仮面ライダージオウIF NEXT TIME~ゲイツマジェスティ~   作:K/K

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タイトルが思いつかなかったので適当に。


アナザーXXXXX2XXX

 急いで学校へと戻って来た景都。午後の授業の途中から教室に入ったのでクラスメイト全員の注目を集めることとなった。

 教師からも今まで何処に居たんだ、という質問をされたのだが──

 

「足の怪我が……」

 

 ──という言い訳をすると深くは追求してこなかった。景都の足の怪我ひいてはそれによる進級の話は水面下で広まってしまっている。教師もデリケートな問題である為、景都を気遣って問わなかったのだ。

 途中から入ったので午後の授業はすぐに終わってしまい、放課後となる。途端にソウゴとツクヨミが話しかけて来た。

 

「明光院君、大丈夫だった?」

「あの海東って人に何か盗られたんでしょ?」

「大丈夫だ。ちゃんと取り戻した」

 

 景都はそう言い、海東から取り戻したケイトライドウォッチを見せる。すると、ソウゴはそれを見て首を傾げる。

 

「──あれ?」

「どうした?」

「何か俺……それを前に見た事があるような気がする……」

 

 ケイトライドウォッチではなくライドウォッチそのものに既視感を覚えるソウゴ。

 

「何?」

「ツクヨミも見た事ない?」

「ええ? 私も? いや、私は……」

 

 そう言いつつツクヨミも改めてケイトライドウォッチを見る。最初は訝しむ感じであったが徐々にその目が丸くなっていき、凝視して目が離せなくなる。

 

「私も……見た事があるかも……」

「何だと? 急にどうした二人共?」

 

 景都もまたライドウォッチに触れた時に知らない記憶が流れ込んで来た。もしかしたら、ソウゴとツクヨミにも似たような現象が起こっているのかもしれない。尤も、ライドウォッチのせいでおかしな影響が受けているという可能性も捨て切れない。

 

「ちょっと触らせて」

「ダメだ」

「ちょっとだけ、ちょっとだけだから」

「ダメと言ったらダメだ!」

「少しだけだからー!」

 

 触れたいソウゴとソウゴたちの安全の為に触れさせたくない景都。景都はライドウォッチを懐に仕舞いこんで触らせないようにするが、ソウゴは景都の肩を揺すって何としても触れようとする。

 どちらも頑固なのでこうなってしまうと互いに引かない。

 見かねたツクヨミがソウゴを止める。

 

「もう! 常磐君、止めなさい!」

「だってー」

「明光院君はこの後スウォルツ先生と話し合いがあるの。……遅れたら常磐君が原因だって言うわよ?」

「うっ!」

 

 スウォルツの恐ろしさを知っているソウゴは、ツクヨミの脅しに仕方なく諦める。

 

「──待て。その話、初耳だぞ?」

 

 景都からしたら寝耳に水の話である。

 

「……あっ! ごめんなさい! 言うの忘れてた!」

 

 伝言を頼まれていたツクヨミもまだ景都に伝えていなかったことを思い出して謝罪する。

 

「何時だ!? 何時からだ!?」

「時間は──」

 

 ツクヨミが進路相談の時間を教えると景都は慌てて壁にかけてある時計を見る。約束の時間までもうすぐであった。

 

「不味い……!」

 

 スウォルツは見た目は怖いが理不尽なことでは決して怒らない。ただ、遅刻などのルールを破ることには厳しい。怒鳴ることはしないが、あの強面と長時間向き合うことにある。一度景都もソウゴと揉めた時にスウォルツに怒られたことがあるが、神経をヤスリで削られていくような緊張感を長時間経験することとなった。解放された時にはソウゴ共々ぐったりとしてしまったトラウマの記憶がある。

 

「急がねば……!」

 

 景都は松葉杖を取って急いで進路指導室へ向かおうとする。

 

「明光院君! そんな体で急いだらまた怪我をしてしまうわ! 常磐君! 手伝って! 明光院君を進路指導室へ連れて行くわ!」

「了解!」

 

