仮面ライダージオウIF NEXT TIME~ゲイツマジェスティ~   作:K/K

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仮面ライダー全員集合(一名を除いて)


アナザーディエンドコンプリート2018

「うわああああっ!」

「きゃあっ!」

 

 ウォズが目の前でアナザーディエンドCP(コンプリート)に変貌したのを目撃してしまった二人は悲鳴を上げる。アナザーライダーを見るのは初めてではないが、やはり人間が怪物に変身する光景は、今まで日常を生きてきた二人にとって衝撃が大きい。

 

「やれやれ。そんな声を出してはしたないとは思わないのかい?」

 

 異形の見た目に反して落ち着いて声。そのギャップが何とも言えない生理的嫌悪感を抱かせる。

 アナザーディエンドCPの額に当たる部分に裂け目ができ、そこから単眼がせり出す。シアンカラーの目に黒い瞳。額の目にソウゴとツクヨミの姿を映す。

 蛇に睨まれた蛙のように見られただけで二人の体は恐れから動けなくなる。嘗ては仮面ライダーとして戦っていた二人だが、記憶も力も封じられた今ではひ弱な人間に過ぎず、圧倒的格上を前にして完全に委縮してしまった。

 

「おや? そこまで怖がらせるつもりはなかったんだけどね……」

 

 恐怖する二人の姿に笑いを洩らしながらアナザーディエンドCPはゆっくりと距離を詰める。走って逃げ出せば逃げられるかもしれない速度だが、それが分かっていても二人はやはり動けなかった。

 

「さて、どちらから……いや、ここは両方同時に──」

 

 アナザーディエンドCPの手が二人へ伸ばされた時──一発の銃声が鳴り響くと共にアナザーディエンドCPの手が弾かれる。

 光弾が命中したアナザーディエンドCPの手の甲からは白煙が上がっていたが、一振りすると傷も白煙も消えてしまう。

 

「殊勝じゃないか。自分の方から出て来てくれるなんてね、我が救世主」

「ふん。俺に逃げられたからこの二人に八つ当たりか? 俺が知る奴よりもしょうもなくなっているようだな、白ウォズ」

「そのしょうもなさのお陰で間に合ったんだ。僕たちにとっては有り難いことさ」

 

 ゲイツとネオディエンドライバーを構えた海東が二人の危機に参上する。

 

「景都! ……と海東」

「明光院君! 海東君!」

 

 海東はネオディエンドライバーの銃口を向けてアナザーディエンドCPを牽制。その間にゲイツは痛む右足を無視して二人に駆け寄る。

 

「大丈夫か?」

「う、うん……」

「え、ええ……」

 

 二人は頷きながら今のゲイツに違和感を覚えた。彼らが知っている明光院景都よりも精悍な顔付きになっており大人びた雰囲気に変わっている。少し見ない間に頼もしい存在感を放つようになっていた。

 

「ふぅぅん、その口振り。どうやら記憶を取り戻したようだね──厄介なことだ」

「ああ。残念だったな」

「まあいいさ。記憶があろうとなかろうと私のやる事は変わらない──君から救世主の力を奪うことをね」

 

 改めて宣言するアナザーディエンドCPをゲイツはじっと見る。

 

「……一つ訊きたい」

「何かな?」

「俺が知る白ウォズは俺を本気で救世主にしようとしていた──裏でこそこそと気に入らない動きもしていたが──だが、お前は俺から救世主の力を奪い、自分が救世主になろうとしている。何故だ?」

「はっ。そんなことかい?」

 

 ゲイツは真剣な態度で訊いているが、アナザーディエンドCPは愚問だと言わんばかりに鼻で笑う。

 

「君が魔王などと迎合するからじゃないか」

「何?」

「救世主である君が最低最悪の魔王と慣れ合い、あまつさえ仲間になる。そんなものを見せられたら失望もするさ」

 

 ソウゴが小声で『だから俺がなりたいのは王様であって、最低最悪の魔王になんかならないって』と愚痴を言っていたが、アナザーディエンドCPは当然のように無視する。

 

「救世主という輝かしい道を捨てた君に最早何一つ期待することなんてない。だから、私が救世主になるのさ。君が考えも無しに捨てた来たるべき未来を私が手に入れる!」

 

 ゲイツに見せつけるように強く拳を握り締めるアナザーディエンドCP。そこには大きな野心とゲイツに向けての小さな怒りが込められている。

 

「──成程。お前という存在を生み出した責任に一端は俺にもあるということか」

「納得してくれたかな?」

「ああ。同時にお前が馬鹿だということも分かった」

「……何だって?」

 

