私、リーフはタマムシジムのジムリーダーに拾われたので、ポケモンリーグを目指します。   作:エリカ大好きクラブ

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1話.リーフ

 私、エリカが旅に出たのは、12歳の時になります。

 生涯の相棒となるナゾノクサと一緒に年に一度、開催されるポケモンリーグを目指してカントー各地に存在するポケモンジムを巡る旅に出ます。カントー地方、もしくはジョウト地方に存在する各8つのジムバッチを獲得すると予選を飛ばしてセミファイナルの舞台に運営側から招待を受けます。

 トキワシティのジムリーダーが変わったこの年のジムチャレンジは例年よりも難しく設定されていたようで、この年、新しく招待を受けたのは私、一人だけのようでした。最年少でセミファイナルを突破した私は、より深くポケモンの事が知りたいと考えて、13歳の時に飛び級でタマムシ大学に入学します。しかしポケモン学はまだ歴史の浅い分野、雑多に記載されるポケモンを体系化しようと考えたオーキド博士の考えを聞いた私は、今はまだ勉学に励むよりもフィールドワークを重視する段階だと考えました。当時の教授には、レポートの提出を条件にジョウト地方、ホウエン地方、シンオウ地方と各地に存在するポケモンを調査して回り、事のついでにとジムに挑戦して各地方のポケモンリーグに参加してみたりもします。

 結局、ポケモンバトルで生計を立てる四天王を相手には、勝つ事が出来ませんけど。

 

 16歳の時、卒業を控えた身の上でジムチャレンジは自重します。

 だけど夏の時期に卒業論文を書き終えた私は教授の素人質問を一蹴し、年末に開催されるカントー・ジョウト開催のポケモンリーグに参加し、私は初めて四天王を相手に勝利します。結局、この時は次戦で対峙した現チャンピオンのワタルに敗北をしてしまいましたけど、しかし、アマチュアのポケモントレーナーがポケモンバトルのプロ集団を相手に勝利したという事実はポケモン界に少なからず衝撃を与えたようで、四天王の一人としてポケモンバトルを極める道とポケモンジムのジムリーダーとして後進の育成に励む道が提示されます。

 私は、ポケモンをより深く知りたいと考えて、今日まで各地方を旅して回った身の上であります。

 四天王として各地方を旅して回るのも、それはそれで素晴らしいと思います。ですが、私自身は、旅そのものに関してはあまり好きではありませんでした。好奇心に背中を押されて、各地のポケモンリーグに荒らして回ったのも若気の至りというもの。多少、落ち着いた今となってはポケモンバトルの為に人生を費やす毎日というのは、あまり興味がそそられません。

 それよりもポケモンの生態をより深く知る為にジムリーダーとなり、設備を整えた方が興味があります。

 タマムシ大学で修士課程を受ける事は決めていますのですが、私個人としてはポケモンの生態とポケモンバトルは密接な関係にあると考えています。ポケモン学の権威と呼ばれるオーキド博士もアマチュアのポケモントレーナーとして、初めてポケモンリーグを制覇した実績を持っていますしね。

 そんな訳で私は、学業と兼任してタマムシジムのジムリーダーになりました。

 

 翌年、17歳になる私がジムリーダーの話が回って来たのには昨年、前ジムリーダーの方が病気で倒れてしまった事にあります。

 私が初めてタマムシジムに挑戦した時から既にもう御老体で休みがちなジムリーダーとして知られていました。その翌年に挑戦を受けている時に倒れました。唯一の弟子であるカリンと呼ばれる人が代理を務めていたけども、ポケモンリーグに参加する時の彼女が得意とするポケモンのタイプとポケモンジムのジムリーダーととして戦う時のタイプが違う事が少し気になっていた。