 ソウゴとツクヨミは両脇から景都を持ち上げるように支える。そうやって右足への負担を減らす。

 

「お、おい!」

 

 景都は過保護な体勢に抗議をするが、二人は無視して進路指導室へ運んで行く。

 三人が教室出て少し経った後にウールを連れたオーラがやって来た。

 

「景都は居るっ!?」

 

 開口一番のオーラの迫力ある声に教室内の生徒たちは圧倒されて固まる。

 

「何処に居るかって聞いているのっ!?」

 

 景都の席近くに座っている生徒の机に勢い良く両手を叩き付けながら問い詰める。生徒はオーラの迫力に完全に呑まれて丘に上がった魚のように口を開閉することしか出来ない。

 

「オーラ先輩、怖過ぎ……そんなんじゃビビッて何も言えなくなっちゃうよ」

 

 小声で抗議するウール。

 

「何か言った!? ウール!?」

「いいえ、何も」

 

 飛び火することを恐れてウールもオーラを見ていることしか出来ない。

 

「あの……明光院君たちならスウォルツ先生と進路指導の相談に行ったけど……」

 

 見かねたクラスメイトが景都の行く先を教える。

 

「進路指導? なら進路指導室ね! オーラ! 行くわよ!」

「ちょ、ちょっと! あ、あの! オーラ先輩がすみませんでした!」

 

 進路指導室へ急ぐオーラ。オーラの代わりにウールが謝ってから退室する。教室は嵐が去ったような静けさになっていた。

 

 

 ◇

 

 

 進路指導室内で長机一つ挟んで向かい合う景都とスウォルツ。スウォルツの鋭過ぎる眼光が景都を突き刺すように見ている。別にスウォルツは景都を睨んでいる訳ではない。デフォルトがこれなのである。

 

「……」

 

 スウォルツが発する無言の圧。景都は耐えられず背後に声を掛ける。そこには景都を連れてきたソウゴとツクヨミが座っていた。

 

「何でいるんだよ?」

 

 本音を言えばスウォルツと二人っきりにならなかったことは有り難いが、保護者に同行されているような気恥ずかしさを感じ、照れ隠しで二人に反発するような態度をとってしまう。

 

「だって親友でしょ?」

「友達でしょ?」

 

 景都の内心を理解しているのか気分を害する様子もなくさらりと親友、友達発言。素直ではない景都は二人のようにあっさりと言えない。

 

「──話はほかでもない」

 

 スウォルツが話し始め、全員に緊張が走る。

 

「進路のことだ」

 

 机に置かれてあった封筒から一枚の紙を抜き、景都へ見せる。そこには景都の大学推薦の取り消しについて書かれてあった。

 

「覚悟は……していました」

 

 そう、景都はこうなることを覚悟はしていた。だが、実際にそれを見ると否が応でも自分の現実を突き付けられてしまう。

 

「無理に強がる必要は無い。どんなに覚悟があったにせよ、所詮はある程度緩和してくれるだけだ。その紙一枚でお前の進む筈であった未来を断たれたのであれば尚更だ。ここで破り捨てたとしても俺は咎めん」

 

 スウォルツの言う八つ当たりをすることは景都には出来なかった。もしかしたら、する気力すら湧かないのかもしれない。

 景都の努力を近くで見守ってきたソウゴとツクヨミは沈痛な面持ちになる。

 

「──これからのことについて考えなければならない」

 

 スウォルツも景都がショックをを受けているのは分かっているが、それでも話を先に進めなければならない。景都の今後を共に考える。それが今のスウォルツの使命。

 

「その……まだ気持ちの整理が──」

 

 すると、スウォルツの鋭い眼光が景都を射抜く。その迫力に景都は口を噤んでしまった。

 

「そんな意見は求めん」

 

 容赦のないスウォルツの言葉に景都は勿論だがソウゴとツクヨミもまた圧倒されてしまう。

 

