仮面ライダージオウIF NEXT TIME~ゲイツマジェスティ~   作:K/K

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アナザーゴーダ2022 その2

 ゲイツリバイブ剛烈たちがアナザーディエンドCPと開戦していた頃、アナザーソーサラーが創り出した異空間内では一足先に戦いが始まろうとしていた。

 戦うのはバースとバースXのコンビとアナザーゴーダ。

 

「まるでオーズだな」

 

 バースも知らない三枚のコアメダルで変身したバースXに素直な感想を言う。

 

「ええ。性能もコンボ状態のオーズに匹敵しますよ、これは」

 

 バースXも直接纏っているが故にバースXの性能の高さを実感していた。初戦はアナザーゴーダの能力と相性の悪さで苦戦を強いられていたが、これなら初戦と同じ轍は踏まない。

 二人のバースを半壊した玉座から見下ろしていたアナザーゴーダは、上半身を左右に揺らし、下半身はゼンマイ仕掛けのようなぎこちない前進と、上と下が嚙み合わない動きで玉座から降り始める。

 

「相変わらず趣味の悪い姿だ……」

 

 似ていないオーズの絵が描かれたズタ袋をまた被っているアナザーゴーダを見てバースXは不快感を零す。既に中身を見せているというのにオーズの真似を止めない。

 

「何か拘りでもあるんじゃないの?」

 

 バースはアナザーゴーダの行動を深く詮索するつもりはなく、その言葉で片付けるとバースドライバーにセルメダルを投入する。

 

『CRANE ARM』

 

 右肩の球体パーツが開き、腕から肩部まで覆う機械装甲が転送装着されると、フック状になっているクレーンアームの先端をアナザーゴーダへ飛ばす。

 精密な機械だとアナザーゴーダ相手に故障する可能性があるが、クレーンアームならば接触する箇所に精密機械が内蔵されていない。

 

「その袋、ひん剥いてやる!」

 

 射出されたフックがアナザーゴーダの顔に当たる──寸前にベチャ、という水気を含んだ音と共にフックは弾かれた。

 バースはワイヤーを巻き戻して弾かれたフックを急いで回収する。

 

「何だありゃ?」

 

 アナザーゴーダの手には新たな棒状の袋が握られている。この間の戦いには使用しなかった武器と思わしきものだが、両端を縄で縛られており、側面には剣と思われる下手な絵が描かれている。

 

「……メダジャリバー、のつもりなんでしょうか?」

 

 オーズ専用の武器メダジャリバーを模しているとしたら怒りを通り越してうすら寒いものを覚える。

 中身が中身だけにそのメダジャリバーらしき物体は持ち手辺りから真横に折れている。そして、クレーンアームを防いだせいか先端部分からは黄土色の液体が滴っていた。何よりも時折蠢いている。

 

「……俺、別に虫とか苦手じゃないけど何だか苦手になっちまいそうだ」

「……気が合いますね。俺はもう苦手になってきましたが」

 

 存在や行動などの一々が気色悪いアナザーゴーダにバースもバースXも苦手意識を抱き始める。

 

「やっぱ、ちまちまやってちゃこの前の二の舞だな。ここは全力で行くか! ──ということで後藤ちゃん」

 

 バースはバースXにバースバスターを投げ渡す。

 

「ちょっと時間稼いでくれね?」

 

 拝むポーズでバースが頼むと、バースXは溜息を吐いた後にバースバスターを肩に担ぐ。

 

「いいですけど、早くしないと全部俺がやってしまいますよ?」

 

 バースXは軽口を言った後、バースバスターを構え銃撃しながらアナザーゴーダに接近する。

 

「頼もしいねぇ」

 

 バースXの背中を見ながらバースは新たなセルメダルをバースドライバーへ投入する。

 バースバスターから撃ち出されるメダル型の光弾。アナザーゴーダは光弾に対してメダジャリバー擬きで防ごうと構える。しかし、クレーンアームの時とは違い、質量の無いエネルギー体であった為、メダジャリバー擬きは容易く貫通され更にはアナザーゴーダの体に命中し二枚抜きをする。

 水気を含んだ着弾音と同時にアナザーゴーダの体がビクンと跳ねるが、アナザーゴーダはメダジャリバー擬きを構えたまま特にダメージを気にしない。

 バースXは続けて数発光弾を撃つが、アナザーゴーダは同じようにメダジャリバー擬きで防ごうとし、失敗して体を撃ち抜かれる。

 

「──やはり効果は薄いな」

 

 複数の穴が開いたアナザーゴーダ。しかし、風穴が開いても特に動きが変わった様子はない。空いた穴からは黄土色の体液が零れ出ており、そこから中身のアリ、ハチ、ムカデが這い出てアナザーゴーダの体を這い回る。

 

「あー、気持ち悪ぃ」

『DRILL ARM』

『CATERPILLAR LEG』

 

