ホロライブライダーズ 不死身の闘牛(ザ・リメイク)   作:プロトタイプ・ゼロ

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第十二話「日常の終わり」

 

 

 

 

 数日が経った。アレからフブキは普段と何も変わらない生活を続けている。自分だけが覚えている記憶、周りと噛み合わない会話に苦戦し、どこか気持ち悪い物を感じながらも至って普通の生活を演じている。

 

 だが、今までのことを何も知らない……否、覚えていない他のメンバーを見ていると、心の奥底にドス黒い何かが目覚めていそうな気もなくはないが、そんな感情など表に出さないように気をつけながらアイドルとして練習を頑張っていた。

 

 その様子を鏡の向こうから見ていた裏千束は、痛々しいフブキを見て舌打ちしながら僅かに顔を歪ませる。フブキがこちらに気付く前にミラーワールドのホロライブタワーから出ていく。

 

「……誰だ?」

 

 誰かにつけられている気配を感じ、裏路地に入ると後ろに向けて問いかける。敵意のようなものは感じない。むしろ向けられていたのは興味だった。

 

「はっ! なんだよ、バレてたのか」

 

 現れたのは裏千束と同じく黒い印象を受ける少女たった。黒を基調とした腹出しの服装や髪の毛からぴょこぴょことしている狐耳、ふわふわで毛先が白い尻尾。

 

「白上フブキ……? いや、違うな。誰だお前」

 

「誰でもいいだろ?」

 

 ケラケラと笑いながら白上フブキと瓜二つの少女が近づいてくる。裏千束の肩を通り過ぎる直前に軽く叩き、耳に口を寄せる。

 

「私が早く出られるように、フブキを絶望させてくれよ、な?」

 

 苛ついた裏千束が殴りかかろうと黒いフブキを見た瞬間、そこには誰もいなかった。肩に触れられていたはずの感触すらなくなっており夢でも見ていたのではないかと思ったが、裏千束は今の会話が現実のものであると理解した。

 

「くそ!!」

 

 壁を思いっきり殴り深呼吸をしてから隠れて様子をうかがっているミラーモンスターを睨みつける。近くにいたミラーモンスターは突然裏千束に睨みつけられたことにビビり、ミラーワールドの奥へと逃げ去っていった。

 

「なんでどいつもこいつも……!!」

 

 拳がより壁にめり込みミラーワールドの壁にヒビが入る。溜め息を吐き姿勢を戻そうとした瞬間、誰かが歩いてくる気配を感じた。

 

「よぉ、久しぶりだなァ」

 

 歩いてきたのはもじゃもじゃの黒と金が入り混じった髪色をした男だった。蛇柄のジャケットに黒いシャツ、藍色のジーンズを着た男――浅倉威は血のついた鉄パイプを肩に担ぎながら裏千束に近寄る。

 

「テメェ……王蛇か」

 

「そうだ、お前を殺しに来た」

 

 口の端を大きく歪ませ狂気めいた顔で殺人宣言する浅倉は、肩に担いでいる鉄パイプを裏千束に振るう。それを紙一重で避けるとリュウガのカードデッキを取り出した。

 

「いいねぇ、ライダーバトルで決着をつけようか!!」

 

 大きく目を見開き獰猛かつ嬉しそうに奥歯が見えるほどの笑みを浮かべると、カードデッキを前にかざしVバックルを腰に装着する。そしてカードデッキをセットして仮面ライダーリュウガに変身した。忘れている人間がいると思うので一応言っておくが、普段がクールな裏千束だが実際はかなり好戦的な性格であり、喧嘩を売られて買わない彼女ではない。

 

 同じように浅倉も笑みを浮かべながらVバックルに王蛇のカードデッキをセットして仮面ライダー王蛇に変身すると、首を大きく回してからベノサーベルを召喚してリュウガに襲いかかるが、それを見たリュウガもドラグセイバーを即座に召喚して応戦し始めた。