 予想外の一言だったのかアナザーディエンドCPの声色が変わる。

 

「俺がソウゴの影響を受けていたのは認める。だが、一方的なものじゃない。俺たちは互いに認め合い、成長していたんだ。あいつが俺が救世主になると信じてくれるのなら、俺もまた常磐ソウゴを信じる。あいつは最高最善の魔王になる男だ!」

 

 ソウゴの可能性を迷うことなく信じることを堂々と言い放つゲイツ。

 

「──ねぇ。やっぱり明光院君、何か雰囲気が変わっていない?」

「最高最善の魔王……それなら魔王でもいいか!」

 

 ツクヨミの話が耳に入っていないソウゴ。ゲイツの言った最高最善の魔王という言葉を気に入った様子。

 

「救世主と魔王が最高最善の未来を創る! それが俺の選んだ選択だ! それが気に入らないから未来を捻じ曲げようとするお前は馬鹿以外の何物でもない!」

「──ふっ」

 

 ゲイツの言葉が気に入ったのか海東は小さく笑う。一方でゲイツに完全否定されたアナザーディエンドCPは、抑えきれない怒気を放っていた。

 

「私を愚かと言うのかい……? 本当の愚か者が……?」

「俺はお前を倒す。お前なんかに未来は任せられん。何があったとしても俺は世界を守ってみせる!」

 

 ウォズが用意して救世主への道へ既に蹴った。今からゲイツが進むのは彼自身が選択した道。

 

「本当に何があったの? 明光院君に?」

「でも、とっても生き生きして見えない?」

 

 未だにゲイツの変化についていけないが、少なくとも前まであった鬱憤は晴れたように見えた。

 

「さて、役者は揃ったことだし」

 

 海東はアナザーディエンドCPから盗んだノート型デバイスを開く。

 

『嘗て世界を救ったライダーたちがここに集結した』

 

 そう記載するとゲイツの手の中に新たなライドウォッチが出現し、ソウゴとツクヨミも突如出現したジクウドライバーを装着し、その手に嘗て持っていたライドウォッチが現れる。

 ソウゴは白と黒の外装のジオウライドウォッチと、全ての平成ライダーの力を集合させた一回り大きな金色のライドウォッチ──グランドジオウライドウォッチ。ツクヨミもまたジオウライドウォッチの同型のツクヨミライドウォッチを握っている。

 

「うおおおおおおおっ!?」

「え? 私も!?」

 

 ソウゴはジクウドライバーと二つのライドウォッチに興奮し、ツクヨミは何故か自分も変身して戦う流れになっていることに驚き、困惑する。

 ゲイツの持つ新たなライドウォッチは、ゲイツライドウォッチとは大きく形が異なり砂時計に似た形状をしていた。

 全員がジクウドライバーを装着したのを見て、ゲイツは声を掛ける。

 

「行くぞ」

「待て」

 

 それに待ったが掛かる。発したのはソウゴでもツクヨミでも海東でもましてやアナザーディエンドCPでもなかった。

 

「俺たちを差し置いて勝手に始めるな」

 

 新たに現れる三人の人物。

 一人はソウゴたちと年が近い赤いパーカーを着た少年。もう一人は恐らく二十代と思われ、使い古されて所々ボロボロになっている黒い上着を羽織り、右腕に皮のベルトを巻き付けた茶色の長髪の青年。最後の一人は見た目からして三人の中で最年長と思われ、革ジャンにジーンズ、指貫グローブを付けた癖毛の恰幅の良い男性。

 

「お前は!?」

「君たちは!?」

 

 ゲイツは少年に驚き、アナザーディエンドCPは青年と恰幅の良い男性を見て驚く。

 

「景都の知り合い? ツクヨミは知ってる?」

「いえ。知らない……」

「久しぶりだな。常磐ソウゴ」

「えっ!? 俺!?」

 

 いきなり名指しで呼ばれ、ソウゴは焦る。

 

「あの……どちら様で……?」

 

 失礼は承知で相手の名前を窺う。

 

「……ちっ!」

「舌打ち!?」

 

 初対面の相手に敵意剝き出しの反応をされるという人生で初めての経験にソウゴは愕然としてしまう。

 

「覚えていないのは仕方がないが……やはり腹が立つ……!」

「えぇ……」

 

 理不尽な怒りをぶつけられ、ソウゴは困惑した声を出してしまう。どんなに記憶を振り絞っても知らないものは知らない。

 

「今度は絶対に覚えておけ。俺の名は加古川飛流。お前と何度も交差する運命を持つ男だ」

「加古川……飛流……?」

 