 本来、彼女が得意とするのは、どくタイプで、だけどセキチクジムの得意タイプと被ってしまうのでジムトレーナーとしての彼女は不得意なタイプで戦う事を強制されました。ジムリーダーの代理としてバトルをする時の彼女は、ジムリーダーのポケモンを借りてバトルをします。そういう事もあってなのか、ジムリーダー業務を兼任するようになってからの彼女はポケモンリーグでの戦績が右肩下がりになっており、先日、セミファイナルの舞台で対峙した時には、タイプ相性で勝るはずの彼女が私に敗北する大番狂わせとなりました。

 結果として、彼女は前ジムリーダーの後任になる事を断り、他のジムと得意タイプの被らない私に白羽の矢が立ったという流れになります。

 

 ジムリーダーの話を受けた後、4年越しに訪れたタマムシジムは、それはもう酷い有様です。

 草木が覆い茂り、中は埃塗れです。カリンは挑戦しに来たトレーナーをジムの中に入れず、外に敷設したバトルフィールドで挑戦を受けるという話を聞いていましたけど、納得の有様。少なく見積もっても数ヶ月、鍵を開けた様子もない。ジムリーダー業務を兼任してからの彼女が、ジムの清掃にまで手が回らなかった事が見て取れます。

 それにしても酷い。ジム内部にまで侵食する草木は、まるでジャングルのようです。幹を断っても一日経つと成長する細い木まで生える有様である。先ずは清掃から、と考えた私がジム内部に侵食する草木の排除をポケモン達に指示すると、それまで目を輝かせていたポケモン達が露骨にガッカリしてしまいました。

 私が得意とするタイプは、くさタイプ。トキワの森を始めとした大自然に心を躍らせるポケモン達を見て、私は考えを改めます。

 ポケモンの生態を研究する一環でジムリーダーの話を受けた身の上、ポケモンジムの運営はジムリーダーに一任されています。なので私は、もっと自由にジムの内装を弄る事を考えたのです。ポケモンファーストの考え方は、ポケモン協会も断れない。思い返せば、各地のポケモンジムの内装も自由が過ぎます。他のジムでしている事を私だけがやってはいけないという道理は通じないはず。私がジムの内装をポケモン達が喜ぶような庭園にしてしまおうと考えたのは、この時でした。

 だけど、それはそれ、これはこれです。

 ガサガサと草叢が音を立てたのを横目にし、野生のポケモンが入り込んでいる現状を放置する事は出来ません。

 私は落胆するポケモン達に喝を入れて、ジムリーダーとしての初日を草木の排除に費やしました。

 

 前任者の失敗を活かし、タマムシジムには多くの人手を迎え入れます。

 といってもタマムシ大学と連携し、研究の一環としてポケモンバトルに興味のある学生をタマムシジムで受け入れました。ジムトレーナーとしても働いてくれる学生には、少ないながらも給金を出し、ポケモンの生態とポケモンバトルの研究を両立させました。結果的に女性ばかりになってしまったのは偶然で今更、男性を入れる訳にもいかず、女性ばかりのポケモンジムになっています。

 またタマムシジムの内装には、オーキド博士に協力を仰ぐ事で質の高い環境が構築出来たと自負しています。ご立派です。今もオーキド博士とは連携して研究を続けており、関わった論文の数だけで博士号を取得出来てしまいそうです。

 

 未来の話は、さておいて、本格的にジムの運営に乗り出したある日の事。タマムシジムに所属する学生達がポケモンの襲撃を受ける事件が発生します。まるで人間に似た見た目をしている事からワンリキーやゴーリキー、機敏な動きからマンキーの説まで浮上しました。このジムが野生のポケモンの巣窟になっていた事を知る私は、まだジムの中にポケモンが潜んでいると考えてジム内部の調査を進める事にします。

 そして、この事件は、思いの外、あっさりと解決しました。

 私が本格的に調査に乗り出した時、タマムシジムで預かっているオーキド博士のポケモン達が急に態度を変え始めたのです。元から私に懐いているポケモン達には知らせず、隠し事をしていると感じた私は、ポケモン達が誘導する方向と反対側に歩きました。オーキド博士のポケモンの抵抗が激しくなる中、辿り着いた先には一人の少女がポケモン達に寄り添うように眠っています。黒色の長い髪、手入れはしておらず、ボサボサになっている。

