仮面ライダージオウIF NEXT TIME~ゲイツマジェスティ~   作:K/K

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アナザーソーサラー2013 その4

 計五体のビーストたちがアナザーソーサラーと対峙する。数の上ではビーストたちが圧倒的に有利。しかし、アナザーソーサラーにはまだ強力な魔法がある。油断をすれば手痛い反撃を受ける。

 慢心はせずに更に強力な助っ人を呼ぶ。

 

「キマイラ!」

 

 空中で食事をしていたビーストキマイラに呼び掛ける。ビーストキマイラがこの戦力に加われば万全である。

 

「──ってあれ?」

 

 さっきまで飛び回って魔力を食い荒らしていたビーストキマイラの姿が見当たらない。左右をキョロキョロと確認し、最後に後方を見る。少し離れた場所でビーストキマイラは伏せてくつろいでいた。

 

「おい! キマイラ!」

『喧しい。我は久しぶりの満腹だ。この心地良い感覚に暫く浸らせろ』

 

 戦う気の無いビーストキマイラに抗議するが、ビーストキマイラは聞く耳無し。腹が魔力で満ちていることにご満悦の様子。

 

『お前たちでやればいい。その為に魔力を回した。我に被害が及んだ時は覚悟しておけよ?』

 

 アナザーソーサラーの相手をビーストたちに完全に投げる。そのくせ攻撃されたらただでは済ませないと脅してくる。

 

「勝手な奴! もういい! 喰って寝て牛にでもなっちまえ!」

 

 ビーストハイパーを非協力的なビーストキマイラに怒り、頼らずに残りのビーストたちでアナザーソーサラーを倒すことを決める。

 

「お前らっていうか俺ら──」

 

 ビーストハイパーが指示を出そうとすると──

 

『皆まで言うな! 分かっている!』

 

 ──他のビーストたちはそう言って最後まで言わせない。

 

「話が早い! 流石俺!」

 

 人によって話を遮られたことに苛立ちを覚えるかもしれないが、全員ビーストなのでそれを起こらない。寧ろ、一々説明せずとも意思疎通が取れて証でもある。

 

「よっしゃ行くぞ!」

 

 ビーストハイパーの号令と共に最初に仕掛けたのはバッファマントのビーストことビーストバッファ。

 

「おらぁ!」

 

 ビーストバッファが地面に掌を叩き付けると衝撃波が地表を走り、アナザーソーサラーに届くと、衝撃波がアナザーソーサラーを下から突き上げる。

 空中に打ち上げられたアナザーソーサラーを待ち構えていたのはビーストファルコ。空中を自由に動けないアナザーソーサラーに見せつけるようにビーストファルコは縦横無尽に周囲を飛び回り、ダイスサーベルでアナザーソーサラーを斬りつける。

 アナザーソーサラーもハルバードで反撃を試みるが、ビーストファルコの飛翔速度を以ってすれば一撃入れた後にハルバードの反撃を貰う前に離脱出来る。

 空中でのビーストファルコの連続攻撃。アナザーソーサラーは空中での戦闘は早々に不利と悟って防御に徹し、落下するまで耐えようとする。しかし、いくら待ってもアナザーソーサラーが落下する気配はない。

 ビーストファルコの連続攻撃はアナザーソーサラーにただ当てるのではなく、地面に落下しないように打ち上げ続けていたのだ。

 アナザーソーサラーが空中戦を早く終わらせたいのなら、ビーストファルコは逆に長引かせたい。自分の有利なフィールドで限界までダメージを与え続ける。

 アナザーソーサラーも相手の意図を察したのか、耐え続けても無駄にダメージを重ねるだけと判断し、多少のダメージは覚悟で再び反撃に出る。

 錐揉みしながら宙に上がっていく中、背後から来る気配だけを頼りに乱暴にハルバードを振るう。しかし、ビーストファルコはハルバードの下へ潜り込んでそれを回避し、すれ違い様にアナザーソーサラーを斬る。

 

@@!+&(リフレクト)

 

 斬りつけると同時に斬りつけた部位に魔法陣が生じ、斬った筈のビーストファルコは斬撃のダメージを負う。アナザーソーサラーは密かに魔法を発動させていた。リフレクトの魔法は文字通り相手の攻撃を跳ね返す魔法。ビーストファルコは跳ね返さえた斬撃により落下していく。

