仮面ライダージオウIF NEXT TIME~ゲイツマジェスティ~   作:K/K

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ゲイツの話に戻るのは何カ月になるでしょうね。
サイドストーリーなのに書きたい場面が多過ぎてしまいます。


アナザーブラッド2018 その4

『おうおう。中々住み心地が良いじゃねぇか、万丈』

「頭の中で騒ぐな!」

 

 エボルXと合体した新たな姿──クローズエボルMAX。体の主導権は万丈にあるが、先程のように頭の中でクローンエボルトの声が普通に聞こえてくる。

 

『おっと。奴の拘束が解けるぞ』

 

 その言葉の直後に錠前と鎖が弾け飛び、アナザーブラッドが解き放たれる。自由を得て早々にアナザーブラッドの首は二つに分かれ、毒液と蒼炎を塊にして連続して出す。

 

『来たぞ、避けろ』

「いちいち指図するな!」

 

 言われなくとも分かっているのでクローズエボルMAXは毒液と蒼炎の隙間を縫うように躱す。

 毒液の飛沫や蒼炎の火の粉がクローズエボルMAXにかかってくるが、彼が纏う高熱の炎は触れる前に全て焼き尽くしてしまう。

 

『回避いいけど攻撃もなー』

「分かってるっつーの!」

 

 クローズエボルMAXは右手に持つクローズマグマナックルで正面から来た毒液、蒼炎目掛けて拳を繰り出す。クローズマグマナックルが発する高熱の炎は毒液と蒼炎をその熱で打ち消し、本体まで届こうとするが危険を察知したアナザーブラッドは開いた鋏の形をした翼で急上昇して炎を躱す。

 クローズエボルMAXの炎が通過した後は、地面が飴細工のように溶け出している。

 

『避けられちまったぞー。それだけじゃなくてあれも出せ、あれも』

「あれってどれだよ!」

『これだよ』

 

 クローンエボルトの意思でクローズエボルMAXの左手が勝手に掲げられる。すると、光が放たれ、その左手に武器が装着される。

 

『ツインブレイカー!』

 

 突如として召喚されたツインブレイカー。本来ならクローズチャージ時の武器なのだが、クローズエボルMAXの能力により生成される。

 

「ツインブレイカー! 出せるのか!?」

 

 右手にはクローズマグマナックル、左手にはツインブレイカー。打撃武器の二刀流にテンションを上げるクローズエボルMAXだが、ふとある疑問を覚える。

 

「……お前、何でツインブレイカーのこと知ってるんだ?」

 

 見せた記憶のない武器を生成したクローンエボルトにその疑問をぶつける。

 

『そりゃあ、お前の記憶を覗いたからな』

「俺の記憶を!? 勝手に覗くなよ!」

『偶然だよ、偶然』

 

 記憶の覗き見というプライバシー侵害レベルではない行為にクローズエボルMAXは怒鳴るが、クローンエボルトは惚けている。

 

「お前……まさか、これ以外の記憶を見ていないよな?」

『……みてないぞー』

 

 嘘しか感じない白の切り方。クローズエボルMAXは追求しようとするが──

 

『余所見すんなー。来てるぞ!』

 

 ──クローンエボルトの声の通り、アナザーブラッドがこちらに突っ込んで来ているのが見え、追求は一旦後回しになる。

 アナザーブラッドは両足をシマウマの蹄に変えて突進してくる。

 

「おらぁ!」 

『あ、おい』

 

 迎え撃つクローズエボルMAXはクローズマグマナックルを突き出す。爆炎の塊がクローズマグマナックルから放たれるが、その直前にクローズエボルMAXは待ったを掛けていた。

 爆炎がアナザーブラッドに命中する直前、アナザーブラッドの姿が消える。

 

「消えた!?」

 

 巨体が一瞬で姿を消したことに驚く。

 

「何処だ!? 何処にいった!?」

 

 左右を確認した後、上空を確認するがアナザーブラッドは見つからない。

 

『はぁ……』

 

 クローンエボルトの呆れを存分に含んだ溜息が聞こえる。

 

『鈍いなぁ、お前は。そんなと探しても見つかる訳ないだろうが……』

「じゃあ、お前は分かってんのかよ!?」

『当たり前だろ?』

 

 自分の中のクローンエボルトとギャアギャアと言い争っているせいでクローズエボルMAXは気付けなかった。地面から赤い液体が滲み出ていることに。

 

『奴は見ての通り液体の体だ。さっきの攻撃も体を一瞬で平面にして地面の罅から地中へと逃げたんだよ』

「地中に? ならあいつは下にいるのか!」

『ああ──俺たちの真下にいるぜぇ』

 

