ハリー・ポッターと酒カスドラゴン   作:エヴォルヴ

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Q.竜の楽園に国とかあるの?
A.ある。戦争とかはしてない。する必要がないからしてない。そんなことするより趣味の時間。


酒カスドラゴンと竜殺しの槍

 決闘クラブが開催された秋の季節が過ぎ去り、雪が降り始める冬がやってきた。寒さが苦手な者達が防寒対策を徹底してもこもこになる季節の到来である。

 

 クリスマスがやってくる三日前、クリスマス休暇こと冬休みが明日に訪れるはずだった今日。朝食を食べていた全校生徒達に全授業の中止が宣言され、一日早いクリスマス休暇が始まっていた。家に帰れない者はホグワーツの寮内での待機を義務付けられており、ホグワーツ史上最も退屈なクリスマス休暇が始まっている。

 

 さて、そんな退屈なクリスマス休暇など、我らが酒カスドラゴンが享受するだろうか。否、しない。今年もまた、ヴィヴィアの実家であるアドワーズ家にお邪魔していた。

 

「……………………ニール、見ていないで助けてほしいのだが」

 

「クハッ、自分でどうにかするのだな」

 

「くっ……そもそも何だこの布は……!」

 

「竜殺しの武具はこんなものだ」

 

 そんなアドワーズ家の一室、ヴィヴィアの部屋ではヴィヴィアが赤黒い布に縛られてジタバタともがいており、ファヴニルはそれを見て酒を飲んでいる。

 

 初っ端からぶっ飛ばしているように見える光景が広がっているような気がしなくもないが、これはヴィヴィアが原因だ。誓ってファヴニルがこういった趣味を持っているわけではない。こういった光景を見て悦に浸るのは姉であるティフォンだ。

 

「なんでネァイリングがこんな姿になるんだ……!」

 

 自分を縛り付ける布を振りほどこうともがくヴィヴィアと、時折こちらに向けて飛んでくる布を腕のみ擬態を解除して払いのけるファヴニル。

 こんな緊縛プレイが始まっている理由は、ヴィヴィアがネァイリングの手入れをしてみたいと口にしたのが原因であった。手入れをするだけならまだよかった。ヴィヴィアが誤って剣槍の刃に触れて指を切ってしまったのだ。ヴィヴィアの白魚のような指先から血が滴り、刃に触れた瞬間、ネァイリングが赤黒い布へと変化して襲いかかってきたのである。

 

「お姉様と呼ばれていたお前がこうも醜態を晒していると知られたら、面白いことが起きそうだな」

 

「やめろ。私はそういうのは好かん」

 

「そうか? 女を侍らせるのもいい女の素質だとティフォン姉さんは言っていたが」

 

 あの決闘クラブによって、ヴィヴィアの人気は跳ね上がったと言っていい。いつもクールな少女が楽しそうに笑う姿は男女問わず心を奪われた。特に一年生の女子生徒達がヴィヴィアのギャップにやられた。自身のことをお姉様と呼ぶ一年生を見た瞬間のヴィヴィアは目が死んでいた。使用人達のように個性的な人物と接することには慣れているが、血が繋がってもいない人間に姉と呼ばれるのは好まないようだった。

 

「あの人は色々あれだろう……! くっ……ええい、魔法も効かないとは!」

 

 魔法を放っても解ける気配がない赤黒い布に苛立った様子を見せるヴィヴィアだが、苛立ちだけではなく羞恥も混ざっているように見えるが、それも当然だろう。何せ友人であるファヴニルの前でこのような醜態を晒しているのだから。一秒でも早く緊縛状態から抜け出したい。だが、ギチギチと体を縛り付ける赤黒い布がそれを許してくれない。

 そうしてジタバタともがくこと十数分。さすがに哀れと感じたのか、ファヴニルがようやく動いた。

 

「ふん」

 