 これで空中の脅威を取り除いたアナザーソーサラー。だが、安心する暇など無かった。アナザーソーサラーの足首に鞭のようなものが巻き付く。

 

「うりゃあああああっ!」

 

 巻き付いたのはカメレオマントから伸びる舌。ビーストカメレオが舌を振り下ろせば高さそのまま破壊力に変わる。

 アナザーソーサラーは振り解こうとするが間に合わない。アナザーソーサラーは背中から地面に叩き付けられる。

 

「まだまだぁ!」

 

 そこに追撃するのはビーストハイパー。ミラージュマグナムからの光弾を仰向け状態のアナザーソーサラーに撃ち込む。アナザーソーサラーは何度も復活している。いい加減にそのカラクリを見破らなければいくら魔力が潤沢でもジリ貧になる。

 追撃の光弾は無防備状態のアナザーソーサラーを撃ち抜き、爆散させる。

 しかし、ビーストハイパーたちは警戒を緩めない。普通に倒したのでまた復活する可能性がある。

 

デュープ

 

 また異音の詠唱が聞こえた。地面の骸骨が一箇所に集まる。

 

「させるか!」

 

 ミラージュマグナムで集まった骸骨を撃つ。骸骨は爆散したが、その下から現れたアナザーソーサラーは光弾をハルバードで防いでいた。

 

「くっ! また復活しやがったか!」

『おい、仁藤攻介』

「何だよ! こんな時に!?」

『お前はいつまで人形遊びをしている?』

「はぁ! 誰がお人形で遊んで……あっ!」

 

 ビーストキマイラの言葉で何かに気付いたビーストハイパー。

 

「まさか、こいつは……!」

 

 アナザーソーサラーを見た後、何かを探すようにビーストハイパーは忙しなく周囲を見回す。

 

「おい! キマイラ! そんなことを言うんならとっくに分かってるんだろ!?」

『さてなぁ……どうだろうなぁ?』

「勿体ぶらずに言えよ!」

『お前は物の頼み方も知らんのか?』

 

 危機的状況だというのに明らかにビーストハイパーで遊んでいるビーストキマイラ。逆に言えばそう簡単にはくたばらないという信頼の裏返しとも言える。

 ビーストハイパーはワナワナと体を震わせた後、勢い良く頭を下げる。

 

「キマイラさん! お願いします!」

 

 上半身を九十度に曲げた見事なお辞儀であった。

 

『ふん。腹ごなしに少し動いてやるとするか』

 

 ビーストハイパーのお願いをきちんと聞き届け、立ち上がるビーストキマイラ。その場から動かずに鼻を動かし、何かを探る。

 

『そこかっ!』

 

 ビーストキマイラはアナザーソーサラーではなく、見当違いな何もない場所目掛け口から金色の光線を吐き出す。

 光線はそのまま空中を突き進み、彼方へ消える──ことはせず、見えない何かに衝突した。

 弾かれる光線が飛沫のように散っていく中、光線が当てられている中心に変化が生じる。

 何もない筈の空間が歪み出し、何かが浮かび上がってくる。

 それは構えたハルバードでビーストキマイラの光線を懸命に弾いていた。

 完全に姿を現したタイミングでビーストキマイラは光線を吐くのを止める。

 

『おい。燻り出してやったぞ』

 

 虚空から出現したのはもう一体のアナザーソーサラーであった。

 

「くそ……まんまと騙されちまったぜ……!」

 

 コピーという魔法がある。対象の物体や使用者自身をその名の通り複製する魔法である。物体は兎も角として使用者を複製した場合、使用者と同じ行動しかとれないという欠点がある。

 そして、コピーには更に発展させた魔法が存在する。

 

「初めましてって言った方がいいのか? 本物さんよぉ!」

 

 デュープという魔法は自分自身を完璧に複製させる。本体と同様の意思と戦闘力を持たせることが出来るのだ。

 ビーストハイパーたちは最初からアナザーソーサラーの分身と戦わされていた。分身が倒されても魔力があれば何度でも分身を復活させられる。しかも、魔法発動の際にわざわざ演出を入れることでデュープの魔法から目を逸らさせ、あたかも不死身のように見せていた。

 

「ってか分かってんなら最初から教えろよ! キマイラ!」

 

 当然ながらビーストキマイラはアナザーソーサラーが分身体であることに気付いていた。魔力を食料としている彼ならば戦っているアナザーソーサラーが魔力の塊であることを感じ取っていた。

