ホロライブライダーズ 不死身の闘牛(ザ・リメイク)   作:プロトタイプ・ゼロ

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閑話「狩人」

 

 

 

 クロスギーツにより開催された悪魔の祭り――デザイアグランプリ。その参加者の殆どが己の欲望を満たすために暴れている。神々により与えられた複製型仮面ライダーの変身ベルトと変身権の2つを持つ転生者は至る所で暴れ回っている。

 

 それはどこの世界でも同じであり、悪神によって身勝手に転生させられた転生者達は、原作という壊してはならない「世界のルール」を壊そうとしていた。

 

 鮮血が舞う。紅い月に照らされた刀からポタポタと血が落ちる。黒い鎧に包まれた戦士は刀を一振し血を振り落とす。

 

「……どこにいる」

 

 ゆらりゆらりとまるで彷徨うように戦士は歩く。突如何もない空間から姿が現れたかのようにカメレオンを思わせる怪人が出現し背後から襲ってくる。

 

 だが戦士は怪人を見ることなく斬り伏せ刀を鞘に収める。別世界で櫻姫と呼ばれるクロスギーツの仲間がやらかした無数の黒いオーロラカーテンの出現により、絶え間なく怪人達やその世界の敵が復活する現象が起きていた。

 

 他の仮面ライダー達は各自世界を守るために戦っている。中にはあるスレに存在する特別な仮面ライダー達も参戦していた。

 

 戦士の目的はその仮面ライダー達とは違うが、それでもやっていることは怪人や屑転生者を狩り世界の平和を守っている。

 

「……この世界にはいないのか」

 

 一瞬だけ複眼を紅く発光させ、戦士――タイクーンはその場から去っていく。ポツポツと降り出した雨は勢いを増し、音をかき消す程に強くなる。

 

 戦士に斬り伏せられた怪人は体から血を流しながら、わずかに顔を上げ視線を戦士に向けるとただ一言だけ呟いた。

 

「……ババギビバリザゾバレンゼバブグゲンギ*1……」

 

 怪人――メ・ガルメ・レは青白い光りに包まれ、その世界から消滅した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜崩壊したにじさんじの世界〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 クロスギーツの配下となった仮面ライダーにより滅ぼされた世界は酷い有様だった。綺麗な自然は見る影もなく、近未来を思わせる街は瓦礫の山となり、川は汚染され、とても人が住める空間とは言えない。

 

 辺り一面に怪人のなり損ないである魔獣が彷徨いており、生きる生命を見つければ喰らいつこうと追いかけ回す。時々同じ魔獣同士で共喰いをしている事から、生命であれば何でもいいことがわかる。

 

 瓦礫の下に隠れた青年は、彷徨う魔獣に見つからないように息を潜めていた。背中に細長いバッグを背負った制服を着た青年――剣持刀也は少しずつ、少しずつ足を動かし魔獣に見つからないように行動していた。

 

 緊張からか汗が額から顎まで垂れ、そして地面に落ちる。視界の中では4足方向の魔獣がヨダレを垂らしながら匂いを嗅いでいる。

 

 慎重に動かしていた刀也の足が石ころを蹴る。ヤバいと顔を青ざめた時には既に遅く、その音に魔獣が気づき刀也の方を睨みニタリと嗤う。

 

「やっべ! 気づかれた……!!」

 

 急いで駆け出し逃げる。魔獣は獲物を見つけて嬉しそうに刀也を追いかける。剣道部に所属していたことで鍛えられた刀也はなんとか魔獣から逃げようとする。だが魔獣のほうが速くあと少しで追いつかれそうだった。

 

「はぁ、はぁ……!! ヤバいもうすぐそこまで来てる……!!」

 

 息を切らすほど全力で走る。そのことだけに意識を集中させていたせいで刀也は瓦礫に足を引っ掛け転んでしまう。その隙は魔獣にとって大きかった。大きな手を振り上げ刀也の命を奪おうと勢いよく振り下ろす。魔獣の手が刀也に当たることはなかったが、その反動で吹き飛ばされ地面に転がる。

 

 瓦礫の壁に背を預け、顔を上げる。魔獣の顔はもう目の前に来ていた。

 

「まだ、死ぬわけにはいかない……のに」

 

 恐怖で涙が浮かびそうになる。そんなことなど魔獣には関係なく、大きな口を上げて刀也を喰らおうとした。

 

 その時だった――

 

「……こんなところにもいる」

 

 光の銃弾が魔獣の脳を貫き絶命させる。刀也が銃弾がやってきたほうを見れば、瓦礫の上に少女が立っていた。手には銃のような物を持っており魔獣に向けている。

 

 少女は美しかった。白いメッシュの入った長い黒髪。軍服のような制服。鋭く細められた黒い瞳。自分が命の危機に瀕していたことを忘れるほど刀也は見惚れていた。

 

「……ここは危ないです。早く逃げたほうがいいですよ」

 

 瓦礫の上から飛び降りた少女が刀也に手を差し出す。刀也は少しだけ悩みながらその手を握り立ち上がる。

 

「君は……」

 

「私が誰かなんて今はどうでもいいことです」

 

「あ、はい」

 

 名前を聞こうと声をかければ冷たく言葉で切り捨てられる。少しだけしょんぼりしながら歩き出した少女についていく。

 

「何故ついてくるのですか?」

 

 少女が足を止め振り返る。

 

