俺の町は今日も今日とて平和です!   作:ボトルキャプテン

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43 スフィンクス

キッドとジャックポット保安官はレバーアクションライフルを構え、発砲すると、スフィンクスは翼で弾丸を防いだ。

 

「弾を防いだ!?」

「キッド、気を引き締めろよ!」

 

 ジャックポット保安官が注意を促すと、スフィンクスは口を開けて空気を取り込んだ。キッドとジャックポット保安官は銃を構えながら警戒する。

 

「なんだ!?何をする気だ!?」

「不味い!2人共、どこかに隠れろ!今すぐ!」

 

 突然、瓦礫に隠れていたジャンヌが叫ぶ。キッド達は咄嗟に大きな岩に隠れてスフィンクスを見ると一気に頬を膨らませて、

 

「ボゥッ!!」

 

 吸い込んだ息を空気砲の様に勢いよく出して来た。キッド達が隠れていた大きな岩に空気の玉が直撃すると、岩に大きなヒビが入った。キッドとジャックポット保安官は顔を引き攣らせる。

 

「なっ、なんだよ今の……」

「あんなの当たったらバラバラにされますよ!?」

「でも、まぁ……勝てない相手じゃない」

「その自信と根拠はどこから出てくるんですか!?」

 

 キッドが焦りながらジャックポット保安官に言うと、ジャックポット保安官はレバーアクションライフルに弾を込める。

 

「さっきのは空気を吸うのに少し隙があっただろ?おそらくあの時は翼は使えないと思うんだよ」

「なんでそう思うんです?」

「お前だって深呼吸するとき口元に手があったら邪魔だろ?」

 

 ジャックポット保安官に言われたキッドは実践してみると、確かに手が邪魔になった。それを理解した途端納得する。

 

「なるほど!確かに!」

「だろ?別大陸のモンスターだか知らんが大した事はないさ。幸い顔は人間族の様な形だから狙いやすい。二手に分かれて攻撃するぞ!」

「はいっ!」

 

 2人は二手に分かれると、スフィンクスはキッドの方へ視線を向けた。チャンスと踏んだキッドは、そのまま陽動する為にスフィンクスの顔に銃口を向け、レバーアクションライフルで3発発砲した。弾丸はスフィンクスの顔を掠めるとスフィンクスの頬から少しドス黒い血が流れる。

 

「ギュアアアアアアッ!!」

 

 激昂するスフィンクスは前足でキッドを踏み潰そうと前脚を上げる。その瞬間、隙を伺っていたジャックポット保安官がレバーアクションライフルでスフィンクスの目に狙いを定める。

 

「よそ見はいけねぇな」

 

ドン!

 

 弾丸はスフィンクスの右目に直撃し、潰れて血が流れ始める。スフィンクスは激痛で途端に暴れ始めた。

 

「キッド、今のうちに証拠品を集めろ!潰されたらオジャンだ!」

「了解!」

 

 スフィンクスが暴れている間にキッドは散らばった加工された魔薬草と吸引器を回収した。左目でキッドを捉えたスフィンクスはキッドに向かって走り始めた。

 

「キッド!そっちに行ったぞ!!」

「うわっ!不味いっ!」

 

 キッドが鞄を抱きしめながら目をつぶった瞬間、隠れていたジャンヌがロングソードで左前脚を切り付けた。それにより、スフィンクスはバランスを崩して大きく転倒する。キッドは目を開けると、目を丸くさせた。

 

「ジャンヌさん!?」

「これ以上、誰も苦しませない……騎士の誇りに賭けて!」

「グルルルル……」

 

 スフィンクスは起き上がり、片目のままジャンヌとキッドを睨みつける。キッドはレバーアクションライフルを構え、ジャンヌはロングソードを頭の横に構え、剣先をスフィンクスに向ける。

 

「剣は握らないんじゃなかったんですか!?」

「そんな事言ってる場合じゃないだろ。ここで貴方達が死んだら私の騎士道に反するのでね」

「そ、それはまぁ……どうしますか?冒険者と組むのは初めてなのですが?」

 

 キッドが申し訳なさそうにジャンヌに言うと、ジャンヌの真剣な眼差しには知的な光があった。

 

「私が先に攻める。キッド保安官は援護を頼む!」

「了解っ!」

 

 キッドはレバーアクションライフルで援護射撃をすると、スフィンクスはキッドに目を向ける。その隙にジャンヌは死角に回り込み、左前脚を斬った。今度の剣は前脚の屈筋まで到達した為、スフィンクスはまたバランスを崩す。

