仮面ライダージオウIF NEXT TIME~ゲイツマジェスティ~   作:K/K

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主人公たち無双回。


アナザーディエンドコンプリート2018 その2

 呼び出したアナザーディエンドCPが見えなくなる程の怪人たちの大群。たった六人相手に大袈裟に見えるかもしれないが、アナザーディエンドCPからすれば千の大群を呼んでも心もとない。

 呼び出した怪人たちが頼りないと思うのなら強力な手駒であるアナザーライダーを召喚すればいいと思われるかもしれないが、そう簡単には出来ない理由がアナザーディエンドCPにはある。

 アナザーディエンドCPの能力は、アナザーワールドからアナザーライダーもしくは怪人を召喚するというもの。能力だけ聞けば強く聞こえるかもしれないが、意外と都合の良い能力ではないのだ。

 アナザーディエンドCPはアナザーワールドで見つけたアナザーライダーをストックすることが出来る。ただし、召喚するアナザーライダーはアナザーディエンドCPが直接捕獲しなければならず、一度失ってしまえばもう一度捕獲し直さなければならない。

 それがかなりの難易度であり、膨大な数のアナザーワールドからアナザーディエンドCPの基準値に達する個体を探さないといけないのだ。

 まず8割ぐらいのアナザーライダーはアナザーディエンドCPの設定した基準値に達しない。そもそもアナザーライダーの変身者の殆どがただの一般人であり、戦闘能力どころか経験すらもない素人。いくらアナザーライダーの能力が強くとも一般人が変身したアナザーライダーでは頼りない。

 だからといって強力なアナザーライダーを探すとなると非常に面倒であり、場合によっては抵抗されてアナザーディエンドCPも命の危険に晒される。

 常に当たりが変動するくじを引くような行為だが、アナザーディエンドCPは幸いにもノート型デバイスで確率や運命を操ることが出来たので、この作業をある程度楽に済ますことが出来た──それでも相応の苦労はしたが。

 厳選と選別と妥協を重ねて選んだアナザーライダーたち。既にアナザーセイヴァーとアナザー武神鎧武、アナザークリスタルスカルは敗れてしまい、残りのアナザーライダーたちもほぼ投入して海東が密かに集めていた仮面ライダーたちを足止めしているので呼び戻すことも出来ない。まだアナザーライダーは残っているが最後なので出し惜しみをしている。また他のアナザーライダーと比べると少々特殊なので使いどころも選んでいる。

 代わりに召喚したのがアナザーワールドの怪人たち。前述した通り厳選したアナザーライダーたちに比べると劣るが、それでも一つ良い点がある。怪人たちはアナザーライダーと比べて強さのブレが少ない。どのアナザーワールドの怪人たちも同じぐらいの戦闘力なのだ。

 今回呼び出したのはゲイツを騙す為に重宝したカッシーンの大群。大地の穢れが土塊や枯れ葉などを媒体にして実体化した魔化魍。宇宙からの侵略者であるワーム。ヘルヘイムの森に住む人型の怪物インベス。

 もっと種類を出しても良かったが、これ以上の大群を出すと同士討ちをし出す可能性があるので制限する。

 

「さあ、行け」

 

 アナザーディエンドCPの命令に従い、怪人たちは駆け寄って来る仮面ライダーたちを迎え撃つ為に前進する。

 怪人たちの先陣を切るのはカッシーンの軍団。仮面ライダーたちと接触した瞬間、何体ものカッシーンが宙に打ち上げられた。

 

「はあっ!」

 

 仮面ライダーたちの中で真っ先に突っ込んでいったのはゲイツリバイブ剛烈であった。拳を突き上げるとカッシーンの装甲は一撃で陥没し、殴り抜けると高々と宙を舞う。 足で蹴り飛ばせばカッシーンが数体束になって纏めて吹っ飛ぶ。名の通り剛く烈しい戦いぶりであった。

 

「おりゃああああ!」

 

 そんなゲイツリバイブ剛烈に続くのはグランドジオウ。仮面ライダーとしての変身能力は取り戻したが、仮面ライダーとしての記憶は戻っていないので様になっていないフォームでカッシーンを殴る。だが、グランドジオウ自身の身体能力はずば抜けているので素人のパンチであっても一撃でカッシーンの全身に罅が入る程の威力が備わっている。

 

「おおっ……」

 

