仮面ライダージオウIF NEXT TIME~ゲイツマジェスティ~ 作:K/K
顔の仮面は単眼を覆うシャッター状のものへ変化、アクセルの時よりも動き易い形になった軽鎧は、銀色の装甲が胸部、背中、肩、腕、足などの各部に装着されており、そこからアクセルを滞空させるだけの炎が噴射している。
アクセルドライバーに挿してあるアクセルメモリに接続された凸型のアダプター。ガイアメモリ強化アダプターという名称であり、ガイアメモリに装着させることで通常の3倍もの力を発揮させることが出来る。
このガイアメモリ強化アダプターでアクセルが強化された姿が仮面ライダーアクセルブースター。
ガイアメモリ強化アダプターはとある戦いの後に手にし、その後に照井の戦友の相棒に預けておいたのだが、海東の手によって照井へ返って来た。
海東曰く『僕は今のところガイアメモリに興味が無いから君が使いたまえ』とのこと。
盗んで来たのかと問い詰めたが、海東は『君が彼に渡したものじゃないさ』と言っていたが、結局盗んだ物かどうかは最後まではぐらかされた。
様々な世界を股にかける怪盗と自称していたので、訪れた世界で偶然手にした代物かもしれない。
警察という立場から盗品の疑いがある物なので、最後まで使うことは躊躇っていたが背に腹は代えられない状況となりやむを得ず使用してしまった。
アクセルブースターはアナザーアークを一瞥した後、一旦無視して倒壊するビルの屋上で耐えているライジングイクサの救出に向かう。
アナザーアークの目が起こす吸引の中でもアクセルブースターのジェット炎はその吸引に逆らっても速度を損なうことなく飛翔する。
「飛べたのか!?」
「俺に質問するなと何度も言った筈だ」
「ただの事実確認だ! 飛べるなら最初に言いなさい!」
ライジングイクサが文句を言っていると、アクセルブースターは腕を勢い良く振ってライジングイクサを投げ飛ばす。
「なっ!?」
空中で放り投げられたことに驚くが、ライジングイクサが投げられた先へ別棟のビルの屋上であった。
「最初から飛んでいたら、お前はこんな風に置き去りだ」
ライジングイクサにそう言うとアクセルブースターは反転してアナザーアークへ向かっていく。
アクセルブースターの言う通り飛行能力を持たないライジングイクサはそれを見送ることしか出来ない。
「この名護啓介を侮るな……!」
しかし、プライドを強く刺激されたライジングイクサが黙っている筈もなかった。
単身アナザーアークへ挑むアクセルブースター。それを迎え撃つアナザーアークは、下半身の瞳でアクセルブースターを凝視する。
途端、凄まじい吸引が発生し、アクセルブースターをブラックホールのような暗黒の瞳の中へ引き摺り込もうとする。
アクセルブースターはジェット炎を強めて上昇。噴射により吸引から脱する。
『エレクトリック!』
エンジンブレードに装填されてあるエンジンメモリを起動させ、エンジンブレードを帯電させる。
「はぁ!」
帯電したエンジンブレードを突き出すと、剣先から電撃が放たれ、アナザーアークの体を貫く。
強力な電気が体内に流し込まれ、上半身は体を痙攣させ下半身は液状の体を波打たせる。だが、動きを止められたのは一瞬だけですぐにアナザーアークは電撃を弾き、お返しと言わんばかりに光弾を広範囲にばら撒く。
アクセルブースターは体の各部の噴射を巧みに切り替え、横に滑るように移動したかと思えば逆噴射で急停止し光弾を紙一重で躱すなど光弾の雨を掻い潜る。
アナザーアークが攻撃を終えたタイミングでアクセルブースターはエンジンブレードを振り抜く。
『スチーム!』
振り抜かれたエンジンブレードから高密度の蒸気が発生し、白い蒸気がアクセルブースターの体を完全に隠す。また、蒸気はアナザーアークの方へも伸びていく。