 

 二人による激しいライダーバトルは、王蛇がミラーワールドに存在できるギリギリまで続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜ジャマーガーデン〜〜〜

 

 

 

 

 

 

「……ここは?」

 

 天井から垂れてきた雫が当たり、眠っていた少年――芙蓉道長か目を覚ます。体を起こしボキボキと鳴らしながら伸びをすると周囲を見渡し部屋の中を探索する。

 

 自分がどこかの屋敷っぽい場所にいることは理解できたが、消滅したはずの自分がなぜ生きているのかが疑問になる。そう思いながら階段を下りていくと、辺り一面に植物に覆われていることに気付いた。

 

「なんなんだここ……すげぇ気持ち悪いのに、なんだか落ち着くっていうか」

 

 植物を掴み上げ観察してみる。一見普通の植物と同じように見えるが、僅かに蠢いていることから普通ではない。植物から手を離し更に進む。

 

 次にやってきたのは誰かの研究部屋みたいな場所だった。取り敢えずしゃがみ込みながら散らばった資料みたいな紙を拾い上げる。

 

「……なんだ、これ?」

 

 やたらアルファベットや数字が入り混じった何かの言語っぽいのが殴り書きされている。拾った2枚目の紙には日本語っぽいなにかの文字が書かれている。

 

「……ジャマトプロジェクト? なんだこれ……?」

 

 3枚目に書かれていた極秘プロジェクトと欄のある文章を読んでいく。

 

「芙蓉博士、未来の人間、成長するジャマト、人の姿に擬態……言語習得……成功例は3体のみ……駄目だな。文字が所々掠れてやがる」

 

 読んでいた紙を適当に投げ捨て立ち上がる。そもそも何も苦戦することなく読んでいるが、紙に書かれている一部の言語はジャマト語である。

 

「どういうことなのかは全くわからねぇが、えげつないことだけはわかる……おそらくここにいたはずの人間になにかあったのかは断言できる」

 

 研究部屋から外に出ると、数体のジャマトライダーが彷徨うように歩いている。それを見て変身できない今は近づかない方が良いと判断し、その場を離れようとして……

 

バギィ!!

 

 思いっきり落ちていた木の枝を踏み潰してしまった。常人よりもはるかに優れた聴力を持つジャマトライダー達が、その音を聞きつけ道長の方に向かってくる。

 

「ちっ……!!」

 

 咄嗟にその場から逃げ出し、自分が目覚めた場所へ向かう。あらゆる障害をハードル走のように飛び越えながら走る。時々襲ってくる普通のポーンジャマトを殴り飛ばし、数分後にようやく到着する。

 

 何か戦うための道具はないのかと探し回っていると、ヒビ割れたバッファのライダーIDコアを見つけ、それを咄嗟に掴む。

 

「これだけじゃ変身できねぇが……やるしかねぇか」

 

 逃げ場をなくすように出口に現れたジャマトライダーを見て生身のままタックルを食らわせるが、ジャマトライダーは微動だにしない。逆に道長の背中に肘を入れ、地面に倒すと襟を掴み立ち上がらせ膝蹴りを食らわせる。

 

 腹にキツい蹴りを喰らって意識がなくなりかけた道長だったが、咄嗟にジャマトライダーの腰に装着されているデザイアドライバーを掴み取る。それを見たジャマトライダーが道長を投げ捨てるが、ゴロゴロと地面を転がった道長の手にはジャマトレイズバックルがはめられたデザイアドライバーがあった。

 

 ジャマトライダーから普通のポーンジャマトに戻ったのを確認した道長は、勝ち誇ったように笑みを浮かべながら奪い取ったデザイアドライバーを見せる。

 

 デザイアドライバーにヒビ割れたバッファIDコアをセットして腰に装着する。だが、デザイアドライバーは反応するどころかドライバーから凄まじい電撃を装着者である道長に流し込む。