 

『聞かれなかったからな』

「よくある言い訳しやがって……!」

 

 しれっと言うビーストキマイラに憤りを覚えるが、ビーストキマイラのお陰で何とかなったので強く出られない。

 

『そんなことよりも、来るぞ』

 

 偽装がバレたアナザーソーサラーは最早逃げ隠れもせず、分身体のアナザーソーサラーと同時に動き出す。

 

・<>:(ライトニング)

 

 アナザーソーサラー本体は魔法陣から雷を放ち、ビーストハイパーを狙う。

 

「うおっ!?」

 

 ビーストハイパーは横っ飛びでそれを回避しつつミラージュマグナムで反撃。光弾が魔法陣を撃ち抜き、ライトニングの魔法を中断させる。

 体勢を立て直したビーストハイパーは続けて光弾を連射。しかし、アナザーソーサラー本体もすぐに魔法を発動。

 

♯$%&⁂⁂(ブラスト)

 

 魔法の弾が光弾を相殺する。

 ビーストハイパーがアナザーソーサラーと撃ち合いをし、互いを足止めしている頃ビーストバッファ、ビーストファルコ、ビーストカメレオはアナザーソーサラーの分身体と戦っていた。

 ビーストバッファがショルダータックルで攻撃をするが、直線的な攻撃なのであっさりと躱される。しかし、躱した先ではビーストファルコが生み出した竜巻が待っており、竜巻に巻き込まれたアナザーソーサラー分身体はハルバードを地面に突き立て、飛ばされないように耐える。

 そこにビーストカメレオが舌を伸ばし、殴打。竜巻に弾かれてもおかしくないのだが、上手いこと風に乗せ逆に威力を上げている。

 全員が共通の思考をしているので意思の疎通を必要とせずに高度な連携を可能とする。

 

@@!+&(リフレクト)

 

 堪らずアナザーソーサラー分身体は魔法を使用。リフレクトの魔法により竜巻を跳ね返し、ビーストバッファたちは自身が生み出した竜巻に吞み込まれてしまう。

 相手の攻撃をまんまと利用し、ここから反撃開始と思いきやアナザーソーサラー分身体はある違和感に気付く。

 竜巻に呑まれているのはビーストバッファ、ビーストファルコ、ビーストカメレオの三人──一人見当たらない。

 次の瞬間、地面から伸びてきた手がアナザーソーサラー分身体の足を掴む。視線を下ろすと地面から上半身を出してこちらを見上げている最後のビースト──ビーストドルフィと目が合った。

 慌ててハルバードを振り下ろそうとするが、ビーストドルフィは地面をまるで水面のように潜り、アナザーソーサラー分身体も地面に引き摺り込む。

 アナザーソーサラー分身体の下半身が完全に地面に埋まり、どんなに両手に力を込めても脱け出すことが出来ない。

 その間に竜巻に吞み込まれていたビーストバッファたちは脱出し、ビーストドルフィも地面から水飛沫を上げて飛び出す。

 

「あれ、俺出来ねぇぞ!」

 

 ドルフィマントで治癒、解毒しか出来ないビーストハイパーは、水の無い場所でも水中のように泳いだビーストドルフィを横目で見ていて驚く。

 

『お前が未熟なだけだ』

 

 だが、ビーストキマイラには未熟と一蹴されてしまう。

 身動き取れないアナザーソーサラー分身体にビーストバッファたちはダイスサーベルを回す。

 

『ワン!』

『ツー!』

『スリー!』

『フォー!』

 

 見事にぞろ目で揃うダイスサーベル。

 

『バッファ! セイバーストライク!』

『ファルコ! セイバーストライク!』

『ドルフィ! セイバーストライク!』

『カメレオ! セイバーストライク!』

 

 一頭のバッファロー、二匹のハヤブサ、三頭のイルカ、四匹のカメレオンが魔法陣から飛び出し、アナザーソーサラー分身体に殺到する。

 下半身が地面に埋まっているので魔法は発動出来ず、ハルバードを振り回そうとするが、地面が近過ぎるせいで柄頭が地面に接触してしまい、振り回すことに失敗してしまった。

 その結果、ほぼ無防備状態でビーストバッファたちの魔法により蹂躙され、アナザーソーサラー分身体は消滅する。

 分身体を倒され、残されたのはアナザーソーサラー本体のみ。ビーストハイパーは再びデュープが使用されないように絶えず銃撃を繰り返し、隙を与えない。

 

