の言葉を聞いた砕蜂は、思わず驚いてしまう。

 

「(斬魄刀に炎………まるで()()()みたいじゃな……)」

 

 そして夜一も驚きながらも、内心で山本元柳斎重國の斬魄刀である『流刃若火(りゅうじんじゃっか)』を思い出させる。実際彼女の目で見た事はないが、総隊長の斬魄刀が炎熱系であるのを以前から知り、なんとなく似ている気もしていた。

 

「(それにこの膨大な霊圧……ハッキリに言って規格外じゃ。ついさっきまで一般以下の霊圧だったのに、急に上がりおっt…ぐあぁぁぁ!━━ッ!?」

 

 夜一が内心で考えている内に、突如少年は頭を抱えながら叫び出した。膨大に溢れる霊圧と共に炎が増していく内に、まるで()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「(あの様子……もしかして霊圧の制御できていないって事っスか?だとしたら彼、このままだと危険の可能性も…「これは好機だ、一気に全員で奇襲をかけるぞ!!」━━っ皆さん、ダメです!!」

 

 浦原が分析している時、一人の黒装束がそう叫ぶと、同じ仲間達も同様に奇襲しようと動き始めた。彼らの行動を目にした浦原に続き夜一も“止めろ!”と声を上げようとするも、既に遅かった……

 

 

 

う……うぅ………あ゛ぁぁあ゛あああ!!!

 

 叫び声が響き渡ると共に、苦しみながら少年は刀を振り……

 

 

ゴオオオオオオオオォォォ!!!!!!

 

 

 同時に風と共に舞い上がる炎も、黒装束達の方へ向かった。

 

「なっ…何だそr━━ギャァァァァア!?

 

 最初に奇襲をかけようと声を上げた一人が炎に当たり、あっという間に火だるまとなってしまう。しかも一人だけでなく、他の黒装束達も炎の中へと巻き込まれてしまった。

 

 

「あ、熱いぃぃぃぃ!!!

 

「誰かみずを……水をくれぇぇぇ!!

 

「目が焼かれる……目が、目がぁぁぁあ!!

 

 

 風と共に舞い上がる炎の中に巻き込んでしまった黒装束達は、火傷を負った肌の痛みに苦しみながら叫び声を出す。黒い着物と同時に焼かれた全身の肌も焦げ臭くなり、中には酷く血の匂いも嫌ほどするのだった。

 

 たった数秒の間だけで、あっさりと炎に焼かれる黒装束達の光景を目にした浦原達が驚愕する中、ひよ里はうずうずしていた。

 

「………めんな…………舐めるなやぁ!!!

 

 

 目の前で規格外な霊圧や炎の威力を持った少年の前に何もできないと自分自身に落胆するひよ里は、斬魄刀を構え直す共に向かい始めた。しかしそれは無謀であると察する浦原は止めに入ろうとするも、彼女は止まらなかった。

 

 炎を避けながら近寄って行くひよ里は、始解した自身の斬魄刀…… 『馘大蛇(くびきりおろち)』を振り下ろした。その瞬間、ガッキンと危機を察知した少年は刀で彼女の刃を防いだ。

 

「へっ、こんだけ近いなら流石に……っんな!?」

 

 接近すれば炎は寄って来いだろうと思い込んだひよ里は、目の前で少年の身体から更に炎が湧き上がり、驚きを隠せない彼女も炎に巻き込まれてしまう。

 

「なんy………あ゛ぁぁぁあ゛ああ!?!?

 

「ひよ里サン!!」

 

 炎で出来た渦に巻き込まれた彼女は熱さに苦しみながら叫び出し、浦原はすぐに駆け出した。そして彼は“瞬歩”を使い、素早い動きでひよ里を炎から逃す事ができた。

 

「━━っ……これは酷いっスね」

 

 何とか炎から逃れるのも、彼女の両腕に大きな火傷を負ってしまった。それを目にした浦原は険しい表情となり、懐から冷水の入った水筒と小さな医療箱を取り出した。

 

「僕は四番隊みたいに治療は上手くないので、一応このやり方した出来ませんが……ちょっと我慢してくださいっスね。」

 

くっ………クソが……

 

 相手に手も足も出せなかったのを悔やむひよ里に、隊長羽織を包帯の代わりとして使おうと脱いだ浦原はその一部を破り、素早く応急手当を行った。の間に少年は苦しみながらも刀を振り回し、そのせいで未だに消えない炎は更に燃え広がっていた。

 