 

「がっ! はぁ、はぁ……なんでだ……!? まさか、コレが割れてるからか!?」

 

 ライダーIDコアが割れているせいでデザイアドライバーがちゃんと反応しないことに苛立つが、なんとか立ち上がってポーンジャマトに殴りかかる。何度も何度も拳や蹴りを食らわせるが、やってきたもう一体のジャマトライダーに飛び蹴りを入れられ背中から木に激突する。

 

「ちっ……くそが……動け!! 動けッ…!!」

 

 デザイアドライバーを殴りながらジャマトライダーやポーンジャマト達の攻撃を避けていく。

 

「動けって言ってんだろ!!」

 

 大きく振りかぶりながらデザイアドライバーを殴る。その瞬間、デザイアドライバーがようやく反応を示した。

 

【E-E-E-ENTRY】

 

【JYAMATO】

 

 接触不良を起こしているのか音声がまるで壊れたラジオのようにバグり気味になり、激しい激痛を伴わせながら道長の身体から生えた蔓の先端が装甲――エングレスチェスターを生成し、蔓がサスペンダーのように身体へ勢いよく引き寄せられて装着される。その際エングレスチェスターを纏った瞬間にエントリーフォームとなり、右目のバッファアイがヒビ割れて色をなくす。またパーソナルアクセサリーである腰のバッファムレータはボロボロになり、緑色が混ざった特殊な仕様になっている

 

【R-R-R-READY FIGHT】

 

 息切れを起こしながら立っているのがやっとの状態の道長は、仮面ライダーバッファに変身するとフラフラになりながらポーンジャマトを殴りつける。たったそれだけでポーンジャマトは吹き飛びながら爆破し、バッファが足を強く地面に踏みつけるとそこから大量のブロイアームズを出現させ無差別にジャマトライダーやポーンジャマト達を貫いていく。

 

 次々と爆破していくのを見たバッファは地面に手をつきながら深呼吸をする。

 

「はぁ、はぁ……死ぬかと思った」

 

 強制的に変身が解除された道長は立ち上がると周囲を見渡す。ジャマトだった残骸が辺り一面に散らばっているのを見て、それを行ったのが自分なんだと自覚し胃の奥から込み上げてくるものを必死に抑える。

 

 違う、アレは人ではない。だから大丈夫。そう自分に言い聞かせて。

 

「あ~あぁ……よくもやってくれたなぁお前」

 

 いきなり声をかけられ内心ちょっとビクッとなりながら振り返ると、そこに居たのは老人だった。老人と言ってもよく聞くシワシワのおじいちゃんというわけではなく、道長よりも少し身長の低い丸みの帯びた老人になりたての人だった。

 

「お前は……人間、か?」

 

「失礼なやつじゃな!! この儂を見て人間かどうか聞くなんぞ!!」

 

「あ、わりぃ」

 

 明らかに怪しさしかない存在につい本音で聞いてしまった道長は、思ってた以上に憤慨され謝罪する。だがやはり、どう考えてもジャマトが徘徊するこの森で戦闘もできなさそうな老人がいるのは不自然でしかない。

 

「全くぅ……せっかく儂が愛情込めて育てた子供たちを殺してくれたなぁ?」

 

「……は?」

 

「なんじゃ? 知らなかったのか?」

 

 案内するように踵を返す老人を追いかける。心のなかに騒がしいものを感じながら。

 

「ほれ、ここが儂の子供たちが生まれる場所じゃよ」

 

「……は?」

 

 謎の老人に案内された場所は、色とりどりの木が存在する場所だった。生い茂った木々に幼体のような白いジャマトが実り、まるで植物園を思わせる。

 

「コレが……ジャマトの正体だと?」

 

 白い幼体のジャマトが実った木々の下に半壊したライダーIDコアが埋められており、まるでジャマトの養分にされているかのように思える。

 