アナザーアークの瞳が迫って来た蒸気を吸い込む。蒸気故に難無く吸い込んでいくが、良くも悪くも吸い込む速度は一定のようであり、後詰めをしてくる蒸気によりアナザーアークの前方は蒸気によって完全に覆われてしまう。
文字通り視界を奪われてしまうアナザーアーク。すぐに蒸気を消す為に吸引をするが、広範囲に広がった蒸気は簡単には吸い切れない。
その時、蒸気を突き破って何かがアナザーアークの前で飛び出そうとしてくる。アナザーアークはアクセルブースターの突撃だと思い、上半身の翼を前方に折り畳んで盾にする。
蒸気を突き破って現れるのはアクセルブースターではなく赤い衝撃波。エンジンメモリの能力である『ジェット』によるもの。
アナザーアークの翼にジェットの衝撃波が命中。アナザーアークの巨体が軽く震える。しかし、アナザーアークに深いダメージを与えるにはアナザーライダーのルールもあるが、ジェットの衝撃波だけでは足りない。
『エンジン! マキシマムドライブ!』
それはアクセルブースターも分かっていた。アクセルブースターが最初から狙っていたのはアナザーアークの防御に対する意識が緩む瞬間。わざと軽い攻撃で囮にし、本命を時間差で繰り出す。
アナザーアークの気が緩んだタイミングで蒸気を吹き飛ばし、燃え盛る巨大なАの文字がアナザーアークへ突進してくる。
防御を解いている途中の片翼にАが突き刺さる。エンジンメモリにアップグレードされたアクセルメモリの力が加わることで発生した高熱がアナザーアークの片翼を焼く。
本来ならばアナザーライダーへの攻撃は、そのアナザーライダーと関連するライダーでなければ効果は薄いが、攻撃の威力が高ければちゃんとしたダメージを与えられる。
片翼に攻撃を受けたアナザーアークは即座に片翼を犠牲にすることを選び、体を捻ってアクセルブースターの攻撃を受け流す。その際に片翼は貫かれ、千切れて元の大きさの三分の一程度になってしまった。
Aの文字がアナザーアークを貫いた後、技が中断されてAの中からアクセルブースターが現れる。
「ちぃ! 躱されたか!」
寸前の所で回避され、片翼を損傷させただけに終わる。しかし、アクセルブースターの攻撃が無駄だった訳ではない。現にアナザーアークは左右の翼のバランスが悪くなってしまったことで飛ぶことも困難の状態になっており、両翼を必死に動かして空中に留まっているのが精一杯の様子であり、機動力は完全に死んでいた。
このままもう一撃与えようとした時、あの男が動く。
イクサライザーからライザーフエッスルを抜き、イクサベルトに装填してイクサナックルを押し込む。
イクサの額中央から放たれる電気のような青い光が胸部中央にあるコアに信号を送る。それに応答し、今度は赤い光がコアから発生しイクサライザーと接触してエネルギーを送り込む。
イクサライザーの銃口に太陽を模した金色の紋章が浮かび上がる。今から放とうとしているのは、ライジングイクサの最強の技であるファイナルライジングブラスト。膨大なエネルギーを消費し、エネルギーが満タンの状態でも一度に三度までしか発射出来ない。
これを使って空中のアナザーアークを狙撃する。第三者の視点からすればそう見えるだろう。実際、ライジングイクサが何かをしようとしていることに気付いたアクセルブースター、不穏な気配を察知し何とか回避行動に移ろうとしているアナザーアークはそう思っていた。
エネルギーが充填され、イクサライザーの銃口をアナザーアークに向けるかと思いきや、ライジングイクサは突如としてイクサライザーを逆手に持ち直す。こうなると銃口はアナザーアークとは真逆に向いてしまう。
「イクサ飛翔!」
