俺の町は今日も今日とて平和です!   作:ボトルキャプテン

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46 食竜植物

一方その頃。第1ダンジョンでは、未だにダンジョンの第2層付近で苦戦を強いられているロッキー保安官とパーシー保安官。

 

「どどどどどうしましょう?ロッキー保安官?」

「うーん参ったな……」

 

 そこにはおびただしい植物。山岳地帯にも関わらず、ダンジョンの奥から植物がロッキー保安官達の行く手を阻んでいた。ナイフでツタや根を切って進むしかなかった。

 

「刑務所から1番近いダンジョンだったのにまだ目的地に着いてない。このままじゃ俺達が遅れてしまうかもね」

「そ、そ、それは不味いで、ですよ?」

「パーシー保安官、ショートソードとか持ってないか?このままナイフじゃ厳しい」

「ショ、ショートソードは、も、持ってないですよ」

「参ったなぁ……どこかに落ちてれば……」

 

 ブツブツ愚痴を零しながら進んで行くと、ようやく第3層に辿り着いた。第3層は更に植物がうっそうと茂っており、古代遺跡のダンジョンというより密林のジャングルの様になっていた。

 

「なんでこんなに植物が生えてるんだ?」

「な、な、な、なんででしょうか?」

「こんな植物だらけで信者達を見つけられる訳─────」

 

 生い茂る植物を掻き分けた瞬間、ロッキー保安官の目の前に骸骨がツルに巻かれてぶら下がっていた。

 

「うおおっ!?びっくりしたぁ!!」

「ぼぼぼ冒険者でしょうか……?」

 

 ロッキー保安官が骸骨を見つめると、首元にメデューサ教団のペンダントがぶら下がっていた。

 

「ペンダント持ってるから信者だと思う」

「ほ、本当ですね」

「この骸骨ちょっと変だな……まるで溶かされた見たいだ」

「そ、そ、それってどどどういう意味ですか?」

 

 ロッキー保安官は木の枝を拾って骸骨をつつきながら答えた。

 

「よく見てみな、服はまだ新しいのにボロボロになってるだろ?スライムに溶かされた見たいに。モンスターに襲われたりスライムに襲われたら普通なら服も溶けてなくなってるよ」

「た、確かに」

「丁度いいや、腰に剣があるからそれをちょっと借りよう」

 

 ロッキー保安官はぶら下がってる骸骨からショートソードを取り、鉈の代わりにした。これにより距離が伸び始め、目的地の第3層の中心まで辿り着く。辺りは草木に覆われていてとても魔薬草を加工しているとは思えなかった。かろうじて作業台を見つける事が出来た為、作業台の周りを調べ始めた。作業台の上には、白い石灰の様な粉が無造作に散乱していた。

 

「パーシー保安官、来てくれ」

「は、は、はいな、な、なんでしょうか?」

 

 少し離れたとこからガサガサと掻き分けながらパーシー保安官がやって来ると、ロッキー保安官は小さい紙にその粉末を集め始めてパーシー保安官に見せた。

 

「こ、これは?」

「恐らくこれが加工された魔薬草だろうね。この粉末を見るからに魔薬草の実を乾燥させて粉末にさせたんだと思う」

「な、なるほど……し、しかしこ、これの使い方はどどどうやって?」

 

 パーシー保安官が尋ねると、ロッキー保安官は考えているがどう使うのか想像出来ないのか、顔をしかめる。

 

「うーん、粉末粉末粉末……分からない……やっぱり分からないな」

「そ、そうですか」

「そうだ!これを使う為には実験が必要だろうから近くに人質がいると思う。探して見よう!」

 

 閃いたロッキー保安官は周辺を掻き分けて人質を探し始めた。だが、進めど進めど植物だらけで人がいる気配は全くなかった。その時、パーシー保安官が1本のツタに目を向けておもむろにツタを引っ張って見ると、ダンジョンの天井に伸びていた。パーシー保安官は思い切りそのツタを引っ張っると、巨大なウツボカズラの様な植物が草木の中から現れた。

 

「こ、これ、これは……」

 

 パーシー保安官がじっと見つめた途端に、巨大ウツボカズラの周りからはハエトリグサの様な葉が現れる。そして、その巨大ウツボカズラの真上には、花びらに牙の様な禍々しい棘を生やした紫色の花が咲いていた。じっとその花を見つめていたその時。

 

「キシャァァァッ〜!!」

 

 紫色の花びらを口のように開いて威嚇し始めた。驚いたパーシー保安官は咄嗟にピースメーカーで発砲してしまった。それにより、別にぶら下がっていたのウツボカズラに当たると、大きく裂けてしまい中の溶解液が流れ出て来た。その溶解液の中からモンスターの骸骨や人の骸骨がガラガラと音を立てて流れ落ちる。