 思わず自分の両手を凝視してしまう。ここまで圧倒的なパワーだと逆に冷静になってくる。今まで喧嘩などの経験が殆どないので尚更である。

 カッシーンたちはグランドジオウのパワーを恐れて三叉槍でグランドジオウの間合いの外から突いてくる戦法に切り替える。

 

「うわっ!」

 

 本物の槍に突かれ驚くグランドジオウだったが、全く痛くないことに気付く。

 

「凄すぎない?」

 

 初変身で尋常ではないパワーと硬過ぎる装甲。至れり尽くせりなスペックに感動してしまう。

 三叉槍でも傷一つないことを触って確認していた時──

 

『クウガ!』

「うおっ! 何何!?」

 

 レリーフに触れた瞬間に発せられる音声。すると、クウガのレリーフから青色の棒が飛び出し、グランドジオウの手に収まる。

 

「武器出た!」

 

 カッシーンが三叉槍で攻撃してくるのを見て、何か対抗出来る武器はないかと頭の中で思っていたが、想像が現実になる。

 グランドジオウが棒を構える。青色の珠が埋め込まれた両端が伸び、二メートル程の長さになる。

 クウガの形態の一つであるドラゴンフォームの武器ドラゴンロッドをグランドジオウは振り回す。

 

「行くぞ!」

 

 突き付けられていた三叉槍をまとめて弾き飛ばし、カッシーンたちが無防備になった所にドラゴンロッドによる連続突き。

 クウガの紋章を刻まれたカッシーンたちはドラゴンロッドの突きの破壊力に負けて爆散した。

 

「うおっし!」

 

 段々とグランドジオウの戦い方が分かってきた。余裕が出て来たグランドジオウは、周囲を確認する。

 先頭を一人突き進むゲイツリバイブ剛烈。アナザーディエンドCPとの決着をつけるつもりなのだろうが、それを大量の怪人たちが阻む。次から次へと現れる怪人たちに流石のゲイツリバイブ剛烈も進む速度が落ちる。

 

「助けないと!」

 

 ゲイツリバイブ剛烈を援護しようとグランドジオウは体の各レリーフを手当たり次第に叩く。

 

『ファイズ!』

『ウィザード!』

『ゴースト!』

『ドライブ!』

 

 今度はレリーフから武器が出現するのではなく、西暦が描かれた黄金の扉が出現し、それが開くと中から仮面ライダーたちが現れる。

 Φのギリシャ文字をモチーフとした仮面ライダーファイズ。魔法の指輪の力で戦う仮面ライダーウィザード。魂と共に戦う仮面ライダーゴースト。刑事で車を操る仮面ライダードライブ。

 

「おおおおっ!」

 

 武器だけでなくレリーフに刻まれた者たちも召喚出来ることに驚きと感動の声を上げるグランドジオウ。

 

「手を貸して!」

 

 グランドジオウが頼むとそれぞれの仮面ライダーたちは独自に行動を開始。

 

『Exeed Charge』

『チョーイイネ! キックストライク! サイコー!』

『ダイカイガン! オレ! オメガドライブ!』

『ヒッサーツ! フルスロットル! スピード!』

 

 ファイズは赤色の円錐状の光を敵目掛けて撃ち出し、動きが止まった所へ円錐の中に飛び込んでいき、ウィザードは魔方陣の中で右足に炎を灯らせ、アクロバティックな動きで宙に舞い高所からキックの体勢で急降下、ゴーストは背後に目玉の紋章を浮かび上がらせながら浮遊し、紋章を右足に宿らせる。ドライブは何処からか走ってきた愛用の車──トライドロンで敵を囲む。

 それぞれが必殺のキックを放ち、ゲイツリバイブ剛烈の邪魔をする敵を一掃する。

 

「行って!」

「──感謝する」

 

 道を切り拓いてもらったゲイツリバイブ剛烈は、グランドジオウに感謝の意を示しアナザーディエンドCPの許へ急ぐ。

 

「ふっ」

 

 アナザーディエンドCPは真っ直ぐ自分に向かって来ているゲイツリバイブ剛烈の姿を見て一笑すると、銃の引き金を引くジェスチャーをする。すると、アナザーディエンドCPの姿は透明化してしまった。

 

「待て!」

 