 その名を確かめるように一度呟くが、やはり覚えがない名前なので呟いた後に首を傾げる。その反応が癪に障ったのか飛流の顔付きが険しくなるが、それが爆発する前に青年が飛流を腕で後ろへ押し退けた。

 

「はいはい。自己紹介はそこまでー。俺たちの挨拶も残っているでしょ?」

「久しぶりだ、ウォズ。いや、白ウォズ」

 

 茶髪の青年と恰幅の良い男性が声を掛けたのはアナザーディエンドCP。二人の姿にアナザーディエンドCPは明らかに動揺している。

 

「……久しぶりだねぇ、ジョウゲンにカゲン。まさか、君たちがこうやって来るとは思っていなかったよ……」

 

 最大限の警戒を抱きながら会話をするアナザーディエンドCP。余裕のある態度は皆無。一言一言に神経を集中させているようであった。

 ジョウゲンと呼ばれたのは茶髪の青年。カゲンと呼ばれたのは恰幅の良い男性。ジョウゲンはアナザーディエンドCPを見ながら肩を竦める。

 

「本当なら放っておいてもいいとは思ってたんだけどね……新人君の研修も兼ねてこうやって顔を出した訳さ──それにさぁ、ちょっと調子に乗って来ていると思っているんだよ。外から来る連中」

「目障りだ──いい加減潰す!」

「そういうこと。あんだけ潰したのに懲りないからさぁ、ここが誰の縄張りかってそろそろ思い知らせてもいいかなって──うちの王様がさ」

 

 王様という言葉に一瞬だけアナザーディエンドCPの肩が震えた。それだけ畏怖する相手なのだろう。

 

「だからそこのコソ泥君も今回は見逃してあげるよ。本命はこっちだから」

「次は見つけ次第潰す」

 

 いきなり話の矛先を向けられた海東だが、アナザーディエンドCPとは違って悪戯が見つかった子供のようにそっぽを向く。

 

「コソ泥じゃなくて怪盗と言ってもらいたいね」

「何なら次はお友達の破壊者も連れて来たらどう? あ、ごめん。君たち、友達じゃなかったか」

 

 ジョウゲンの小馬鹿にした態度に海東は少し表情を歪め、これ以上関わるつもりはないと言わんばかりに無視した。

 

「つまらない話はもういいだろう。さっさと仕事を終わらすぞ」

「はいはい。新人君は相変わらず生意気だねー」

「早いに越したことはない」

 

 三人はそれぞれジクウドライバーを取り出し装着。

 

『ジクウドライバー!』

 

 三人がジクウドライバーを装着したことにゲイツは驚く。

 

「何故お前が、いやお前たちが持っている!?」

「いちいち説明するつもりはない」

 

 ゲイツの問いを飛流は問答するつもりはないと一蹴する。

 

「常磐ソウゴ。今日の所は見逃してやる──さっさとこいつをやるぞ」

「えーっと、一緒に戦ってくれるってこと?」

「……ちっ」

「また舌打ち!?」

 

 飛流との接し方がいまいち分からないソウゴ。ツクヨミに助けを求めるように見る。

 

「……まあ、そういう人もいるから」

 

 遠回しに諦めろと言われてしまう。

 

「新人君の言う通り。今日の所は一緒に戦おう。強いよー、俺たち」

「こいつを潰すのに……手を貸す」

 

 怪しさしか感じない共闘の申し出。百パーセント信じる気はないが、アナザーディエンドCPを野放しには出来ない。

 

「……少しでも怪しい動きを見せたら……倒す!」

 

 警告を飛ばし、気持ちを切り替えるようにゲイツは二つのライドウォッチを起動させる。

 

『ゲイツ!』

『ゲイツリバイブ! 剛烈!』

 

 ゲイツがライドウォッチのスイッチを押したのを見て、ソウゴとツクヨミもそれに倣って自身のライドウォッチのスイッチを押す。

 

『ジオウ!』

『グランドジオウ!』

『ツクヨミ!』

 

 ゲイツはゲイツライドウォッチともう一つのライドウォッチであるゲイツリバイブライドウォッチをジクウドライバーの二つのスロットに挿し込む。

 ソウゴもまたジオウライドウォッチと展開状態のグランドジオウライドウォッチを同じくスロットに挿し、ツクヨミも恐る恐るツクヨミライドウォッチをセットする。

 ゲイツたちが変身する準備する中、飛流たちもそれぞれのライドウォッチを起動させた。

 

『バールクス!』

『ザモナス!』

『ゾンジス!』

 