「え? いやぁ行くとこないし」

 

 少女の目が冷たくなった。そしてため息を吐くと無言でまた歩き出す。

 

「……少し歩いた場所に地下施設があります。そこに避難してください」

 

「君はどうするの?」

 

「私のことは構わずに」

 

「いやできないよそんなこと」

 

 魔獣に気づかれることを考慮して少女が小声で避難場所を告げてくるが、刀也は少女を一人にしておくことはできなかった。刀也の正義感にあふれた言葉に少女の眉が歪む。

 

「今の世界でそんなことを言っていれば死にますよ」

 

 少女の声は冷たかった。

 

 魔獣の雄叫びが響いた。刀也の体がビクリと固まり、少女は刀也を押す。

 

「早く逃げてください。私の近くで死なれても迷惑です」

 

 少女は駆け出した。魔獣のいる場所へ向けて。それを刀也は尻もちをつき、去っていく少女を見ていることしかできなかった。

 

「おいお前、大丈夫か!?」

 

 そこへガタイのいいダンディな外見をした男――ベルモンド・バンデラスがやってくる。その隣には白い髪に赤い瞳を持つ吸血鬼の青年――葛葉もいた。

 

「こんなところでどうしたのさ?」

 

「この怯えよう……何かあったには違いないが」

 

 二人は刀也を心配するように駆け寄り背中を支える。二人の助けもあり立ち上がることができた刀也は、二人の案内のもと地下施設に向けて歩く。

 

「あ? 軍服っぽい服を着た女ぁ? 知ってるか葛葉?」

 

「いら知らないよ」

 

「だよなぁ」

 

 地下施設に向かう間刀也は出会った少女のことを二人に話した。だが二人の反応は「知らない」だった。

 

 同時刻、魔獣のところへやってきた少女は、暴れまわる魔獣を見て瞳を鋭くさせる。暴れまわる魔獣の近くには白みのある髪をした少し丸っこい少女――椎名唯華が涙を流しながら逃げ回っていた。

 

「……はぁ。本当に面倒」

 

 面倒くさそうにため息を吐き、手に持っていた銃をしまうと今度はバックルのような物を取り出し腰に押し付ける。バックルからベルトが伸び変身ベルト――ソルジャーバックルへと変化した。

 

 そしてゼリー飲料のような見た目をしたアイテム――ハンターエナジーを取り出しキャップを回す。キャップ部分が下になるように持ち替えると斜めから入るようにソルジャーバックルに装填する。

 

【ハンターエナジー!】

 

 右手を前に突き出したあとゆっくり顔の前に手をかざし手の甲を前に向ける。その後拳を作ると顔を俯かせながら心臓の前に持っていく。そして顔を上げてキッと睨みつける。

 

「変身」

 

 左手でソルジャーバックルを操作し上部についているボタンを押し込む。するとオレンジハンターエナジーからエネルギーが溢れ出し少女を包み込む。エネルギーが蜜柑のような見た目になると下から上に向けて一閃の光が通過し、蜜柑のエネルギーが真っ二つになる。蜜柑のエネルギーが左右に割れるとアンダースーツ状態の少女の上にアーマー化した蜜柑のエネルギーが張り付いていき、最後に複眼の上を覆うように蜜柑のバイザーが出現……仮面ライダーハンターが誕生した。

 

【オレンジアロー】

 

 蜜柑を模した弓が目の前に現れそれを掴むと、暴れまわる魔獣に照準を合わせてエネルギーの矢を放つ。エネルギーの矢は魔獣の脳天に突き刺さると爆発した。

 

 突然爆発した魔獣に驚いた唯華が尻もちをつく。魔獣はまだ絶命していなかったため、怒り狂うように雄叫びを上げると唯華を喰らおうと口を開けた。

 

「これでも喰ってろ」

 

 オレンジハンターエナジーをソルジャーバックルから抜きオレンジアローに装填。弦をを引きエネルギーを収束させながら唯華の前に飛び降りる。

 

「終わりだ」

 

 弦から手を放ち収束ささせたエネルギーを放つ。エネルギーは矢となり魔獣の口から貫通する。その後魔獣が爆発し青白い光を放ちながら消滅した。

 

「あ、あんたは……だ、誰なん……?」

 

「知らなくていい」

 

 声をかけてくる唯華に対して振り向くことなくハンターはそう告げると去っていく。ハンターが去っていったあと、唯華は爆発音を聞きつけてやってきた刀也達に助けられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これもすべてクロスギーツの仕業なのでしょうか」

 

 仮面ライダーハンターから少女の姿に戻ると、崖の上に立っていた。クロスギーツがデザイアグランプリを開催していることは知っている。だが少女は参加していない。

 

 なぜなら少女にはデザイアグランプリに参加することよりもやるべきことがあったから。その目的のために少女は行動している。

 

「必ず見つけます……仮面ライダーダイナソー」

 

 仮面ライダーハンター専用のバイク――アクセルハンターを呼び出し、それに跨ってエンジンを吹かす。グリップを握りアクセルハンターを走らせる。

 

 去っていた少女の後ろ姿を、瓦礫の影から仮面ライダーギャレンが見つめていたが、その後魔獣に捕食された。

 

 

 

*1
悲しき涙を仮面で隠す戦士






どうだったでしょうか?
良ければ感想などくれると嬉しいです!
それではまた次回でお会いしましょう!
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