 

「この骸骨の数……ここを管理していた信者や人質達を溶かしたのはこの【食竜植物】の仕業か!?」

 

食竜植物、食竜という習性を持っている被子植物門に属する植物モンスターの総称。人喰い植物と言われる場合もある。食竜植物はその名の通り、竜を食べる植物モンスターではあるが、竜だけを食べてエネルギーを得ているのではなく、基本的には光合成能力があり、自ら栄養分を合成して生育する能力がある。

 

「ロ、ロ、ロ、ロロッキー保安官!?どど、どうしますか!?」

「どうするって……戦うさ」

 

 ロッキー保安官はホルスターからピースメーカーとは少し違う回転式拳銃を構えながらパーシー保安官に、

 

「ここは俺が引き受ける。パーシー保安官はその隙に【粉末型魔薬草】を集めてくれ」

「わ、わ、分かりました!」

 

 パーシー保安官が身をかがめながら移動していく。食竜植物は行かせまいと棘の生えた丸太のように太いツタをのばしてくるが、ロッキー保安官が発砲し、防いだ。

 

「おいおい、妬いちゃうな、俺にかまってくれよ。せっかく俺の友達が新開発してくれた【中折れ式拳銃】の試し撃ちに丁度いいんだから」

「キシャァァァッ!!」

 

ロッキー保安官が持つオリハルコンが輝く中折式の回転式拳銃。名称は「トップブレイク」銃身とシリンダーをフレームの前方ヒンジで上下に折り曲げ、薬室を露出させて装填・排莢する方式。スライド式散弾銃と同様試験段階である。

 

 食竜植物はロッキー保安官に狙いを定め、ツタを振り回し始めた。ロッキー保安官はスピンしながらまるで踊る様にツタを躱し始める。そして不規則なタイミングで花びらに向けて発砲した。

 

「キシャァァァッ!?」

「エルフの円舞曲(ワルツ)

 

 激昂した食竜植物は更にツタを増やしてロッキー保安官に襲いかかる。ツタを振り回したおかけで回りの草木がなぎ倒されてロッキーは動きやすくなっていた。ロッキー保安官も踊るように撃つテンポをあげて行く。

 

「エルフの狂想曲(カプリチオ)

 

 ロッキー保安官はツタに飛び移り一気に駆け上がる。食竜植物も行く手を阻むがクルクルと回転しながら排莢し、装填する。証拠を集めている最中、それを目の当たりにしたパーシー保安官は唖然としていた。

 

「す、すごい…ま、ま、まるで踊る様に……」

「さぁ、もっとテンポをあげて行くよ!」

 

 食竜植物はウツボカズラをツタで掴み、ひっくり返す様に溶解液を流して来た。溶解液を一滴も浴びずにひらりひらりと躱し、反撃する。

 

「エルフの輪舞曲(ロンド)

「ギギギィ〜!!」

「そろそろ終焉にするか、この弾丸をプレゼントするよ」

 

 ロッキー保安官はポーチから弾頭と薬莢が赤い弾を装填し始めた。食竜植物もなにくそといわんばかりに、ハエトリグサで捕まえようと伸ばして来た。ロッキー保安官は難なくかわし続けて伸ばして来た幾重のハエトリグサに1発ずつ当てて行き、装填し、飛び上がり自らジャイロ回転させながら紫色の花に銃を向けた。

 

「エルフの鎮魂歌(レクイエム)

 

 地面に着地し、6発撃ち終えるとハエトリグサが発火し始めた。そして紫色の花も燃え始める。

 

「これは火炎魔法を元に試作した【焼夷弾】だ。お気に召して貰えたかな?」

「ギギギギ……ギギジャァァァ!!」

 

 食竜植物のツタに引火していき、最後は力尽きる様に萎んで行った。食竜植物が燃えているの見ていたロッキー保安官の元へパーシー保安官が戻って来た。

 

「ロロロッキー保安官」

「パーシー保安官。証拠とサンプルは回収出来た?」

「は、はい!凄かったですね。まま、まるでぶ、舞台俳優の様でしたよ」

「俺?俺は元々舞台俳優だよ。魔王軍に舞台やステージを壊されて職を失ったから保安官になったんだ」

「そそ、そうなんんですか……」

「人質はあいつが養分にしたからここは全滅だね。延焼する前に脱出しよう」

「はっ、はい!」

 

 ロッキー保安官とパーシー保安官はそのまま来た道を戻って第1ダンジョンを脱出した。

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