 三人もまたジクウドライバーに起動したライドウォッチをセットするのだが──

 

「私が悠長に見ていると思ったのかい!?」

 

 アナザーディエンドCPは手を銃の形にし、掲げる。すると、指先から黒とシアンが混じった光弾が数発同時に発射され、それぞれが変身者へ向かって飛んで行き着弾。ゲイツたちは爆発に呑み込まれる。

 

「ははははは! 油断したね!」

 

 奇襲を成功させたアナザーディエンドCPであったが、次の瞬間に我が目を疑う。

 起きた筈の爆発は消え、何事もなかったかのようにゲイツたちは変身の続きを行っていた。

 

『変身!』

『グランドターイム!』

『ライダーターイム!』

 

 共通して背後に浮かび上がる文字盤型のエネルギー。黄金、月、機械、生命などの各々の特徴が文字盤に施されている。

 

『祝え! 仮面ライダー! グ・ラ・ン・ド! ジオーウ!』

『仮面ライダーツクヨミ! ツ・ク・ヨ・ミ!』

『リ・バ・イ・ブ! 剛烈! 剛烈ッ!』

『仮面ライダーザモナスー!』

『仮面ライダーゾンジスー!』

『仮面ライダーバールクース!』

 

 アナザーディエンドCPの妨害を無かったことにし、六人の仮面ライダーが降臨する。

 ソウゴは全身を金の装甲と平成ライダーたちのレリーフで固めた仮面ライダーグランドジオウ。

 ツクヨミは白のローブを纏い三日月を仮面に付けた仮面ライダーツクヨミ。

 ゲイツは橙色の機械的で無骨で厚みのある装甲の仮面ライダーゲイツリバイブ剛烈。

 飛流は黒と暗緑色の外装に昆虫を連想させるモチーフの仮面ライダーバールクス。

 ジョウゲンは赤と青の二色に分かれ、鰭や鱗などの生物的な特徴を入れられた仮面ライダーザモナス。

 カゲンは薄緑一色の有機的な装甲にバールクスとザモナスと同じ生物の意匠と共に植物の要素も入れられた仮面ライダーゾンジス。

 バールクスたち三人のライダーは共通して体の一部に時計の要素を入れた金の装飾を付けており、また黒のマントを付けている。ザモナスは右肩に付け、ゾンジスは羽織り、バールクスは首にマフラーのように巻き付けている。

 

「馬鹿な……一体何が……!」

 

 アナザーディエンドCPは心当たりとして海東を見る。運命を操るノード型デバイスならば先程の現象を不可能ではない。しかし、海東の方は何も起こっていなかったかのように平然としている。そもそも先程の現象を認識すらしていない様子。

 

「ふっ」

 

 アナザーディエンドCPの耳に嘲笑が聞こえる。嘲笑の主はバールクス。彼はアナザーディエンドCPの見せつけるように自分の腕を掲げる。

 バールクスの腕にはライドウォッチを填める為のベルトが巻かれており、そこには二つのウォッチが既に填め込まれていた。

 白眼で顔の皮を剥がれたような赤い顔の異形が描かれた二つのウォッチ。『ZI-O』『2019』が顔に刻印され両方共殆ど差異は無い見た目をしているが、よく見れば額に付けられた時計の針のような触角の本数が違う。

 とある理由でバールクスの基となったライドウォッチを渡されなかった飛流。それを埋める為に選んだのがアナザーライダーの力。しかし、彼はリセットされる前の時間軸で様々なアナザーサブライダーの力を使ったが、ソウゴには勝てなかった。

 サブライダーで勝てないのならメインのライダーを使えば良い。ある意味で原点回帰した飛流は、全てのアナザーライダーを統べる裏の王としての素質を生かしてすぐ様二つのアナザーライダーの力を手に入れた。

 アナザージオウとアナザージオウⅡの力である。未来を予測するアナザージオウと未来を改変するアナザージオウⅡの力。二つの力を合わせることでアナザーディエンドCPの奇襲を無かったことにしたのだ。

 

「やってくれるね……楽しくなってきたよ……!」

 

 全てを理解したアナザーディエンドCPは、バールクスらに敵意をぶつけながらその両手を広げる。

 カードが散るようなエフェクトの後に見た目も大きさも多種多様な怪人たちがアナザーディエンドCPの背後に出現する。

 

「皆──行くぞっ!」

 

 ゲイツリバイブの号令の後、仮面ライダーたちは一斉に駆け出す。

 




加古川バールクスは本家との差別化の為、アナザージオウとアナザージオウⅡのウォッチとマントを付けさせてみました。
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