 酷い頭痛と激しいノイズが頭の中を駆け巡り、咄嗟に頭を抑えながら尻餅をつく。

 

「ち、違う……俺は、俺は人間……人間のはずなんだ」

 

 頭の中で自分と同じ顔をした人間を背後から突き刺す映像がノイズ混じりに流れ、何度も頭を横に振る。そんなわけはないと言い訳をするように。

 

「俺は……誰なんだ?」

 

「どうやら顔色が悪いようじゃな。少し休むといい」

 

 謎の老人に肩を貸されながら施設の中に入っていく。部屋の中に置かれたベンチに座り、頭を抱えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜ホロライブシティ〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 ジャマトによる襲撃から暫く経ち、またもや日常に戻ったように思われた。そんなホロライブシティのある箇所にて背中の鞘から刀――チャキ丸を抜いた風真いろはが服をボロボロにし、至るところから血を流しながら仮面ライダー達と戦っていた。

 

「絶対に、ここから先には通さないでござる!!」

 

 自分を頼って逃げていってくれたホロックスのメンバーのためにも、襲ってきた仮面ライダーを睨みながら向けてチャキ丸を向ける。

 

「はぁ……そういうの面倒だからいいよ」

 

 パンダをモチーフにした仮面ライダーであるダパーンがその身振りから興味がなさそうに首を振り、手を前に向けて他の仮面ライダー達に突撃命令を出す。

 

 まるで操られたかのように他の仮面ライダー達が次々と動き出しいろはに向かって歩き出す。それを見ていろははチャキ丸を握る手を強めながら地面を強く踏む。

 

 それから1時間ほど、複数の仮面ライダーを相手にたった一人で立ち向かったいろははチャキ丸を杖代わりにしながら膝をつく。

 

「はぁ、はぁ……」

 

 ポタポタと血を流しながらダパーンを睨む。

 

「はは、そう睨むなよ……これで終わりにしてやっから」

 

 マグナムシューター40Xをライフルモードに変更すると、マグナムレイズバックルをマグナムシューター40Xにセットし至近距離でいろはの脳天を狙う。

 

『MAGNUM』

 

 マグナムシューター40Xにセットしたマグナムレイズバックルのリボルバーを回転させ、アプルーバルリボルバー型のエネルギーを込める。

 

「じゃあな……ホロライブ」

 

『MAGNUM TACTICAL BLAST』

 

 いろはの脳天に向けてマグナムシューター40Xを放とうとしたその時、いろはの後ろから黒い影が飛び出しダパーンを蹴り飛ばした。

 

「え……?」

 

 それは日本刀のようなものを構えた武士であった。黒と緑の装甲に覆われたタヌキをモチーフとした仮面ライダー……その名はタイクーン。悲しみ涙を仮面で隠す戦士である。

 

「はは……まさか仮面ライダーの処刑人が現れるとは思ってなかったよ」

 

 絶望的な状況だというのに相手を侮辱するような笑いを止めないダパーンの目の前にタイクーンが現れると、手に持っている刀――武刃を振り上げ斬り裂いた。

 

 装甲から火花を散らしながら吹き飛ばされかけたダパーンの胴を掴み強制的に地面に踏み落とすと、武刃をダパーンの刀に置きそのまま斬りつける。

 

 バッケントリガーを一度押し込み、紅い月をバックに武刃を上段に構えたあと満月を表すように大きく回しながら一周させ、そしてバッケントリガーを引く。

 

【BUJIN SWORD STRIKE】

 

「ちっ……ヤバい! ここは引こぐほぉ!? お、お前……その足をどかせ!!」

 

 逃げ出そうとするダパーンの背中を踏みつけ黒いオーラを纏う武刃を振り下ろす。

 

 武刃による斬撃を受けたことで変身できる力が維持できなくなったダパーンの変身が解除される。学生服を着た少年――墨田奏斗が息を切らしながらタイクーンを睨みつける。

 

