仮面ライダージオウIF NEXT TIME~ゲイツマジェスティ~   作:K/K

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最初のアナザーライダー登場回です。


アナザーオーズ?2022

 顔見知りの二人が自分と同じように変身した。その現実にツクヨミと精神を多大に消耗している景都も驚愕する。

 そんな二人の前でカッシーンに真っ先に飛び掛かったのは伊達の変身した仮面ライダーバース・プロトタイプことプロトバース。

 助走からの跳躍。その勢いのまま閃光の如き膝蹴りをカッシーンの顔面に叩き込む。

 

「しゃあっ!」

 

 初手から綺麗な一撃が入りプロトバースは会心の声を上げながらすかさずカッシーンの頭部を両腕で締め上げ、ヘッドロックを掛ける。

 最初の膝蹴りで顔面に大きなダメージを受けたカッシーンは、プロトバースのヘッドロックによる締め付けで顔面に罅が生じる。

 

「伊達さん!」

「よっと」

 

 後藤が変身した仮面ライダーバースの掛け声でプロトバースはヘッドロックを解除。そこにバースが両手で構えた携行火器──バースバスターからメダル型光弾が発射。破損しているカッシーンの顔に正確に命中させる。

 

「ナイスショット! 後藤ちゃん! うおりゃ!」

 

 顔を押さえて悶えているカッシーンにプロトバースの後ろ回り蹴りが炸裂。無防備だったカッシーンはボールのように軽々と蹴り飛ばされる。

 

「せ、先生……それに後藤さん……一体何者なんだ……?」

 

 カッシーンを追撃しようとしていたバースたちは景都の問に足を止める。

 

「俺たちか? 俺はお前の主治医だよ。んで後藤ちゃんは偉い人のボディーガード。まあ、この姿の時はこう呼んでくれ」

 

 景都たちへ気軽にハンドサインを送りながら──

 

「仮面ライダーバースだ。よろしく」

「同じく仮面ライダーバースだ」

「仮面ライダー……?」

「どっちも同じ名前じゃない……」

 

 仮面ライダーという呼称とバースとプロトバースの違いを知らない二人は困惑してしまう。

 

「ちぃ!」

 

 カッシーンは舌打ちをするとバースたちに背を向けて走り出す。

 

「おい! 逃げんのかよ!」

「追いますよ!」

 

 カッシーンを追ってバースたちも走り出す。

 目まぐるしい状況の変化に追い付けず見送る訳が分からないまま立ち尽くしたままバースたちを見送ることしか出来ない景都とツクヨミ。

 

「変身したのは良いがあの情けない戦いは嘆かわしい」

 

 急に聞こえて来た声にツクヨミが警戒しながら振り返る。ウォズが『救世主伝説』と書かれた本をペラペラと捲りながらそこに居た。

 

「ウォズさん! 一体何処に行っていたのよ!?」

 

 急に姿を消し、また急に現れたウォズにツクヨミは思わず声を荒げてしまう。

 

「我が救世主を狙う不届きな輩がいないか周りを確認しに行っていたのさ。しかし、入れ違いでまたカッシーンが来るとは思っていなかった。タイミングの悪さについては素直に詫びよう」

 

 ウォズが謝罪するが、ツクヨミにはいまいち本気で言っているように感じられなかった。

 最初に会った時から感じていたのだが、ウォズの言動は芝居がかったもので、それに反してその言動から通して伝えてくる感情が薄いのだ。

 ウォズはツクヨミの疑念の視線を断ち切るように『救世主伝説』を閉じる。

 

「この本によれば柔道の道を諦めた明光院ゲイツは救世主の道を歩き出す、とある」

「ゲイツ? 明光院君の名前は景都よ?」

「おっと失礼」

 

 ツクヨミが名前の違いを指摘するとウォズは薄ら笑いを見せながら軽く謝る。しかし、悪びれた様子は無い。寧ろ、間違いを指摘したツクヨミを嘲笑するような含みのある態度であった。

 

「しかし、彼が救世主の道を歩むのは何も彼だけの問題じゃない。そうでなければ彼の親友である常磐ソウゴが最低最悪の魔王としてその名を轟かせることになる」

「常磐ソウゴだと……?」

「何で常磐君の名前が出て来るの……?」

 