「……すまなかった。今のは言葉が強過ぎたな。だが、そうやってズルズルと引き摺っていては取り返しのつかないことになる──俺の経験上な。今から勉学に励めばまだ大学受験には間に合う。お前の成績は……お世辞にも上位とは言えないがそれでも中位ぐらいはある。頑張り次第では成績も取り戻せる」

 

 スウォルツの言うことは最もではある。しかし、景都は自分でも煮え切らないと分かっているが、割り切れない。そもそも、大学受験を受けるということがしっくりこなかった。

 

「それとも他に希望する進路があるのか?」

 

 景都の煮え切らない態度を見て、他の進路があるのか訊ねる。

 頭の中に『救世主』という言葉が過ったが、世迷言として頭を振って思考の外へ飛ばそうとする。

 

「救世主は? なれって言われてた」

「おい! 止めろ!」

 

 真面目な場でふざけたことを大真面目に言い出すソウゴを景都は止める。折角、頭の中から消そうとしていたのに、まさか第三者が言ってくるとは思わなかった。

 

「救世主?」

 

 スウォルツの目が景都に向けられる。景都は本気どうか探って来るスウォルツの視線から逃れるように顔を背けた。

 

「──はっ。常盤、いくら変な進路が自分しかいないからといって明光院を巻き込むな」

「へ?」

 

 景都の態度からソウゴの戯言と判断し、一蹴する。

 

「救世主か……つまりは人助けや社会を守る為の仕事も悪くない。明光院の普段の生活態度から見ても合っているとは思う」

 

 ソウゴの話を真面目に取り合うつもりはないは、そこから連想した人助けなどに関わる進路は景都の性格にも合っているとスウォルツは判断し、別の進路を出す。

 

「警官なんかはどうだ?」

「警察官……ですか?」

 

 急に現れた新たな道。今まで考えたこともなかった進路だったので、景都は自分に向き不向きか問うように呟いた。

 

「それなら滅茶苦茶良い話があるわ!」

 

 突如としてオーラが進路指導室に乱入してくる。その後ろには申し訳なさそうな表情をしたウールも居た。

 

「お前!? 何しに来た!?」

 

 不意打ちのオーラの登場に驚きながらも当然のことを質問するが、オーラは景都を無視してスウォルツと話す。

 

「警視総監とパパが知り合いなんです」

「ほほぅ……」

 

 いきなり凄い伝手が出て来たことにスウォルツも驚く。

 

「誰か景都を紹介してみます!」

 

 景都を他所に話が進んで行く。

 

「いや、待──」

「よし! 決まりだっ! これで進路指導は終わりだっ! 帰っていいぞ!」

「えぇ!?」

 

 スウォルツの一声で強引に決定が下されてしまう。

 色々と勝手に決まっていく中、オーラが景都の傍に寄り小声で話し掛けてくる。

 

「あんたにもボディーガードを付けてあげる。私のパパ、そっちにも知り合いがいるから」

「ボディーガードだと……?」

「あんた、あの化物に狙われているんでしょ? 私が力を貸してあげる」

「お前……」

「さあ行け! 俺はこの後大事な仕事がある! 早く行け!」

「ああ、もう! 失礼いたしました!」

 

 スウォルツに急かされ、景都たちは追い出されるように進路指導室を去っていく。

 一人になったスウォルツは周囲に誰もいないことを確認すると、呟く。

 

「──さて、教師の仕事の前に俺の仕事を終わらすとするか」

 

 次の瞬間、最初から居なかったかのようにスウォルツの姿は進路指導室から消えていた。

 

 

 ◇

 

 

 後日、オーラに紹介された警察官と護衛のボディーガードが待つ場所へ向かう。景都。そこに当然のように付いてくるソウゴとツクヨミ。

 

「だから何でついて来るんだ?」

「親友だから?」

「友達だから?」

「はぁ……」

 

 景都は溜息を吐き、待ち合わせ場所である喫茶店の中へ入る。

 

「うっ!?」

 

 景都は入った瞬間、喫茶店には相応しくない重苦しい空気に呻く。

 

「何か……息苦しくない?」

「鳥肌が立ってくるんだけど……」

 