 ゲイツリバイブ剛烈はアナザーディエンドCPのいた場所に手を伸ばすが、その手は何も掴むことはなかった。

 すると、ゲイツリバイブ剛烈は視界の端にアナザーディエンドCPを見つける。アナザーディエンドCPはゲイツリバイブ剛烈が気付くのを見てから建物の陰に入ってしまった。

 明らかにこちらを誘っている。何か罠を仕掛けているかもしれない。アナザーディエンドCPの目的は救世主の力なのだから。だが、ゲイツリバイブ剛烈は敢えてその誘いに乗る。

 アナザーディエンドCPを倒すことは明光院ゲイツとして救世主としてのケジメ。

 ゲイツリバイブ剛烈は行く前にグランドジオウを一度見た。グランドジオウはその視線に気付くと力強く頷く。

 

「……任せた」

 

 グランドジオウたちにこの場を任せ、ゲイツリバイブ剛烈はアナザーディエンドCPの後を追う。

 ゲイツリバイブ剛烈という戦力が抜け、戦況は怪人たちに大きく傾く──ということはなかった。グランドジオウが徐々に戦いに慣れ出し、豊富な戦闘手段でゲイツリバイブ剛烈の抜けた穴を埋める。

 グランドジオウが順調な一方でツクヨミの方はというと──

 

「きゃあ!」

 

 こちらも戦闘未経験者故にカッシーンの振るった三叉槍を悲鳴を上げながらしゃがんで躱している。咄嗟の行動というよりも反射的に身を縮こまらせた結果、避けただけであった。

 

「一体どうすればいいの!?」

 

 暴力や争いとは無縁で、それどころか将来医者になりたいという真逆の夢を抱いているツクヨミからすれば流れで変身をしてそのまま戦闘に参加してしまったが、今のようにカッシーンの攻撃を必死に躱すことが精一杯であった。

 幸いグランドジオウが徐々に戦いに適応していってくれたのでツクヨミに向かって来るカッシーンの数は少ないが、それでもいつまでも避け続けてはいられない。

 カッシーンも接近戦では埒が明かないと判断したのか急にツクヨミから離れると、背部のサブアームを展開し、砲口をツクヨミに向ける。

 砲口にエネルギーが充填され、エネルギーの光が発せられる様子にツクヨミはまたも悲鳴を出してしまう。

 

「嘘、嘘、嘘でしょ!?」

 

 銃刀法違反が存在するこの国で銃を通り越して砲を向けられるという経験。普通の学生であったツクヨミには刺激が強過ぎる。

 しかし、時は待ってくれずカッシーンたちのサブアームから光弾が一斉発射される。

 

「いやああああ!」

 

 両手を突き出し、顔を背けるツクヨミ。無数の光弾を前に空しい防御本能。来ないで、と心の中で強く念じる。すると、どういう訳かいくら待っても着弾の衝撃が来ない。

 

「……?」

 

 恐る恐るツクヨミはカッシーンらの方を見る。放たれた光弾がツクヨミの眼前で停止している。そして、それを放ったカッシーンたちもまた停まっていた。

 まるで時間でも停められたかのように動かない。

 

「ど、どういうことなの?」

 

 訳が分からないままツクヨミは状況を確認するように空中で停まっている光弾に触れてみる。光弾は固体のように触れることができ熱さも感じない。ツクヨミは撫でるように手を動かすと光弾はその手の動きに合わせて百八十度回転してしまった。

 

「もしかして……」

 

 ツクヨミは他の光弾も同じように触れる。他の光弾もまた向きを変えられた。

 

「えーっと……そうしたら……」

 

 無我夢中でどうしてこうなったのかは分からないツクヨミだが、こうなる前に来ないでと強く念じたことを思い出し、今度は逆を強く念じる。

 

「動いて……!」

 

 その念が通じたように光弾は動き出し、百八十度方向を転換していた光弾は、吸い込まれるようにカッシーンたちのサブアームの中に戻っていき、カッシーンたちのサブアームを全て破壊する。

 

「ぬう!?」

 

 カッシーンたちの視点からすれば放った光弾が突然向きを変えて自分たちに返ってきたようにしか見えず、彼らの人工頭脳はこの状況に『理解不能』というエラーを示す。しかし、機械兵士故に混乱しながらも体は合理的に動こうとし、遠距離がダメならば再度接近戦に切り替える。

 三叉槍で突進してくるカッシーンたちにツクヨミは反射的に手を振る。

 

「来ないで!」

 

 次の瞬間、三叉槍の穂先が纏めて切り飛ばされた。驚くツクヨミが見たのは、振るった右手から伸びる白色の光刃。

 

「これが私の武器なの……?」

 