 バースはアナザーゴーダに嫌悪感を露にしながら次々とバースの武装を転送していく。クレーンアームの先端のフックはドリルに置き換わり、膝まで覆うキャタピラが両脚に装着される。

 アナザーゴーダは虫の群体。一匹一匹は非力でバースバスターの光弾で呆気なく潰せるが何千、何万の虫のほんの一握りが潰された程度ではアナザーゴーダに支障をきたすことはない。

 バースXもそれは分かっている。故に今のバースバスターで撃ったのは牽制に過ぎない。

 バースXはもう一度バースバスターでアナザーゴーダを撃つ。複数の光弾がアナザーゴーダを貫くが、アナザーゴーダは平然としている。

 バースXは適当に光弾を散らしてアナザーゴーダの油断を誘い、守りが疎かになった瞬間にバースバスターで初めて狙い撃つ。

 狙い撃たれた光弾は、アナザーゴーダの腹部中央へ正確に飛んで行く。このまま命中かと思われたが、今まで回避行動しなかったアナザーゴーダが突如弧状に体を変形させ、その光弾を避ける。

 ある箇所にのみ反応する防衛本能。前回の戦いで気付いていたが、アナザーゴーダの今の行動で確信する。

 

「流石に本体を攻撃されるのは怖いか?」

 

 アナザーゴーダの腹部に止まる頭はムカデ、胴体はハチ、腹部はアリの虫のキメラ。不死身のような群体の体を持つアナザーゴーダの唯一の弱点。無意味な攻撃を囮にして本体を撃つつもりであったが、やはり一筋縄ではいかない相手である。

 バースXは変形したアナザーゴーダの体を狙ってバースXはバースバスターを連射する。アナザーゴーダは体を再び変形させて回避しようとするが、バースバスターの光弾はその動きに合わせて撃つタイミングと狙いを変え、殆ど外すことなくアナザーゴーダに命中させる。

 避けても避けても避け切れずに光弾は命中し、やがてアナザーゴーダが被っていたオーズの袋を裂けさせる。

 袋の下からムカデ、ハチ、アリが蠢く相変わらず悍ましい体が現れた。アナザーゴーダの本当の姿を晒したバースXであったが、それを見てバースバスターを撃つのを止める。

 

「いない?」

 

 腹部にいる筈の虫のキメラの姿が見当たらない。だが、バースXはすぐに察する。

 

(弱点を狙われていると分かっていて放置しない程度には知恵はあるということか)

 

 バースXに狙われないように死角に隠しているか、或いはアナザーゴーダの体内に潜ませているか。どちらにせよバースXに簡単に狙われないようにしている。

 

「なら探し当てるだけだ!」

 

 バースXはバースドライバーXのスロットからエビメダルを抜き、再びスロットに入れハンドルレバーを回す。

 

『EBI LEG!』

 

 バースXの脚部に転送されたパーツが装着される。膝下まで覆う橙色の甲殻を模した装甲。エビメダルの力を宿したエビレッグを付けたバースXは前傾姿勢をし、すぐさまその能力を発動。

 脚部側面に付けられたシリンダーが稼働し力を溜め込む。十分な力が溜まると、溜められた力が一気に解放され、足裏に仕込まれたジャッキが地面を強く突く。

 地面を突いたことによる反作用で前方に高速で跳んだバースXは、速度を殺すことなくアナザーゴーダに膝蹴りを打ち込んだ。

 速度と重量を掛け合わせたことで生み出される膝蹴りの破壊力。アナザーゴーダの体表は衝撃で波打ち、表面部分の虫たちは絶命していく。

 しかし、どれだけ威力があったとしても群体のアナザーゴーダには効果が薄い。衝撃も表面部分の虫たちを通じて外に逃げてしまう。

 尤も、それはバースXも理解している。バースXの本命は膝蹴りではない。

 バースXはすかさずハンドルレバーを回す。

 

『EBI CORE BURST!』

 

 エビメダルの力がエビレッグに流れ込み、次の瞬間に橙色の衝撃波と共にエビレッグの装甲が弾け飛ぶ。パージされた装甲は指向性を持っており、それが音速を超える速度で飛んでアナザーゴーダの体を貫いた。

 衝撃と飛散する装甲による二重攻撃でアナザーゴーダの体は一瞬でズタズタになる。体を構成する虫たちの多くは潰され、特に胴体部分は大きく抉られているような形になっており、滴る大量の体液で地面が濡れる程。だが、アナザーゴーダがまだ動いている。

 バースXは追撃を緩めない。エビレッグはまだ片方残っている。

 

「はあっ!」

 

 アナザーゴーダの頭部に打ち込まれてバースXのフライングキック。再びエビレッグの装甲は脱皮するように弾け、アナザーゴーダの頭部を吹き飛ばした。

 