掛け声を出しながらイクサライザーのトリガーを引く。エネルギーの奔流が斜め下に向けて発射。同時にライジングイクサが跳び上がると、ファイナルライジングブラストのエネルギーを推進力に変え、言葉通り飛翔する。
右手で必死にイクサライザーを固定するライジングイクサ。少しでも手首の角度が変われば明後日の方向へ飛んで行く上に手首が折れてしまう。
繊細なコントロールをしながらアナザーアークへ一直線に向かう。その際にアクセルブースターとすれ違う。
「見なさいぃぃぃ! イクサも飛べるぅぅぅぅぅぅ!」
「馬鹿かお前は!?」
アクセルブースターへの対抗意識だけで特攻紛いの行動に出たことに思わず大声で言ってしまうが、ライジングイクサは声が届く前に飛んで行く。
「ぅぅぅぅぅおおおおおおっ!」
左手にカリバーモードのイクサカリバーを構える。ファイナルライジングブラスト使用の際の余剰エネルギーによりイクサカリバーの刀身は赤く輝いている。
アナザーアークもライジングイクサの行動に驚いてしまったのか、ライジングイクサが眼前に来るまで回避をしていなかった。
「その、命! 神に!」
前方からの暴力的な風圧を受けながらライジングイクサは途切れ途切れになってしまった決め台詞と共にアナザーアークの傍を通り過ぎつつイクサカリバーで胴体部分を斬りつける。
「返しな、さいっ!」
斬りつけた部分が丁度上半身と下半身の境目部分だったので、アナザーアークの上半身と下半身は灼熱の斬撃に悶え苦しむ。
通り過ぎた後、イクサライザーはエネルギーを放出し尽くしてしまう。推力を失ってしまったライジングイクサは当然ながら落下していくが、落下先には運良くビルが有り、ライジングイクサはその屋上に転げ落ちる。
「どうだ!」
アナザーアークの様子を確認する。アナザーアークはライジングイクサに付けられた傷に苦しんでいたが、やがてその痛みは怒りに転換され、怒りは殺意に昇華される。
ライジングイクサを排除するべき最優先の敵と認識し、瞳をライジングイクサへ向ける。
途端にブラックホールのような強い吸引が発生し、ライジングイクサはアナザーアークの瞳に引っ張られる。
「ぬおぉぉぉ!」
ライジングイクサは耐えようとするが、着地が悪かったせいで踏ん張ることが出来ず、簡単に引っ張られてしまう。何とかイクサカリバーを突き立てて耐えようとするものの、イクサカリバーの切れ味とアナザーアークの吸引が強いせいで刃を突き立てられた屋上がバターのように裂け、抵抗が生まれない。
ライジングイクサが吸い込まれるのは時間の問題。しかし、アクセルブースターがライジングイクサを救助する気配はない。
アクセルブースターはアナザーアークの意識がライジングイクサに向いた直後、数百メートル以上も離れた場所に移動していたからである。
生半可な攻撃ではアナザーアークを仕留められない。今放てる最強の一撃を出すにはどうしても十分な距離が必要であった。
「耐えろ」
一応ライジングイクサの身を案じながらアクセルブースターは何度もアクセルドライバーのスロットルを回し、エネルギーを高める。
アクセルブースターの各部から噴射する炎は勢いを増し、やがて炎が集束していき音を立てる青い炎となる。
限界までエネルギーが高まると、アクセルブースターはエンジンブレードのトリガーを引く。
『エンジン! マキシマムドライブ!』
刃全体を黄色の光が覆い、巨大な光刃を形成。アクセルブースターはそれで斬り掛かるのではなく、アナザーアーク目掛けて投擲した。
投げられたエンジンブレードは光刃が噴射炎となって空中を加速。一瞬で音速の壁を突き破る。
そして、エンジンブレードを投げ放った直後にアクセルブースターはアクセルドライバーのクラッチレバーを押す。
「──振り切るぜ」
『ブースター! マキシマムドライブ!』