 ツクヨミは軽く手を振るう。重さは感じられない。また振っても風切り音は鳴らず、まるで空気を切り裂いているかのようであった。

 先程の現象と光刃。この二つの力を知ったツクヨミは、自分の直感に従いカッシーンたちに左手を突き出す。

 左手から見えない波動が発せられ、カッシーンたちの時間を停止させる。

 

「はあっ!」

 

 ツクヨミは走り出し、通り抜け様にカッシーンたちを光刃で斬り付ける。

 時間停止が解除されるとカッシーンたちは自分たちに何が起こったのか理解する前に爆散した。

 

「私……戦えている!」

 

 嘗ての自分の力を理解し始めたツクヨミは、それに伴い戦いへの恐怖は薄れていき、まだ残っている大量のカッシーンたちに果敢に挑む。

 

 

 ◇

 

 

 今の自分と嘗ての自分との齟齬で戦い方がぎこちないグランドジオウとツクヨミとは打って変わって自分たちの力を完全に把握しているバールクスたちの戦闘は圧倒的なものであった。

 緑の体に甲羅を背負う爬虫類のような見た目の魔化魍、カッパたちがゾンジスに群がる。

 

「ふんっ!」

 

 気迫ある声と共に群がっていたカッパたちはゾンジスの腕力により吹き飛ばされた。それでもゾンジスにしがみつくカッパが一匹居たが、ゾンジスはそのカッパの頭を鷲掴みにすると地面に顔面を叩きつけ、その背中にある頑丈そうな甲羅を一撃で踏み砕く。

 

「非力だ」

 

 カッパの力に不満を漏らすゾンジス。すると、大きな足音がゾンジスに向かってきた。

 顔と腰回りを剛毛で覆った約7メートルはあるだろう巨人。魔化魍のヤマビコは唸り声を上げながらゾンジスを踏み潰す為に片足を上げる。

 

「でかいな……だが」

『J!』

 

 腕のホルダーに填め込まれたライドウォッチが自動的に発動。ゾンジスは右腕を掲げる。腕が緑色に発光し、ゾンジスの腕を媒体として緑のエネルギーで出来た巨大な腕が出現する。その腕の大きさはヤマビコを凌駕していた。

 

「俺の方が、でかい!」

 

 振り下ろされた鉄槌がヤマビコの頭に触れたかと思えば、一瞬にしてヤマビコの姿は消え、次の時にはゾンジスの鉄槌が地面を叩き割っていた。

 

「大地に、還れ!」

 

 巨大な魔化魍よりも大きく、強い力を見せつけたゾンジス。その力強い戦いが行われている同時間、ザモナスが敵の群れの中を泳ぐように通っている。

 頭部と肩が一体化した楕円形の上半身に埋め込まれるようにしてある初級インベスの顔。形は三種類程に分かれており、どれも虚無めいていた。

 

「はいはい。元気だねー」

 

 通り過ぎていくザモナスを爪で引っ掻こうとするが、軽々と避けられザモナス専用のボウガンで反撃されて顔を撃ち抜かれる。

 殆ど遊び感覚のザモナスに爪先一つ触れることが出来ず一方にやられていく初級インベスたち。

 次々と倒されていく中、初級インベスの一体の顔に裂け目ができ、頭部が開いて隠してあった巨大な口と無数の牙が露出する。

 

「へぇー凄いね」

『アマゾンアルファ!』

 

 ザモナスの掌から黒い液体が滴り、固形化して小太刀に変化。

 

「それで?」

 

 ザモナスの容赦の無い小太刀の振り下ろしが初級インベスの口に突き刺さり、そこから股まで一気に切り裂く。

 

「立派な牙と爪を持っているのに使い方がなってないなー……手本見せてあげようか?」

 

 そこに示し合わせたかのようなタイミングで飛んで来たライドウォッチ。ザモナスは方向を見ることなくそれを受け取り、お返しと言わんばかりに腕のホルダーにある自分のライドウォッチを投げ返す。

 

「こっちも相性良いんだよね、俺と」

『シン!』

 

 ゾンジスから渡されたシンライドウォッチのスイッチを押し、シンライドウォッチを起動させる。

 その間に牙と爪を向けた初級インベスが走り寄って来るが、ザモナスは初級インベスが自分の間合いに入った瞬間に掌を振り下ろす。

 走ってきた初級インベスの動きがピタリと止まる。初級インベスの体に縦線が幾つも入ると縦に分割されながら倒れる。

 ザモナスの手。その指先からはさっきまではなかった爪が生えていた。しかも、視認することは出来ない速度で爪は細かく振動している。

 