 ブチブチィッ!! と赤黒い布を引き裂き、雁字搦めにされていたヴィヴィアを解放する。それでもなおヴィヴィアを縛ろうとしているかのように動く赤黒い布を掴み、何かを握り潰すかのように目一杯握り、さらには口から放った炎を腕に纏わせて赤黒い布に叩き込む。

 

「うん? 血を吸ったのは初めての経験だったか。だが、何とも節操のないことだ。焼き直してやる」

 

 まるで痛みによる教育をするかのように赤黒い布を燃やし続けるファヴニル。特に怒っているわけでもないが、友人を辱めたのだから、このくらいされても当然だろうとは思っていた。

 ドラゴンの炎に焼かれ、苦しむかのような動きを見せた赤黒い布だったが、その動きも次第に緩慢になっていき────最終的には形を変えてファヴニルの手の中に納まっていた。

 

「ふむ。やっと大人しくなったか」

 

「……指輪?」

 

 ファヴニルの手に納まっていたのは、鏡のように磨き上げられている白銀の指輪だ。雲の上へと昇っていく龍を模した見事な芸術品である。赤黒い布と化したあの剣槍がこんな姿になるとは思っていなかったヴィヴィアは、取り返しのつかないことをしたのではないかと青ざめている。

 

「これが待機状態だ。竜殺しの武器は武器の姿と別の姿を切り替えることができる」

 

 そんなヴィヴィアの様子を見たファヴニルは、その不安を取り除くように言う。これが正常な状態であって、ヴィヴィアが何かをやらかしてしまった、というわけではないと。

 

「…………そ、そう、なのか?」

 

「ああ。魔法道具にもあるだろう、形を変えるものが」

 

 あれらと同じだから過度な心配をするな。そう言って、未だに呆然としているヴィヴィアの手に指輪を握らせたファヴニルは、懐から新しい酒を取り出して口に含む。

 

「指輪になるということはドワーフ製か? 父さんなら素材も分かりそうなものだが……」

 

「……これ、どうやって武器に戻すんだ?」

 

「うん? 武器になれと命じれば武器になる。少々手荒にはなったが、武器が屈服したのだ。言うことを聞くはずだ」

 

「まるで武器に意志が宿っているような言い方をするんだな」

 

「ドワーフやドヴェルグ達にとって武器に少々意志を持たせるのがトレンド、というやつだったそうだ。今は違うそうだが」

 

 使い手を選ぶ武器から始まり、使い手を片っ端から殺してしまう武器、使い手が必ず破局する武器など、様々な業を持った武器が生まれた。デュランダル、エクスカリバーといった聖剣と謳われる武器を含めた九割九分は竜の楽園などの人間が知覚できない境界の向こう側にいる者達が回収したが、一部はまだ現存している。そのうち回収されることになるだろう。

 

「日本には八百万の神々、という考え方や付喪神なんてものもある。物に意志が宿るなど、おかしい話でもあるまい。それよりも、戻してみろ」

 

「う、ううむ…………いや、やるしかない、か」

 

 うんうんとしばらく唸っていたヴィヴィアが心の中で指輪に武器になれと命じると、指輪が錆だらけの剣槍に変化する。そして、その武器を握るヴィヴィアの腕にも変化が起こっていた。

 

「なっ────!?」

 

「ほう」

 

 剣槍を握る腕に赤黒い布が巻き付き、その隙間から鋭利に逆立っている黒い鱗が生えてきたのだ。まさか、と思って服の袖をたくし上げて左腕を確認してみると、右腕と同じように逆立った黒い鱗が生えている。爪も鋭く尖っており、擬態を解いたファヴニルの腕に酷似していた。間違いなくこの武器が原因だろう。

 

「ど、どうなって……!?」

 

「落ち着け。それが竜殺しの武器の特徴だ」

 

「りゅ、竜殺しの武器の特徴……?」

 

「竜の力を記憶し、その竜の力を宿す。竜と戦えば戦う程、その力は重なり、強くなっていく」

 

