ホロライブライダーズ 不死身の闘牛(ザ・リメイク)   作:プロトタイプ・ゼロ

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なんかもうね、今回の話は色々調べまくって疲れた。というわけで本編どうぞ


第五話「幻視の夢」

 

 

 

 

 

「ようやくだ……ようやく俺がデザグラの勝利者になった!!」

 

 数々のデザイアグランプリに参加し続け、心身共にボロボロになりながらも戦い続けた青年は、その喜びを表しよれよれになりながらも歩き続けた。

 

 目の前にある炎を手にするために。

 

 そこはデザイアタワーの頂点。未来からやってきた人間たちが、過去の世界へ赴き創り上げたデザイアグランプリのための建物である。

 

 その台座の上に静かに燃える煌めく炎は、デザイアグランプリの勝利者のみに触れることが許され、そして触れた存在が持つどんな願いも叶えると言われている。デザイアグランプリに参加した人間はこの煌めく炎を手にするためにたった一つの願いを叶える願望器煌めく炎を巡って争うのだった。

 

「これで……アイツを……透を、蘇らせられる……」

 

 そんなデザイアグランプリに参加した人間の一人である青年は、ゆっくりと手を伸ばし煌めく炎に触れようとする。その直後、青年の口から赤い血が飛び散った。

 

「えっ……?」

 

 自分の胸を見てみれば突き破るように出た鋭利な刃。ポタポタと血を垂れ流し、そして噴水のように血が噴き出る。青年を刺し殺したのは全体的に植物を思わせる見た目をした謎の怪人だった。

 

「テテリララサポキョ。ロスデビビキョテルクテガトリラサラチャ*1

 

 その怪人は詫びるように青年に何かを言ったあと、おぼつかない足取りで前へと進み、そして煌めく炎を手にする。

 

「テテウビビアーヴビビキョルクセンルククラサルクビ*2……」

 

 煌めく炎を手にした怪人は胸に抱くように持つと、床に倒れている青年の近くでしゃがみ背中に触れる。怪人の腕から生えた無数の植物が青年の肉体に覆うと、青年の体から光が植物に伝わり怪人の中へ入っていく。そして青年の腰に巻かれているデザイアドライバーを自分の腰に巻き、その姿を自分が殺した青年と同じ姿に変えた。

 

「コーコー*3……あーあー。よし、人間の言葉はこれで大丈夫そうだな。早く、願いを叶えて、俺もここを離れよう」

 

 青年の姿となった怪人はなにかに脅えるようにその場から立ち去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだ……今の夢」

 

 目が覚めた道長が思った一番のことはそれであった。少し高そうなベッドに寝かされていた道長は、これまた少し高そうな布団を退けて起き上がる。

 

 服は脱がされており体中に包帯が巻かれていた。少しだけ赤い染みができているが、包帯は新しいことから何回も巻き直しているのが分かる。

 

「いったい誰が……」

 

「私だよ」

 

 突然かけられた声にバッと振り向けば、腕を組み壁に背を預けた黒髪の少女が睨むように道長の事を見ていた。小さくため息を吐くと道長に近づき、包帯を解いていく。

 

「あ? いきなりなんだお前は!?」

 

「黒……アンタの命の恩人。私が拾ってなきゃアンタはあのまま死んでたよ」

 

 ぶっきらぼうで興味なさげに道長の怪我を見ようとして……包帯をすべて取り終えた瞬間にその手は止まった。

 

「それよりもずいぶんと治るのが早いな……まだ3日しか経ってないのに」

 

「あ? え、3日……?」

 

「そう。アンタは丸3日は寝てた。それくらいの傷だった。もしかしたらそれ以上は気を失ってなきゃおかしい筈だったのに……これは想像以上だな

 

 最後にぼそっと何かを呟いた少女――裏千束は包帯を丸めてゴミ箱に投げ捨てると、

 

「私は忙しいから暫く上にいる。そこにある服に着替えたら上がってこい」

 

 そう言い残して階段を上がっていった。残された道長は何がなんだか分からずポカーンとしていたが、ベッドの近くに置かれていた服を着替えると同じように階段を上がっていく。

 

 上がった先で見たのは満席になった喫茶店の中だった。だがさっきの裏千束が言うほど忙しいってわけではなさそうだったが……。

 

 店の中は以前来た時よりも繁盛しているように見えた。というよりもあの時がたまたま人が少なった日なのかもしれない。その中には見知った顔もいた。

 

「あ、道長くん! もう目覚めたの!?」

 