「これはもう手加減する暇もないな……砕蜂!ここは儂らが時間を稼ぐ、その間に負傷者を頼む!」

 

「なっ……夜一様、しかし━━っ!」

 

「僕からもお願いします……こんな事を言うのも失礼なんですが、この中で手が空いて動けるのは貴方だけしかいません。」

 

「喜助の言う通りじゃ、任せたぞ砕蜂!」

 

「うぅ……わ、分かりました……正直、浦原喜助から頼まれるのは癪だが……こ、今回だけだぞ!それに、もしも夜一様の身に何かあれば、私は貴様を絶対に許さないからな!!」

 

 ━━と、どこか釈然としない表情をする彼女はそう言い残し、負傷者達の方へ向かった。そして浦原は視線を変え、未だに炎を出し続けながら苦しむ少年に話しかけようとする。

 

「人斬りサン……貴方がこれ以上霊圧を溢れ続ければ、命の危険に及びます……もちろん危害は加えません、なのでどうか落ち着いて話くらい聞いてくれますか?。」

 

 “できれば杞憂に終わって欲しい“と内心で願う浦原は、説得を試みるが……

 

 

 

 

 

グゥ………あ゛ぁぁぁああ!!!

 

 

 全く浦原の言葉を聞く気も無い少年は、獣のような声で叫びながら斬りかかろうとする。

 

「━━━っ、問答無用って事スか!?」

 

 もはや話し合いできる様子も見えない少年は自身の刀を乱暴に振り回すと、同時に炎の嵐も吹き荒れる。そんな目の前で驚きながらも回避する浦原達だが、所々に掠り程度の火傷を負ってしまう。

 

「喜助、あれは流石に説得できそうな様子じゃないぞ……何か策はないか?」

 

「そうっスね………夜一サン、ここは僕が何とか隙を作れるようにしますから、その時にお願いします。」

 

「できるのか?」

 

「まぁ……僕なりに努力しますよ。」

 

 ━━と、互いに顔を頷いた二人は同時に動き出した。それを目にした少年は攻撃されると思い、再び炎と共に刃を振ろうとしたする。

 

縛道の二十一・赤煙遁(せきえんとう)

 

 だがその直前に浦原は鬼道の一つである二十番目台の縛道を発動し、周囲に煙幕を広がせた。もちろん目眩し程度にしか使えないが、そのおかげで少年は浦原と夜一の姿が見えず、慌てながら警戒すると共に探し回った。

 

 

 

縛道の四・這縄(はいなわ)!縛道の六一・六杖光牢(りくじょうこうろう)

 

「━━━ッ!?」

 

 ほんの数秒……隙を見た浦原は光の縄で刀を握っている少年の腕を縛り、更に六本の光の帯を取り囲むように叩き込み、相手の動きを封じ込める。突然身体に巻き付いているのを初めて目にした少年は驚き、必死で拘束を解こうとする。

 

「夜一サン、今です!!」

 

 その隙に浦原は叫び、少年の頭上に夜一が現れた。“瞬歩”を使った彼女は一定の距離を保ち、素手による体術の一つである“白打”で相手の首筋を当てて気絶させようとする。

 

 

 

「ぐっ………ぅぅ…………あ゛あ゛ぁぁぁぁああ゛ああ!!!

 

 だが、首筋に手刀で近づこうとする寸前に少年が叫び声を上げると共に周りの炎も舞い上がり、夜一と浦原の元へ襲い掛かろうと動き出した。しかも身体中に縛っている拘束も炎に焼かれ、あっさりと消えてしまう。

 

「ま……マジっスか!?」

 

 二重詠唱破棄で完成した拘束が呆気なく破れたのを目にした浦原は驚きながら、襲ってくる炎から回避する。

 

「これは……厄介じゃなっ━━チィ!」

 

 夜一も空中でありながら上手く回避し続けるが、途中で自身の隊長羽織に燃え移り、思わず舌打ちをする彼女は迷いも無く脱ぎ捨てた。

 

「喜助、無事か!?」

 

「な…何とか……けどこれで、鬼道による拘束は無意味って事になるっスn…「呑気にしておる場合か、来るぞ!!」━━ッ!」

 

 当然気を抜く暇も無く、怒りに満ちた少年は再び刃で斬ろうと刀を向き、一直線に駆け走った。二人は更に警戒を強めた時に素早い動きで回避する。

 

 

 

 

 

 だが少年は足を止めず、負傷者達がいる方へと向かった。

 

「何を━━━っ、まずい……砕蜂サン!」

 