 この時はファヴニルもヴィヴィアも知らないが、ゴドリック・グリフィンドールが振るったグリフィンドールの剣もそういった力を宿している。その剣と似た力が、剣槍ネァイリングにも宿っているのだ。

 

「その武器の場合、俺の炎を喰らったのもあって俺の力の一部を得たのだろう」

 

「……この布は?」

 

「力を吸収するためのものであり、力を流し込むものでもある。あとは竜の力を流し込み過ぎないようにする、制御装置としての役目も担っていたはずだ」

 

 ファヴニルのような元々竜の力を持ち合わせている人外からすれば、そんなものが無くても力の制御など容易いのだが、竜の力を持たない者が扱うのならこの布が無いと力に振り回され続け、最後には竜の力に圧し潰されて死に至るだろう。人の姿を保っていれば御の字、というレベルの凄惨な死が待っていることは想像に難くない。

 

「布の暴走は知らん。ずっと使われずにいたから不具合を起こしたとでも解釈しておけ」

 

「ううん……あまり納得はできないが、そういうことにしておこう。……あ、戻った」

 

 武器を指輪に変えると、ヴィヴィアの腕も元に戻る。もう一度武器に変化させると、腕が竜化する。では武器から手を離せばどうなるのか、とヴィヴィアが武器から手を離すと────竜化が解けて指輪に変化し、ヴィヴィアの指に納まった。

 

「……これ、まさかとは思うが……」

 

「ああ、お前が使い手として登録されたな。お前が死ぬか、武器の魔法契約を剥がせば、この武器は前と同じ武器形態のままになる」

 

「家の皆にどう言えばいいのだろうか、これ……」

 

「何、武器に認められたとでも言っておけばいいだろう。使わず埃を被るのは忍びないだろう?」

 

 使えるものは使っておけという認識のファヴニルがそう言うと、ヴィヴィアは釈然としない表情を浮かべながら頷く。今日の夕食の時間にこの状況を説明することにしたようだ。

 

「話は変わるが、秘密の部屋、だったか? あれの怪物について君は何か知っているのか?」

 

「蛇だろう。石化の力を持つ蛇など、数は限られてくるが……テルシオペロに似た魔法生物であれば可能だろう」

 

「……すまない、テルシオペロとはなんだ? 蛇なのは分かるが……」

 

 非魔法界のことについてはまだまだ学んでいる最中であるヴィヴィアがファヴニルに問いかけると、ファヴニルは懐から友人著の生き物図鑑を取り出して、毒持ちの生き物について事細やかに記載されているページを開く。

 

「テルシオペロはクサリヘビ科ヤジリハブ属の毒蛇だ」

 

「最大全長2.5メートル……!? 大きすぎないか!?」

 

「そうか? アナコンダという蛇は6メートルを超えるやつもいるぞ」

 

 蛇が苦手なヴィヴィアは想像したくないと表情を強張らせつつ、ファヴニルの見せてくれた図鑑に記されているテルシオペロの記述を読み取る。

 

「森林地帯で過ごす、夜行性で気性が荒い……患部が石になったような壊死の仕方をする……?」

 

 魔法生物ではないとはいえ、この蛇を犯人ならぬ犯蛇とすることはできないのではないだろうか。

 ヴィヴィアの疑問は尤もであると、ファヴニルは頷く。ホグワーツで発生している石化現象において、誰も何かに噛まれた様子もなく、しかも誰も体のどこかが壊死しているわけでもないのだ。

 

「ああ、もちろんこいつが下手人という可能性はゼロだ。魔法生物でもないしな」

 

「じゃあ、どうしてこれを見せたんだ?」

 

「前提条件だ。今回の事件において、石化した者は全員噛まれているわけではないし、毒でやられたわけでもないという事実を頭に入れてくれ」

 

 ヴィヴィアが頷くと、ファヴニルが続ける。

 

「そもそもだ。あの状態は石化ではない。石化は完全に石になる現象であって、肌色も変わっていない石化などあり得ないはずだ」

 

「となると……怪物の力は石化ではない?」

 