 思いもよらない人物の名がウォズから出され、二人は動揺する。

 

「そんな……常磐君は王様になりたいって言っているけど魔王になんか……」

「ああ……あいつは……うっ!」

 

 その時、景都の頭に流れる光景。荒廃した世界、最低最悪の魔王、対峙する自分。覚えのない筈の記憶が蘇る。

 

「何だ……これは……!?」

 

 初戦闘による多大なストレスに加え、ビビルアーマーによる精神力の消耗。そこに追い打ちのように脳裏に浮かぶ記憶にない光景。

 積み重なった精神的疲労により景都の精神が限界を迎えてしまい眠るように気絶してしまう。

 

「明光院君!? 明光院君!」

 

 気絶してしまった景都にツクヨミは焦ったように何度も何度も名前を呼び掛ける。そして、ウォズは当然のようにまた何処かへ行ってしまった。

 

 

 ◇

 

 

 カッシーンを追い詰めるバースたち。

 

「逃がすかよ」

 

 プロトバースはバースドライバーに新たなセルメダルを投入し、ハンドルレバーを回す。

 

『CRANE ARM』

 

 プロトバースの右腕に埋め込まれている球体パーツが展開し、分解されていたパーツが転送されると同時に再構築されると手の先から肩部までが重機のクレーンような装甲で覆われる。

 手の先にはフック。腕部は四角柱の金属で覆い、肩には突き出るようにシリンダーやウインチなどが付いた機械部となっている。

 戦局に合わせて換装する戦闘支援ユニット『バース・CLAWs』。これこそがバースの特性である。

 

「おらっ!」

 

 クレーンアームと化した右腕を突き出すとフック部分が射出される。ワイヤーで繋がったフックは逃走中のカッシーンの背中を強打した。

 

「ぬおっ!?」

 

 突然の背面からの衝撃にカッシーンは転倒する。

 足止めに成功したプロトバースはワイヤーを伸ばしたままフックを回転させ遠心力をつけると再びカッシーン目掛けて振り下ろす。

 

「させん!」

 

 うつ伏せになっていたカッシーンが体を捻りながら起こすとその手に三叉の槍が握られており、その槍でフックが弾かれる。

 

「うおっとっと」

 

 フックが弾かれた拍子にその方向へプロトバースの体が流れる。大きな隙が生まれるが、すぐにその隙はバースによって埋められる。

 

「はあっ!」

 

 バースバスターの光弾がカッシーンを狙う。カッシーンはそれを槍で防ぎながら背中に収納していたクローアームを展開し、お返しと言わんばかり先端から光弾を撃ち返してくる。

 バースはバースバスターで光弾を撃ち落としていくが数発射線が変わり、バースたちの足元に着弾し地面が破壊されて土煙が舞う。

 

「うおっ! 見えん!」

「くっ!」

 

 バースたちの視界を遮る白色の土煙。好機と言わんばかりにカッシーンは攻める。

 

「消え失せろっ!」

 

 土煙目掛けて光弾を連射する。カッシーンから二人の姿は見えないが、二人からもカッシーンの姿は見えない。乱射すれば何発かは命中すると踏んでの攻撃。

 ただの相手ならカッシーンの考えは正しい。しかし、相手は何度も修羅場を生き抜いてきた歴戦の戦士なのだ。

 

『CUTTER WING』

 

 土煙を突き破ってバースが真上に飛翔。その背中には飛行機のような両翼が装着されてある。

 バースが上空へ飛んでのを見てカッシーンの視線が上を向く。すると、今度はクレーンアームのフックが伸びてきてカッシーンの両足を縛り付けた。

 土煙が晴れると身を低くしているプロトバース。バースもプロトバースもカッシーンの次なる行動を読んでいたのだ。

 

「ぬううう!」

 

 両足を頑丈なワイヤーで巻かれているせいでカッシーンは身動きが取れず、また倒れないように必死にバランスを保とうとする。結果としてカッシーンはその場から動けなくなる。