 今この場で動けるのは浦原と夜一……そして負傷者達の手当をする砕蜂。無我夢中となった少年は手当をする砕蜂の姿を目にし、迷わず斬ろうとする。

 

「避けろ、砕蜂!!!」

 

 当然二人は見過ごす訳には行かず、今すぐにでも向かおうとするが、大量に溢れ出る炎の勢いが邪魔するせいで近づく事さえもできなかった。

 

「え………ぁ━━━」

 

 そして彼女も、目の前で自身に向かって斬ろうとする少年の姿が現れたのを気づく。同時に、彼が手にしている刀の刃からは血で乾いた鉄の匂いもする。

 

「砕蜂!」

 

「砕蜂サン!」

 

 向こうから彼女にとって尊敬する上司や、今も根に嫌っている男からの声が聞こえる。炎を避けながらも必死で砕蜂の元へ行こうとするのだが、距離的に間に合えない。

 

 しかも運の悪い事に、その刃は砕蜂の首筋を狙おうとするのが分かった。

 

「(━━━あぁ……私は……ここで死ぬのか……)」

 

 暗殺としての生業である代々に務まる彼女は、いつか自分が死ぬであろうと、隠密機動に入隊してから覚悟を決めていた。

 

「(申し訳ございません……夜一様……)」

 

 心から尊敬する上司に謝罪をし、自身の死に場所はここなのだろうと頭の中から思い浮かぶと同時に、“まだ死にたくない…やりたい事がまだ沢山あるんだ”と心のどこかで抱いていた。

 

 覚悟を決めたはずなのに……何故そう思ったのか理解できなかった砕蜂は、ふと少年の両瞳に目が入った。 

 

 

 

 それはまるで、空のような色で美しく、瞳を揺らぐ彼女は思わず見惚れてしまいそうになる

 

 

 

 

 

 

「━━━綺麗………」

 

 

 

 

 

 ふと呟いた瞬間、()()()()()()()()()()……

 

 

「……………え?」

 

 首を斬ろうとする寸前に刃を持つ腕が止まり、目の前で何が起きたのか砕蜂には分からなかった。しかも相手の表情を見ると、何やら驚いた目で見ていた。

 

 

…………今……なんて━━━

 

「……え…」

 

お前………俺を見て……なんt━━━「今じゃ、喜助ェ!」……グッ!?

 

 ようやく炎から抜け出した夜一は驚愕する少年の背後に現れ、両腕で身動きを封じた。“いつの間に!?”と言わんばかりの表情になり彼は慌てて抜け出そうと刃を振るが、目の前に現れた浦原が持つ斬魄刀によって塞がれてしまう。

 

「ゔぅ……ぅぅ……ぁぁぁあああああ!!!

 

 逃れようと暴れる少年の元に燃え広がる炎が集まり、全身を焼かれる程の熱が浦原と夜一に襲いかかってくる。普通の人なら即座に逃げるのだが、この二人は耐えようと手を離さなかった。

 

「よ……夜一サン、大丈夫っスか……これ……マジでまずいっスですって!」

 

「つべこべ言うな……さっさとやれ!!」

 

「了解っス……それじゃ〜ちょっとだけちくっとしますからね〜……破道の十一・綴雷電(つづりらいでん)!!!

 

 炎によって火傷を負いながらもは、発物体を伝って移動する電撃系の鬼道によって、自身の斬魄刀から少年に向かって電撃を浴びせた。

 

アッガガガガガぁぁぁあああ━━━━」

 

 全身に電撃を受けてしまった少年は、白目を剥くと同時にその場で力なく倒れた。やがて力が抜けたてからも刀を手放し、辺りに燃え広がっていた炎の山も風と共に消え去った。

 

 

 

 

△▼△

 

 

 

 

「はぁ……はぁ……い、一応気絶してますね…」

 

「そうじゃな……くっ」

 

 気絶して倒れている少年の様子を確認し、先ほど炎の熱にギリギリ耐えた二人は疲れと共にその場で座り込んだ。重傷を負った部下達程ではないが、彼らも身体中に火傷を負ってしまった。

 

「夜一様……ご、ご無事ですか!?」 

 

「何じゃ心配してくれとるのか……安心せい砕蜂、ちゃ〜んと無事に生きているわい。」

 

よ、よかった……じゃなくて、全然安心できません!火傷は酷すぎますし、何より貴様もだ浦原喜助!」

 

「えっ…ぼ、僕っスか?」

 

「当たり前だ……はっ!い、言っておくが別に心配してないからな、か…勘違いするな!!と、ともかく、夜一様は一刻も早く治療を━━!」

 

