俺の町は今日も今日とて平和です!   作:ボトルキャプテン

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03 ダンジョンではご注意!

 キッドが保安官に就いて1ヶ月が経過した。朝の朝礼の為にミーティングルームにやって来ていた。椅子に座っていると、グレン連邦保安官が入って来た。

 

「おはよう。さぁ、今日も1日気合いを入れて頑張ろう。ちなみにだが、キッド保安官が就いて1ヶ月になった。なので今日から別の保安官に指導して貰おう……」

 

 グレン連邦保安官が辺りを見渡すと、エルフの保安官が目に入った。

 

「【ロッキー・ビル】、お前に任せる」

 

 キッドが斜め右後ろを振り向くと、スラリと背が高く、細身をピッタリにスーツと、ジェシカ保安官と同じ金色のバッジを付けているエルフの男性が壁に寄りかかりながらバラの匂いを嗅いでいた。ロッキー保安官は、テンガロンハットをクイッと深く被りながら答えた。

 

「了解。ボス」

「それと、ロッキー。グロック地区の住民から苦情が出てるぞ。次やったら給料減らすからな?」

 

グロック地区はウェスタン国内で最も多くのダンジョンがある地域。ダンジョンで一攫千金を勝ち取った多くの成金冒険者が暮らす地域でもある。背の高いサボテンの並木が続く道沿いには、目を見張るゴージャスな外観のお屋敷が連なっている。

 

 グレン連邦保安官が注意すると、ロッキー保安官は無駄にカッコをつけながら答える。

 

「以後気をつけます、ボス」

「連絡事項として、最近【ダンジョン】でのトラブルが続出している。冒険者同士の喧嘩は要注意する様に。以上だ気を付けて行け!」

 

ダンジョンとは、冒険者の夢の舞台となるさまざまな神秘や謎や宝が埋もれている危険な領域。その様態は洞窟であったり人工的な建築物であったり、古代遺跡であったり、怪物の巣穴であったり、時には森や山道であったり様々ある。

 

 ミーティングを終えたキッドはロッキー保安官に近寄り、挨拶をした。

 

「キッド保安官です。今日からよろしくお願いします」

「君が噂の不作の新人だね?今日から……よろしく」

 

 ロッキー保安官はキッドの胸ポケットにバラの花を無理やり入れる。

 

「よ、よろしくお願いします」

「丁度いいや。今日はミーティングで言ってたダンジョン付近でも巡回して見ようか」

「はいっ、よろしくお願いします!」

 

 装備品保管室から装備品を受け取り、装備品を担ぎながら馬房に向かって愛馬のビリーを連れて来ると、ロッキー保安官は白馬を連れて来た。

 

「綺麗な馬ですね」

「俺の愛馬……レオンさ」

 

 キッドとロッキー保安官は馬に跨ると、早速魔線機から通信が入った。

 

《グロック地区の25番通り付近のダンジョン内で冒険者同士が揉めているとの通報が入りました。ロッキー保安官、現場に向かえますか?》

 

 ロッキー保安官は華麗に魔線機を取り出し応答する。

 

「こちらロッキー。現場に急行します」

 

 キッドとロッキー保安官が馬で街を駆けて数十分後、現場である古代遺跡のダンジョンに到着すると女剣士と思われる人間族の女性が慌てて近付いて来た。

 

「保安官、こっちです!」

 

 キッドとロッキー保安官は馬を繋ぐと、ロッキー保安官が声を掛けて来た。

 

「確か君は冒険者ギルド職員出身だったね?」

「はい、そうですけど?」

「なら、ダンジョンがどんな所か知ってるね?」

「はい」

 

 無論、キッドはギルド職員の時は何人もの冒険者をダンジョンのクエストで見送っており、ダンジョンがどれだけ危険かも知っている。ロッキーは馬の鞍から長い銃を取り出した。

 

「ダンジョンは何がいるか分からない。ピースメーカーだけじゃ太刀打ち出来ないからこの【レバーアクションライフル】を持って行く」

 

レバーアクションライフルとは、銃の機関部下側に突き出た用心鉄を兼ねたレバーを下に引き、それをまた戻すことで薬室から空薬莢を排除すると同時に次弾を装填するという仕組みで管状弾倉を備えることで連射ができるようにした銃で、一度の装填で10発装填可能である。

 