 クローンエボルトに言われ、クローズエボルMAXが下を向いた時、地面は赤い液体で覆い付くされようとしている。

 

「うおっ!」

『飛ぶぞ、万丈』

 

 クローンエボルトに意思に反応してクローズエボルMAXは宙へ上がる。アナザーブラッドである赤い液体が接触するより一瞬早く。

 十数メートルの高さまで移動するとクローズエボルMAXの上昇は止まり、見えない足場の上に立っているかのようにその場で留まる。

 クローズエボルMAXが見下ろして先には大きく広がる赤い液体。不思議なことにその液体に見られている感覚があった。

 

『──仕掛けて来るぞ』

「分かってる!」

 

 見られているという感覚だけではない明確な敵意、そして攻撃する意思も感じ取っている。それの感覚が正しいと照明するように赤い液体の表面がボコボコと泡立ち始めた。

 

『派手にかましてやれ』

 

 クローズエボルMAXは空中でクローズマグマナックルとツインブレイカーを構える。すると、ボトルが転送され自動的に二つの武器のスロットに挿される。

 

『ボトルバーン!』

『シングル! ツイン!』

 

 クローズマグマナックルにはドラゴンマグマフルボトルが、ツインブレイカーの二つのスロットにはコブラエボルボトルとライダーエボルボトルが装填される。

 二つの武器にボトルのエネルギーが充填された状態から更にビルドドライバーのハンドルを回す。

 

『ウノ!』

 

 エボルXフルボトルの力が活性化し、その力がクローズエボルMAXの全身を巡る。

 

「おおおおおおっ!」

 

 クローズエボルMAXは衝動のままに胸の前でクローズマグマナックルとツインブレイカーを打ち付け合う。

 クローズエボルMAXが纏う炎が勢いを増し、その火力によって更に上昇。

 地面の赤い液体から生えて来るドラゴンとコブラの頭部。人など簡単に嚙み砕くか丸吞みに出来そうな大きさをしており、それらが無数に出てくる。ドラゴンとコブラの頭は、上昇するクローズエボルMAXを追って首を伸ばす。

 炎の尾を残しながら急上昇するクローズエボルMAX。それを追い掛けるドラゴンとコブラの首の群れ。

 クローズエボルMAXはある高さまで辿り着くと、そこから急反転して今度は落下し始める。

 

「うおおおおおっ!」

 

 叫ぶクローズエボルMAXを包み込んで燃え盛る炎。すると、そこから散った火の粉が形を変え、龍状の炎と化す。

 クローズドラゴン・ブレイズと呼ばれるエネルギー体は、フルボトルの成分を変換して召喚されるのだが、通常時は蒼炎なのだがドラゴンマグマフルボトルの成分を使用しているので橙に燃える流体の龍──マグマライズドラゴンに変化していた。

 しかも、クローズエボルMAXになったことによりエネルギーが有り余っているせいか通常時は八体ものマグマライズドラゴンが召喚される筈が一体増えて九体となりクローズエボルMAXと共に落下している。

 

「いけぇぇぇぇ!」

 

 九本の頭を持つドラゴン或いは蛇。それは伝説上の怪物であるヒュドラを彷彿させる。クローズエボルMAXとなったことでマグマライズドラゴンは、マグマライズヒュドラへともう一段階変化を起こしていた。

 クローズマグマナックルを突き出すと、マグマライズヒュドラはクローズエボルMAXを追い抜いていく。

 待ち構えるアナザーブラッドの頭部たち。マグマライズヒュドラがそれらと接触し、呆気なく返り討ちにする。

 拮抗すらなかった。アナザーブラッドの頭部がマグマライズヒュドラに触れると一瞬にして蒸発させられた。猛毒のように相手を溶かす熱を持つマグマライズヒュドラを防ぐには貧弱過ぎる。

 立ち塞がるものを全て消し飛ばし、落下する先の障害はなくなる。

 クローズエボルMAXは今度はツインブレイカーを振り上げる。今のクローズエボルMAXは左右どちらも必殺の一撃。本命も牽制もない。直撃すればすぐさま決着が付く。

 クローズエボルMAXを倒す為に伸ばしていた頭部を全て失ったアナザーブラッド。赤い液体のまま地面に潜り込んでここから離れようとする。

 

「もう止まらねぇぞぉぉぉぉぉ!」

 

 着地と同時にツインブレイカーのパイルが地面に突き立てられた。

 