アクセルブースターの姿が消える。全ての噴射炎を前進のみに集中させたことでエンジンブレードをも超える速度を得た。肉眼では捉えることは出来ず、ただ青い炎が空中に横一文字の残像が見えるのみ。
アクセルブースターは瞬時にエンジンブレードに追い付き、右足裏でエンジンブレードの柄頭を押さえると更に加速。
黄色の光刃が青い炎を噴いているようにしか見えず、アクセルブースターはこの世で最も速い刃と化した。
ライジングイクサに意識を取られていたアナザーアークはアクセルブースターの接近に気付かない。仮に気付いたとしても手遅れであっただろう。勘付いた時には既に遅い。
アクセルブースターはアナザーアークの下半身に背後から貫く。ブラックホールの瞳を持っていたとしても瞳の後ろは吸い込むことは出来ない。
全てが刹那の出来事であった。後ろから突入したアクセルブースターが瞳を貫き、その後に発生したソニックブームがアナザーアークの下半身を吹き飛ばす。
アナザーアークもライジングイクサも気付いた時にはアナザーアークの下半身は消失していた。
下半身を失い絶叫を上げるアナザーアーク。何が起こったのか分からないも吸引から解放され、絶好の機会が生まれた。ライジングイクサはこれを逃さない。
ライザーフエッスルを使用し、再びエネルギーをチャージ。二度目のファイナルライジングブラストがアナザーアークへ発射される。
文字通り半身を失い、苦しむアナザーアークであったが追い打ちを掛けるように迫る脅威を感知。痛みよりも命の危機を優先し、両翼を盾にしてファイナルライジングブラストを防ぐ。
イクサエンジンが生み出す強大なエネルギーをアナザーアークの翼は弾いていく。骨は焦げ、翼膜の部分は穴が開いていく。それでも耐え続けるとファイナルライジングブラストが途絶えた。
エネルギー切れを起こしたと思ったアナザーアークは素早く翼を開き、反撃の光弾を撃ち込もうとする。だが、ビルの屋上にライジングイクサの姿は見当たらない。
その時、アナザーアークは自分を照らす光に気付く。夜空しかない世界を照らす灼熱の太陽の如き輝き。
ライジングイクサはアナザーアークの頭上に居た。再びファイナルライジングブラストを利用して空を飛んだのだ。アナザーアークはそれをエネルギー切れと勘違いしてしまった。
「イクサ──」
ライジングイクサは三度目のライザーフエッスルを起動。両手持ちにしたイクサライザーを掲げると銃口から光線が放たれ、あたかも刃のように見える。
「爆現!」
太陽を凝縮させたような刃を振り下ろす。アナザーアークの頭上に叩き付けられたファイナルライジングブラストは、アナザーアークの体を消滅させながら真下まで抜け、アナザーアークの体は燃えカスのようになり、風に乗って散ってしまう。
最強の技でアナザーアークを葬ったライジングイクサ。しかし、その後にイクサライザーは光線の放出を止めてしまう。
そのまま自由落下していくライジングイクサ。限界までファイナルライジングブラストを使用したので打破する手段は残っていなかった。
「うおおおおおっ!?」
暗い闇の中に落ちていくライジングイクサ。すると、空中でその手が掴まれる。
「何をやっているんだお前は?」
アクセルブースターが寸での所でライジングイクサを救出する。アクセルブースターはライジングイクサの無茶な行動に心底呆れていた。
「後先考えずに無謀な真似を……」
「無謀?」
すると、アクセルブースターの言葉を鼻で笑う。
「あれは俺の遊び心だ。君も覚えて、俺から学んでおきなさい」
「……」
意味不明なことを言うライジングイクサを、落としてやろうかと一瞬本気で考えてしまうアクセルブースターであった。
これにてサブライダーたちの戦いはお終いです。
次からはゲイツたちの戦いに戻ります。