「ああ。事件が起こった場所を少し観察したが、何らかの力で焼き焦がされた場所があった」

 

「炎を放つ蛇……いや、しかしそれならなぜ被害者は燃えていなかったのかが説明できない……」

 

「となれば、本来の力が発揮されることがなかった結果が、あの疑似石化状態……ということになる」

 

 もちろん怪物の力ではなく、怪物のどこかにそういった力を持った魔法道具が原因という可能性もあるが、その可能性は極めて低いとファヴニルは考えていた。扱いを誤り、自爆する可能性すらある魔法道具を蛇が使い続けることができるのか、という疑問点を解消することができなかったからである。

 

「熱線とは違う、何かを焼き焦がせるものを使って石にする────これが、一つ目の鍵だ。二つ目の鍵は……石化した者の表情と鶏にある」

 

「表情?」

 

「ああ。ミセス・ノリスは例外として、他の者は何かを見上げて怯えた表情を浮かべていた」

 

「人よりも大きな蛇、ということか…………鶏、というのは?」

 

「前に水炊き鍋を食べただろう?」

 

「ああ、うん。あれは美味かったが、それがどうかしたのか?」

 

「あれはな、ハグリッドから譲ってもらったものだ。森番小屋の鶏が何かに襲われたらしくてな」

 

 ハグリッドは鶏を絞めていなかったが、こうして誰にも食べられないというのももったいないから、とおすそ分けされていた鶏。もらった鶏一羽全てを使った鍋の美味しさは記憶に新しい。ちなみに、貰った鶏はまだまだあり、そのうち唐揚げや棒棒鶏などになる予定である。

 

「しかもオスの鶏だけが殺されていた。メスは放置で、だ」

 

「何か理由があるとしか思えない行動だな」

 

「その後、事件が起こったとなれば、その可能性が膨れ上がる。ハグリッドやファングに見つかるリスクを背負ってまで雄鶏を殺さなくてはいけなかった理由は……」

 

「怪物が、鶏を嫌う……それか、鶏の何かが怪物にとって致命的な弱点となる、か」

 

 卵ではないだろう。卵ならば雄鶏ではなく雌鶏を殺すはずだ。とすれば、雄鶏が生きているとよくないことがあるらしい。

 

「そして三つ目。事件が起こる時、毎度毎度蜘蛛がやかましく騒ぎ出す」

 

「蜘蛛が騒ぐ……? 君、蜘蛛とも話ができるのか?」

 

「虫は大体言語が似たり寄ったりだからな。簡単だ。鳥類語をマスターしたら、次は蟲語を教えてやる」

 

 そう言ったファヴニルは、今まで上げたピースを全て羊皮紙に書いてまとめる。怪物が雄鶏が生きている場合自由に動けないこと、怪物が動いた時蜘蛛が騒ぎ出すこと、怪物の力が中途半端に発動した結果、被害者が石化していることなどが導き出された。

 

「蜘蛛が逃げて、雄鶏を嫌う蛇……? どこかで聞いた気がするが……どこでだったか……」

 

「熱線を放つ蛇……クハッ、いい酒の材料になりそうだ」

 

「…………君、もしかして秘密の部屋の怪物が蛇だと知った時から、酒の材料にするつもりだったのか?」

 

「ああ。だから調べた。もちろん契約もあったから、それの履行もついでだな」

 

 楽し気に言うファヴニルを見て、ヴィヴィアは呆れたように溜め息を吐いた。やはりこの男は酒のことが第一優先なのだ。脳のリソースを九割以上酒に注いでいる時点でお察しである。

 

「さて、蛇の怪物……蛇の力を持つ者は大体目に関する力を持っているわけだが……これが機能しない場合がある。どういった場合だ?」

 

「? そんなのは簡単だろう。目を合わせなければ力が発揮されない────あ」

 