『ボルケニック』『エックスブレイク!』

 

 突き立てられたパイルを中心にして広がるエネルギー。青い円の中を星々のような白光するエネルギーが浮かぶ。それはさながら星雲であった。

 ツインブレイカーのパイルが回転すると星々が回る。回る速度は徐々に加速していき、星々の光が残像となって白い線となっていく。

 白い線が青い円の中で何重にも描かれたとき回転は最高速度に達し、パイルの中心に黒い穴が生じた。

 それは光すらも呑み込むブラックホール。ツインブレイカーの先端に生じた小さなブラックホールが出現した瞬間、一瞬にしてあらゆる物が呑み込まれ、直径数百メートルに達するであろう大穴が地面に開く。

 立っていた地面が一瞬で消失する中、クローズエボルMAXは自身の能力で空中に立っていた。そして、自分が起こした現象に驚いたように周囲を見回す。

 

「何だこりゃあ……危な過ぎだろ……」

 

 人のいない空間であったことがつくづく幸運であったことを実感する。とてもじゃないが人が近くにいる場所では使えない。

 

『使う前に知れて良かったなぁ』

 

 クローンエボルトは威力と万丈のリアクションを愉しんでいる。この反応の差を見る限り、クローンエボルトが仮面ライダーに至るにはまだまだ直す点が多い。

 

『こうなりゃとことん知ろうじゃないか? 俺たちのベストマッチをよぉ』

 

 クローンエボルトの意識がある方向に向けられていることに気付き、クローズエボルMAXもそちらに視線を向ける。

 

「あいつ……!」

 

 綺麗に抉り取られた地面の断面から染み出す赤い液体。アナザーブラッドの体の一部に間違いない。

 

「あの攻撃から逃げ延びたのかよ!」

『というよりも俺たちが消したのは奴の一部だったみたいだな。中々用心深い奴だ』

 

 先程攻撃していたのはアナザーブラッドの肉体の一部。地面に潜み、伸ばした部分をあたかも本体のように見せていた。攻撃の規模からまんまと騙されてしまった。

 全体を消滅させない限りはアナザーブラッドは何度でも復活する。倒すには完全消滅しかない。

 

『良かったなぁ、万丈。ここが閉鎖された異空間で』

「あん?」

『おかげでもっと派手にやれる』

 

 クローンエボルトに動かされ、クローズエボルMAXは両手を左右に広げる。

 

『ビートクローザー!』

『ライフルモード!』

 

 右手に握られるビートクローザー。左手にはストック部分を持たれ、長剣のように扱われるトランスチームライフル。

 

『まだまだ玩具があるじゃねぇか』

 

 ビートクローザーの鍔にあるスロットに指を入れて回し、言葉通り玩具にするクローンエボルト。

 

「だから遊ぶなっつーの!」

 

 体の主導権を取り戻してビートクローザーを握り直すクローズエボルMAX。ちょくちょく体の勝手に動かされる。それがプラスに働けばいいが、今のように危なっかしいこともするので気が休まらない。

 

『はいはい、分かったよ。でもよぉ、これでも色々学んでいるつもりなんだぜ?』

「愉しんでいるか、遊んでいるようにしか見えねえんだよ……」

『勉強ってのは愉しんだり、遊んだりして覚える方が捗るってもんだ』

「屁理屈言いやがって……」

 

 口では勝てないのは分かっているが、何か言い返さないと延々と喋り続けるような気がするので何とか反論を絞り出す。

 

『ほれほれ。地面に潜んでいる奴を引きずり出すぞ』

「ああ、もう! うっせ! うっせ!」

 

 頭の中で喋られることにストレスを感じながらそれを掻き消すようにクローズエボルMAXは叫ぶ。すると、ビートクローザーとトランスチームライフルのスロットにフルボトルが転移、装填される。

 

『スペシャルチューン!』

『コブラァ』

 

 ビートクローザーにはグレートドラゴンエボルボトル。トランスチームライフルにコブラエボルボトル。武器にフルボトルを装填した状態でハンドルを回す。

 

『ウノ! ドゥーエ!』

 

 ビートクローザーとトランスチームライフルの刃が蒼、赤、碧の順に点滅していき、最終的に全ての色をごちゃ混ぜにした混沌の黒と化す。

 

『クローズ』『エボル』『ナイトメア!』

 

 ビートクローザーとトランスチームライフルが交差するように振るわれ、X字型の黒い斬撃が飛ぶ。しかも、その斬撃は一度では止まらず目にも止まらぬスピードで繰り返され、X字が連なりあい菱形の網目となって広範囲に拡がった。