「待て待て待て一旦落ち着け、儂らはそこまで酷くないわ。じゃから砕蜂、この子を担いで先に四番隊へ向かってくれ。」

 

「そんな事を言われてm ………こ、この子?」

 

「ほれ、ついさっき気絶した子じゃ。」

 

 そう言って夜一は、今も意識を失い倒れている人斬りの頬をツンツンと人差し指で弄っていた。彼女が何故あんな事を言ったのかようやく理解した砕蜂は、唖然としていた。

 

「━━━いや、いやいやいやいや!!!何を言っているのですか夜一様!?此奴はあの“人斬り”なんですよ!それに気絶しているのであれば、今ここで始末すれば…!」

 

「まぁ〜だけど気絶していますし、武器だって手にしていませんから……何とかなると思いまっスよ?あっ、負傷者の方達は後で僕の隊員が迎えに来ると思いますので。」

 

「貴様に聞いていない!!!」

 

 呑気に語りかける浦原に、怒鳴り声を上げる砕蜂。

 

 これまで三〜二〇席までの隊員達を斬り殺した“人斬り”を始末する事もなく、死神達や貴族、または王族なども住んでいる瀞霊廷内に連れていくのは流石の危うい。そう内心で考えた砕蜂はいくら敬愛する上司からの頼みだとしても、こればかりは流石に反対した。

 

「夜一様、どうかお考え直してください!そもそも仮に四番隊へ連れて行けたとしても、その後に卯ノ花隊長にどう説明ればよろしいのですか!?」

 

「あぁ〜〜〜、まぁ事情は卯ノ花にだけ説明すれば良い。儂からの伝言なら理解するし、もちろん他の者達には内緒にして欲しいとも伝えてくれ。多分察してくれるじゃろ。」

 

「内緒って……まさか夜一様、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!?」

 

「そこ安心せい、後で儂達の方から総隊長に伝えておく。じゃから、さっき言ってた通り向かってくれ。」

 

「で、ですが…「隠密機動総司令官である四楓院夜一からの命令じゃ」━━うぐっ………わ、分かりました…この砕蜂にお任せください!」

 

 ━━と、最初は納得いかなかった彼女は夜一からの命を受けて、倒れている少年を背負うとする。

 

「(コイツ………意外と軽い…)」

 

 そして自身と同じくらいの身長のはずなのに、体重は思ってた以上に軽かった。不思議に疑問を抱く砕蜂は、四番隊の隊舎へ目指すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「とりあえず僕の隊員が来るのを待つだけで………夜一サン、あの子をどうするつもりなんですか?」

 

「いや何、お主も気になるんじゃろ…… あの膨大な霊圧を持つ子供を?」

 

 人斬りについて興味を持った夜一はゆっくりと立ち上がり、この場に残ってある少年の刀へと近づいた。あの膨大な炎を出せるなら、先ほど浦原が言っていた“斬魄刀の可能性が高いかも知れない”と、思い出した彼女は手に取ろうとする。

 

「ちょっ夜一サン、今触ったらダメっスよ!?」

 

「なんじゃ喜助、ま〜だ警戒しとんのか〜?別にいいじゃろ触っただけd━━━」

 

 気軽に語る夜一が刀を握って持ち上げようとする瞬間、驚いた表情で黙り込む彼女は、何故か固まってしまった。

 

「………よ、夜一サン……どうしたんですk…「喜助、こお主もの刀を持ち上げてみろ」━━えっ、は…はぁ…」

 

 触った途端に表情が一変する夜一の様子を見て不審に思いながら、浦原は彼女の言う通りに刀を手に取ろうとする。

 

「一応先に聞いておきますけど、僕が触った瞬間に驚かすのはやめてくださいn━━━え?」

 

 そして浦原も刀を持ち上げようするが、彼女と同じく驚きを隠せなかった。何故ならその刀の中に、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 ハッキリ言って一人か二人くらい両手で持ち上げなければならないくらい、重さがある。しかも驚く事に、ついさっきまで相手にしていた少年が、異常と思うくらいの重さがある刀を軽々と片手で刃を振っていた。

 

「おい喜助………どうやら報告する事が山のようにあるな。」

 

「こんな事言うのもあれなんっスけど、正直僕も興味持ちました。」

 

 多く残された謎に疑問を抱く二人は、再び少年の刀へと目を向けるのだった…

 

 

 




 
 感想・誤字報告・高評価、いつもありがとうございます!

 次回もお楽しみに!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。