追想-篠澤広P編-   作:霜凍

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クリスマス用に書いたssです、短編で読みやすいサイズで収まるように注意して書き上げてました。


番外編 篠澤広、お料理配信す

登場人物

・駿河ハル 広P 詳細は追想参照 誕生月は2月(作中内P表記)

・篠澤広 よわいいきもの Pとの関係性等は追想参照

・猫塚ハッカ 手毬P

・月村手毬 おもしろいいきもの

・視聴者 コメント欄(以下 コ表記)

 

ここは初星学園、アイドルとそのプロデューサーを排出するアイドル養成校だ。

そんな学園に所属するアイドル科生徒は学園に掲示されるお仕事をこなす事で給金を獲られるシステムがある。

さる12月のある日、1年生のアイドル科生徒『篠澤広』には目的があった、その目的のためにとあるお仕事を受けることになったのだが…

 

〜とある日のとある教室〜

ガラガラガラ

ノックもなしに無遠慮な扉の開音を響かせながら事務所代わりの教室に入ってくる人。

午後の授業を終えたアイドル科生徒1年『篠澤広』

 P「お疲れ様です、篠澤さん。」

 広「ありがとう、プロデューサー。」

 P「授業はどうでした?」

 広「うん、千奈と佑芽が…ね…」

そう言って楽しそうに出来事を語る篠澤さん、日々のルーティンのようなものだ。

 広「…そうだ、プロデューサー。」

あぁ…と察する、この感じは『いつもの』やつだ。

 P「なんです?篠澤さん。」

 広「あの…ね?この仕事、受けたい。」

おや、普通の相談だった。

篠澤さんの持ってきた『仕事』の資料に目を通す。

 P「お料理配信…?スポンサーが調理器具のメーカーで当社の商品を使用して料理配信を行う、宣伝等の必要は無い…ですか。」

 広「…うん、ダメ?」

 P「ダメとは言いませんが1人で料理を作った経験は?」

 広「ふふ、私が料理…出来ると思う?」

 P「いいえまったく。」

 広「少しくらいは、期待を持って欲しかった。」

 P「以前倉本さんと花海さんと補習の練習をしたって話を聞いてましたから。」

 広「…じゃあ、ダメ?」

 P「…いえ、やってみましょう。」

 広「いいの?」

 P「出来ないからやってみる、でしょう?俺もサポートしますから。」

 広「ふふ、流石…よくわかってる、ね。」

 

さて、そんな会話をしたのは1週間ほど前、今現在俺。こと駿河ハルは担当アイドルの篠澤広と共にライブカメラの前にエプロン姿で立っていた。

どうしてこうなったのか、結論から言えば調理過程に介護が必要だったからだ。

3日ほど前に簡単なものを…と思いチャーハンを一緒に作ったのだがフライパンが持ち上がらないバグに遭遇したこと、包丁の扱いに不安が残ったこと、以上2点から俺も参加する運びとなったのだ。

 

〜学園の調理スタジオにて〜

ライブ配信開始の時間となった。

コ「はじまた」

コ「広ちゃーーん」

コ「誰だこのお兄さん!?」

 広「…?これもう回ってる?プロデューサー。」

 P「回ってます、回ってますから。」

コ「開幕放送事故w」

 広「ん、今日はプロデューサーと…ハンバーグを作る。」

 P「……」

 広「プロデューサー、挨拶。」

 P「えっ、篠澤さんの挨拶とかしないんですか?」

 広「シノサワヒロ」

 P「あ、はい。プロデューサー科1年駿河ハルです。」

 広「…普通。」

 P「挨拶に奇抜さを求めないでください。」

コ「漫才始まった」

コ「なにこれカップルチャンネル?」

 広「じゃあ、早速作る。」

P「のはいいですが俺が切る物全部切るので調味料を測ってください。」

 広「わかった。」

カメラを篠澤さんの方へ向けて目の前の玉ねぎに対峙する。

 P「…よし。」

気合を入れてlet'sみじん切り。

 