「俺の爪と牙と君たちの爪と牙。どっちが鋭いか比べっこしてみようか?」

 

 ザモナスの口部が変形し、威嚇するように牙が剥き出しになる。

 入れ替わる形でゾンジスの手の中にザモナスのライドウォッチが収まる。ゾンジスはすかさずそれを起動する。

 

『アマゾンオメガ!』

 

 ゾンジスの脚部にある葉脈のような筋が緑色に発光し、それが地面へと伝わる。暫くして地震のような揺れが起こり、魔化魍たちは倒れまいと踏ん張る。

 揺れが最高潮に達すると地面を下から突き破って現れた何かが魔化魍たちを突き刺した。

 突き刺したものの正体は植物の根。ザモナスの力とアマゾンオメガの力が掛け合わさることで異常成長した植物を操る。

 魔化魍を刺した根は魔化魍を苗床にして急成長する。体内に根を張り巡らせ、やがて魔化魍の体を突き破って芽が出る。芽は瞬く間に枝へと変わり、気付けば魔化魍を幹とした木が幾本も生えている。

 

「大地に、還ったな」

 

 

 ◇

 

 

 バールクスが相手にするのは地球外からの侵略者であるワーム。緑色の骸骨のような見た目をしているが、これらは全て昆虫でいう蛹の状態。

 バールクスが見ている前でワームの何体かが緑色の体を茶色に変色させ、体を高温にする。

 茶色の外皮が熱によって崩れ落ちると全く異なる姿をした成虫のワームとなる。

 脱皮することで蛹のときとは異なる戦闘力と能力を得ることが出来る成虫ワーム。

 バールクスの視界から成虫ワームたちの姿が消える。

 クロックアップ。成虫ワーム共通の能力であり、時間に干渉することで出来る高速移動。

 同じ能力を持つ者しか視認出来ない物理法則を超えた移動能力。バールクスの周囲に数体の成虫ワームたちが動き回る。

 バールクスはその場から動かない。成虫ワームたちの動きが見えていない様子。

 成虫ワームたちはそれぞれ得物を振り上げながら四方八方からバールクスに襲い掛かるが──

 

「どうした? 俺はここだぞ?」

 

 ──バールクスに近付いた途端、成虫ワームたちの動きはクロックアップ時とは真逆に遅くなる。

 ミリ単位でしか動けない成虫ワームたちに囲まれながらバールクスは余裕綽々といった態度で成虫ワームたちを煽る。

 

「ほら、頑張れ頑張れ」

 

 成虫ワームたちがどんなに必死になって動こうとしても体は全く言うことを聞かない。

 

「ふん。俺を相手に時間操作が効くか」

 

 成虫ワームたちの浅はかさを鼻で笑う。時間の流れはバールクスの意のままに動く。アナザージオウⅡの力を使い、成虫ワームたちの時間を逆に遅くした。

 

『ジオウⅡ』

 

 バールクスは更にアナザージオウⅡの能力を発動。成虫ワームたちの動きは逆回しになり、脱皮前までの姿にまで戻される。

 何が起こっているのか分からないままワームたちは再び脱皮を試みるが、そこに飛んでくる二つの光。

 時計盤のような光と回転する白色の光が脱皮する前にワームたちを全て斬り裂く。

 二つの光は旋回してバールクスの方へ飛んで行き、バールクスはそれを難無く受け止めた。

 時計盤の光は時計の長針と短針を柄頭で合体させた両刃剣。白色の光は、黄金の鍔とその中央に風車がある長剣。

 いつの間にか二つの武器を投擲していたバールクス。ワームたちはそれに気付くこともなかった。

 それもその筈、ワームたちはバールクスが投擲したのを見ていない。何故ならばこの武器はアナザージオウⅡの時間改変により既に投擲していた、と過去を書き換えていたからだ。

 殆ど片手間でワームたちを全滅させたバールクスは、グランドジオウの戦いを見物する。だが、すぐに舌打ちをした。

 

「ちっ。ぬるい戦いをしている」

 

 グランドジオウの戦い方が気に入らないらしく、バールクスは両刃剣と長剣を構えた。

 

「俺が手本を見せてやる!」

 

 そう吼え、グランドジオウの戦いに乱入しに行った。

 

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