「は、はは……俺を倒したところで無意味なんだよ!! もう絶望へのカウントダウンは始まってる!! 全部全部ぜーーんぶぶっ壊れちまえ!!」

 

 言いたいことだけを叫びながら青い光に包まれ奏斗はデザイアグランプリから退場する。

 

 タイクーンが現れてから終始見ていることしかできなかったいろはは、尻もちをつきながらタイクーンを見ていたが突然視線を向けられ身体をビクッとさせる。

 

「ひっ……来ないで!」

 

 いろはに向かって歩き出したタイクーンの足は、いろはの拒絶の言葉により止まる。

 

「おい貴様!! うちのサムライになんのようだ!?」

 

「それ以上近づいたら切り刻んでやる」

 

「ちょっと血だらけじゃない!!」

 

「こよの薬でなんとかしてみる!」

 

 いろはを守るようにラプラス・ダークネス、沙花叉クロヱ、鷹嶺ルイ、白衣こよりが走ってきた。どうやらいろはのことが心配になって戻ってきたようだ。

 

 三人に守られるいろはを見て何かを迷うように手を伸ばしかけるが、寸前で止まると自分の手を見てから首を振ってその場を去っていった。

 

 その時、本当に小さくだが何かを呟いていたのをラプラスは聞き逃さなかった。

 

「ごめん、お姉ちゃん……か。お前は一体……いや、それよりも何やってんだこよりぃぃぃぃぃぃ!?」

 

 ラプラスはタイクーンが去っていった方をしばらく眺めたあと、こよりが変な煙を出している薬の入った試験管を取り出したのを見て慌てて他の二人と共に止めに入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜ホロライブシティのミラーワールド〜〜〜

 

 

 

「ほらほらどうしたどうしたぁ!! もっと私を楽しませろよぉほらぁ!!」

 

「ちっ……なんだよあいつ! 情報と違うだろ!!」

 

 ドラグセイバーとドラグバスターを用いて逃げる隙も与えない猛攻撃を繰り出すリュウガに苦戦しながら王蛇は確実に追い詰められていく。近距離になればドラグセイバーで攻撃し、遠距離になればドラグバスターで撃ってくる。

 

 内心マルチバース・ヴィランに愚痴をこぼしながらリュウガの攻撃を避けるが、ほとんど避けきれずに被弾してしまっている。というよりリュウガがこれほどまでに強いとは思ってなかったというのが正しい。

 

 ミラーワールドに存在可能な時間制限も迫ってきており、少しずつ王蛇の体がブレ始めている。それを見たリュウガは心底残念そうに溜め息を吐いた。

 

「はぁ? もう終わりかよ……ちっ! しゃーねぇなぁ!!」

 

 王蛇の顔面を掴みガラスに向けて走る。自分の体が前に来るように走ると思いっきりガラスにぶつかった。

 

 ミラーワールドから現実世界に戻ってきたリュウガは、王蛇を地面に放り投げるとドラグバスターで何度も連射する。

 

「ほら、せっかくお前が活動しやすい方にしてやったんだ。もっと私を楽しませろ」

 

「やってくれるじゃねぇか……イライラさせやがって」

 

「イライラしてんのはこっちも同じじゃ馬鹿野郎!!」

 

 ベノサーベルとドラグセイバーがぶつけあう。場所が場所ということもあり周囲にいた人たちが悲鳴を上げながら逃げ出すが、そんなことお構い無しにお互いのミラーモンスターを召喚して激突させながら殴り合う。

 

 ドラグブラッカーの炎がベノスネーカーを襲うが、それを華麗に避けドラグブラッカーに噛み付く。ベノスネーカーの鋭い牙が猛毒の液体をドラグブラッカーに流し込み、ドラグブラッカーが苦しみの雄たけびをあげる。

 

「何してんだテメェ!!」

 