 ソウゴとツクヨミもまた異様を感じ取る。

 他の客たちも俯いた様子で珈琲などを飲んでおり、とてもじゃないがリラックスしている様子はない。店長と思われる人物など死人のような顔色である場所をチラチラと眺めている。

 一体原因は何なのか。喫茶店を見回した時にすぐに答えを見つけた。

 異様なプレッシャーを放つ二人の人物が向かい合い、珈琲を呑みながら互いを睨み合っている。火花散るような視線のぶつけ合いが、喫茶店内に殺伐とした空気を生み出しているのだ。

 片方は赤のレザージャケットとパンツを着用した男性。もう片方はジーンズに白のシャツにネクタイを締め、黒いジャケットを羽織った男性。どちらも眼光鋭く、おいそれと声を掛けられない雰囲気がある。

 

「もしかして、あの席の人たちじゃない?」

 

 確かめる為に恐る恐る近付く。

 

「明光院はどっちだ?」

 

 二人の内、赤のレザージャケットの方が話し掛けて来たので三人は驚く。

 

「もしかして……ボディーガードの方ですか?」

「それは俺だ」

 

 今度は黒のジャケットの男性が喋る。

 見た印象としては逆だが、赤のレザージャケットの男性が警察官で黒のジャケットの方が景都のボディーガードとのこと。

 

「照井竜だ」

 

 赤のレザージャケットの男は名乗り──

 

「名護啓介だ。覚えておきなさい」

 

 ──続いて黒のジャケットの男も名乗った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・幕間 スウォルツ先生の時間外労働

 

 

 人気のないとある場所。空間が歪み、そこから近未来的な衣装を纏った男が現れる。

 

「やっと辿り着いたか……ふふ、ここから」

「お前、タイムジャッカーだな?」

 

 自分しか居ないと思っていた男は、急に声を掛けられて驚く。

 

「何者だ!? いや、待て……もしや、お前もタイムジャッカーか?」

 

 タイムジャッカーと呼ばれた男の前に現れたのはスウォルツ。

 

「お前の意見も質問も求めん。いいか? 一度だけ忠告しておく。今すぐに自分の世界へ帰れ。そして二度とここへは来るな。それを約束するなら見逃してやる」

 

 教師の時とは違う覇気を帯びた傲慢な台詞。タイムジャッカーの男の額に青筋が浮かび上がる。

 

「ふざけたことを……! 丁度いい! お前にはこの世界についての情報を色々と吐いて貰おうかっ!」

 

 タイムジャッカーの男は黒い時計型のアイテム──アナザーウォッチを起動と共に体の中へ埋め込む。

 

「思い知れ! 世界を巡って手に入れた力──」

 

 タイムジャッカーの男が変身する前に全ての時間が静止し、スウォルツはその中でタイムジャッカーの男と同じアナザーウォッチを取り出し、起動。

 

『ディケイドコンプリートフォーム21……』

 

 スウォルツが変身すると共に停まっていた時間は動き始め──

 

「アナザー──うぼぁぁぁぁ!」

 

 ──タイムジャッカーの男は変身と同時に爆散した。

 

「やれやれ……自分が招いたこととはいえ面倒な来訪者が増えた……」

 

 既に変身解除をしたスウォルツは髪を手櫛で直しながら愚痴る。

 

「中には上手く俺の目を掻い潜っている連中も居るようだしな……」

 

 一蹴した先程の雑魚とは違い、厄介な者たちも潜んでいることにスウォルツは眉間に皺を寄せるが、すぐにそれも消える。

 

「まあ、常磐ソウゴと明光院()()()に任せておくとしよう。……所でだ」

 

 スウォルツは振り返る。そこには先程まで居なかった存在が居た。

 

「貴様は何者だ?」

 

 騎士を彷彿とさせる白い仮面ライダーにスウォルツは問う。

 

「私の名はゼイン。全ての悪意を駆逐し、滅する仮面ライダー」

 




幕間は本編の裏で起こっている話なので本編には深く関わらない予定です。
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