 キッドも鞍からレバーアクションライフルを取り出し、装填を確認する。確認を終えてようやく女剣士の冒険者の方へ歩いて行く。

 

「通報したのは君かい?」

 

 ロッキー保安官が女剣士の冒険者に尋ねると、ダンジョンを進みながら事情を説明した。女剣士が言うには、既に踏破された場所で隠し通路を発見したという。その隠し通路の先で財宝を発見したのはいいが、仲間の男冒険者2人が分け前で口論となり喧嘩に発展したという。そこで女剣士はダンジョンの入り口に備え付けられている魔導話で通報したという。

 

「なるほど、それで喧嘩になったと……。2人の種族、それと職と星は?」

「えーっと……私と同じ人間族で★3の剣闘士と★3の盗賊です」

「ふむふむ……。ちなみに君は?」

「私も★3です」

「分かった。ダンジョン探索では良くある事なんだ」

「そうなんですね……。覚えておきます」

「それはそうと……君可愛いねぇ……。今夜空いてる?」

 

 ロッキー保安官は仕事中にも関わらず、バラを片手に女剣士を口説き始めた。

 

「えっ、いやあの……ちょっと……困ります!」

 

 女剣士は顔を赤らめながらロッキー保安官から離れようとする。だが、ロッキー保安官はもう一押しと踏んだのか、女剣士に詰め寄る。

 

「いいお店知ってるんだ。行こうよ」

「えぇ……いやあの……どうしよう……」

 

 見かねたキッドはロッキー保安官に声を掛けた。

 

「ロッキー保安官。この先ですよ!」

「えっ、あっごめんごめん」

 

 気を取り直したロッキー保安官と共に先に進むと、松明2つ分の明るさしかない中、宝箱を巡って激しく刃をぶつけ合う冒険者2人を確認した。キッドは2人に声を掛ける。

 

「はいはい、そこまでそこまで。2人とも武器を置いて!」

 

 キッドが銃を向けながら言うと、剣闘士の男と盗賊の男が顔を向け武器を置いて両手を挙げた。銃をホルスターにしまったキッドは2人に声を掛ける。

 

「財宝が欲しい気持ちは分かりますけど、未踏破の場所で喧嘩するなんて危険ですよ?」

 

「「だってコイツが!!」」

 

 2人はお互いに指を差し合いながら言い放つと、女剣士が間に入って仲裁する。

 

「あたしの分け前は少なくていいから仲直りして!ねっ!?新たに隠し通路を見付けられただけでも幸運だったんだから!」

 

 女剣士が2人を説得すると、2人は冷静さを取り戻した。

 

「た、確かに……踏破されたダンジョンで隠し通路を見つけて未踏破の場所を見付けたら歴史に名前が残る」

「俺達の名前が歴史に残るって勇者みてぇだ……」

「でしょ!?財宝は使えば消えるけど、ここを発見したあたし達の名前が残るんだよ!?ですよね、保安官!?」

 

 女剣士はキッドに尋ねた。キッドはうんうんと頷き、答える。

 

「ええ、冒険者ギルドに正式に申請すれば第一発見者として冒険者ギルドの記録に残ります。僕は元冒険者ギルド職員なので確かですよ」

「ほら、保安官が言うんだから間違いないよ!」

 

 女剣士が2人に言うと、

 

「そっそうだな。悪かったな……」

「こっちこそ悪かった」

 

 2人は握手をして仲直りをした。すると、ロッキー保安官が何かの気配を感じ取り地面に耳を当てた。それを見たキッドはロッキー保安官に声を掛ける。

 

「ロッキー保安官?どうしたんですか?」

「どうやら見つかった様だ」

「見つかったって……」

「誰にですか?」

 

 剣闘士の男と盗賊の男がロッキー保安官に尋ねると、ロッキー保安官はレバーアクションライフルをガチャリと操作し、構えた。

 

「キッド保安官。辺りを照らして見ろ」

「はっ、はい。分かりました」

 

 キッドがランプで辺りを照らしてみると、ボロボロの扉が付いているもう1つの入り口を発見した。その奥からゴブリンの鳴き声が聞こえて来た。女剣士は咄嗟に剣を抜く。

 

「ゴブリン!?」

「ダンジョンが危険な理由はこういう事もあるって事さ!2人も武器を拾え!」

 

 武器を置いた2人も武器を拾って構え、キッドもレバーアクションライフルをガチャリと操作し、扉に銃口を扉に向けた。

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