 そこに飛んで来るバース。バースバスターでクローアームの間接部分を狙って発射。光弾は見事に間接部分に着弾し、クローアームの片方が火花と煙を上げて機能停止。そのままカッシーンへ突っ込んでいくとすれ違いざまにカッターウィングの刃同然の翼でカッシーンのクローアームのもう片方を切断する。

 クローアームを両方使用不能にされ、カッシーンは呻く。

 バースは空中で急速反転してカッシーンの背後へ回り込む。そして、カッシーンに再度突撃しながら姿勢を変えて両足を前方に突き出した。

 

『CATERPILLAR LEG』

 

 転送されたパーツが膝まで覆う重装甲となる。足裏には履帯が仕込まれておりそれが高速回転を始める。

 カッシーンが高速接近しているバースに気付いた時には既に遅い。その背中に強烈なドロップキックが炸裂。バースの全体重とカッターウィングの飛行速度が加わった一撃は凄まじいが、そこにキャタピラレッグの履帯が容赦なくカッシーンの装甲を削る。

 

「うぐおおおおおおおっ!」

 

 バースは背中のカッターウィングを百八十度回転させ逆向きにして噴射。カッシーごと飛ぶ。

 このタイミングでプロトバースも巻き付けていたフックを回収。

 

「カモン! 後藤ちゃん!」

 

 自分に向かって飛んで来ているバースと運ばれているカッシーンを、クレーンアームを装着した右腕をグルグルと回しながら待ち構える。

 

「行きますよ!」

 

 減速しないまま時速三百キロで突っ込むと、交差する瞬間にプロトバースがクレーンアームによるラリアットをカッシーンへ叩き込んだ。

 

「うおりゃっ!」

「ぐほあっ!」

 

 バースとプロトバースのコンビネーション。前後から挟み込む攻撃によりカッシーンの体は錐揉みしながら真上に打ち上げられた。

 視界が目まぐるしく回転する中でカッシーンは聞いた。

 

『BREAST CANNON』

 

 プロトバースの胸部に装着されるUを逆さにした形の装甲。装甲中央には砲口を赤で縁取りされた砲身が伸びている。

 プロトバースは連続してセルメダルをバースドライバーに投入し、ハンドルレバーを回す。

 

『CELL BURST』

『CELL BURST』

『CELL BURST』

「充填完了!」

 

 プロトバースのバイザーが緑色に輝き、砲口から赤いエネルギーが溢れ出す。プロトバースはクレーンアームを解除し、ブレストキャノンの両サイドにあるグリップを握り締め、反動に備える。

 

「ブレストキャノン! シュート!」

 

 プロトバースの掛け声と同時にブレストキャノンから一条の光が放たれた。

 チャージされたエネルギーの砲撃はカッシーンを貫き、空中で爆散させる。

 

「ふぅー」

 

 一戦闘を終えたプロトバースはブレストキャノンを解除。プロトバースの隣に同じく武装を解除したバースが降り立つ。

 

「後藤ちゃん、ナイスドロップキック! もしかして練習してた?」

「ええ。プロレスジムで体験入門して教えてもらいました」

「……相変わらず真面目だねぇ」

 

 戦闘を終えた二人の間に緩んだ空気が流れ──かけるがすぐに張り詰めた空気に戻る。

 

「──伊達さん」

「ああ。嫌な感じがするな」

 

 戦士としての勘が何か良くないものが来ていることを告げ、気配がする方へ視線を向ける。

 視線の先から聞こえる布の擦れるような音と小さな音が複数重なり合った奇妙な音。やがて、その音の主が現れる。

 

「何だありゃあ……?」

 

 その異様さにプロトバースは思わず声に出してしまう。

 全身を覆うズタ袋。体の部位を分ける為に縄が締めてあり、それが頭部、胴体、手足を形作る。

 ホラー映画の怪人のような見た目だが、より異質さを出しているのはズタ袋に描かれている絵。

 タカを模した赤い仮面。トラをモチーフにした黄色の胴体。バッタをイメージさせた緑の脚。

 描かれているのは三つのメダルで変身する仮面ライダーオーズ。だが、非常にクオリティーの低い絵で描かれており、オーズに興味が無い子供が描いたような落書きに近いものであった。