 

「今だ!畳み掛けろ!」

「はいっ!」

 

 キッドはレバーアクションライフルを連射し、ジャンヌはキッドが全弾撃ち終わって装填している間にスフィンクスの眉間にロングソードを突き刺した。

 

「これで終わりだ!何人も食い漁った報いを受けろ!」

 

 ジャンヌが怒髪天を衝いた瞬間、スフィンクスは大きな目をギョロッとジャンヌに目を向ける。そして、

 

「ギュアアアアアアッ!!」

 

 スフィンクスが咆哮を上げるとその衝撃波でジャンヌとキッドは吹き飛ばされてしまった。スフィンクスは身の危険を察知したのか、飛び立とうとすると、

 

「おいおい、ウチの新人を吹っ飛ばしといてどこ行こうってんだい?」

「─────っ!?」

 

 ゴーレムライフルを構えていたジャックポット保安官が待ち伏せていた。だが、ジャックポット保安官はスフィンクスに銃口を向けず、垂れ下がっていた鍾乳洞に向けた。放たれた弾丸は鍾乳洞の根元を貫くと、鍾乳洞はそのままスフィンクスに目掛けて落下した。鍾乳洞は巨大な槍と化し、スフィンクスの胴体を貫いた。

 

「グギャァァァァァッ!!」

 

 鍾乳洞で貫かれたスフィンクスは断末魔をあげる。吹き飛ばさたキッドは起き上がると、魔線機からジャックポット保安官の激が飛んで来た。

 

「お膳立てはした、トドメを指せ!」

 

 それを聞いたキッドは直ぐにホルスターからピースメーカーを抜いて全弾を撃ち込む。間髪入れずに、ジャンヌが落ちていたショートソードを拾って突っ走り、飛び上がって脳天に突き刺した。スフィンクスの目から光が消え去った。

 

「はぁ、はぁ……やった」

「凄いモンスターだった……ははっ……」

 

 キッドは緊張が解けたのか、腰が抜けた様に座り込んだ。ジャンヌも突き刺したショートソードやロングソードをそのままにしながらキッドの元へ行く。

 

「その実力で銀バッジとは正直驚いたな……将来が楽しみだ」

「いえ、それほどでも……けど嬉しいです」

 

 キッドが照れくさそうに言うと、ジャンヌは冷たい視線で言い返す。

 

「まだまだ荒削りだが見込みはあるという事だ。勘違いするな!」

「あっはい」

 

 キッドも我に帰り頭を下げる。すると、ジャックポット保安官もキッド達の元へ戻って来た。

 

「2人共無事見たいだね。まさかこんなモンスターも飼っていたとはね、恐れ入ったよ七つの大罪って組織をね」

「なんでこんなモンスターがこんなダンジョンに?有り得ないですよ」

「元々ここに住み着いたのか、どこからか連れて来たのかは私にも分からない」

 

 這い蹲る様に死んでいるスフィンクスを見てジャンヌは言うと、ジャックポット保安官が口を開いた。

 

「俺の勘だけど、他の七つの大罪のメンバーが寄越したのかもね?」

「えっ……いや、まさか……なんの意味で?」

「ギュスターヴがモンスターを用心棒にしたいから巨大モンスターをウチに売ってくれと言ったと思うんだよねぇ」

 

 それを聞いたキッドは顔を青くさせる。

 

「やめてくださいよ、ジャックポット保安官の勘は当たるんですから!」

「ここはこれで最後だ。牢屋には鍵がかけらているからまず鍵を探さないと、キッドは向こうの作業台を探して見てくれる?」

「分かりました」

 

 キッドが散乱した作業台の机や棚を漁ってみると、小さい鍵が机の中に入っていた。

 

「もしかしてこれが牢屋の鍵かな……」

 

 キッドは牢屋に向かいゆっくり鍵を差すと、ガチャンと音を立てた。

 

「開きました!」

「よし、暴れたら大変だから布で拘束してから保護しよう」

「なら私は外に幌馬車がないか探してくる。国王達を頼んだ」

 

 キッド達は薬物中毒になった人質達を保護し、ダンジョンから脱出した。外に出るとジャンヌがジャッカロープを倒し、幌馬車2台を用意していた。キッド達は薬物中毒者達を幌馬車に乗せて刑務所に戻って行った。

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