 黒い菱形網目が地面に触れると音もなく沈んでいく。斬撃の正体は線状のブラックホール。触れればその箇所は消滅する。

 斬撃というよりも最早分断である。ただし、断面同士が揃うことはない。線の部分がこの世から消されているので。

 地面が菱形に区切られる。しかも、菱形と菱形の間にある溝は底が見えないぐらい深く、落ちれば文字通り奈落の底である。

 

『ブラーヴォ! こいつも良い威力だ!』

 

 自身が生み出した結果に満足するクローンエボルト。クローズエボルMAXが文句を言おうとするが、その前にクローンエボルトが先に喋る。

 

『こいつは実験さ、実験。俺と相棒が手を組んだらどうなるかってのなぁ。実践する前に知れて良かったなぁ?』

 

 クローンエボルトの言う事は腹は立つが、一理あるとも思ってしまう。これから万丈はこれの手綱を握られなければならない。今のクローンエボルトがどれだけ危険なのかを把握しておく必要がある。そういう意味ではアナザーブラッドと自分しか存在しない隔離空間で最初に戦えたのは運が良いのかもしれない。

 

『おおっと。お相手さんがやばくなって出て来たぞ』

 

 菱形網目の溝から弱々しい動きで這い出て来るアナザーブラッド。巨体が大分縮んでおり、形も維持出来ないのか赤い液体の塊のような見た目になっている。

 

『さぁて、フィナーレと行こうじゃねぇか、相棒』

「相棒呼びは本当に止めろっ!」

 

 持っていた武器を手放し、ビルドドライバーのハンドルを限界まで回す。

 

『ウノ! ドゥーエ! モーガミ!』

 

 クローズエボルMAXの前方に出現する星座早見表に酷似したエネルギー。

 

『よっと』

「うおらっ!」

 

 クローズエボルMAXはそれをアナザーブラッド目掛けて蹴り飛ばす。飛ばされた円形のエネルギーは、アナザーブラッドに触れた瞬間に立体となり星座が映される球体でアナザーブラッドを閉じ込める。

 空中から急降下するクローズエボルMAX。その最中に両足を前に突き出す。

 両足を覆うエネルギーが蒼、橙、翠、赤、紺、金、黒と様々な色が混ざることなく光る。

 クローズエボルMAXの両足によるキックが球体に触れた瞬間、一瞬だけ時間が静止しクローズマグマとエボルXの幻影が左右に現れる。

 

「これがデビュー戦だ。仮面ライダーエボルXをよろしくぅ!」

「仮面ライダー名乗るには十年早ぇよ。お前なんて見習いだ、見習い!」

 

 幻影はクローズエボルMAXと重なり合い、球体を貫く。

 

『クローズ』『エボル』『マ』『ックスフィナーレ!』

 

 アナザーブラッドに打ち込まれた膨大なエネルギーにより太陽を彷彿とさせる光球を生み出すが、超高熱が発せられる前に周囲の球体が即座にブラックホールと化し、アナザーブラッドも光球も爆発も音すらも全て吞み込んで完全消滅させてしまう。

 静寂の中、決着を告げるクローンエボルトの声が響く。

 

『チャーオー』

 

 アナザーブラッドをようやく倒し、変身解除の為にエボルXフルボトルを抜く。

 人の姿に戻る万丈。そして、気付く。

 

「あれ? あいつ何処行った?」

 

 周囲を探しすがエボルXもクローンエボルトも見当たらない。

 

『何処探してんだ? ここだよ、ここ』

 

 クローンエボルトの声が聞こえる──万丈の頭の中から。

 

「おまっ!? 何処に居んだよ! さっさと出てけっ!」

『いやぁ、何か居心地の良くてなぁ。しばらくの間、ここに住まわせてもらう』

「はぁぁぁぁ!?」

 

 クローンエボルトのまさかの言葉に万丈は声を大にして驚く。

 

「ふざけんなっ! 何で俺がお前と一緒に!」

『仮面ライダー見習いとしてお前を通してラブ&ピースの勉強をさせてもらうぜぇ。これからもよろしくぅ! 万丈せ・ん・ぱ・い』

 

 それっきりクローンエボルトは黙ってしまい、万丈がいくら呼び掛けても返事をしない。

 万丈は途方に暮れ、天を仰ぐ。

 

「戦兎に何て言やいいんだよぉ……」

 

 

 




因みにクローズエボルが素手主体なのでクローズエボルMAXは武器主体の戦い方にして差別化しました。
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