「うおらっ!」

 

 ミラージュマグナムの光弾が防御の隙間をすり抜け、アナザーソーサラーの肩に着弾する。アナザーソーサラーは大きく後退させられ、また着弾の衝撃によりハルバードから手を離してしまう。

 

「隙あり!」

 

 ビーストハイパーが腕を振るう。黄金の紐が伸び、アナザーソーサラーの顔面を強打。そこにすかさず銃撃し、アナザーソーサラーの手からハルバードを弾き飛ばす。

 無手となったアナザーソーサラーが地面を転がっていく。だが、立ち上がり、最後の切り札を使用する。

 

**@@@#!(ファイナルストライク)

 

 アナザーソーサラーの足元に魔法陣が出現し、アナザーソーサラーのその中で構える。

 

「はっ! 最後は真っ向勝負ってか? いいぜ、受けてやる!」

 

 ビーストハイパーは相手がどんな魔法を使用するのか察し、左手の指輪を掲げる。

 

『──さて、不甲斐ないお前に少しだけ我も手を貸してやろう』

 

 ビーストキマイラが咆哮を上げるとビーストハイパーの左右にビーストバッファたちが並び立つ。

 

「休憩がなげぇよ、キマイラ」

『ふん。この程度の相手に手古摺り過ぎだ、仁藤攻介』

 

 互いに軽口を言った後、ビーストハイパーの背後に魔法陣が展開され、その中にビーストキマイラが飛び込む。

 ビーストキマイラがビーストハイパーに体内に入ると、左右のビーストバッファたちが魔法陣へと変化。色が異なる二重の魔法陣がビーストハイパーを挟む。

 ビーストハイパーが両腕を広げると、左右の二重魔法陣が腕を通過していった。

 ビーストハイパーの右肩にファルコマント、左肩にはドルフィマント。そして、マントのハヤブサとイルカを模った肩当てから更にバッファローとカメレオンの頭部が生えるように追加され、赤と緑のマントが翼のように背部に装着される。

 胸のライオン、両肩のハヤブサ、バッファロー、イルカ、カメレオン。ビーストキマイラを構成する獣たちが顕現する。

 全ての条件が満たされたことで実現したビーストキマイラの力を完全に引き出した姿──仮面ライダービーストオールキマイラは、左手の指輪であるビーストウィザードリングに口付けをするジェスチャーをした後にビーストドライバーに填める。

 

「さぁ! メインディッシュだ!」

『キックストライク!』

 

 四色のマントが広がり、オールキマイラの体が音もなく浮き上がる。オールキマイラの左右に赤、橙、青、緑の色の異なる魔法陣が出現する。

 同じタイミングで魔力の充填が終わったアナザーソーサラーが魔法陣の中で跳躍し、右足に魔法陣を纏わせながら突っ込んで来る。

 必殺の一撃を放ったアナザーソーサラー。それを迎え撃つのはオールキマイラの魔法陣。各魔法陣からバッファロー、ハヤブサ、イルカ、カメレオンが召喚され、突っ込んで来たアナザーソーサラーの体を貫いていく。

 

『ゴー!』

 

 オールキマイラもまた前方に展開した魔法陣を右足に纏わせて突撃。迎撃されたアナザーソーサラーのキックと衝突する。

 次の瞬間、ビーストキマイラの巨大な頭部が魔法陣の中から現れ、大口を開けてアナザーソーサラーを嚙み砕く。

 アナザーソーサラーの体は粉砕と同時にオールキマイラにキックによって貫かれ、空中にて爆散。

 アナザーソーサラーを迎え撃ったオールキマイラが地面に降り立つ。着地と同時にオールキマイラは解除され、ビーストは両手を合わせる。

 

「ごっつあん!」

 

 勝利の言葉の後、ビーストはその場でしゃがみ込む。

 

「疲れた……」

 

 激戦を制したビーストは、脱力してしまうが、そんな彼を他所にビーストキマイラはまだ残っているアナザーソーサラーの空間をまた貪り出す。

 

「……何かあいつだけ良い思いしてねぇか?」

 

 一人だけ嬉しそうにしているビーストキマイラにビーストは思わず愚痴を零してしまうのであった。

 




これにてアナザーソーサラー戦は完となります。ビースト版オールドラゴンを出したかったのでこれで満足しました。
サブライダーたちの戦いも次で最終戦となります。
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