 窓際の席でロールケーキを食べていたユメが道長に気づくとフォークを置いて近づいてきた。

 

「あぁ、もう大丈夫だ」

 

「もう! 心配したんだからね!!」

 

「……そうかよ」

 

 プンプンと頬を膨らませて怒ってますとアピールするユメに呆れながらユメが座っていた向かい席に座ると、メニューを開きある一点の珈琲に目が行った。

 

「……『nascitaで何シタ?』? なんだこれ? まぁ、頼んでみるか」

 

 タイミングを見計らって裏千束を呼び、『nascitaで何シタ?』を注文する。その際裏千束から「マジかコイツ」という目で見られたが道長にはどういう意味なのか見当もつかなった。

 

「……や、やめたほうがいいんじゃないかな〜」

 

「どういう意味だ?」

 

 その問いにユメは答えなかった。

 

 しばらくしてその珈琲はやってきた。見るからにあらゆるもの全てを吸い込んでしまいそうなブラックホールのような漆黒の液体が真っ白なコーヒーカップに注がれており、そして道長のいる机の上に置かれた。

 

「無理そうなら残すことをおすすめするから」

 

 この珈琲を淹れた裏千束はまるで無謀な挑戦者を見るかのような顔で道長に言うと、その場を離れていく。

 

 わけがわからないまま道長はコーヒーカップを持ち上げ匂いを嗅ぐ。なんてことない普通の珈琲の匂いである。

 

 そして珈琲を一口。周りの客たちが自分の頼んだ料理や珈琲を飲まずにじっと道長を見守っている。

 

「………………」

 

 コーヒーカップを皿に置く。その様子を見て周りの客たちもゴクリと喉を鳴らす。

 

「うん、普通に美味いなこれ」

 

(((((ウッソだろぉ!?)))))

 

 道長を除いた全員の心の声がベストマッチした瞬間だった。

 

「いやいやそれはないよ!? や、痩せ我慢だよね!? そうだよね!? ちょっと貸して……うえぇ、不味いよぉ」

 

 道長からコーヒーカップを強奪し珈琲を飲む。そしてすぐに顔を顰めて吹き出しそうになるのを何とか我慢して口に含んだブラックホールのような珈琲を飲み込む。もや間接キスとか気にしてられないほど気が動転していた。

 

「そんなに不味いかこれ……?」

 

「そりゃあね……私が以前いた場所では店長のオリジナルブランドだったんだけど、あまりにも周りからの評判が不評すぎて作るの禁止されてたから」

 

 それは喫茶店の店長としてどうなんだろうか、そう心の中で思ったが口に出すのはやめておいた。珈琲を飲み干しレジでお金を払うと喫茶店を出る。隣にいるユメはまだ口の中が苦そうであった。

 

「うえぇ……なんでアレが美味しいの……?」

 

「さぁな。俺には美味かった」

 

「絶対味覚おかしいよ道長くん……」

 

 死にかけているユメを放置して歩き出したら慌てて追いかけてきた。まだ顔は顰めていたが、急に顔をキリッとさせる。

 

「そう言えばね、フブキちゃんが道長くんにお礼をしたいんだって」

 

「お礼……? 別にしなくてもいいたろそんなの」

 

「いやいや!! 流石にあの状況だったし」

 

 あまりにもしつこく言ってくるユメに道長の額に青筋が浮かび上がる。最終的に道長はユメを無視するように歩く速度を速めた……が、ユメは難なくついてきていた。

 

(なぜ……?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

「あ~あ……ミオに怒られちゃったなぁ」

 

 スーパーで買い込んだ商品の袋を片手に持ちながらトボトボと歩く獣人の少女――白上フブキは、約束をすっかり忘れてすっぽかしただけじゃなく、クロスギーツという最大の危険人物と鉢合わせしていたことなどがバレてしまい、現在借りている家に戻った際に同居している大神ミオにこってりと絞られてしまった。

 

 親友に怒られたこともあり普段はピーンと立っている狐耳も垂れ下がってしまっている。なによりフブキの感情が下がっている要因の一つが、ホロライブを支えるYAGOOに怒られることが確定してしまっているからだろう。

 

 最悪の場合ホロライブ活動に支障が出るのではないかと色々不安になっていた。

 

「うぅ〜どうしよう……今回ばかりはミオも味方してくれないだ痛っ!?」

 

 落ち込んだまま前を見ずに歩いていたためか誰かにぶつかってしまった。

 

「最近誰かにぶつかってばかりだなぁ……すいませ〜ん。ちゃんと前見てなか……」

 