「どうだ!?」

 

 アナザーゴーダの体を大きく吹き飛ばしたバースXは、アナザーゴーダがどうなっているのか確認する。

 頭部を失ったアナザーゴーダはそのままよろよろと後退し、仰向けに倒れる──かと思われたが、寸前の所で踏み止まった。

 アナザーゴーダの体が激しく震え出すと膨張するように内側から新たな虫が這い出し、欠損した箇所を埋める。

 

「仕留め損ねたか……!」

 

 あれだけ攻撃したのに失敗してしまったことに仮面の下で歯ぎしりをする。恐らくアナザーゴーダ本体は群体の中に身を隠しながら一点に留まらず常に動き回って攻撃を避けているのだろう。狙いをつけらずに大まかに攻撃するしかないバースXの命中率は低い。避け続けて攻撃が中断されれば、一気に増殖する。単純ながらも厄介な相手である。

 失った数をすぐに補填したアナザーゴーダは、両腕を前に突き出す。腕を形成しているハチたちが一斉に飛び立ち、群れとなってバースXへ襲い掛かろうとする。

 バースXもドライバーのコアメダルを抜き、新たな武装を展開しようとするが間に合わない。

 その時──

 

「お待たせ! 後藤ちゃん!」

 

 バースの声と共に高速回転するドリルが横薙ぎに払われる。ドリルの回転に触れるだけでハチたちは引き裂かれ、跡形もなくなる。ドリルはワイヤーが繋げられており、ワイヤーが蛇のように動くとドリルもそれに連動して軌道を自由自在に変える。

 

「おりゃおりゃおりゃ!」

 

 ハチ以上に縦横無尽に空中を動き回るドリルによりアナザーゴーダが放ったハチの群れはあっという間に全滅してしまった。

 地面を削り取るような音を鳴らしながらバースXの隣に並び立つバース。その全身は武装されていた。

 両脚にはキャタピラレッグ。背部にはカッターウィング。左手にはショベルアーム。胸部にはブレストキャノン。そして、掲げた右腕はクレーンアームであり、そこにハチを一掃したドリルアームが戻って来る。

 フル武装したバースの形態バース・デイ。準備までに時間が掛かるので単独で運用するのは非常に難しいが、バースXが時間を稼いでくれたお陰でようやく完了した。

 バース・デイになったことにより常時赤く発光するU字型のバイザーをバースXに向ける。

 

「ご苦労さん」

「いきなり美味しい所を持っていくのはズルいですよ」

「何言ってんの。あんなのは前座前座」

 

 互いに軽口を言い合うバースXたち。戦力が一人増えただけに過ぎないが、二人からすればそれ以上であり、横にいるだけで負ける気がしなくなる。

 アナザーゴーダは体を震わせ、今度はムカデ、ハチ、アリを一斉に放つ。地面は黒い絨毯のように密集するムカデとアリ。空中は黒雲と見間違いそうになる程のハチの塊。

 

「後藤ちゃん! 今度は俺が時間を稼ぐ!」

「頼みます!」

 

 バースXは抜き取っていたカニメダルをバースドライバーXに装填。

 

『KANI ARM!』

 

 バースXの右腕部に武器が展開されている間、一気に押し寄せてくる虫の大群をバース・デイが食い止める。

 

「うおらぁぁぁ!」

 

 胸部のブレストキャノンから光弾を連射して地面のムカデ、アリを吹き飛ばし、空中のハチはワイヤーで伸ばしたドリルアームと背部から飛ばしたカッターウィングで落としていく。

 バースの時以上の火力で虫たちを蹴散らしていくが、虫たちの大群は無尽蔵かと思うほどの量でバースの火力を上回ろうとする。

 

「後藤ちゃん! まだ!」

「準備出来ました!」

 

 その声の後に次々と放たれる光弾。乱回転するメダル型の弾は虫たちの大群を消し飛ばしていく。

 バースXの右腕部。そこにはカニに爪を持した二又に分かれたピンク色の装甲と中央に砲身が備わった武器──カニアームが武装されている。

 

「一気に行きますよ」

「あいよ!」

 

 バースXとバース・デイは同時にハンドルレバーを回す。

 

『KANI CORE BURST!』

『CELL BURST』

『シュート!』

 

 カニアームとブレストキャノンから単発の光弾とは違う一条の光線が発射され、照射された虫たちの大群は一気に焼き払われる。

 二本の光線は虫たちの大群を突き破り、その奥に立つアナザーゴーダの体を貫いた。高熱の光線に貫かれたアナザーゴーダの体は瞬く間に炎上。虫たちは鳴き声を上げながら燃え尽きていった。

 




エビレッグ……エビレッグ!?と最初全く能力が思いつきませんでした。
エビの動きと脱皮要素からこのような能力にしました。
サソリもカニも脱皮しますけどね。
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