 

「もしかして……オーズなのか?」

「悪趣味な!」

 

 オーズはバースたちにとっても深い縁のある相手。それを冒涜するような姿に怒りと不快感を覚える。

 オーズ擬きはバースたちに近寄って来る。その動きは質の悪いストップモーションアニメのようにギクシャクとしたものであり、足は前に進んでいるが手や頭は常に左右前後に激しく揺れていた。

 しかしながらそんな動きであっても素早く、あっという間にバースたちの傍まで来る。

 

「やる気か?」

 

 プロトバースの先手の拳がオーズ擬きの胴体に命中。すると、プロトバースの拳はズタ袋に沈み込む。

 

「うお!?」

 

 拳を撫でる無数の感触。その蠢きにプロトバースは鳥肌が立つ。

 プロトバースの拳を胴体で受けたオーズ擬きは腕を振り上げ、プロトバースの頭上に振り下ろす。

 

「危ない!」

 

 バースが間に入り両腕を交差させてオーズ擬きの振り下ろしを受け止めた。

 

「お、重い……!」

 

 見た目に反してオーズ擬きの力は強く、バースは膝が折れそうになる。

 バースは負担が増すのを覚悟で片腕を離し、セルメダルを二枚バースドライバーに入れる。

 

「伊達さん!」

「あいよ!」

 

 阿吽の呼吸で片腕が塞がっているバースの代わりにプロトバースがハンドルレバーを回す。

 

『DRILL ARM』

『SHOVEL ARM』

 

 バースの右腕にはドリル、左腕にはショベルカーのバケットが装着された。

 ショベルアームになったことでバースのパワーが増し、押されていたのが互角となる。

 

「はああっ!」

 

 高速回転するドリルアームがオーズ擬きを突き、ズタ袋に穴を開ける。そして、続けて切り払いオーズ擬きを引き裂いた。その拍子に埋まっていたプロトバースの手も抜ける。

 マリオネットのような動きで後退するオーズ擬き。その胴体に生じる大きな裂け目。すると、何やら音が聞こえて来る。

 

「……羽音?」

 

 それが虫の羽音だと認識した瞬間、オーズ擬きの裂け目から大量のハチが飛び出してきた。

 

「うおっ!」

「何っ!」

 

 視界が埋め尽くされる程のハチ、ハチ、ハチ。種類は統一されておらずあらゆるハチが凶器となって襲い掛かってくる。

 

「くっ!」

「邪魔だ!」

 

 バースたちはハチらを払い除けるが数が多過ぎるので中々払いきれない。

 すると、バースたちを襲っていたハチたちが群れとなって引いていく。視界が晴れるとオーズ擬きが離れた位置に移動しており、ハチの群れはオーズ擬きの胴体の裂け目へ帰っていく。

 ハチらが帰っていく際にズタ袋の裂け目が広がっていき、それが一定の大きさまで達すると体をパーツ分けしていた縄が千切れ、ズタ袋も裂けて地面に落ちる。

 オーズ擬きの中身が二人の前に晒されるのだが──

 

「う、おお……」

「……っ!」

 

 二人揃って呻くことしか出来ない。先程まであった怒りが一気に冷え、今は生理的嫌悪感で体が寒気を覚える。

 頭部に位置する場所には数え切れないムカデの集合体。胴体を構成しているのは先程飛び出したハチの群れ。下半身は互いを嚙み合って繋がるアリのコロニー。

 全身全てがムシ、虫、蟲。虫嫌いや集合恐怖症の者が見れば発狂しそうな姿をしている。

 視線を逸らしたくなる見た目の異形。視界の端にいるだけでも精神が削られていく。

 それでもこれから戦う相手から目を背けることも出来ないので二人は嫌悪感を押し殺して相手を見る。

 そして、気付く。腹部にあたる位置に謎の生物が張り付いていることに。

 それは尾はアリ、胴体はハチ、そして頭部は体を蛇行させたムカデそのものという虫のキメラ。

 虫のキメラには白い文字がこう描かれていた。

 

「『GODA』?」

「『2022』?」

 

 

 




文章故に映像化出来ないアナザーライダーにしてみました。
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