コ「広ちゃんってもしかして包丁使えない?」

コ「プロデューサーさんカメラも担当してるの?」

コ「戦力外通告かな?」

 広「使う調味料…どれだっけ?」

 P「砂糖、塩、コショウ、ケチャップ、ウスターソース、醤油です。あと牛乳とパン粉も用意してください。」

 広「…だって。」

コ「だって、じゃねぇw」

コ「ママおらん?」

コ「篠澤さん、頑張ってくださいまし。」

 広「じゃあ、まずお砂糖が…」

 

少しの時が経ち

 

玉ねぎくんと付け合わせの野菜の処理が終わってコメント欄を覗く。

コ「何作るんだっけ?」

コ「草」

コ「ママー!早く来てくれー!!」

急いで調味料のテーブルに回る。

 広「ターメリックが2.2g...クミンが2.4g...」

 P「メニューがハンバーグからカレーになったとは聞いてませんが…?」

 広「はい、プロデューサー。」

渡された小皿にはなにかスパイスが乗っていた。

 P「なんです?これ。」

 広「ナツメグ。」

 P「そうそうこれをひき肉に混ぜてコンソメと…ってロールキャベツやないかい!」

 広「プロデューサー、ノリツッコミも出来たんだ。」

コ「やっぱり漫才か。」

コ「プロデューサーノリいいなw」

コ「この組み合わせ推せるわ。」

 広「ふふ、冗談…次は何をすればいい?」

 P「ひき肉を捏ねてください、少し粘りが出るくらいまで。塩とコショウ、醤油も入れてしまって構いません。」

 広「わかった、プロデューサーは何をするの?」

 P「俺は飴色玉ねぎを作ってます。」

コ「結構ちゃんとやるのね。」

コ「出来る方がいるだけでこんなにも違うものなんですのね…」

コ「さっきからお嬢様いない?」

 

そこそこの時が経ち

 

玉ねぎを炒め、水分が減っては水を加えて炒め…それを繰り返して完成する飴色玉ねぎ、生のシャキシャキもいいけどハンバーグと言ったらこれだよね。

バットに玉ねぎを敷いて冷ましておく、手が空いたのでコメントを覗く。

コ「全然捏ねれてなくて草」

コ「篠澤広がひき肉をふにふにする配信」

[このコメントはモデレーターにより削除されました。]

コ「ねぇ千奈ちゃん、ひき肉ってこんなに硬かったっけ?」

コ「花海さんダメですわ、コメントで名前を出してしまっては。」

コ「補習組もようみておる」

どうやらダメだったらしい。

 

篠澤さんのテーブルに向かい声をかける。

篠澤さんはひき肉の入ったボウルに手を突っ込む形で固まっていた。

 P「篠澤さん、どんな具合ですか?」

 広「ふふ、全然上手くいかない…とっても楽しいね。」

よく見ると小さく震えている。

 P「ひき肉が冷たくて固まってたんですね。」

 広「よく分かったね。」

 P「こっちの準備は終わってるので早く捏ねてください。」

 広「プロデューサーは、ひどい。」

 P「牛乳入れますね。」

篠澤さんが出しておいたとはいえまだ冷たい牛乳とパン粉を投入する。

 広「ヒイィ…プロデューサーの鬼、悪魔…」

青くなったり赤くなったり面白い状態になっていた。

コ「イチャイチャすんな」

コ「これもうそういうプレイだろ」

コ「やっぱこれママだよね」

結局ひき肉が捏ねられることは無かったので途中から交代した。

 