 すかさずリュウガがドラグバスターでベノスネーカーを狙って連射して引き剥がすと、王蛇を蹴飛ばしてドラグブラッカー乗せに乗る。リュウガを乗せたドラグブラッカーが空を飛び王蛇とベノスネーカーを狙って突撃する。

 

 王蛇は咄嗟にベノスネーカーの背中に隠れようとするが、逃げ遅れた子供を見つけると仮面の下でニヤリと笑う。

 

「お前、ちょっとこっち来い!」

 

「うわぁ!? や、やめてよぉ!!」

 

 王蛇に掴まれジタバタと暴れる水色髪の少女――水宮枢がリュウガとドラグブラッカーの矛先に向けられる。その鋭い殺気を向けられた枢は心臓が止まるのではないかと思うほどの錯覚を覚え、死を覚悟する。

 

「ちっ……あんにゃろぉ……!!」

 

 それを見て舌打ちしながらドラグブラッカーの角を掴み方向を強引に変える。その時ドラグブラッカーがまたもや痛そうに雄たけびをあげながら涙目になるが無視して地面に激突する。

 

 ドラグブラッカーの顔が地面に埋まるのを見て激昂したように王蛇を睨みつけ、カードを1枚デッキから取り出しドラグバイザーにセットしようとしてその前に王蛇が止める。

 

「そのカードを捨てろ。じゃなきゃコイツを殺す」

 

「ひぇっ……!?」

 

 舌打ちしながらセットしようとしたカードを捨てる。するとベノスネーカーが体をくねらせながらリュウガに突撃する。装甲から火花を散らしながら吹き飛び地面に倒れる。

 

「くく、人質さえとれば無敵のリュウガもこんなもんか」

 

 仮面の下で嘲笑いながら動かないリュウガを踏みつける。何度も何度も何度も何度も踏みつけ、念の為にベノスネーカーの毒をリュウガに浴びせる。それでも反応がないことを確認するとつまらなさそうにリュウガを蹴り飛ばした。

 

【アドベント】

 

「あ?」

 

 突然聞こえた音声に苛立ちながらリュウガの方を向いた瞬間、地面から飛び出てきたドラグブラッカーに噛みつかれながら上空に飛ばされる。その際人質として掴んでいた枢の襟首を離してしまい、枢は上空から悲鳴を上げながら落ちていく。

 

 枢が頭から地面にぶつかる寸前にリュウガが拾い上げて安全そうな場所に座らせながら逃げるように催促すると、ドラグブラッカーに振り落とされた王蛇に向けて走りながらドラグセイバーを投げつける。当然王蛇はベノサーベルでドラグセイバーを弾き飛ばすが、その隙を狙ってリュウガはドラグバスターを乱射する。

 

「ちっ!!」

 

 ベノサーベルを盾にエネルギー弾を防ぐが、リュウガの飛び膝蹴りをくらって地面を転がる。

 

「言っておくが……お前たちみたいな時間制限は私にはねぇからな?」

 

「無茶苦茶かお前!!」

 

 王蛇は文句を垂れながらリュウガの猛攻撃を回避していく。ベノスネーカーはドラグブラッカーの対応をしていて援護に来れないことに舌打ちする。すると薄い灰色のオーロラカーテンが開かれる。それを見た王蛇はリュウガの攻撃を潜り抜けるとオーロラカーテンに近づく。

 

「今回はこの辺で終わりだ。じゃあな」

 

「はぁ!? ふざけんじゃねぇぞテメェ!!」

 

 怒鳴り散らしながら王蛇を追いかけるが、辿り着く前に王蛇はオーロラカーテンに飲み込まれ消える。

 

「ちっ……ふざけやがって」

 

 変身を解きドラグブラッカーをミラーワールドに戻すと苛ついたように髪の毛を掻きむしる。その後ため息を吐いて去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 





ふぅ……疲れた。
どうだったでしょうか!?
もしよければ感想などくれると嬉しいです!
それではまた次回でお会いしましょう!
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