 半ば、野生児と化した少女を保護した私は、今は自分を鍛え直す旅に出ているカリンと連絡を取りました。

 しかし、彼女は何も知りませんでした。

 当然と云えば当然の話、巡査に通報しても名前以外は何も分かりません。身元不明の少女の行く先は、孤児院のみ。しかし私は少女を放っておく事が出来なかった。というのも少女は他の親元のポケモンに愛される稀有な才能を持っていた為である。ポケモンの感情は勿論、言葉まで理解するような節を見せるので、このまま孤児院に預けて才能を埋もれさせるのは忍びない。

 後は、単純に、彼女が孤児院で上手くやっているける気がしなかった。

 その事をオーキド博士に相談すると「ワシが親になれば、万事解決じゃな」と映像越しにポケモンとじゃれる彼女の姿を見て即決してしまった。オーキド博士は年齢の割に若く、フットワークが軽い。老齢らしく視野は広いのだけど、足元を見ていない事がある。既に婚姻し、子供も居た娘に「浮気してたの!?」と本気で罵倒された一幕があったのだとか、なかったのだとか。

 少女の名前はリーフと言った。

 オーキド博士の家だと、あまり上手く行っておらず、よく私のジムに預けられています。

 

 今の御時世、ポケモンを相棒に持つ事は必要不可欠です。

 10歳になるとポケモンとの生活に慣れる為、親から子にポケモンが与えられる事が多い。オーキド博士の家だと親の方針、オーキド博士にとっては娘夫婦が「12歳になった時、旅立ちの時に」と定められていたのでオーキド博士も孫に勝手な真似は出来ませんでした。だけどリーフはオーキド博士の養子で娘夫婦と関係がないし、元からポケモンに好かれているのでポケモンを与えても問題がないという結論に至る。

「ワシが見ていない場所で勝手に渡される分には何も言えんしな」と画面越しに大笑いしていました。

 後日、娘がまた話を聞いてくれなくなった。と泣きつかれました。知りませんよ。

 オーキド博士の過程事情は、捨て置きます。

 

 私がリーフに与えたポケモンは、イーブイになります。

 私の恩師にも当たる研究室の教授がポケモンの進化に関する研究をしており、イーブイを育ててくれるトレーナーを探していたのが契機になります。この時の私は18歳でまだ若かったので、後任の事を考えず、ノーマルタイプで人懐こいイーブイは初心者にも扱いやすいだろうという理由でリーフに与えました。この時はまだイーブイは、3種の進化先しか確認されておらず、「まだイーブイには未知の可能性がある、出来るだけ多くの環境でのデータを収集したい」と言っていたのも理由の一つ。二年後に旅に経つ事も含めて、教授は快く承諾をしてくれました。

 リーフはポケモンを貰った喜びで元気よく、街に繰り出します。

 そして次に返って来た時、タマムシジムの隣にある7ばんどうろに棲息するロコンを連れていた。

 拾ったモンスターボールで捕まえたのだという。

 

 イーブイとロコンの激闘の末に紡がれる友情の物語を熱く語る彼女の話を聞いた私は、とりあえず私にとっては馴染み深いナゾノクサを与えた。私のパーティの切り札はモジャンボだけど、私が最も信頼する相棒は、今はラフレシアに進化した当時のナゾノクサ。まだトレーナーとしては初心者である彼女にポケモン3匹は負担が大きいと思ったのだけど、くさポケモンのエキスパートとして彼女にくさタイプのポケモンが居ない事に思う所があった。よりにもよって、ほのおタイプですし。

 

 後日、彼女にナゾノクサを与えた数週間後の話。

 借りた自転車でサイクリングロードを爆走し、なけなしのおこづかいでストライクを捕まえて来ました。

 むしタイプである。

 にほんばれとウェザーボールで焼き払わなきゃ⋯⋯

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