 尻をさすりつつ顔を上げ謝罪の言葉を出そうとした。だが、それは叶わなかった。

 

「チャキョピピファツワスビ*4?」

 

 目の前にいたのがそもそも人間ではなく、仮面ライダーの敵役であるジャマトだったためだ。それも一体だけならともかくその数は多かった。

 

「ラサラチャテキョス*5?」

 

「クテウテキョスピスジガ*6!!」

 

「センラオビ*7?」

 

 なにやらジャマト同士でなにやら会話をしているようでフブキの方を一瞥したあとヒソヒソとしている。その隙に逃げようとするが、いつの間にか背後にいたもう一体のジャマトに腕を掴まれてしまった。

 

「ツームタダガラサファ*8

 

 相変わらず何を言ってるのか理解できないが、自分が逃げられないことだけは悟ってしまった。掴む力は獣人の中でもひときわ強い白上一族であるフブキでさえも振りほどけないほど強く、僅かだが手首の骨がミシミシと音を上げている。

 

「テルククララサヴォッアガ*9?」

 

「ジケオツツームビテルクラサビツームキョテウジクダポスキョキョチャンツ*10

 

 ジャマトがグイグイとフブキを引っ張り連れて行こうとするが、何とか足を踏ん張って耐えようとするも少しずつ引きづられていく。フブキの顔に焦りが見え始めた。

 

(ヤバいヤバいヤバいヤバい!! そらちゃんが行方不明になってて今ホロライブわりとヤバい状況なのに……!!)

 

 ホロライブの今を知る一人としてなんとしても行方不明になるわけにはいかない。その思いがフブキに力を入れる。だが、現実は甘くなかった。

 

「リダヴォツチャ、ケルルスボルガ*11

 

 焦れったいとジャマトの一体が触手を伸ばしフブキに振り下ろす。それを余っている方の手で顔を庇おうとした瞬間、

 

 突如空から降ってきた少年が触手を掴みジャマトごとビルに向かって投げ飛ばした。そして唖然としているもう一人のジャマトの懐に入ると拳を入れ電撃を流し込む。

 

「コポスポスポスポスポスポス*12!?」

 

 ポスポスと煙を噴き出しながら倒れたジャマトを蹴り上げた少年は、フブキに手を差し出す。

 

「……大丈夫?」

 

「え、あ……はい。大丈夫、だけど」

 

「じゃあ急いで逃げるよ。今ので他のやつらに気づかれたかもしれない」

 

 少し幼い顔つきをした少年――天野迅はフブキが手を掴んだのを確認すると、逃げるために走り出す。できるだけジャマトに見つからないようにしながら。

 

「……ここらへんはジャマトの巣窟になってる。だから一般人は居ないはずだったんだけどね」

 

「それなら君だって……というよりも君は此処で何を……?」

 

「……ジャマト掃除」

 

 フブキから見ても一緒に走っている迅は見た目だけなら普通の子供とそう変わらない。だがホロライブに所属しているフブキは人の身でありながらラスボスみたいな風格を持った頂点や、牛丼をこよなく愛する騎士など人間の領域を脱しているの人物を知っている。

 

 だが獣人としての嗅覚が、迅が普通の子供ではないと訴えている。もしかしたらフブキが知らないだけで何かすごい力を持っているのかもしれない。

 

「くっ……囲まれた」

 

「なんか囲まれてるぅーーーー!?」

 

 脳内で色々と考えていたら迅の声で自分たちが今ジャマトに囲まれていることに気づいた。

 

 迅がフブキから手を離し少しだけ距離を取る。そして次の瞬間、小さくだが「……アマゾン」と呟いた。凄まじい熱気と風が吹き荒れ、迅の肉体を覆う。周囲を燃え上がらせるほどの熱気に包まれた迅の肉体は、傷だらけの赤い怪物――アマゾンアルファへと変異していた。

 

「わはぁ……!! アマゾンアルファだぁぁ!! アマゾンズシリーズだぁぁぁぁ!!」

 

「かかってこい……全員喰い殺してやる。あとお姉さんうるさい

 

 アマゾンアルファは野性味溢れる独特な構えと共にジャマトの群れに突っ込んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
ごめんなさい。ぼくが生き残るためなんだ

*2
これが願いの炎なのか

*3
あーあー

*4
大丈夫か

*5
なんだコイツ

*6
俺コイツ知ってる

*7
本当か

*8
逃げるなよ

*9
この女どうする

*10
適当に籠の中に入れておけばいいだろう

*11
面倒だ、気絶させる

*12
アババババババ




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