ある程度混ざったところで玉ねぎを加えて捏ねる、全体が白みがかり粘り気が出てきたら『タネ』にする、あとは成型して焼くだけだ。

 P「それでは手のひらサイズにタネを取ってください。」

 広「こんな感じ?」

ちょうど手のひらに収まる位の量をとる。

 P「そうです、そしたらそれを…」

左手から右手へ、右手から左手へ、ペチペチという音を立てながらハンバーグが宙を舞う、それを20回ほど続ける。

 P「こんな感じで空気を抜いてください。」

 広「…えい」ペチッ

左手から放たれたハンバーグは弧を描き右手へ

 広「…えい」ペチッ

右手から放たれたそれは半円をなぞり左手へ

 P「それでは時間がかかりすぎますから…」

篠澤さんの後ろに周り抱き抱えるように手を添える、添えた手で自分がやったように篠澤さんの手を動かす。

 P「こんな感じです?わかりました?」

 広「…うん、分かったけど…いいの?」

 P「なにがです?」

 広「コメント、きっと…爆速だよ。」

言われてハッとした。

コメント欄は本日1の大盛り上がりだった。

「エンダアアアアアア」

「やっぱりただのカップルチャンネルじゃん」

「お熱いですわ〜」

「唐突なNTRにより脳が破壊されました」

「なんかこのハンバーグ甘くね?」

「夕飯いらんなった」

「ご馳走様でした」

「ハルちゃん隠す気ある?」

「ママじゃなくて旦那だったか…」

「これ配信して大丈夫なやつ?」

「エッチなのはダメです!」

「純愛過激派も難儀だな」

「切り抜きはよ」

「プロデューサーさんこれ天然なのズルい」

これでは火消しも無駄だろう、あとでお叱りもあるかもしれない…

 P「やってしまったものは仕方ありません、続行します。」

 広「ふふ、そうだね…」

 P「とにかく、あとは形を作って焼くだけですから。」

 

なんやかんやハンバーグは大小あれど6個ほど出来た。

ソースもジャジャっと作りあと盛れば完成、となった。

 P「思ったより多く作ってしまいましたが…」

 広「大丈夫、助っ人を呼んでる。」

 P「助っ人?」

コ「まさかのゲスト」

コ「この配信撮れ高多くね?」

コ「待ってください、昨日用事があるって言って今日1日見ないと思ったらまさか」

コ「あぁ…あなたはもしかして…」

 

 広「うん、お待たせ、てまり。」

 手毬「ここに来ればハンバーグが食べられると聞きました。」

スタジオ裏から月村手毬さんが現れた。

 P「え、あの、担当さんの許可は…」

 広「多分、知らない…てまりが言ってなければ。」

 手毬「言いました、明日は用事があると。」

 P「猫塚さんごめんなさい、ウチのが悪いんです…」

 広「てまりてまり、一緒に食べよ。」

 手毬「ま、まぁいいわよ、呼んでくれたし…」

 P「…どうしてこうなった。」

 広「プロデューサー。」

 P「なんです?」

 広「とっても、楽しいね。」

 P「ままなりませんよ、こっちは!」

草をはやすコメント欄に思わぬゲストに湧くコメント欄、もはや混沌の渦となった配信は誰にも止めることができず…

猫塚さんと月村さん、俺と篠澤さんの4人でハンバーグを食べて締めとなった。

 

後に月村さんは猫塚Pにこってりと絞られ、俺はあさり先生に呼び出しを食らったが企業側の反応が良かったため事なきを得た、初々しいカップルっぽくて良かった、らしい。

そして篠澤さんは…

 

〜12月24日のとある教室〜

 広「はい、プロデューサー。」

そう言って何やら小包を手渡してくる篠澤さん。

 P「なんです?これ」

 広「…開けてみて。」

不思議に思い開けてみると

 P「これは…ネクタイピンですか?」

 広「う、うん…クリスマス、だから。」

 P「嬉しいです、ありがとうございます、本当に。」

 P「実は…俺からもあるんですけど、見ます?」

 広「見る。」

カバンの中に隠していたラッピングされたソレを出す。

 P「どうぞ、篠澤さん、メリークリスマス。」

 広「ありがとう、ハル。」

 P「学園でその呼び方はやめてください、誰かに聞かれたらどうするんですか。」

俺の言葉を聞いてか聞かずか、ラッピングを丁寧に剥がして中を見る篠澤さん。

 広「これ、ネックレス?」

 P「はい、篠澤さんに似合うと思いまして…」

 広「この宝石…アメジストと、なんだろう、サファイアじゃない…青い宝石…」

 P「タンザナイトと呼ばれる宝石です、篠澤さんの…」

 広「…キレイ…」

 P「…そうですね。」

今はただ、2人のこの時間を…

そしてこんな日が永く続くように。




タンザナイト,石言葉は『神秘』『知性』『希望』
見る角度で色合いが変わる石です。
12月誕生石でもありその石と2月の誕生石のネックレスだなんて...ねぇ?
pixivに投稿されている作品はここまでなので次はバレンタインのssになります、既にほぼ完成してしまっているので当日に投稿したいと思います。
ばいばい
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