 自分で言って、ヴィヴィアは気付いた。

 もし、もしだ。石化が能力が機能しなかった場合に起こる現象だったとして、被害に遭った者達は直接怪物を見たのではなく、何かを通して見た結果だったとしたら。もちろん怪物が視覚に作用する能力を持っていることが前提となっているが、筋が通らないわけでもない考えだろう。

 

「ミセス・ノリスが見つかった場所は水浸しだった。水面越しに怪物を見た可能性がある……」

 

「ではクリービーの場合は?」

 

「彼はカメラを持っていたはずだ。カメラ越しに見たのではないか?」

 

「そう、彼はカメラでホグワーツの風景を撮っていた。マクゴナガル先生がそれについて許可をしたと言っていたからな」

 

「となると……怪物の正体、その候補が絞られていくな」

 

 雄鶏が嫌いで、蜘蛛が恐れ、視覚に作用する能力を持った蛇。怪物の正体がどんどん絞り込まれていく中、ヴィヴィアの部屋にノック音が響いた。

 

「ヴィー、入りますよ」

 

「はい、どうぞ」

 

 落ち着き払った声に入室許可を出すと、美しさを保ち続けている魔女が現れた。ヴィヴィアとどこか似ている魔女は、黒いローブを着熟しており、まさに魔女といった姿だ。姿は確かにヴィヴィアやエレインと比べて老いているが、それでも全く老いを感じさせない魔女は小さく笑みを湛えつつ、ヴィヴィア宛らしい手紙を抱えていた。

 

「あなた宛てのお手紙が届いていますわ。捨てても構いませんが、一応目を通しておきなさいな」

 

「ありがとうございます、ノルンお婆様。はぁ……またか」

 

「そう溜め息を吐いてはいけませんよ。気持ちは大いに分かりますけども、ね?」

 

 ヴィヴィアの祖母、ノルン・アドワーズがヴィヴィアに渡したのは、貴族の家からパーティーの招待、お茶会の誘いなどの手紙であるようだった。

 

「すでに断わりの手紙を用意してはいますが、どうなさいますか?」

 

「お願いします。縁談を断り続けているというのに、しつこい者ばかりだ」

 

「ヴィヴィアの容姿は整っているからな。諦めきれんのだろうさ」

 

「そういうあなたはどうなのです?」

 

「淑女から拒絶されたのであれば、何も言わず身を引くのが男というものでしょう? もちろん、拒絶されることなく、女を愛することが最も良い男である証拠ですが」

 

「あら、意外と経験がお有り?」

 

「いいえ、知り合いの色男がそう言っていたのを思い出しただけです」

 

 どういうわけか女全員が仲良しなハーレムを築き上げていた色男を思い出し、ファヴニルは肩をすくめる。ちなみにその男はファヴニルの親友、ヨルガンドの眷族であり、ハーレムの女性達もヨルガンドの眷族だ。女をとっかえひっかえしているようなクソ野郎かと思いきや、ヨルガンドに確かな忠誠を立て、自分を愛してくれる女性に誠意を以って応える紳士である。酒癖も悪くなく、ファヴニルには全く縁のない恋愛相談なんかもやっている。

 

「お若いのに、素敵な友人がいらっしゃるみたいですね。では、その経験豊富なご友人がいるあなたに少しお願いをしてみましょうか」

 

「俺がやれることであれば」

 

 何を言われるのか分からないが、ある程度のことはやれるだろう。そう軽く考えてノルンのお願いというのが何なのかを待っていると────

 

「ヴィーと共にパーティーに参加してくださいな」

 

「「……は?」」

 

「男避けとあなたを名誉騎士として知らしめる目的もありますから。クリスマスに少々大変ですが、お願いしますね?」

 

 とても面倒なことになったかもしれない。貴族のパーティーなど、本当に面倒なことが多いのだ。大昔、貴族が開いたパーティーで面倒事に巻き込まれたこともあって、苦手意識がある。

 少しだけ、安請け合いしてしまったかもしれない。酒を飲んでいないとやっていられない……少しだけ、ほんの少しだけそう思ったファヴニルであった。

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